年収600万円でも不動産投資できる?節税効果への期待

「年収600万円でも不動産投資はできるのだろうか…」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。 実は、年収600万円でも不動産投資することは可能です。ただし属性によっては借り入れできる金額が低くなったり、不動産投資の選択肢が限定されたりすることがあるので、注意しておきましょう。 今回は、年収600万円の人が不動産投資する際の注意点を解説します。節税対策として不動産投資を役立てる手法についても解説するので、ご参考になれば幸いです。

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年収600万円でも不動産投資は可能

結論からお伝えすると、年収600万円でも不動産投資を始めることは可能です。ただし、金融機関の中には、不動産投資ローンの借り入れ条件を年収700万円以上としているケースもあるので注意しましょう。

とはいえ、投資する不動産の種類や目的、属性、相談先の金融機関によって、年収700万円以下でも融資してくれる可能性があります。まずは一度、不動産投資コンサルタントやファイナンシャルプランナーなどの専門家へ相談してみることをおすすめします。

【年収600万円】不動産投資で受けられる融資額の目安

年収600万円の場合、不動産投資のために取得する物件費用をほぼ全て不動産投資ローンに頼ることになります。潤沢な自己資金があれば問題ありませんが、年収から考えてローンをゼロにするのは難しいケースが多いです。

不動産投資ローンで借り入れられる金額は、年収ごとに下記の目安を参考にしてみましょう。

年収

借入可能な金額目安

年収500万円~600万円

年収の8倍程度(4,000万円~4,800万円)

年収700万円

年収の7~10倍程度(4,900万円~7,000万円)

年収1,000万円以上

年収の10倍以上(1億円~)

 

一般的には、年収の7倍~10倍程度が多いです。ただし、年収が低い場合、借入できる金額も少し低めになる場合があるので注意しましょう。上記の数字もあくまで一般的な相場であり、属性によって極端に金額が低くなることも考えられます。

年収600万円だと、金融機関によっては年収500万円と同じ土俵で審査されることもあります。勤務先・勤続年数・家族情報・ほかの借り入れ状況によっては多少有利になる可能性も考えられるでしょう。一方で、上記の基準を大幅に超える多額の融資は期待できないことが大半です。

年収600万円の人に最適な投資の方法

ここからは、年収600万円の人に最適な不動産投資の方法を解説します。前述の通り、取得する不動産の種類・目的・相談する金融機関次第では、問題なくローン審査に通過することも多いです。

下記を参考に、自分に合った投資の方法を見つけていきましょう。

早めに始めて返済期間を長く設ける

不動産投資を早めに始めて、35年ではなく45年ローンにするなど返済期間を長めに設けるのが効果的です。毎月の返済負担額を減らせるだけでなく、金融機関のローン審査に通過しやすくなります。

ただし、返済期間が長引くと、定年後も返済が続く可能性があります。若ければ若いほど取り入れやすい手法です。自身の年齢も考慮しながら、判断していきましょう。

日本政策金融公庫を利用する

年収600万円の場合、メガバンクでの借り入れが難しい傾向にあるため、日本政策金融公庫などを選択肢に加える必要があります。日本政策金融公庫とは、日本政府が100%の株式を保有している金融機関です。事業応援のために融資しているため、他の金融機関よりも審査が通りやすいのが特徴です。

金利や手数料が安く、返済の負担を大幅に軽減できるので、年収が低めな方でも安心して利用できます。その分、融資限度額がほかの金融機関と比べて低額であること、借入期間が短めに設定されていることに注意しておきましょう。

また、融資の対象は「事業」となっているので、事業計画書の提出も必須です。詳しい手続き方法や必要書類の書き方について知りたい方は、一度相談窓口を利用するのもおすすめです。

日本政策金融公庫のほかにも、地方銀行・ノンバンク・ネット銀行なども候補に挙がります。融資申し込みの条件に具体的な年収額が記載されている金融機関もあるので、申し込み前に確認しておくことがポイントです。

自分に合った物件から始める

自分の状況に合った物件を選び、無理なく始めることも大切です。

例えば、初期費用を抑えやすい区分マンションや、築浅・新築のワンルームマンションは、自己資金や年収に不安のある人でも挑戦しやすい物件です。入居者の入れ替わりが激しいものの、新しい入居者も確保しやすいので空室リスクを避けられます。

しかし、自己資金を多く出せる場合や節税目的で不動産投資する場合は、最適な物件が変わる可能性があるので注意しましょう。

不動産投資会社に相談する

自分にどんな物件が合っているか知るためには、不動産投資会社に相談するのがおすすめです。専門家のアドバイスを聞くことで、自分にはない知見が得られるかもしれません。

ただし、不動産投資会社によっては提案が偏るケースもあるので、複数の会社に相談することが大切です。不動産投資会社が実施しているセミナーも参考にしてみましょう。

不動産投資で節税できる仕組み

不動産投資で節税できるのは、所得税・住民税・相続税・贈与税の4種類です。

主な方法として下記が挙げられます。

・経費計上で課税所得を減らす

・確定申告で損益通算する

・不動産の評価額で節税する

管理費・修繕費・固定資産税など不動産の運用に必要となる費用を経費として計上することで、課税所得を減らすことが可能です。建物にも減価償却費が適用できるため、長期的に経費として計上できることもメリットとなります。

減価償却費は、法定耐用年数と築年数を基準に適用できる期間が決まります。築年数の経っている中古物件を購入する場合は、償却年数は以下のように計算できます。

・築年数が法定耐用年数を超えている場合

償却年数=法定耐用年数×0.2

・築年数が法定耐用年数を超えていない場合

償却年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2

本業で給与を得ている場合、不動産投資が赤字だったときに確定申告で損益通算すると一部の税金が還付されます。贈与税や相続税は、現金で渡す場合よりも不動産で渡す方が低い課税額となることが多いです。

不動産の場合は評価額を基準に算出されるため、贈与税・相続税対策したい人は覚えておきましょう。

節税目的で不動産投資をする場合の注意点

最後に、節税目的で不動産投資する場合の注意点を解説します。不動産投資で節税効果を得るには、単純に高い収益性のみを追求すれば良いわけではありません。

節税だけを不動産投資の目的にしない

不動産投資は節税対策として有効ですが、それだけを目的に始めるのはおすすめできません。

下記のような理由で、期待していた通りの節税効果が得られない場合があります。

・所得税は不動産投資だけではなく給与を含めた所得合計に課せられる

・減価償却費は建物部分のみに適用される(資産価値の高い土地であっても、土地には減価償却が適用されない)

・減価償却は永久的に続くわけではなく、短期的に多額を適用できるわけでもない

・物件の売却時に、減価償却した分は最初の取得費から差し引かれる

不動産投資はあくまで長期的に安定した運用で、利益を出すことを目的に行うものです。長期的に見ると、必ずしも節税効果があるとは限らないことを覚えておきましょう。

不動産投資のリスクも考慮する

不動産投資は、当然ながらリスクも伴います。空室による赤字が続いた場合でも節税効果を得られますが、必ずしもメリットとなるわけではありません。金融機関から「赤字経営が続くのは経営状態が悪いから」と、事業継続が困難だと判断されるおそれがあります。

経営状態は、金融機関が融資を判断する要素のひとつです。将来、リフォームや物件の新規購入時に不動産投資ローンを利用しようと思っても融資審査が通らない事態も考えられます。

不動産投資は「買ったら終わり」と考えず、長期的な収益計画を必ず立てておきましょう。

まとめ

年収600万円でも、不動産投資を始めることは可能です。日本政策金融公庫やノンバンク・ネット銀行・地方銀行などを上手く活用し、不動産投資会社のアドバイスにも耳を傾けながら自分に最適な方法を探っていきましょう。

また、節税対策で不動産投資を始めようとしている場合、本記事で紹介した落とし穴も参考にリスクを正しく試算しておくことが重要です。