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不動産クラウドファンディングは利益に対して税金がかかる
不動産クラウドファンディングで発生した利益も、通常の不動産投資で利益が出たときと同じように、稼いだ金額に応じて税金がかかります。
一方で、不動産クラウドファンディングを始めること自体に税金がかかることはなく、投資する段階でも税金は発生しません。
不動産クラウドファンディングで得た利益にかかる税金は「分配金源泉徴収」といわれるものです。分配金源泉徴収とは、その名の通り投資信託や運用利益などの「分配金」にかかる税金を指します。
分配金源泉徴収は、あらかじめ源泉徴収分を差し引いた額の分配金が手元に振り込まれるので、会社員に給与支給する際に税金が控除されるシステムと似ています。実際に受け取れる分配金は、源泉徴収分の20.42%を差し引いた金額です。
すでに税金が控除されているので、分配された時点では改めて税金を納める必要はありません。
不動産クラウドファンディングで節税する方法
不動産クラウドファンディングで節税効果を得る主な手法として、「匿名組合型」による雑所得の節税と、「任意組合型」による相続税・贈与税の節税のふたつが挙げられます。
下記では、不動産クラウドファンディングにおけるふたつの節税方法について解説します。
節税効果の低い匿名組合型とは
匿名組合型とは、出資した投資家と事業者の間で締結する2者間契約のことです。この契約では不動産の所有権は事業者側にあり、投資家は物件を直接所有していないことになります。
そのため、不動産クラウドファンディングの利益は雑所得に分類されるのですが、基本的に雑所得に分類されると節税効果は期待できません。しかし、ほかの雑所得で損失が発生している場合に限り、雑所得同士で損益相殺をすることで節税効果を高められます。
ただ、相続税・贈与税などに対する節税効果はないので、対策したい場合は不動産クラウドファンディングではなく現物不動産投資を視野に入れる必要があります。
ちなみに、匿名組合型の場合は登記に関する費用負担はありませんが、運用には介入できないので注意しておきましょう。
節税効果が期待できる任意組合型とは
もうひとつの節税手法として、「任意組合型」が挙げられます。任意組合型とは、同じ不動産を購入する投資家が同じ組合員として締結する契約のことです。
出資して共同持分を購入する方法なので、事業者はあくまで組合の代表者として不動産を運用します。匿名組合型とは違い、投資家側にも登記費用や不動産修繕費用がかかりますが、現物不動産と同じく金融資産の評価圧縮効果が期待できる方法です。
相続税・贈与税対策としても人気なので、雑所得以外の節税対策を希望する場合に検討してみると良いでしょう。
不動産クラウドファンディングでも確定申告は必要
次に、不動産クラウドファンディングにおける確定申告の要否を解説します。原則として、不動産クラウドファンディングの利益は源泉徴収されるので別途の手続きは要りません。
また、会社員の場合はほとんどが年末調整で対応できるので、別途手続きする必要がないことが多いです。
ただし、下記に該当する人は確定申告の必要があります。うっかり手続きを忘れて納税漏れや損をしないよう、情報を把握しておきましょう。
1.雑所得が合計20万円以上ある
不動産クラウドファンディング以外の雑所得も含めて合計20万円以上ある場合は、確定申告が必要です。
雑所得に含まれる代表的な収入は、以下のとおりです。
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
そのほか、下記のような収入も雑所得になるので注意しておきましょう。
・年金収入
・非営業用貸金の利子
・副業収入(原稿料・シェアリングエコノミー所得など)
・インターネットオークションやフリマサイトでの収入
・暗号資産取引などによる収入
分配金が20万円以下であっても、雑所得の合計が20万円を超えていれば確定申告が必要です。
2.課税所得金額が694万円まで
課税所得の金額が合計694万円以下であれば、確定申告することで還付金が得られるケースが多いのでおすすめです。
先述のとおり、不動産クラウドファンディングで利益を得ると、20.42%の税金が源泉徴収されています。しかし、課税所得金額が694万円以下であれば所得税率が20%になるので、払いすぎている税金を確定申告で還付してもらうことが可能です。
なお、課税所得金額が330万円以下であれば10%、195万円以下であれば5%に所得税率が下がります。
これらの場合、確定申告は必須ではありませんが、節税効果を期待したいのであれば必ず手続きしておきましょう。
3.他の理由で確定申告が必要
そのほかの理由で確定申告が必要なパターンもあるので、あわせてチェックしておく必要があります。例えばフリーランスなど会社員以外の仕事をしていて普段から確定申告している場合、そのまま引き続き確定申告を続ける必要があります。
会社員であれば、所属企業で年末調整してくれるので確定申告の必要はありません。ただし、前述のとおり雑所得が20万円を超える人、および年収2,000万円を超える会社員の人は別途確定申告する必要があります。
また、医療費控除や寄付金控除(ふるさと納税)を手続きするために確定申告する人もいるので、注意が必要です。
まとめ
不動産クラウドファンディングをするときは、分配金からあらかじめ20.42%の税額が源泉徴収され、源泉徴収した側である事業者が代わりに納税してくれるので、基本的にそれ以上の納税義務はありません。
ただし、雑所得が合計20万円以上ある人・課税所得金額が694万円以下の人・青色申告や医療費控除をする人など、別途確定申告が求められるケースも多いです。特に不動産クラウドファンディングに慣れてくると雑所得が20万円を超える人も多くなるので、あらかじめ把握しておきましょう。
また、不動産クラウドファンディングにおける節税対策には、「匿名組合型」と「任意組合型」とがあります。自分が納付すべき税金や雑所得を計算したうえで、どの契約手法を取るか検討していくのがおすすめです。
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