賃貸管理はクレーム処理が重要!起こりやすいトラブルと解決法

賃貸管理するうえで、入居者からのクレーム対策やトラブルへの対処は特に重要です。場合によっては、入居者から訴えられたり評判が落ちたりすることも考えられます。結果的に空室が続き、家賃収入が途絶えてしまいかねないので注意しましょう。 今回は、賃貸管理におけるクレーム処理について解説します。

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賃貸管理業務で入居者のクレーム対応は多い

賃貸管理業務のうち、入居者のクレーム対応に割く時間は意外と多いものです。

国土交通省の調査によると、賃貸物件を保有するオーナーのうち8割程度が管理会社に入居者管理を委託しています。この理由として、「自分自身の専門知識不足を感じているから」および「契約に関するトラブルをなくしたいから」がトップに食い込んでいることが分かりました。

また、受託管理会社に「苦情対応」を委託しているオーナーは約7割。特に悩ましいクレーム対応として「借主間や近隣住民との間の苦情対応」「退去時の現状回復の箇所や費用負担にかかる家主・借主との協議」などが含まれています。

出典:「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査<結果概要>」(国土交通省)

いずれの場合でも、入居者トラブルに直接関与したくないオーナーと、トラブルへの対処に苦慮する管理会社の図式が見て取れます。

【クレーム別】賃貸管理における対処法

ここでは、賃貸管理において特に多い入居者からのクレームを紹介します。あわせて基本的な対処法にも触れるので、参考にしてみてください。

騒音トラブル

子どもの足音・楽器の演奏音・ペットの鳴き声・車やバイクのエンジン音など、生活にまつわる音が騒音となりトラブルに発展するケースです。騒音トラブルは、必ずしも生活に支障が出る程度の騒音が発生しているとは限りません。

感受性の違いによる「騒音が出ている」「騒音というほどの音ではない」という認識のズレも、トラブルの問題点です。ほかにも一度騒音と感じてしまうと些細な音でも気になってしまう心情などがあり、一律で対処法を決めづらいトラブルといえます。

対策としては、客観的な数値を出して判断するのが一般的です。

40〜50デシベル以下であれば、快適に過ごせる程度の音として認識できます。60デシベルはうるさいと感じる音、75デシベル以上は音が大きすぎて生活や精神的に支障が出る音と規定されているので、数値をひとつの基準に据えてみましょう。

常識を超えた範囲で騒音を繰り返す人がいれば、個別に注意することも重要です。万が一改善されない場合、契約内容をもとに退去を勧告するケースもあります。

設備不良

中古物件を購入して賃貸経営している場合や、建設から何度も入居者が入れ替わっている部屋の場合、設備不良が起こることがあります。

設備不良に対処するときは、下記3つのポイントで判断しましょう。

・対応が本当に必要か

・対応に急を要するか

・対応費用はどこに請求するか

例えば、真冬に給湯器が壊れたりガス漏れしたりしている場合、緊急性が高く早期の対応が必須です。

しかし、扉の建付けが悪いなどであれば、それほど緊急的に対処する必要はないといえます。

対処法はトラブル内容に応じて、ガス会社や電力会社の緊急連絡先を紹介したり修理業者を手配したりするのが一般的です。

明らかな老朽化など、設備の経年劣化や管理不足が原因であれば修繕費はオーナー負担となります。一方で、入居者が持ち込んだエアコンの故障など入居者都合の場合は、本人に請求できます。

上の階からの水漏れ

洗濯機周辺を水浸しにしたなど、上の階の住人が原因で水漏れが起こることがあります。また、入居者自身が水漏れを起こして下の階に被害が出てしまう可能性も考えておきましょう。放置すると建物自体に深刻なダメージを与えるため、早急な対処が必要です。

緊急対応してくれる水道業者を手配したり、床やクロスの張り替えを検討したりするのが基本です。保険に加入している場合は、保険会社に連絡して被害状況を証明するための写真を撮っておくことをおすすめします。原因が入居者にあるときは、該当する入居者に修理費用を負担してもらうことになります。

悪臭問題

悪臭によるトラブルは、入居者の生活の質を著しく下げる要因となります。

・下の階や隣の住人がベランダでタバコを吸うため、洗濯物に臭いがつく

・ペットの臭いがひどい

・ゴミ屋敷になっている近隣の部屋が臭い

上記のような悪臭に関するクレームについても対処法を考えておきましょう。騒音同様、悪臭も人によって感じ方のレベルが異なるため、できる限り客観的に判断することが重要です。

ベランダなど共用部での喫煙を賃貸借契約書で禁じている場合、該当する入居者に注意します。ペットの悪臭なども、まずは改善を求めることから始めます。

状況によっては清掃業者の紹介など緊急的な対応が必要となることもあるので、慎重な判断が求められます。

共用部でのマナー違反

ゴミ出しのマナーを守らなかったり、共用部に私物を放置したりと、マナー違反に対するクレームが起こることもあります。

ゴミ出しのマナー違反は、場合によっては自治体から注意を受けるおそれがあるので早急な対応を心がけましょう。ゴミの散乱や放火など、新たなトラブルの原因となることも多いです。

該当者が分かっている場合は、個別に注意します。誰が該当者か分からない場合、掲示板や貼り紙などで注意喚起をするのがおすすめです。更に防犯カメラを設置しておくと抑止力になるうえ、該当者が分かるので個別に注意しやすくなります。

害鳥や害虫の発生

鳩がベランダに住み着いたり、害虫が発生したりして住人からクレームがくるケースもあります。鳩は糞害による美観への影響や建物構造の腐食など、鳴き声以外のトラブルも多いです。病気の感染源ともなるため、早急に対処していきましょう。

主な対策として、防鳥ネットを仕掛けたり忌避剤を散布したりする方法が挙げられます。入居前や入居当初から鳩が住み着いていた場合、オーナーの管理不足として費用負担が必要です。

ただし、入居者が鳩にエサをあげていたり、長期不在でベランダの管理を怠ったりした場合は、入居者の責任となることもあります。

入居者のクレーム対応は慎重かつ迅速に行おう

入居者のクレーム対応は、失敗すると物件の評判を落としたり新たな入居者同士のトラブルに発展したりすることも少なくありません。一方的な命令式で改善を試みず、双方の対話を意識しながら納得できる形に落とし込んでいく配慮が必要です。

ただし、慎重になりすぎて時間をかけると「本当に対応してくれているのか」と不安を与えてしまう可能性もあります。ゴミ放置による放火など、重篤なトラブルを招くケースもあるので、スピード感も意識していきましょう。

また、クレーム対応として書類を配布する場合は、クレームを入れた入居者にも同じ書類を配布します。「きちんと対応していますよ」「全戸に対して注意喚起していますよ」というアピールにもなるので、安心感を与えられます。

難しい場合は、管理会社や弁護士など専門家の力を借りることも検討し、無理せず確実に心配の種を摘むことが重要です。

まとめ

入居者トラブルは、対処が後手になるとオーナーや管理会社への信頼を失うきっかけになってしまいます。

結果的に空室率が上がったり評判を下げて退去者が相次いだりすることもあるので、迅速かつ慎重な対応を心がけましょう。真摯にクレーム対応できれば、反対に人気物件に育てることもできます。