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資産運用の選択肢は株式や債券、投資信託、実物投資(金や不動産)と非常に多く、自分には何が向いているか分からず迷う人もいます。
初心者は金融商品や投資の知識を身に付けた後に、ローリスク・ローリターンの比較的安全な金融資産を選ぶと成功しやすくなります。
最初のうちは奇をてらわず、オーソドックスな手法で手堅い資産形成を試みましょう。この記事では、資産運用を始めるメリットや具体的な手順、おすすめの運用方法を紹介します。
資産運用を始めるメリット
資産運用は、「失敗が不安で始められない」「資産が目減りするのは嫌だ」とネガティブな意見を頻繁に耳にします。
デメリットばかりに目を向けず、投資で得られるベネフィットについて確かな情報を得ることが大切です。資産形成を始めるメリットは次の通りです。
低金利時代でも効果的に貯蓄を増やせる
日本銀行の長期にわたる低金利政策で、銀行預金の金利はほぼゼロに近い水準で推移しており、利率が高めのメガバンクでも年利0,002%と極めて厳しい状況です。
単に預金をするだけで資産形成を実現できる時代ではなくなりました。
一方、株式投資の平均的な利回りは5%程度であり、成長株や安定株を上手く選択できれば年利10%以上の運用も夢ではありません。
銀行預金は元本割れを起こす可能性が極めて少ないのは利点ですが、資産の増加を目指す人にとっては物足りなく感じるはずです。
インフレ対策になる
高利回りの運用が期待できる投資商品は、インフレ対策として力を発揮します。
物価の上昇局面では相対的に貨幣価値が下落するため、タンス貯金や銀行の預貯金口座に預け入れた資金では買えない商品が増える可能性が高いです。
日本銀行は年2%のインフレ率を目標に金融政策を推進しており、政府の方針に変更がない限り、物価の上昇は今後も継続すると想定されます。
インフレ率以上の利回りを維持できる金融商品で運用を続ければ、インフレの影響を鑑みても資産形成が成功する可能性が高いです。
ただし利回りが低い低リスクの資産に投資するとインフレ率を下回り、元本割れが生じる恐れがあります。
老後の生活資金を確保しやすい
老後の生活資金は、公的年金の国民年金と厚生年金では足りなくなる可能性が高いです。
多くの人は退職金や貯蓄を切り崩して老後資金の不足に備えますが、資産形成で資産を増やす選択も効果的です。
投資は複利効果で、期間が長くなる程リターンが大きくなる傾向にあります。
20代や30代の若いうちに資産形成に取り組んでいれば、退職する頃には公的年金の不足を補って余りある程の潤沢な資産を得られる可能性があります。
夫がサラリーマンで妻が専業主婦の標準的な家庭における平均的な年金受給額は、月22万円です。
一方でゆとりある生活を送る際には約38万円が必要となり、差分の16万円を自己資金や資産運用で補う必要があります。
⇒不動産投資で叶える年金対策とは?老後の安定収入を確保する方法
失敗しない資産運用の始め方
投資に興味があるけど右も左も分からない人に向けて、資産運用の始め方を紹介します。
- 投資の目的や予算、目標額を明確にする
- 金融商品や投資の知識を増やす
- リスクを把握して事前に対策を考えておく
- 「長期・分散・積立」の3原則に基づき銘柄を選ぶ
各手順の具体的な方法は以下の通りです。
STEP1:投資の目的を明確にする
はじめに、投資の目的を明確にして予算や目標額を検討しましょう。年齢や資産構成、リスクの許容度に応じて投資にかける金額の大きさや運用目標額は変化します。
30代でマイホームの購入が目的なら、数千万円単位の大規模な資産形成を検討する必要があります。東京で土地ありの注文住宅の場合、平均的な費用の目安は約3,800万円です。
30代で老後の資産形成が目的の場合、資金が必要な時期まで時間があるため、元本保証に近い仕組みが付帯した比較的リスクの低い資産でも目標額の達成が可能です。
STEP2:金融商品や投資の知識を増やす
金融商品選びは資産運用の成否を占う重要な作業ながら、プロでも選択を誤る難易度の高さが特徴です。
投資が初めての人では、興味がある資産をいきなり購入するのではなく、各運用方法の特徴や利回りの算出方法などの知識を身に付けた後でも遅くはありません。
勉強方法は書籍やネット、動画、不動産投資セミナー、投資スクールなどです。
独学でチャレンジする際は、疑問が生じた時にすぐ相談できる存在が隣にいると心強い上に知識の習得がはかどります。
証券口座の開設方法や金融商品の購入方法は、手順に従えば自分でできます。
しかし商品選択の基準や実際の成功談が知りたい時は、セミナー講師や先輩投資家の経験豊富な人の声を聞くと良いでしょう。
STEP3:リスクを把握する
資産運用の世界では、リスクの高低を不確実性の大小で表します。不確実性が小さくシミュレーション通りに収益が発生すると想定される商品は低リスクだと判断します。
資産運用には次の通り、さまざまなリスクが伴います。
- 価格変動リスク:金融商品の値動きにより損失が発生するリスク
- 金利変動リスク:債券価格が上昇して金利が低下するリスク
- 信用リスク:株式や債券の発行主体(企業や地方公共団体)の財政状態が悪化し、運用する投資商品の元本と利子が支払われなくなるリスク
- 為替変動リスク:外貨建ての金融商品の価値が変動するリスク
- カントリーリスク:投資先の政治や経済、社会情勢の変化に伴い、金融商品の値動きに影響するリスク
投資の世界ではリターンとリスクは表裏一体です。リターンが大きい金融商品は裏を返せば不確実性が大きく、値動きの激しさや先行きの不透明さに耐えなくてはいけません。
STEP4:「長期・分散・積立」でポートフォリオを構築する
資産運用では長期、分散、積立の3原則が王道です。
- 長期:元本についた金利の複利を運用に充てること
- 積立:少額投資ができる、購入のタイミングを分散できる、無理なく投資を続けられることがメリット
- 分散:単一の商品によらず複数の金融商品に並行して投資すること
比較的早い年齢から投資を始めて、複数の金融商品に投資することが基本的な戦略です。ポートフォリオとは保有資産の配分割合を表した図表です。
あらかじめ資産配分を見える化しておくと、状況や目標の変化に応じて柔軟かつ機動的に変更できます。
投資初心者におすすめの資産運用7選
投資初心者に向けて、おすすめの金融商品の特徴を解説します。
国内債券
政府が発行する国債による資産運用は、満期償還時に確実に元本と利息を受け取れることがメリットです。
個人向け国債の最低利率である0.05%は銀行の金利より高く、元本保証でリスクを抑えつつ一定の運用益を確保できます。
利息は半年ごとに年2回受け取れる他、3年(金利固定)/5年(金利固定)/10年(変動金利)の3種類から商品を選べます。
数年〜10年後の出費を見据えて、手堅く資産形成したい人におすすめの金融商品です。
投資信託
投資信託は投資家が金融商品を選択し、金融の専門家が代わりに運用を担う金融商品です。
商品を選ぶ権限は利用者側にありますが、株式や債券、REITなど何にどの程度資金を投じるか采配するのはプロのファンドマネージャーの役目になっています。
投資家側に投資の知識がなくても、専門家のノウハウや経験を活かして利益の最大化を目指せるのが特徴です。
株式
株式投資の収益源は、保有し続けて配当を受け取るインカムゲインと売却益で稼ぐキャピタルゲインに分かれます。
一般的に株式投資はハイリスク・ハイリターンの方法として位置づけられ、株価の変動が著しい外国株式の場合は年間10%を超える利回りも期待できます。
初心者のうちは債券や積立投資などの比較的低リスクな方法と組み合わせて、株式を購入してポートフォリオを構築すると良いでしょう。
iDeCo
iDeCoは、老後の資産形成を目的とした政府が主導する私的年金の一種であり、個人型確定拠出年金と呼ばれます。
掛金の限度額は勤務先や働き方に応じて変わり、国民年金の第1号被保険者(自営業者やフリーランス、学生など)は月額68,000円が上限です。
専業主婦で夫の扶養に入る国民年金の第3号被保険者の場合は、月額23,000円と減少します。掛金が全額所得控除になること、運用益は非課税になることが特徴です。
ただし60歳になるまで積み立てた資金の引き出しは認められないため、20代や30代の若い年齢の人は途中で換金の可能性がないか熟慮しましょう。
新NISAの積み立て投資枠
NISA(少額投資非課税制度)は2024年から新たな制度に生まれ変わり、非課税保有期間や限度額が拡大しました。
従来はつみたてNISAと一般NISAのいずれかの選択が必須でしたが、新制度に移行してからは併用が認められています。
新NISAの積み立て投資枠は長期の積立・分散に適した一定の投資信託から選択します。
通常の投資信託と比べて対象は狭まりますが、国の基準を満たす安全・安心の金融商品を利用できるため、自分では投資先の選択が難しいと感じる人におすすめです。
⇒新NISAの成長投資枠とは? 一般NISAやつみたて投資枠との違いを紹介
貯蓄型保険
保険料の掛け捨てではない貯蓄型保険も資産形成の手段として適しています。
死亡時に死亡保険金の満額を受給できる終身保険、満期時に死亡保険金と同額の満期保険金がある養老保険、老後の公的年金に上乗せできる個人年金保険などが対象です。
貯蓄型は掛け捨てタイプと比べて保険料は割高になるとはいえ、解約時に解約返戻金が受け取れるため、万一の備えと資産形成を両立できます。
不動産投資
不動産投資は初期資金を投じて収益物件を購入して、マンションやアパートの入居者から家賃収入を得る投資手法です。
物件のリサーチや支出シミュレーションの他、定期的な修繕や入居者対応などの管理業務が付随するのが金融商品への投資と異なります。
また収益物件の調達には数千万円単位の支払いが伴うため、富裕層や高年収者でない限り、ローンの借り入れを利用するケースが一般的です。
⇒不動産投資とは?始める前に知っておくべきメリットとリスクを分かりやすく解説
まとめ
資産運用で誰しも直面する問題は、金融商品の選択には何がいいかです。
値動きが穏やかな安定資産に重点的に資金を投下する戦略が王道ですが、喫緊で大金が必要な場合や大きなリターンを望む場合はハイリスクの商品も検討すべきです。
長期・積立・分散の三原則に基づき、複数の金融商品に分配する戦略が適しています。より大きなリターンが欲しい人は、現物投資の一角の賃貸経営に取り組むのもおすすめです。
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