ふるさと納税は節税にならない?仕組みと控除上限額を詳しく解説

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ふるさと納税という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。返礼品がもらえるお得な制度として知られていますが、実際のところ節税効果はあるのでしょうか?

この記事では、ふるさと納税の仕組みや実際の効果、控除上限額について詳しく解説します。

ふるさと納税の基本的な仕組み

ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄付をすることで、税金の控除を受けられる制度です。2008年に始まったこの制度は、地方創生や地域間格差の是正が目的です。

寄付者は、故郷や応援したい自治体に寄付をすると、寄付金額から2,000円を引いた額が所得税と住民税から控除されます。

さらに、寄付先の自治体から返礼品を受け取ることができ、返礼品は寄付額の3割以内と定められており、各地の特産品や体験チケットなどのさまざまな品が用意されています。

控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。

ただし、給与所得者で確定申告が不要な場合は、寄付先が5自治体以内であれば、申請書を提出するだけで控除を受けられる『ワンストップ特例制度』を利用できます。

ふるさと納税には控除額の上限があり、年収や家族構成によって異なります。この上限を超えて寄付すると、超過分は自己負担となるため注意が必要です。

ふるさと納税は本当に節税になる?

ふるさと納税は、多くの人にとって魅力的な制度として知られていますが、その効果について誤解されている部分もあります。

ここでは、ふるさと納税の本質的な効果について解説します。

厳密には『節税』ではない

ふるさと納税は、一見すると節税のように見えますが、厳密には異なります。

この制度は、実質的に税金の前払いとして機能します。寄付金額から2,000円を引いた額が所得税と住民税から控除されるため、納税額自体は変わりません。

例えば、3万円を寄付した場合、2万8,000円が控除されますが、これは単に税金の支払い方法が変わっただけです。

つまり、通常の納税方法を変更しているにすぎず、納税総額は同じままのため、節税とはいえません。

金銭的なメリットはある

ふるさと納税は厳密には節税とは言えませんが、実質的な金銭的メリットは確かに存在します。

最大の魅力は返礼品にあり、寄付額の3割以内で地域の特産品やサービスを受け取れるため、実質的にお得感を得られるのです。

例えば、3万円の寄付をした場合、2,000円の自己負担で2万8,000円分の税金控除を受けられます。さらに、最大9,000円相当の返礼品が届きます。

つまり、2,000円を支払って9,000円相当の品物を手に入れる計算になります。

また、ふるさと納税を通じて、普段手に入りにくい各地の名産品や限定商品を楽しめるのも大きな魅力です。地域の特色ある製品やサービスを体験できる機会になるでしょう。

ふるさと納税のデメリット

ふるさと納税は、多くの人にとってメリットのある制度ですが、デメリットも存在するため、自身の状況をよく考慮して利用するかどうかを判断することが重要です。

ここでは、ふるさと納税のデメリットについて解説します。

節税や減税にならない

ふるさと納税は、税金の先払いという仕組みを持ち、厳密な意味での節税には該当しません。

寄付を行うことで翌年の住民税や所得税から控除を受けることができますが、必ず2,000円の自己負担が発生します。

つまり、寄付金額のうち2,000円は自己負担として残り、全額が控除対象にはならないという点に注意が必要です。

控除上限額がある

年収や家族構成によって控除上限額が決まっており、それを超えた分は、全額自己負担になります。

例えば、年収が高く扶養家族が多いと控除上限額が高くなりますが、それでも上限を超える部分は税金の控除を受けられません。

ふるさと納税を行う際には、自分の年収や家族構成に基づいた限度額をしっかりと把握し、計画的に寄付を行うことが大切です。

手続きの手間

ふるさと納税には確定申告が必要な場合があり、その手続きには手間がかかることがあります。

特に、複数の自治体に寄付を行った場合や、所得税や住民税の控除を受けるためには、正確な書類の作成と提出が必要です。

さらに、ワンストップ特例制度を利用した場合でも、寄付先の自治体ごとに申請書を提出する必要があり、完全に手間が省けるわけではありません。

そのため、手続きに時間と労力を要することがデメリットといえるでしょう。

寄付金の先払いが必要

寄付を行った年に先にお金を支払う必要があり、実際に税金控除が適用されるのは翌年である点が挙げられます。

つまり、寄付金を支払った時点では一時的に出費が発生し、翌年の税金控除が適用されるまで待つ必要があります。

このため、資金繰りに余裕がない場合には、一時的な負担を感じることがあり、計画的な資金管理が求められるでしょう。

他の控除制度との兼ね合い

iDeCoや医療費控除など、他の控除制度を利用している場合、ふるさと納税の控除上限額が下がる可能性があります。

これは、複数の控除制度を併用することで、各制度の控除額が相互に影響し合い、全体の控除可能額が制限されるためです。

例えば、iDeCoの掛金控除や医療費控除を最大限に利用していると、ふるさと納税で期待していた控除額が減少する可能性があります。

居住自治体からは返礼品なし

自分が住んでいる自治体に対して寄付を行っても、返礼品を受け取ることができません。

これは、制度が『ふるさと』つまり他の地域を応援するという趣旨に基づいているためです。

そのため、住民自身が恩恵を受けることを目的とした場合には、少々不便に感じるかもしれません。

ふるさと納税の控除上限額について

年収に応じた控除上限額の目安は以下の通りです。

 

独身

又は

共働き

夫婦

共働き+子1人

(高校生)

共働き+子1人

(大学生)

夫婦+子1人

(高校生)

共働き+子2人

(大学生と高校生)

夫婦+子2人

(大学生と高校生)

300万円

28,000

19,000

19,000

15,000

11,000

7,000

-

325万円

31,000

23,000

23,000

18,000

14,000

10,000

3,000

350万円

34,000

26,000

26,000

22,000

18,000

13,000

5,000

375万円

38,000

29,000

29,000

25,000

21,000

17,000

8,000

400万円

42,000

33,000

33,000

29,000

25,000

21,000

12,000

425万円

45,000

37,000

37,000

33,000

29,000

24,000

16,000

450万円

52,000

41,000

41,000

37,000

33,000

28,000

20,000

475万円

56,000

45,000

45,000

40,000

36,000

32,000

24,000

500万円

61,000

49,000

49,000

44,000

40,000

36,000

28,000

525万円

65,000

56,000

56,000

49,000

44,000

40,000

31,000

550万円

69,000

60,000

60,000

57,000

48,000

44,000

35,000

575万円

73,000

64,000

64,000

61,000

56,000

48,000

39,000

600万円

77,000

69,000

69,000

66,000

60,000

57,000

43,000

625万円

81,000

73,000

73,000

70,000

64,000

61,000

48,000

650万円

97,000

77,000

77,000

74,000

68,000

65,000

53,000

675万円

102,000

81,000

81,000

78,000

73,000

70,000

62,000

700万円

108,000

86,000

86,000

83,000

78,000

75,000

66,000

725万円

113,000

104,000

104,000

88,000

82,000

79,000

71,000

750万円

118,000

109,000

109,000

106,000

87,000

84,000

76,000

775万円

124,000

114,000

114,000

111,000

105,000

89,000

80,000

800万円

129,000

120,000

120,000

116,000

110,000

107,000

85,000

825万円

135,000

125,000

125,000

122,000

116,000

112,000

90,000

850万円

140,000

131,000

131,000

127,000

121,000

118,000

108,000

875万円

146,000

137,000

136,000

132,000

126,000

123,000

114,000

900万円

152,000

143,000

141,000

138,000

132,000

128,000

119,000

925万円

159,000

150,000

148,000

144,000

138,000

135,000

125,000

950万円

166,000

157,000

154,000

150,000

144,000

141,000

131,000

975万円

173,000

164,000

160,000

157,000

151,000

147,000

138,000

1,000万円

180,000

171,000

166,000

163,000

157,000

153,000

144,000

1,100万円

218,000

202,000

194,000

191,000

185,000

181,000

172,000

1,200万円

247,000

247,000

232,000

229,000

229,000

219,000

206,000

1,300万円

326,000

326,000

261,000

258,000

261,000

248,000

248,000

1,400万円

360,000

360,000

343,000

339,000

343,000

277,000

277,000

1,500万円

395,000

395,000

377,000

373,000

377,000

361,000

361,000

1,600万円

429,000

429,000

412,000

408,000

412,000

396,000

396,000

1,700万円

463,000

463,000

446,000

442,000

446,000

430,000

430,000

1,800万円

498,000

498,000

481,000

477,000

481,000

465,000

465,000

1,900万円

533,000

533,000

516,000

512,000

516,000

500,000

500,000

2,000万円

569,000

569,000

552,000

548,000

552,000

536,000

536,000

2,100万円

604,000

604,000

587,000

583,000

587,000

571,000

571,000

2,200万円

640,000

640,000

623,000

619,000

623,000

607,000

607,000

2,300万円

773,000

773,000

754,000

749,000

754,000

642,000

642,000

2,400万円

814,000

814,000

795,000

790,000

795,000

776,000

776,000

2,500万円

855,000

855,000

835,000

830,000

835,000

817,000

817,000

あくまで目安であり、ふるさと納税の控除上限額は、個人のさまざまな要因によって変動します。主な要因を以下にまとめました。

  • 年収
  • 家族構成
  • 所得税率
  • 住民税所得割額
  • 他の控除制度の利用状況(iDeCoや医療費控除、住宅ローン控除など)

より正確な計算は、ふるさと納税のシミュレーションツールや専門家のアドバイスを利用すると良いでしょう。

まとめ

ふるさと納税は、厳密には『節税』ではありませんが、返礼品という形で実質的な経済的メリットがあります。

自治体への寄付を通じて税金の使い道を選択できる仕組みで、寄付額から2,000円を引いた額が税金から控除が可能です。

ただし、控除には上限額があることや手続きの手間などのデメリットもあります。

効果的に活用するには、自身の年収や家族構成に基づいた控除上限額を把握し、計画的に利用することが重要です。