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不動産投資でリフォームローンを活用すると、手元資金が少なくても物件の修繕が可能です。
ただし、商品選択は慎重に選ばねばなりません。金利タイプ、借入可能額、返済期間、担保の有無など、さまざまな視点から検討し、総合的に判断する必要があります。
この記事では、不動産投資で利用できるリフォームローンの種類やメリット・デメリット、選び方のポイントを詳しく解説します。
不動産投資で使えるリフォームローンとは?
不動産投資で使えるリフォームローンとは、投資物件の修繕やリノベーションに特化した融資制度です。住宅金融支援機構や日本政策金融公庫、民間金融機関が提供するローン商品があります。
審査対象は物件の収益性になるため、収支計画の提出が必要です。
種類は無担保型と有担保型があり、借入額や返済期間に応じて選択します。金利タイプは変動金利型、全期間固定金利型、固定金利期間選択型から選べます。
また、投資物件の購入時には、不動産投資ローンにリフォーム資金を組み込むことも可能です。一体型にすれば、長期の低金利融資を受けられます。
不動産投資において修繕費が不可欠になる理由は、以下の記事をご覧ください。
→不動産投資には修繕費が不可欠?必要な理由や費用目安、注意点を紹介
リフォームローンの種類
ここでは、リフォームローンの種類について解説します。
住宅金融支援機構(住宅セーフティネット)
住宅金融支援機構の賃貸住宅リフォーム融資は、国が運営する住宅セーフティネット制度への加入を前提としたローン商品です。
全期間固定金利型を採用し、2024年11月時点では返済期間10年以下で年1.35%、11年以上で年1.41%の金利が適用されます。
借入限度額は工事費の80%までに設定され、返済期間は最長20年です。融資額が300万円を超える場合は担保が必要になります。
対象は低所得者、高齢者、外国籍、子育て世帯などの住宅確保要配慮者の受け入れ先となる住宅です。保証人は不要で、安定した条件での借り入れができます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫のリフォームローンは、政府が全株式を保有する政府系金融機関による融資制度です。個人事業主や中小企業の支援を目的とし、低金利での借り入れができます。
借入限度額は運転資金と設備資金がそれぞれ4,800万円、特定設備資金は7,200万円まで利用可能です。返済期間は運転資金が5年以内、設備資金が10年以内、特定設備資金が20年以内になります。
金利は変動金利型で、平均して1〜3%程度の水準です。
担保や保証人の要否は応相談となりますが、申し込みから融資実行まで1ヶ月前後の時間を要します。
民間の金融機関
民間金融機関のリフォームローンは、借入条件や金利が金融機関によってさまざまです。住宅金融支援機構や日本政策金融公庫と比べて金利は高めですが、担保の有無やリフォーム範囲などの条件は比較的緩やかといえます。
例えば、ジャックス投資用マンションローンでは、購入価格の105%まで借り入れが可能で、返済期間は最長35年です。セゾンリフォームローンは最大1億円まで借り入れでき、銀行融資が難しい場合でも融資実績があります。
リフォームローンのメリット
ここでは、リフォームローンのメリットについて解説します。
不動産投資ローンと比べて審査基準が低い
リフォームローンは、不動産投資ローンと比較すると審査に通りやすいのが特徴です。
一般的な住宅ローンやアパートローンと比べて、借入可能額が低めに設定されています。そのため、金融機関のリスク許容度が高まります。
審査では借入時の年齢や年収、他社からの借入状況が考慮されます。物件の収益性も判断材料になりますが、新規購入時の投資用ローンほど厳格ではありません。
リフォームローンは既存の投資用物件を所有していると、審査でプラス材料になりやすいです。
手持ちの資金がなくてもリフォームができる
リフォームローンを活用すれば、まとまった資金がなくても必要な修繕や設備更新を実施できます。老朽化した物件の価値低下を防ぎ、入居率の維持向上にも貢献できるでしょう。
また、一度に複数の工事を実施できれば、工期の短縮や費用の効率化を図れるため、空室期間も最小限に抑えられます。さらに修繕費用の支払いを分割できるため、資金繰りの負担も軽減されるのがメリットです。
使用目的が明確なため金利が安い
リフォームローンは使途が限定されているため、フリーローンと比較して金利が低めに設定されています。金融機関からすると資金使途が明確なため、リスク評価がしやすい点がメリットです。
投資物件の価値向上を目的とした融資は、金融機関側も前向きに検討します。また、リフォーム後の物件価値上昇や収益性改善が見込めるため、融資条件も有利になりやすいです。
金利タイプは変動金利型や固定金利型など、長期的な資金計画に基づいて、最適なものを選べます。投資利回りの維持向上に大きく貢献してくれるでしょう。
リフォームローンのデメリット
ここでは、リフォームローンのデメリットについて解説します。
借入限度額が低い
リフォームローンは住宅ローンと比較すると、借入限度額が低めに設定されています。無担保型の場合は特に限度額が低く、大規模なリフォームには不向きです。
一方で有担保型は高額な借入が可能ですが、担保設定費用が別途必要になる場合があります。
そのため、工事規模や必要資金に応じて、複数のローンを組み合わせる場合も検討が必要です。事前に具体的な見積もりを取り、必要な借入額を把握しておくと、計画的な資金調達を実現できます。
返済期間が短い
不動産投資用のリフォームローンは、住宅用リフォームローンと比べて返済期間が短く設定されています。投資用物件は必需品ではないため、長期の返済期間は認められにくいのが現状です。
また、返済期間が短いため、月々の返済負担は大きくなります。
例えば、住宅金融支援機構の賃貸住宅リフォーム融資は最長20年、日本政策金融公庫の特定設備資金は最長20年が上限です。民間金融機関では、通常5〜15年程度の返済期間になります。
返済期間を短く設定すると金利負担は軽減できますが、その分月々の返済額は増加します。
リフォームローン選ぶ際に確認しておきたいポイント
ここでは、リフォームローンを選ぶ際に確認しておきたいポイントについて解説します。
金利
金利タイプの選択は、長期的な返済計画に大きく影響します。
変動金利型は市場金利に連動して上下するため、金利低下時は返済額が減少するメリットがあります。一方で、金利上昇時は返済額が増加する可能性が高いです。
全期間固定金利型は借入時の金利が返済期間中継続するため、安定した返済計画が立てられます。ただし、市場金利が低下しても恩恵を受けられません。
固定金利期間選択型は一定期間の金利が固定され、期間終了後に金利タイプを選択できます。
借入可能額
借入可能額は、金融機関によって基準が異なります。事前にリフォーム費用の見積もりを取得し、必要資金を把握しておきましょう。
例えば、住宅金融支援機構の賃貸住宅リフォーム融資は、工事費の80%が上限です。日本政策金融公庫は運転資金と設備資金で4,800万円、特定設備資金で7,200万円まで借り入れできます。
民間金融機関では、最大1億円まで融資可能な商品もありますが、通常は数千万円程度が上限です。
借入期間
借入期間は、金利負担と月々の返済額に直結します。
返済期間が短いほど支払う利息が減るため、総支払額は減少します。一方で借入期間が長いほど月々の返済額は減少しますが、総支払額は増加します。
物件の収益性や経営計画を踏まえ、無理のない返済期間を選択しましょう。
担保の有無
担保の有無は借入条件に大きく影響します。
無担保型は担保設定が不要で、手続きが簡単です。審査も比較的スピーディに進みますが、借入限度額は低めに設定されます。
また、有担保型は物件を担保とするため、高額な借り入れが可能です。金利は低めで返済期間も長く設定できますが、融資実行までに時間がかかります。
リフォームローンの使用で失敗しないためのコツ
ここでは、リフォームローンの使用で失敗しないためのコツについて解説します。
リフォーム後の利回りをシミュレーションしておく
リフォームを実施する際は事前に収支計画を立て、投資利回りへの影響をシミュレーションしましょう。
工事費用とローン返済額、予想される家賃収入の増加分を考慮に入れ、月々の返済額は確実に捻出できる水準に設定します。空室リスクも想定しつつ、余裕のある計画を立ててください。
一括見積もりサイトを利用して修繕費の安い業者に依頼する
工事費用を抑えるには、一括見積もりサイトの活用が最適です。複数の業者から見積もりを取得し、価格と施工品質を比較します。
不動産業者からの紹介も活用できますが、安さを追求するなら相見積もりで競争させるべきです。また、リフォーム業者の繁忙期を避ければ、費用を抑えられる可能性もあります。
1月から3月は特に混雑するため、急を要しない工事なら避けましょう。
無理に修繕しないで売却を検討するのもひとつの手段
物件の状態や立地によっては、リフォームよりも売却が最適なケースもあります。築年数が古く大規模修繕が必要な物件や、エリアの将来性に不安がある物件は慎重に判断すべきでしょう。
リフォーム費用と売却価格を比較し、投資回収が見込めるかを検討してみてください。不動産価格が上昇基調にある地域では、現状のまま売却して利益確定するのも有効です。
不動産投資で売却益を得る最適なタイミングについては、以下の記事をご覧ください。
→不動産投資で売却益を得る最適なタイミングは?高く売却するポイントも解説!
まとめ
不動産投資用のリフォームローンは、物件価値の維持向上におすすめできる資金調達の手段です。金利が低めで審査が通りやすいメリットがあります。
ただし、商品を選択する際は検討を慎重に行わなければなりません。失敗を防ぐためにも、収支シミュレーションの実施や工事業者の選定にこだわりましょう。
また、リフォーム完了後は引き続き適切な管理業務を行わなければ入居率は上がりません。
アセットテクノロジーでは、適切な管理業務によって入居者様の満足度向上とともに入居率アップを実現します。こまめな募集状況や市場等の報告を行い、最適な条件変更のアドバイスも行います。
不動産管理会社のコストカットと合わせて入居率アップを実現したい方は、お気軽にご相談ください。