収益物件の査定額を決める3つの評価方法とは?査定額を左右するポイントや高く売却するコツを解説

目次1 収益物件の査定額を決める3つの評価方法1.1 収益還元法とは1.1.1 計算方法1.2 直接還元法とは1.2.1 … 続きを読む 収益物件の査定額を決める3つの評価方法とは?査定額を左右するポイントや高く売却するコツを解説

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収益物件の査定額は、収益還元法・直接還元法・DCF法などの評価方法を用いて決まります。評価方法ごとに計算方法も異なり、査定額も異なります。

もし収益物件の売却を検討中の方は、少しでも高く売るためにも物件の評価方法の理解が必要です。

この記事では、収益物件の査定額を決める3つの評価方法、査定額を左右するポイントや高くするコツについて詳しく解説します。

収益物件の査定額を決める3つの評価方法

収益物件の査定額を決める評価方法には、収益還元法、直接還元法、DCF法の3つがあります。

それぞれ評価方法が異なりますが、収益物件には、将来の収益性に着目する収益還元法が最適です。アパートやマンションなど収益物件の査定では定番の方法となっています。

ここでは、収益物件の査定額を決める3つの評価方法について解説します。

収益還元法とは

収益還元法は、不動産が将来生み出す収益から現在の価値を算出する評価方法です。賃料収入から経費を差し引いた純収益をもとに物件価格を計算します。

アパートや賃貸マンションなど投資用不動産の評価に広く活用され、物件の収益力を適切に反映した査定が可能です。

積算法で高評価な場合でも、収益還元法では価格が低くなるケースの見極めに役立ちます。

計算方法

収益還元法の計算式は以下の通りです。

年間賃料収入÷還元利回=評価額

例えば、年間家賃収入が200万円で利回りが5%だった場合は4,000万円が評価額となります。

直接還元法とは

直接還元法は、収益物件の評価でもっとも定番の方法です。1年間の純収益を還元利回りで割ることで物件価格を算出します。

純収益は年間家賃収入から経費を差し引いた金額で、経費は家賃収入の20〜30%が目安です。

還元利回りは周辺の取引事例や、売り出し中の類似物件を参考に設定します。国土交通省の土地総合情報システムや、不動産ポータルサイトの情報も活用するとよいでしょう。

計算方法

直接還元法の計算式は以下の通りです。

1年間の純収益÷還元利回り=物件価格

例えば、年間家賃収入が1,000万円、経費率20%の物件で還元利回りが10%とすると(1,000万円−200万円)÷10%=8,000万円になります。

還元利回りの設定は評価額に大きく影響するため、周辺の相場を慎重に見極めなければなりません。表面利回りから2割程度割り引いた利回りを目安にすると、実態に近い評価が得られます。

DCF法とは

DCF法は、将来の収支予測に基づいて不動産価格を算出する方法です。賃料下落や空室率の変動など、収益に影響を与える要因を細かく分析し、精度の高い評価を実現します。

10年程度の保有期間を想定し、各年の純収益と売却価格を現在価値に換算して合算します。

DCF法は長期保有物件や改修が必要な物件の評価に最適です。

計算方法

DCF法では、将来獲得できる純収益と売却価格を現在価値に割り引いて合算します。現在の100万円は1年後の105万円に相当するといった考え方で、時間価値とリスクを加味して評価額を算出するのが一般的です。

価格変動や費用増加などの不確実性も考慮するため、現実的な評価ができます。

ただし、専門的な計算になるため、評価ソフトウェアの活用や専門家への相談が必要です。

収益物件の査定額を左右するポイント

収益物件の査定額は、建物の築年数や現状の入居率、設備の充実度、周辺環境など、さまざまな要素によって評価されます。

査定額を最大化するには、それぞれの要素を十分に理解し、管理や改善を適切に行わなければなりません。特に、入居率と利回りは重要な判断材料です。

ここでは、収益物件の査定額を左右する6つのポイントを解説します。

築年数

築年数は査定額を大きく左右するポイントのひとつです。

特に高い査定額を期待できるのは築浅物件です。設備が新しく入居者ニーズに合致しやすいため、高値での売却を期待できるでしょう。

一般的に5年刻みで区切られ、築5年以内か、それを超えるかで評価が変わります。

ただし、築古物件でも適切な修繕や管理があれば、高評価を得られます。定期的な修繕と設備更新で、建物の価値を維持しましょう。

物件の状態

物件のメンテナンス状態は、査定額に大きな影響を与えます。

雨漏りや白アリ被害などの重大な不具合は、マイナス評価につながるため注意が必要です。水回りの清潔さや建具の動作、外壁の状態などもチェックしておきましょう。

過去の修繕履歴や工事記録を残しておくと、適切な管理状態をアピールできます。定期的な点検と補修を行い、物件価値を保ちましょう。

設備

設備の充実度は入居者の生活品質に直結するほか、査定額に反映されます。特に、高速インターネットや浴室暖房乾燥機、オートロックなど、人気設備の有無は評価を左右するポイントです。

また、評価に大きく影響するのは水回り設備です。キッチンや浴室、トイレの設備が古いと、大幅な減額要因になります。

入居者ニーズを把握し、費用対効果の高い設備投資を行いましょう。

入居率

入居率は収益物件の稼働力を示す重要な指標です。高い入居率は安定した収益力の証明となり、査定額の上昇につながります。

逆に空室が多い物件は収益性に不安があると判断され、マイナス評価になりやすいです。

入居率を向上させるには、適切な家賃設定と効果的な募集活動が欠かせません。管理会社の変更や募集条件の見直しを行い、入居率を改善しましょう。

周辺環境の治安や利便性、将来性

周辺環境は、物件の魅力度を決定するうえで欠かせないポイントです。駅や商業施設までの距離、学校や病院の有無など、生活利便性が査定額に反映されます。

また、治安の良さや街並みの美しさも評価対象です。特に注目すべきは地域の将来性で、再開発計画や新駅開業などの好材料があれば高評価につながります。

地域特性を理解し、アピールポイントを明確にしましょう。

修繕積立金

修繕積立金の状況は、区分マンションの査定で重視されやすいです。積立金が不足すると将来の大規模修繕に支障をきたす懸念から、査定額が低下します。

適切な積立金の確保は、建物の維持管理体制の健全性を示す指標です。修繕計画と連動した積立金の設定で、長期的な資産価値の維持を目指しましょう。

収益物件の査定額を高くするコツ

収益物件の査定額を高めるには、入念な対策が必要です。入居率の向上や建物管理の徹底、適切な売却タイミングの選択など、複数の施策を組み合わせる必要があります。

特に、収益力の強化は重要で、安定した賃料収入の確保が高評価につながります。

ここでは、収益物件の査定額を高くする4つのコツを解説します。

売却タイミングを見極める

収益物件の売却タイミングは、査定額を大きく左右する要素です。入居率がもっとも高い時期や、大規模修繕の直前など、物件の価値が最大限に評価される時期を狙いましょう。

築年数が区切りの良い時期、例えば築5年以内や10年以内といった節目での売却も有利に働きます。

また、修繕費用が売却代金を大きく上回る見込みの場合は、修繕前での売却を検討すべきです。市場動向や競合物件の状況も考慮し、需要が高まる時期を見極めてください。

収益物件の査定額を高くするには、物件の状態や収益性、市場環境を総合的に分析し、最適な売却タイミングを計画的に設定しなければなりません。高値売却の機会を逃さないよう注意しましょう。

不動産投資で売却益を得る最適なタイミングについては、以下の記事をご覧ください。

不動産投資で売却益を得る最適なタイミングは?高く売却するポイントも解説!

入居率を高めて利回りを上げる

収益物件の査定額を上げるには、入居率を向上させて利回りを高める必要があります。入居率の改善には、管理会社の変更や募集条件の見直しなど、積極的な空室対策が有効です。

また、家賃も適切に設定しなければなりません。月額5,000円の家賃アップでも、還元利回りが10%なら、物件価格は60万円上昇します。

周辺相場を分析し、適切な家賃水準を設定しながら、インターネット無料や独立洗面台など、人気設備の導入も検討しましょう。

入居者募集では競合物件との差別化を図り、高額での入居付けを目指してください。長期的な視点で収益性を高めれば、物件価値の最大化が可能です。

入居率を高める方法については、以下の記事をご覧ください。

不動産投資用物件の入居率を上げる11の方法を詳しく解説!

物件の外観をきれいにする

外観の美観維持は、物件価値を高めるうえで欠かせない要素です。建物の表面を塗装すれば、見栄えが大きく改善され、入居者募集と査定額の向上につながります。

特に、売却前の外壁工事は効果的です。工事費用は売却時の価格上昇で回収できる可能性が高くなります。

外壁の汚れや劣化は物件の第一印象を大きく損ねるため、入居率に悪影響を与えやすいです。逆に、清潔で美しい外観は入居希望者の関心を引きます。

空室対策を考えるなら、建物の外観をきれいに保ちましょう。家賃の維持や増額も容易になり、結果として物件の資産価値を高められます。

複数の不動産会社に査定を依頼する

査定額は、不動産会社によって最大で10%以上の差が生じるケースがあります。したがって、複数社への依頼は欠かせません。

収益物件の取扱実績が豊富な会社を選び、根拠のある査定評価を求めましょう。

ただし、査定額の高低だけを見るのではなく、評価の根拠や販売力、営業体制なども慎重に選定すべきです。

高額な査定を提示する会社には、特に注意が必要です。根拠を詳しく確認するほか、取引実績や営業エリア、得意とする物件タイプなども考慮してください。

まとめ

収益物件の査定額は、評価方法の選択と物件状態の管理が大きく影響します。収益還元法による適切な評価に加え、入居率の向上や建物管理の徹底で物件価値を高めましょう。

また、売却前の準備と複数社による査定を実施すれば、最適な売却を実現できます。

収益物件の資産価値最大化には、入居者満足度の向上と計画的な維持管理が欠かせません。満室稼働と適切な維持管理で、高値売却を目指してください。

アセットテクノロジーでは、365日24時間入居者様の相談を受け付ける窓口を用意しています。充実したサポート体制によって、入居率増加も実現可能です。

入居率を上げて物件の評価額を高めたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。