将来の資産形成や安定的な収入源を確保したいと考える方にとって、収益物件への投資は魅力的な選択肢の一つです。賃貸経営を通じて毎月の安定収入を得ることができる収益物件は、老後の備えや資産運用の手段として注目されています。しかし、収益物件の購入には様々なメリットがある一方で、リスクやデメリットも存在します。この記事では、収益物件とは何か、その種類や特徴、メリット・デメリット、そして購入する際のポイントについて詳しく解説します。これから不動産投資を始めようと考えている方や、すでに投資を始めている方にとって参考になる情報をお届けします。

収益物件とは何か?基本的な仕組みと特徴

収益物件とは、家賃収入を目的とした不動産のことで、賃貸経営を通じて安定的な収益を得るための投資対象です。具体的には、住宅や店舗、事務所などを他者に貸し出し、毎月の賃料収入を得ることが特徴となります。

収益物件はマイホームとは異なり、自分が住むためではなく、賃貸収入を得ることを主な目的としています。そのため、購入時には住宅ローンではなく、不動産投資ローンを利用することが一般的です。投資目的が明確で長期的な視点での資産形成を考える方に適した投資方法といえるでしょう。

収益物件の価値は、その物件がどれだけの収益を生み出せるかによって決まります。この収益性を表す指標として「利回り」が重要視されており、物件選びの際の重要な判断基準となります。

収益物件とマイホームの違い

収益物件とマイホームは、どちらも不動産ではありますが、その目的や性質には大きな違いがあります。マイホームは自分や家族が住むための「消費財」としての側面が強いのに対し、収益物件は家賃収入を得るための「投資財」です。

マイホームの場合、購入後も固定資産税や修繕費などの費用が発生し、直接的な収入は得られません。一方、収益物件では家賃収入というキャッシュフローが発生するため、適切に運用すれば費用を上回る収入を得られる可能性があります。

また、融資条件も異なり、マイホームは住宅ローンで低金利・長期間の借入が可能ですが、収益物件は不動産投資ローンとなり、金利が若干高めで融資期間も比較的短いことが一般的です。

収益物件の種類と特徴

収益物件は大きく分けて、住居用物件、事務所用物件、店舗・テナント物件の3種類に分類できます。それぞれの物件タイプによって特徴や期待できる利回りが異なります。投資目的や予算に合わせて適切な物件タイプを選択することが重要です。

住居用物件の特徴と利回り

住居用物件には、アパート、マンション、一戸建て、シェアハウスなどが含まれます。特にワンルームタイプやファミリータイプの賃貸物件は市場に多く出回っており、初心者にも比較的取り組みやすい投資対象です。

住居用物件の特徴は、需要の安定性にあります。人は常に住む場所を必要とするため、景気の変動に比較的影響を受けにくく、安定した入居率を確保しやすいという利点があります。特に都市部の利便性の高いエリアでは、常に一定の需要が見込めます。

住居用物件の期待利回りは、ワンルームタイプで3.9~5.2%、ファミリータイプで4.0~5.5%程度となっています。立地条件や建物の築年数、設備の充実度などによって利回りは変動します。

タイプ 期待利回り 特徴
ワンルーム 3.9~5.2% 単身者向け、比較的低価格で始められる
ファミリータイプ 4.0~5.5% 長期入居が期待できる、安定性が高い

事務所用物件の特徴と利回り

事務所用物件には、法人が入居するオフィスビルや区分されたフロアの事務所が含まれます。オフィスビルは大規模な物件も多く、比較的高額な取得費用がかかることが特徴です。

事務所物件の利点は、法人契約が主となるため、個人向け住居と比較して賃料の滞納リスクが少ない点や、長期契約が多い点が挙げられます。また、住居用物件よりも賃料単価が高いケースが多いため、効率的な収益獲得が可能な場合もあります。

事務所用物件の期待利回りは、3.2~5.4%程度となっています。立地条件や建物のグレード、設備の充実度によって大きく変動します。特にビジネス街や交通の便が良い場所にある事務所物件は高い需要が見込めます。

ただし、事務所物件は景気の影響を受けやすく、不況時には空室リスクが高まる傾向があります。また、テナントの退去時には原状回復工事も大掛かりになることがあり、その分のコスト増加も考慮する必要があります。

店舗・テナント物件の特徴と利回り

店舗・テナント物件は、商業施設に貸し出す物件で、コンビニエンスストアや飲食店、小売店などが代表的です。安定した長期契約が見込める一方で、テナントの経営状態が悪化した場合は早期に契約が終了するリスクも抱えています。

店舗物件の特徴は、住居や事務所と比較して賃料が高く設定できる点です。特に繁華街や駅前などの好立地であれば、高い収益性を期待できることがあります。

店舗・テナント物件の期待利回りは、4.0~4.6%程度となっています。ただし、立地条件によって収益性は大きく左右されるため、投資判断の際は周辺の集客力の分析や人口動態、競合店舗の状況などを詳細に調査することが重要です。

店舗物件投資のリスクとしては、景気変動の影響を強く受けること、テナントの業種によっては設備投資が必要になる場合があること、そして退去時の次のテナント誘致に時間がかかる可能性があることなどが挙げられます。

収益物件購入のメリット

収益物件を購入することには、安定的な収入が得られるほか、いくつかの魅力的なメリットがあります。投資判断をする際は、これらのメリットを理解した上で、自分の投資目的や経済状況に合っているかを検討することが大切です。

安定的な収入が得られる

収益物件の最大のメリットは、賃貸需要が高いエリアでは、長期的に安定した収入を得ることができる点です。株式投資や他の金融商品と比較して、不動産賃貸収入は比較的安定しており、月々のキャッシュフローが予測しやすいという特徴があります。

特に都市部の利便性の高いエリアでは、住居需要が継続的に存在するため、空室リスクを最小限に抑えながら安定した家賃収入を確保できる可能性が高くなります。

家賃収入は、労働収入と異なり、働かなくても得られる「不労所得」として、経済的な安定や自由度を高めることができます。複数の収益物件を所有することで、収入源の分散も図れます。

レバレッジ効果を活用できる

不動産投資の大きな特徴は、レバレッジ効果(てこの原理)を活用できる点です。少ない自己資金で高額な物件を購入できるため、投資効率を高めることが可能です。

例えば、2,000万円の自己資金で1億円の物件を購入した場合、8,000万円をローンで調達することになります。この物件の価値が1.2億円に上昇すれば、物件価値の上昇分2,000万円は全て投資家の利益となり、自己資金に対して100%のリターンとなります。

適切なローンを活用することで、自己資金以上の金額を動かし、大きな収益を得る可能性があります。ただし、レバレッジ効果は物件価値が下落した場合にも同様に働くため、リスク管理が重要です。

年金や生命保険の代わりになる

収益物件は、将来の経済的安定を確保するための有効な手段です。ローンが完済すれば自分の所有物となり、継続的な家賃収入が得られるため、老後の生活資金としても活用できます。

特に公的年金制度への不安が高まる中、自分で確保する「私的年金」の役割を果たすことができます。収益物件を複数所有することで、老後の収入基盤を強化することも可能です。

不動産は物価上昇に合わせて賃料を調整できるため、インフレに強い資産としても評価されています。長期的な資産形成と老後の安定した収入源を確保するための選択肢となります。

税金対策になる

収益物件の所有は、税金対策としても有効です。不動産所得に関連する経費は幅広く認められており、収益物件にかかる管理費や修繕費、ローン金利、減価償却費などは経費として計上できます。

特に注目すべきは、不動産所得で生じた赤字を給与所得から差し引ける「損益通算」の仕組みです。これにより、所得税や住民税の負担を軽減することが可能となります。

税理士など専門家のアドバイスを受けながら適切な節税対策を行うことで、投資効率をさらに高めることができます。ただし、節税だけを目的とした投資は避け、収益性やキャッシュフローを重視した判断が基本となります。

収益物件購入のデメリット

収益物件への投資には様々なメリットがある一方で、いくつかのデメリットやリスクも存在します。投資判断を行う際には、これらのデメリットも十分に理解し、リスク管理の方法を考えておくことが重要です。

流動性が低い

不動産投資の大きなデメリットの一つは、流動性の低さです。株式や投資信託などの金融商品は、市場が開いていれば比較的短時間で売却が可能ですが、不動産は売却に時間がかかることが一般的です。

特に不動産市場が低迷している時期や、立地条件が悪い物件、建物の状態が良くない物件などは、売却までに数ヶ月から1年以上かかるケースもあります。急な資金需要に対応できない可能性を考慮しておく必要があります。

不動産は「換金性が低い資産」であるため、投資の際には余裕資金で行うことや、流動性の高い資産とのバランスを考慮した資産構成にすることが重要です。

運用にコストがかかる

収益物件の運用には、様々なコストが継続的に発生します。固定資産税や都市計画税などの税金、管理費や修繕費、保険料、また管理会社に委託する場合は管理手数料なども必要となります。

さらに、ローンを利用している場合は毎月の返済額も大きな支出となります。特に物件の築年数が経過するにつれて修繕費は増加する傾向があり、予想以上のコストがかかる可能性も考慮しておくべきです。

家賃収入だけでこれらのコストをカバーできない場合、手持ち資金から補填する必要が生じるため、資金計画には余裕を持たせることが重要です。

また、空室が続くと収入が減少する一方で、固定費は継続して発生するため、キャッシュフローが悪化するリスクもあります。投資前の収支シミュレーションでは、これらのコストを正確に見積もり、最悪のケースも想定しておくことが必要です。

収益物件のリスクと対策

収益物件への投資には、様々なリスクが伴います。これらのリスクを事前に理解し、適切な対策を講じることで、安定した不動産経営を実現することができます。ここでは主なリスクとその対策について解説します。

経済的リスクへの対策

収益物件投資における経済的リスクとして、金利上昇リスクと増税リスクが挙げられます。変動金利でローンを組んでいる場合、金利上昇により返済額が増加し、キャッシュフローが悪化する可能性があります。

金利上昇リスクに備えるためには、固定金利を選択することが有効な対策です。変動金利と固定金利のメリット・デメリットを比較し、自分の資金計画に合った選択をしましょう。

また、増税リスクに対しては、余裕を持った資金計画を立てておくことが重要です。固定資産税や都市計画税の増税、消費税率の引き上げなどが発生した場合でも対応できるよう、収支計画には余裕を持たせましょう。

経済環境の変化に対応するためには、常に最新の情報を収集し、専門家のアドバイスを受けながら柔軟に対応することが大切です。また、複数の物件に分散投資することで、リスクを分散させる方法も効果的です。

運用リスクへの対策

収益物件運用における最大のリスクは、空室リスクと賃料下落リスクです。入居者がいない期間が長くなると、収入が減少する一方で固定費は継続して発生するため、経営が圧迫されます。

空室リスクを軽減するためには、立地条件の良い物件を選ぶことが基本です。駅から近い、生活利便施設が充実している、教育機関へのアクセスが良いなど、入居者にとって魅力的な条件を備えた物件を選定することが重要です。

また、適切な賃料設定や定期的なリノベーション、入居者のニーズに合わせた設備の更新なども空室対策として効果的です。さらに、信頼できる管理会社を選定し、効果的な入居者募集や丁寧な入居者対応を行うことも大切です。

賃料下落リスクに対しては、物件の価値を維持・向上させるための定期的なメンテナンスやリノベーションが有効です。周辺相場を常に把握し、必要に応じて賃料の見直しを行うことも重要な対策となります。

建物リスクへの対策

建物に関するリスクとしては、災害リスクと修繕リスクが挙げられます。火災や地震などの災害により建物が損壊すると、修繕費用の負担だけでなく、一時的に家賃収入が得られなくなる可能性もあります。

災害リスクに備えるためには、適切な保険への加入が不可欠です。火災保険はもちろん、地震保険や家賃補償特約なども検討し、万が一の場合にも経済的なダメージを最小限に抑えられるようにしましょう。

また、修繕リスクに対しては、計画的な修繕積立金の確保が重要です。建物は経年劣化により様々な箇所の修繕が必要となります。屋根、外壁、給排水設備、電気設備など、定期的な点検と適切なタイミングでの修繕を行うことで、大規模な修繕費用の発生を防ぐことができます。

建物の築年数や構造によって必要となる修繕の内容や頻度は異なりますが、建物のライフサイクルを考慮した長期的な修繕計画を立て、それに基づいた資金計画を策定しておくことが重要です。

収益物件を選ぶ際のポイント

収益物件への投資成功の鍵は、適切な物件選びにあります。長期的に安定した収益を得るためには、いくつかの重要なポイントを押さえて物件を選定することが必要です。ここでは、収益物件を選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。

外的環境の確認方法

物件の外的環境は、入居者の生活や事業に直接影響するため、収益性を左右する重要な要素です。外的環境を確認する際には、必ず実際に現地を訪れ、周辺環境を自分の目で確かめることが大切です。

周辺の騒音レベルや交通量、日当たりの良さなどは現地でしか分からない重要な情報です。物件の近くに工場や線路がある場合は、騒音が入居者にとって問題にならないか確認しましょう。

また、交通アクセスは入居者にとって非常に重要な条件となります。最寄り駅からの距離や、バス停の有無、主要道路へのアクセスなどをチェックしましょう。住居用物件であれば、スーパーやコンビニ、医療機関、公園などの生活利便施設が近くにあるかも重要なポイントです。

さらに、周辺の開発計画や将来的な環境変化についても調査することをおすすめします。新たな商業施設や交通インフラの整備計画がある場合は、将来的な物件価値の上昇につながる可能性があります。

物件の広さと間取りの確認

物件の広さや間取りは、入居者の使い勝手に直結する要素であり、需要と賃料に大きな影響を与えます。物件を選ぶ際には、実際の広さと図面の広さが一致しているかを確認するとともに、ターゲットとなる入居者のニーズに合った間取りであるかを検討することが重要です。

例えば、単身者向けの物件であれば、コンパクトでも使い勝手の良い間取りが求められます。ファミリー向けであれば、収納スペースの十分さや各部屋の配置、キッチンの使いやすさなどが重要なポイントとなります。

物件の広さや間取りが市場のニーズに合っているかどうかを見極めることが、長期的な収益性を確保するためには欠かせません。周辺エリアの人口動態や世帯構成なども参考にしながら、需要が見込める物件タイプを選びましょう。

また、リノベーションの可能性も考慮することが重要です。現状の間取りや設備が古くても、リノベーションによって価値を高められる物件であれば、将来的な収益性の向上が期待できます。

物件の状態と設備の確認

物件の状態や設備の充実度は、入居者の満足度や入居率に直接影響する重要な要素です。特に築年数が経過した物件の場合、建物の劣化状況や設備の老朽化を詳細にチェックすることが必要です。

外壁や屋根の状態、給排水管や電気設備の状況、エレベーターなどの共用設備の状態など、様々な箇所をチェックしましょう。こうした確認は素人では判断が難しい場合もあるため、必要に応じて建築士や不動産の専門家に同行してもらうことも検討すべきです。

物件の状態が悪い場合、購入後に予想外の修繕費用がかかるリスクがあります。修繕履歴や管理状況についても確認し、管理が行き届いている物件を選ぶことが長期的なコスト管理の面でも重要です。

また、近年では入居者のニーズも多様化しており、インターネット環境や防犯設備、省エネ設備などが充実しているかどうかも重要な選定ポイントとなります。ターゲットとなる入居者層が求める設備や機能を把握し、それに合った物件を選ぶことが、空室リスクを減らし収益性を高める鍵となります。

収益が上がりやすい物件の特徴

収益物件投資で安定した収益を上げるためには、収益性の高い物件を見極める目を持つことが重要です。ここでは、収益が上がりやすい物件の特徴について解説します。これらの要素を理解し、物件選びに活かすことで、より効果的な不動産投資が可能になります。

立地の良い物件の見極め方

不動産投資において「立地、立地、立地」と言われるように、立地条件は収益性を大きく左右する最も重要な要素です。立地の良い物件は空室リスクが低く、賃料の下落リスクも小さいため、安定した収益が期待できます。

立地を見極める際の重要なポイントとして、まず交通の利便性が挙げられます。主要駅からの距離や、複数の交通手段が利用できるかなどをチェックしましょう。特に都市部では、駅から徒歩10分以内の物件は需要が高く、安定した入居率を維持しやすい傾向があります。

また、生活利便施設の充実度も重要な判断基準です。スーパーやコンビニ、飲食店、医療機関、公園などが近くにあるか確認しましょう。住居用物件の場合、教育機関へのアクセスの良さも入居者にとって重要な条件となります。

さらに、治安の良さや街の雰囲気、周辺環境の清潔さなども、住みやすさや働きやすさに影響する要素です。実際に現地を訪れ、朝夕や休日など異なる時間帯の様子を確認することで、より正確な判断ができます。

将来性がある物件の見分け方

不動産投資は長期的な視点で行うものであるため、将来性のある物件を選ぶことが収益の安定と資産価値の維持・向上につながります。将来性のある物件を見分けるためには、周辺エリアの開発計画や人口動態などの情報収集が重要です。

まず注目すべきは、都市計画や再開発計画の有無です。新たな商業施設や交通インフラの整備、公共施設の建設などが予定されているエリアは、将来的な価値上昇が期待できます。自治体のホームページや都市計画図などで情報を確認しましょう。

また、人口増加や世帯数の増加が見込まれるエリアは、賃貸需要の拡大につながる可能性があります。特に若年層や子育て世代の流入が多いエリアは、住居需要が安定していると言えます。

企業の進出や新たな産業の集積も、将来性を判断する重要な指標です。オフィスや工場の建設計画がある地域では、就業人口の増加に伴い住居需要が高まることが予想されます。

さらに、長期的な視点では、少子高齢化や働き方の変化などの社会的トレンドにも目を向けることが大切です。高齢化が進む地域では高齢者向け住宅の需要が、テレワークの普及に伴い郊外での住居需要が高まるなど、社会変化を先読みした投資判断が求められます。

時代に合わせた需要のある物件

社会環境や生活様式の変化に伴い、不動産に求められる機能やスペックも変化しています。時代のニーズに合った物件を選ぶことで、より高い需要と収益性を確保することができます。

近年では、新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークやリモートワークに適した住環境へのニーズが高まっています。在宅勤務のためのワークスペースが確保できる間取りや、高速インターネット環境が整った物件は、新しい生活様式に対応した需要の高い物件と言えます。

また、環境意識の高まりを背景に、省エネ性能や断熱性能に優れた物件、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備を備えた物件も注目されています。これらの環境配慮型の物件は、将来的な規制強化にも対応しやすく、長期的な資産価値の維持が期待できます。

高齢化社会の進展に伴い、バリアフリー設計や介護対応型の設備を備えた物件も需要が高まっています。また、セキュリティ面では、電子錠やカメラ監視システムなどの防犯設備が充実した物件は、安心・安全への関心が高い入居者から支持されています。

さらに、共用スペースの充実した物件やコミュニティ形成を促進する設計の物件など、住民同士のつながりを重視する傾向も見られます。こうした時代のニーズを捉えた物件は、競合物件との差別化にもつながり、安定した入居率と収益性を実現することができます。

収益物件投資における資金計画の重要性

収益物件投資を成功させるためには、適切な資金計画が不可欠です。物件購入だけでなく、運用期間中の様々な費用や予期せぬ支出にも対応できる資金計画を立てることが、長期的に安定した収益を得るための基盤となります。

初期投資と運用資金の計画

収益物件投資では、物件購入時の初期費用と運用期間中の資金需要を適切に見積もることが重要です。初期費用には、物件価格だけでなく、仲介手数料や登記費用、不動産取得税、リフォーム費用なども含まれます。

物件価格の5~10%程度が諸費用として必要になることを念頭に置き、十分な資金を準備しましょう。特にリフォームやリノベーションを予定している場合は、その費用も含めた総額を考慮することが大切です。

また、運用開始後のキャッシュフローを正確に予測し、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。家賃収入から、ローン返済額、管理費、修繕費、保険料、税金などの経費を差し引いたネットキャッシュフローを算出し、プラスになることを確認しましょう。

さらに、空室期間や急な修繕の発生など、予期せぬ事態に備えるための資金も確保しておくことが必要です。一般的には、最低でも6ヶ月分の経費をカバーできる運転資金を準備しておくことが推奨されています。

ローン選択のポイント

収益物件購入の際には、多くの場合ローンを活用することになりますが、ローン選択は投資の収益性に大きな影響を与えます。適切なローンを選ぶことで、キャッシュフローの最適化と投資効率の向上が可能になります。

まず、金利タイプの選択が重要です。固定金利は返済額が一定であるため計画を立てやすい反面、変動金利と比べて金利が高めに設定されています。変動金利は当初の返済負担が軽い反面、将来的な金利上昇リスクがあります。

投資期間や経済見通し、自身のリスク許容度などを考慮して、最適な金利タイプを選択することが大切です。また、一部固定金利と一部変動金利を組み合わせるミックス型も検討の余地があります。

返済期間の設定も重要なポイントです。返済期間を長くすれば月々の返済額は少なくなりますが、総支払額は増加します。一方、返済期間を短くすれば総支払額は少なくなりますが、月々の返済負担が大きくなります。キャッシュフローと総コストのバランスを考慮し、最適な返済期間を設定しましょう。

また、繰上返済オプションや団体信用生命保険の有無、金利優遇条件なども比較検討すべきポイントです。複数の金融機関から見積もりを取得し、総合的に判断することをおすすめします。

まとめ

収益物件とは、賃貸収入を目的とした不動産投資であり、安定的な収入源として多くの投資家に選ばれています。その種類は住居用物件、事務所用物件、店舗・テナント物件に大別され、それぞれに特徴と期待利回りが異なります。収益物件投資のメリットとしては、安定的な収入の確保、レバレッジ効果の活用、老後資金の確保、税金対策などが挙げられます。

一方で、流動性の低さや運用コストの発生などのデメリットも存在し、経済的リスク、運用リスク、建物リスクなど様々なリスクへの適切な対策が求められます。成功する収益物件投資のためには、立地条件や将来性、時代のニーズに合った物件選びが重要であり、適切な資金計画とローン選択も成功の鍵となります。

これから収益物件投資を検討される方は、自己の資金状況や投資目的を明確にし、専門家のアドバイスも活用しながら慎重に物件選びを行いましょう。また、不動産投資セミナーや書籍などで知識を深め、実際に物件を見学することで実践的な目を養うことも大切です。適切な物件選びと運用戦略によって、長期的に安定した収益を得られる不動産投資を実現してください。

執筆者

エンマネ編集部

エンマネ編集部

将来のためにお金を準備したい方に向けて、資産形成の始め方や選び方、そしてリスクに備える方法などを発信しています。資産形成のコツを知って、大切なお金を上手に活かしましょう。