2025年の北海道基準地価の最新データが公表され、地域ごとに明暗が分かれる結果となりました。札幌市や千歳市などの道央圏では上昇傾向が続く一方、地方都市や町村部では依然として下落基調が見られます。本記事では、用途別・地域別の詳細な基準地価データをもとに、注目すべきエリアの特徴や今後の不動産市場の動向を徹底解説します。不動産の購入・売却・投資を検討している方にとって、タイミングを見極めるための実践的な情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

2025年北海道の基準地価動向

2025年の北海道基準地価は、全体として横ばいとなりましたが、用途別や地域別に見ると多様な動きが見られます。

全体の地価動向と変動率

2025年の北海道全用途(宅地)の平均変動率は0.0%となり、前年の0.4%上昇から横ばいに転じました。住宅地が5年ぶりに下落に転じた一方で、商業地と工業地は引き続き上昇しており、用途によって異なる動向を示しました。

住宅地の平均変動率は-0.2%と前年の0.2%上昇から下落に転じ、建築費高騰による需要減退や地方部での人口減少が影響しました。一方、商業地は0.6%上昇、工業地は4.1%上昇と堅調な伸びを示しており、特に工業地は令和元年以降7年連続の上昇という強いトレンドが続いています

地域別の地価の特徴

地域別に見ると、札幌市の平均変動率は1.4%上昇と引き続き高い水準を維持していますが、前年の3.6%上昇からは伸び率が鈍化しました。市部全体では0.4%上昇、町村部では-1.0%下落と、都市部と地方部の格差が鮮明になっています。

札幌市では住宅地・商業地ともに13年連続の上昇を記録し、利便性の高い地域への需要が根強いことが確認されました。一方、函館市や北見市などの地方都市では、中心部の一部を除いて長期的な下落傾向が続いており、人口減少と高齢化の影響が地価に顕著に表れています

住宅地・商業地・工業地の違い

用途別の地価動向を見ると、住宅地は建築費高騰や地方部での需要減退により下落に転じましたが、商業地は観光需要の回復や大規模開発プロジェクトにより上昇を継続しています。工業地は物流施設の用地需要が高まっていることから、最も高い上昇率を示しています。

商業地では札幌市の繁華街や観光エリアでの上昇が顕著で、インバウンド需要の回復がホテルやオフィス用地の需要を押し上げました。工業地では千歳市や苫小牧市などの物流拠点エリアで大幅な上昇が見られ、特に千歳市では半導体工場建設などの大型プロジェクトが地価上昇の大きな要因となっています

住宅地の基準地価と市場動向

住宅地の基準地価は、2025年に5年ぶりの下落に転じましたが、地域や立地条件によって状況は大きく異なります。利便性の高い都市部では依然として需要が堅調である一方、地方都市や町村部では人口減少や高齢化による需要減退が顕著になっています。

利便性の高い地域の住宅地市場

札幌市では住宅地の平均変動率が1.4%上昇と、平成25年以降13年連続の上昇を記録しました。中央区や北区などの交通利便性の高いエリアでは、マンション適地への需要が根強く、地価上昇を支えています。

また、苫小牧市では4.5%の上昇と高い伸びを示し、東部地域の供給不足により他地域に需要が波及する動きが見られました。帯広市でも0.8%上昇と10年連続の上昇を記録しており、地方中核都市の中でも利便性の高い地域では引き続き堅調な需要が確認されています

地方都市・町村部の住宅地の動き

地方都市や町村部では、人口減少と高齢化の進展により住宅地の需要が減退しています。函館市では28年連続の下落、北見市では24年連続の下落と、長期的な下落トレンドが続いています。

町村部全体では平均変動率が-1.0%と前年と同水準の下落が続いており、特に旧郡部や山間部では需要が極めて弱い状況です。小樽市でも傾斜地の需要減退が顕著で、地方部では立地条件の悪い住宅地を中心に、今後も地価下落が継続する可能性が高いと考えられます

住宅地基準地価の変動とその影響

住宅地の基準地価の変動は、建築費高騰や金利動向などの全国的な要因と、地域固有の人口動態が複合的に影響しています。2025年は建築費高騰により住宅購入者の予算が圧迫され、需要が減退したことが下落の主要因となりました。

一方で、札幌市に隣接する江別市では横ばいとなり、上昇から一服感が見られるものの、札幌市への通勤圏としての需要は一定程度維持されています。今後の住宅地市場では、利便性の高い都市部と地方部の二極化がさらに進むと予想され、投資や購入のタイミングを見極める際には地域特性を十分に考慮する必要があります

都市名 基準地数 平均変動率(R7) 平均変動率(R6)
札幌市 85 1.4% 3.6%
苫小牧市 16 4.5% 3.6%
帯広市 15 0.8% 5.4%
旭川市 25 0.5% 1.0%
江別市 12 0.0% 3.6%
函館市 15 -1.3% -1.3%
小樽市 14 -1.5% -0.3%

上記の表からも分かるように、都市ごとの住宅地基準地価の変動率には大きな差があり、投資判断においては個別エリアの動向を詳細に分析することが重要です。

商業地の基準地価と市場動向

商業地の基準地価は、2025年も引き続き上昇傾向を示し、令和4年以降4年連続の上昇となりました。観光需要の回復や大規模開発プロジェクトが地価を押し上げており、特に札幌市や観光地エリアでの上昇が顕著です。

観光需要が回復した商業地の動向

北海道の商業地では、コロナ禍からの観光需要の回復が地価上昇の大きな要因となっています。札幌市の商業地は平均変動率5.5%と高い上昇率を示し、繁華街やホテル適地での需要が活発化しました。

函館市では6年ぶりに上昇に転じ、平均変動率2.7%と観光客の入込が好調なことが地価を押し上げました。小樽市でも観光エリアを中心に3.5%の上昇となり、インバウンド需要の回復が商業地の地価上昇を強力に後押ししていることが確認されました

道央圏での商業地の価格上昇要因

道央圏では、大規模半導体工場の進出や再開発プロジェクトが商業地の価格上昇を牽引しています。千歳市では商業地の平均変動率が27.6%と全道トップの上昇率を記録し、半導体関連企業の進出に伴う需要が急増しました。

帯広市でも利便性の高い地域や路線商業地域での需要が見られ、3.1%の上昇となっています。苫小牧市では郊外型店舗が集中する東部地域の需要が堅調で、2.6%の上昇を示しました。道央圏では産業集積や物流拠点の形成が進んでおり、今後も商業地の地価上昇が期待されるエリアが多数存在します

商業地の価格変動と地域別特徴

商業地の価格変動は地域によって大きく異なり、都市部と地方部で明暗が分かれています。札幌市の中心部では5,400,000円/㎡という全道トップの商業地価格を記録し、需要の強さを示しました。

一方、旭川市や釧路市では商業地が横ばいとなり、近隣商業地域での需要の弱さが見られます。北見市では33年連続の下落と、市中心部のオフィス・店舗用地の需要が長期的に低迷しています。商業地への投資を検討する際は、観光需要や産業集積などの成長要因がある地域を重点的に選定することが成功のカギとなります

都市名 基準地数 平均変動率(R7) 平均変動率(R6)
札幌市 40 5.5% 7.6%
小樽市 4 3.5% 1.3%
帯広市 4 3.1% 6.1%
函館市 8 2.7% -0.1%
苫小牧市 4 2.6% 0.8%
旭川市 11 0.0% 0.0%
釧路市 5 0.0% 0.0%

商業地の地域別特徴を把握することで、将来性の高いエリアへの投資判断が可能になります。

地域別の基準地価データと分析

北海道の基準地価は地域によって大きく異なり、都市部と地方部、観光地と非観光地で明確な差が見られます。以下では、主要都市ごとの基準地価データを詳しく分析し、注目すべきエリアの特徴を解説します。

札幌市と周辺エリアの価格上昇

札幌市は住宅地・商業地ともに13年連続の上昇を記録し、北海道の地価上昇を牽引しています。中央区宮ヶ丘では383,000円/㎡と全道住宅地トップの価格を記録し、中心部の商業地では5,400,000円/㎡という高水準の価格となりました。

札幌市に隣接する江別市や北広島市でも、札幌市への通勤圏としての需要が根強く、一定の地価水準を維持しています。特に北広島市では日本ハムファイターズの新球場開業に伴う開発が進み、今後も周辺エリアへの波及効果が期待されることから、投資対象として注目を集めています

函館市・小樽市など観光地の影響

函館市では商業地が6年ぶりに上昇に転じ、観光客の入込が好調なことが地価を押し上げました。函館市の観光エリアでは、ホテルや飲食店舗用地の需要が回復しており、地価上昇のトレンドが形成されつつあります。

小樽市でも観光需要の拡大により商業地が3年連続で上昇し、運河周辺や堺町通りなどの観光エリアでの土地需要が増加しています。ニセコ町や倶知安町などのスキーリゾート地では、外国人投資家による別荘地や宿泊施設用地の需要が旺盛で、全国的に見ても極めて高い上昇率を記録しています

地方都市の地価動向と今後の予測

地方都市では、旭川市や帯広市などの中核都市で一定の地価水準が維持されている一方、釧路市や北見市などでは長期的な下落傾向が続いています。旭川市では住宅地が5年連続で上昇しているものの、商業地は横ばいとなっています。

帯広市では住宅地が10年連続、商業地が7年連続で上昇しており、十勝圏の中心都市としての需要が堅調です。一方、釧路市や北見市では人口減少と高齢化の影響が大きく、今後も地価下落が継続する可能性が高いため、不動産投資を行う際には慎重な判断が求められます

  • 札幌市:13年連続上昇で全道を牽引
  • 千歳市:半導体工場建設で急上昇
  • ニセコ町・倶知安町:リゾート需要で高い上昇率
  • 函館市・小樽市:観光需要回復で上昇傾向
  • 帯広市:地方中核都市として堅調
  • 釧路市・北見市:長期的な下落傾向が継続

以上のように、北海道の基準地価は地域ごとに大きく異なる動きを示しており、投資や購入の判断においては個別エリアの特性を十分に理解することが重要です。

用途 基準地数 平均変動率(R7) 平均変動率(R6)
住宅地 714 -0.2% 0.2%
商業地 250 0.6% 0.9%
工業地 15 4.1% 6.0%
全用途 979 0.0% 0.4%

用途別の基準地価データからも、工業地の上昇率が突出していることが分かります。物流施設や工場用地への投資は、今後も有望な選択肢となるでしょう。

まとめ

2025年の北海道基準地価は、全体として横ばいとなりましたが、用途別・地域別に見ると大きな差が見られます。住宅地は5年ぶりに下落に転じた一方、商業地は4年連続、工業地は7年連続の上昇と、堅調な伸びを示しています。札幌市や千歳市などの道央圏では、半導体工場建設や観光需要の回復により地価上昇が続いており、今後も成長が期待されます。一方、地方都市や町村部では人口減少と高齢化により下落傾向が続いており、投資判断においては地域特性を十分に考慮する必要があります。

不動産の購入・売却・投資を検討する際は、最新の基準地価データを活用し、利便性の高い都市部や成長要因のあるエリアを重点的に選定することが重要です。特に札幌市、千歳市、ニセコ町、倶知安町などの注目エリアでは、今後も地価上昇が期待されるため、タイミングを見極めた投資判断が求められます。本記事のデータと分析を参考に、ぜひ最適な不動産取引の判断にお役立てください。

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執筆者

エンマネ編集部

エンマネ編集部

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