新年あけましておめでとうございます。
今年1年間が皆様にとって良いお年になるように祈念いたします。
さて今回のコラムでは2025年を振り返りつつ、2026年の経済・不動産市況について述べてみたいと思います。

「阪神タイガース・アレ(ARE.)」

昨年の世相を振り返ってみたいと思います。

2025年は関西がとてもエネルギッシュで元気でした。まず何と言っても阪神タイガースのファンの皆様、改めて優勝おめでとうございます。生え抜きの選手を中心としたチーム作り、投打とも個々の優れた選手がとても多くそれがチーム一眼となった時のエネルギーは凄まじい物を感じました。阪神が強いと大阪経済はより活性化します。阪神優勝の経済効果はとてつもなく大きく、今年もその持続性が期待されます。

大阪・関西万博と湾岸エリアの発展

次に2025年の大きな出来事と言えば「大阪・関西万博」の開催が挙げられます。

4月13日~10月13日の184日間開催されました。大阪近辺の方で訪れた方も多かったのではないでしょうか。大阪の万博は1970年以来ですので55年ぶりとなりました。前回の万博開催時の「太陽の塔」は現在も残されていますが、今回の万博で建設された「大屋根リング」も一部を保存する事になりました。

経済産業省の発表によると、大阪万博の経済波及効果は3兆6,000億円となり、開幕前の予想を上回りました。公式キャラクター「ミャクミャク」の人気が高かった事も要因のようです。また万博開催に合わせて2025年1月19日に大阪メトロ中央線も延伸され、今後の湾岸エリアの発展も期待されます。

夢洲ではIR(統合型リゾート)の建設が進んでおり、メインの施設として地上27階、高さ126mのビルが建設されカジノやホテル、劇場などが入る予定です。国際会議場やリゾートホテルの建設なども計画されており、2030年に開業し年間約2,000万人の来場と約5,200億円の売り上げが見込まれています。

湾岸エリアにはUSJなどのテーマパークもあり、近くには外資系高級ホテルの開業も予定されています。JR西日本では桜島線などの延伸も検討されており、今後湾岸エリアがさらに大きく変わる可能性もあります。

高市政権の誕生

万博閉会後の2025年10月21日には日本初の女性総理となる高市政権が発足しました。自民党と日本維新の会による連立政権となりました。首相就任後すぐに行われた日米首脳会談ではトランプ大統領との会見も成功裏に終わり支持率も高まっています。政策では物価高対策とアベノミクスを継承する金融緩和政策、そして積極的な財政出動などが挙げられます。総額21兆円の「総合経済政策」も閣議決定し、物価高対策では給付金の配布なども予定されています。こうした中で日本の成長力を高める事が期待されますが、逆に財政の悪化やインフレの進行が進む可能性もあります。

またこの原稿を執筆している2026年1月14日には衆議院の解散を発表しました。与党の議席を増やし、積極財政や安全保障などの政策を推し進める意向です。選挙の結果次第では高市政権の政策がより強力に推進されるのではないでしょうか。

今後は日本の成長とインフレの両方面に注目が集まると考えられます。

物価上昇と円安

2025年は物価上昇が進み、特にお米の価格が大きく上昇した事が注目を集めました。総務省が発表した消費者物価指数は11月には生鮮食品を除く総合前年同月比3.0%の上昇となりました。お米の価格は上昇率が縮小したものの前年比37.1%の上昇となりました。

私達の生活も支出が増加し暮らしが厳しくなってきており、今後も政府のインフレ対策は続いています。こうしたインフレの要因の一つとして円安が挙げられます。円安により輸入物価が上昇し、エネルギーや素材関連などを始め多くの物の価格が上昇しています。これは物の原価が上昇する事によって物価が高くなる「コストプッシュ型」と言われるインフレです。過度なインフレに対しては政府の介入もありうると表明していますが、今後も円安が続けば物価への影響も大きいと考えられます。

金利上昇

2025年12月には日銀による政策金利が0.75%に引き上げられました。2025年1月にも0.5%へ引き上があり、2025年には政策金利が2回引き上げられました。但し実質金利はマイナスが続いており低金利は依然続いていると言えます。

金利の引き合げにはインフレを抑える効果がありますが、同時に景気を減速させる可能性もあります。日銀では今後も利上げを表明していますが、その時期については景気の行方を考慮する必要があります。

金利上昇により預金金利などが上昇しています。2025年12月26日現在では大手都市銀行の普通預金の金利は0.2%程度となっています。中には1%を超える例も出ており金利正常化に向けた動きも出てきています。

金利が上昇すると、変動金利型のローンを利用している方には返済額の上昇などの影響が出る事もあります。しかしまだ利上げはそれほど大きくなく、その影響は軽微であると考えられます。こうした低金利によりマンションの需要がまだまだ続くと考えられます。

2026年1月13日には衆院解散の報道を受けて株価が一時5万4,000円台と過去最高となり、為替は1ドル159円と円安が進んでいます。円安抑制のために金利を上げるのか、景気向上のために低金利を続けるのか、2026年は金利の行方にも注視したい年となります。

人手不足と外国人就労者の増加

2025年は人手不足が大きくクローズアップされた年でもありました。

飲食店を始めサービス業界にも人手不足の影響が大きく、賃上げも大きくなってきました。後継者不足で閉店してしまう店や、人手不足でバスの運行路線が廃止となるケースもありました。

こうした背景もあり外国人就労者が増加しています。出入国在留管理庁の調べによると大阪府の外国人労働者の数は2024年末には約33万3千人で、東京都に次ぐ数となっています。建設業界でも人手不足が顕在しており、工期の延長から建築費の上昇につながるケースもあります。建設現場などでも外国人の就業者が多くなってきており、建設現場で外国語が飛び交う事も珍しくなくなっています。

日銀が発表する、人件費の指標ともなる「企業向けサービス価格指数(総平均)」は2025年11月速報では前年比2.7%の上昇となりました。宿泊サービス価格も大きく上昇しておりホテル宿泊料の上昇の要因ともなっています。

また企業も人材確保のために初任給を増額するケースも多くなってきました。しかし大企業を中心として給与は増額傾向にあるものの、物価上昇率がそれを上回り、実質給与はマイナスが続きました。2026年の春闘も前年を上回る賃上げが期待されていますが、中小企業などに波及するかも焦点となっています。

地価・マンション価格の上昇は続くか

大阪エリアでは地価の上昇が続いています。2025年の公示地価(1月1日時点)では大阪府の地価は住宅地が前年比2.3%の上昇、商業地が7.6%の上昇となりました。基準地価(7月1日時点)ではさらに上昇率が拡大し住宅地で2.7%、商業地で7.9%の上昇となりました。公示地価、基準地価ともに前年比の地価上昇率が拡大しており、地価が上昇傾向にある事が分かります。

大阪市の中心部の商業地では、梅田を中心とするキタエリア、なんば・日本橋などのミナミエリアなどで地価が大きく上昇しています。さらに地価上昇が中心部から周辺部に移行してきており、交通利便性や生活利便性に優れた立地では地価上昇が目立っています。

既に地価上昇率はコロナ前の水準にも近くなってきており、マンションの超高額化も進んでいます。

但し大阪市の新築マンション価格は2025年11月には 6,168 万円で前年同月比10.9%の上昇となりました。東京都区部では1億2,420万円と倍以上となっており、大阪市のマンション価格は東京と比べていい意味で出遅れ感がありますが、今後は価格の上昇も進む可能性もあります。

さらにこうした不動産価格の上昇などを受けて、ビル賃料や住宅の賃料も上昇傾向にあります。「うめきた」の再開発の影響などもあり、民間の調査では大阪のオフィス賃料の上昇率が世界一になったとの報道もあります。住宅賃料もエリアによっては大きく上昇しており、今後もこうした賃料の上昇が続く可能性もあります。

2025年公示地価】大阪府の対前年地価変動率の推移

 

2024

2025

住宅地

1.6%

2.3%

商業地

6.0%

7.6%

<大阪府「令和7年地価公示結果の概要」>

2025年基準地価】大阪府の対前年地価変動率の推移

 

2024

2025

住宅地

2.0%

2.7%

商業地

7.3%

7.9%

<国土交通省「令和7年都道府県地価調査」>

インバウンド増加の影響は

訪日外国人も増加しており、2025年1~11月の累計では3,906万人となり、2025年の年間で4,000万人突破は確実と見られています。大阪府へのインバウンドも多く、大阪観光局の調べによると2025年1~6月に大阪府を訪れたインバウンドは847万6000人と前年同期比23%で過去最高となりました。

日中関係の冷え込みから中国人の訪日数は減少傾向となっていますが、その分は世界の多くの国からの増加があり、その影響は少ないと予想されます。

万博の影響で開催中はホテル料金が大きく上昇していましたが、今後もインバウンドの増加が続けばホテル宿泊料も高止まりする可能性もあります。

老舗の商店街である日本橋の黒門市場などでもインバウンドの増加が目立っており、店舗賃料も大きく上昇しています。

こうした賃料の上昇は周辺地価の上昇へと波及し、今後も地価・不動産価格・賃料などの上昇が続く可能性もあります。

投資が注目された年

老後に対する自助努力も多くの方に行き渡り、NisaやiDeCoなども含めた将来のための投資が注目された年でもありました。その中でマンション投資も脚光を浴びました。

日銀が2025年12月に発表した資金循環統計(速報)によると家計の金融資産は4.9%増の2286兆円と株高の影響もあり過去最高となりました。但し家計の金融資産の現金預金比率は目減りしており、18年ぶりに50%を割り込みました。物価上昇期には現金・預金を持っていてもその価値が減少していきますので、「預金から投資へのシフト」が進んでいる事もあります。

不動産価格も上昇が続いており、インフレによる将来不安も強い中で今後も不動産投資への関心が高まると考えられます。

コンパクトマンションの税制が改正

2021年4月から住宅ローン控除の適用が40㎡以上となりました。2026年の税制改正では既存住宅(中古マンションなど)にも適用となります(ただし、合計所得金額1,000万円超の者及び子育て世帯等への上乗せ措置利用者は50㎡以上)。中古コンパクトマンションを購入の際にも住宅ローン控除が利用できる事となり、今後のコンパクトマンション市場の活性化が期待されます。

特に新築マンション価格上昇の影響で中古マンションの需要が多くなっており、単身者やdinksなどにも人気の高いコンパクトマンションの中古物件の需要はますます高まると考えられます。

また土砂災害等の災害レッドゾーンの新築住宅は適用対象外となりました(建替え・既存住宅・リフォームは適用対象)。災害レッドゾーンとは土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域、災害危険区域(都市再生特別措置法に基づく勧告に従わないものとして公表の対象となった場合に限る)などです。

災害危険地域における新築住宅の住宅ローン控除の適用が対象外となる事で、今後はより災害に対する安全性が高い住宅が増えると考えられます。

<まとめ>

ますます発展が続く大阪は街が大きく変貌を遂げています。今後は「なにわ筋線」や「リニア中央新幹線」の開業も予定されており、大阪の発展は将来的にも続くと見られています。大阪の地価・マンション価格は上昇が続いていますが、東京や世界の大都市と比較するとまだまだ割安感があると言えます。2026年も大阪のマンション市場は大きく発展する可能性があり、好立地のマンションの資産価値は上昇が続くと考えられます。

執筆者

住宅コンサルタント野中清志

住宅コンサルタント野中清志

株式会社オフィス野中 代表取締役
首都圏・関西および全国でマンション購入に関する講演多数。
内容は居住用から資産運用向けセミナーなど、年間100本近く講演。