【令和5年】年末調整の変更点は四つ!やり方を詳しく解説

「令和5年度の年末調整の変更点は?」 「令和5年度の年末調整のやり方は?」 などの疑問をお持ちの方も多いでしょう。今回は令和5年度の年末調整の変更点とやり方を解説します。

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令和5年の年末調整の変更点とは

令和5 年の年末調整では、主に四つの要件が変更されます。それぞれの変更点や注意すべきポイントを解説します。

住宅ローンの要件が変更される

住宅ローン控除とは、毎年の住宅ローン残高から規定の控除率により算出される金額を所得税額から差し引く制度です。所得税額から控除しきれない額は、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)の範囲内で個人住民税から控除されます。 変更後の数値は下記の通りです。

区分

令和4,5年

令和6,7年

認定長期優良住宅

(長期優良住宅)

5,000万円

(13年間)

4,500万円

(13年間)

低炭素建築物

(認定低炭素住宅)

低炭素建築物とみなされる特定建築物

(認定低炭素住宅)

特定エネルギー

消費性能向上住宅

(ZEH水準省エネ住宅)

4,500万円

(13年間)

3,500万円

(13年間)

エネルギー消費性能向上

住宅

(省エネ基準適合住宅)

4,000万円

(13年間)

3,000万円

(13年間)

一般の新築住宅

(その他の住宅)

3,000万円

(13年間)

0万円(2,000万円)

(10年間)

控除率

全期間一律0.7%

所得要件

合計所得金額2,000万円以下

(特例居住用家屋・特例認定住宅等→1,000万円以下)

床面積要件

50㎡

(特例居住用家屋・特例認定住宅等

→40㎡以上50㎡未満)

出典:「No,1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁)

住宅ローン控除の変更点をまとめると下記の通りです。

・借入限度額:住宅性能と居住開始年別に設定

・控除期間:新築住宅は13年に延長

・控除率:1%から0.7%に変更

それぞれの限度額や控除期間は居住年数や住宅区分ごとに異なるため、必ず住宅ローン控除のどれに該当するか把握してから年末調整をしましょう。

非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用要件が変更される

従来の年末調整での扶養控除の対象は、国内・国外を問わず下記の条件を満たす扶養親族でした。

・配偶者以外の親族の方

・納税者と生計を一にしている方

・年間の合計所得金額が48万円以下の方

・青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない方

・白色申告者の事業専従者ではない方

しかし、令和2年の法改正により令和5年から、30歳以上70歳未満の非居住者でも下記に該当する方は、現行の通り扶養控除の対象になります。

・留学により国内住所及び居住を有しなくなった方

・障がい者

・扶養控除の適用を求める納税者から生活費及び教育費のための支払いを38万円以上受けている方

配偶者や扶養親族に退職所得が見込まれる場合は申告が必要になる

令和5年から扶養控除申告書に「退職手当等に有する配偶者・扶養親族」欄と「寡婦またはひとり親」欄が追加されています。

そのため、各種控除の対象となる配偶者、または扶養親族に退職所得が見込まれる場合は、退職所得を除いた所得の見積額などを記入してください。

国外居住親族への「送金関係書類」の提出が必要になる

国外に居住している親族について、扶養控除等の適用を受ける場合は、その親族との親族関係書類と送金関係書類の提出が必要です。

送金関係書類は、国外に居住している親族の生活費や教育費等に充てるために支払った証明書類、下記の2点が該当します。

・当年分の外国送金依頼書の控え

・国外に居住している親族が使用するために発行したクレジットカードの利用明細書

令和6年度以降は、電子決済手段の移転による支払いを証明する書類も追加されます。

【令和5年版】年末調整のやり方を解説

事業主は翌年1月10日までに所得税を計算し支払い、支払調書や源泉徴収票など年末調整の書類は1月31日までに税務署へ提出します。

年末調整が必要となる全従業員の分を取りまとめるのに時間がかかるため、各企業では早めの提出期限が設けられています。

年末調整を行う際にスムーズに手続きを済ませられるよう送金関係書類や戸籍謄本などの証拠書類、控除証明書など必要となる書類を準備しておきましょう。

年末調整のやり方については下記で解説します。

ステップ1.必要な書類を用意する

年末調整で必要な書類は下記の三つです。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

・給与所得者の保険料控除申告書

・給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

また、必要に応じて様々な書類の提出が求められる場合があるため、自分の用途に合わせて書類を用意してください。書類は国税庁のホームページからダウンロードできます。また、企業側で用意されており、それぞれ配布される方もいるかと思います。

ステップ2.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を記載する

まずは、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を記載します。記載する方法は下記の通りです。扶養者がいない場合、該当の欄は空白で問題ありません。

1.氏名や住所、生年月日を記載する

2.扶養控除等を受ける配偶者や扶養親族の情報を記載する

3.本人が障がい者、寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合は情報を記載する

4.本人と同じ世帯の他の所得者と扶養家族にわけて控除を受けている場合、その扶養親族等の情報を記載する

5.16歳未満の扶養親族及び退職手当等を有する配偶者・扶養親族がいる場合は住民税に関する事項を入力する

ステップ3.給与所得者の保険料控除申告書を記載する

次に、給与所得者の保険料控除申告書を記載します。記載する方法は下記の通りです。

1.給与所得者の氏名や住所などの基本情報を記載する

2.一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料のいずれかを支払っている場合、生命保険料控除の欄を記載する

3.地震保険料か旧長期損害保険料を支払っている場合、地震保険料控除を記載する

4.給与から差し引かれた社会保険料以外の保険料を支払っている場合、社会保険料控除を記載する

5. 個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している場合は小規模企業共済掛金控除を記載する

2以降は、該当する項目以外は記入する必要がありません。控除証明書が各保険会社や金融機関より発行され、郵便で届いているはずなので、合わせて提出します。

ステップ4.給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書を記載する

最後に、給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書を記載します。記載する方法は下記の通りです。

1.給与所得の収入金額と所得金額を記載する

2.個人事業主として副業している場合など給与以外の収入がある場合、その所得との合計額を「給与所得以外の所得の合計額」欄に記載する

3.本年中の合計所得金額の見積額を記載する

4.控除額を記載する

2は、給与以外の所得がある方のみ記載が必要です。

まとめ

今回は令和5年度の年末調整の変更点を解説しました。細かい変更点ではありますが、年末調整をするうえで把握しておく必要がある情報なので、扶養家族がいる方やマイホームを購入された方は覚えておきましょう。

年末調整は企業側が行う源泉徴収額と、本来納めるべき所得税額の差額を精算する手続きです。企業に直接雇用されており、給与から源泉徴収されている方は用紙に必要事項を記入して会社へ提出します。速やかに提出できるように必要書類を早めに準備しておきましょう。