目次
- 1 1.変更失敗ケース1|新管理会社の契約範囲外の業務が発覚!無駄に出費も手間も増えた
- 2 2.変更失敗ケース2|引き継ぎミスにより入居者からクレームを受けた
- 3 3.変更失敗ケース3|いざ変更したのに新管理会社の管理がずさんだった
- 4 4.変更失敗ケース4|新マンション管理会社の工事費用が高額すぎる!内容も不明瞭だった
- 5 5.変更失敗ケース5|旧マンション管理会社の対応がずさんになる
- 6 6.変更失敗ケース6|マンション管理会社変更に必要な書類が揃わない!変更に時間がかかった
- 7 7.変更失敗ケース7|入居者へ管理会社変更の連絡を忘れてトラブルになった
- 8 8.変更失敗ケース8|全入居者から書類への署名捺印がもらえず新管理会社へ移行できない
- 9 9.まともなマンション管理会社を選び変更失敗を防ごう
- 10 10.まとめ
「マンション管理会社の変更失敗ケースを知りたい」
マンション管理会社の変更を検討しているものの、入居者がいる状態での変更に不安があり、マンション管理会社の変更失敗について調べている中で本記事へたどり着いたのではないでしょうか。
主な変更失敗ケースとしては、次の8つが挙げられます。
上記の失敗ケースは、
・マンションのオーナーや管理組合が管理会社変更における正しい情報を把握していない
・リスクに対する対策をしていない
・マンション管理会社へ任せっぱなしにしている
このような行動から起こっています。
そこで本記事では、主なマンション管理会社の変更失敗ケースを取り上げ、なぜ失敗なのか、どのような対策や対応をすれば解決・回避できるのかを詳しく解説します。
マンション管理会社の変更失敗を防ぐために大切なマンション管理会社選びのポイントについても紹介しているので、
「マンション管理会社の変更で失敗したくない」
「満足できる変更を実現したい」
このように考えている人はぜひ参考にしてください。
1.変更失敗ケース1|新管理会社の契約範囲外の業務が発覚!無駄に出費も手間も増えた
旧マンション管理会社に含まれていた管理業務が、新しいマンション管理会社の基本的な契約に含まれておらず、オプション料金や別途契約が必要になるというケースがあります。
マンション管理会社によって、管理業務の範囲が異なり、提供しているサービスも違います。
変更後に手間も増え、無駄な出費もかかってしまうことは避けたいですよね。
解決策:契約前に新旧のマンション管理会社の「管理委託契約書」を確認し、業務範囲を比較・確認をする
契約前に旧マンション管理会社と新しい管理会社の管理委託契約書を比較し、業務範囲の違いを洗い出した上で、お願いしたい管理業務に対応してもらえるのかを確認しましょう。
管理委託契約書は、管理組合がマンション管理会社へ依頼した管理業務の内容をすべて記した書類です。
マンション管理会社は、その契約書で締結した範囲内のサービス提供しかしません。
旧マンション管理会社と新しいマンション管理会社の管理委託契約書内容を照らし合わせ、必要な業務を担ってくれるか確認しましょう。
マンション管理会社の契約書にある管理業務の範囲が妥当かも一緒に確認しよう! |
マンション管理会社の中には、あなたにとって不利な契約内容を書き込んでいる会社もあります。 悪いマンション管理会社に騙されないようにするためには、国土交通省HPにある「マンション標準管理委託契約書」の指針と比較し、国が定める内容に準拠しているかも確認しておくと安心です。 |
2.変更失敗ケース2|引き継ぎミスにより入居者からクレームを受けた
入居者がいる状況でマンション管理会社を変更する場合、旧管理会社からの引き継ぎを確実に行わなければ、入居者からのクレームにつながる可能性があります。
そのため、マンション管理会社の変更引き継ぎする場合は、新旧のマンション管理会社から引き継ぎ状況を共有してもらい、管理組合で引き継ぎ漏れがないかを確認することが大切です。
解決策:マンション管理会社変更の引き継ぎで確認すべき点を把握して「新旧管理会社の双方」から引き継ぎの報告を受ける
マンション管理会社を変更すると、引き継ぎは新旧の管理会社同士で行われますが、次の項目は、あなた(管理組合)でも確認しましょう。
上記の3つは、入居者に対してさらなる迷惑や不便をかけてしまうものばかりです。
特に、入居者クレームは、引き継ぎ漏れによる対応漏れがあると、いつまで経っても対応してくれないことから、不満が溜まり、退去されてしまうかもしれません。
また、管理組合の運営・取り組みも、これまでペット可だったのに、管理会社の変更でペット不可になったとなると、旧入居者と新しい入居者でルールが変わってしまいますよね。
これでは、住人同士のトラブルに発展してしまうだけです。
管理会社同士で引き継ぎをしてくれますが、担当者はあなたのマンション1つを担当しているわけではありません。
また、現在契約中の管理会社を解約するまでの限られた時間の中で引き継ぎする必要があり、焦りや準備不足から人的ミスが起こる可能性もあります。
マンション管理会社の変更によるトラブルを防ぎ、今後の管理組合や入居者の生活を維持していくためにも、あなた自身も引き継ぎに関与し、必要な引き継ぎを確実に行わせるようにしましょう。
3.変更失敗ケース3|いざ変更したのに新管理会社の管理がずさんだった
新しいマンション管理会社へ変更すれば、管理も経営もうまくいくとは限りません。
新しいマンション管理会社へ変更したのに、ずさんな管理をされてしまう変更失敗ケースもあるからです。
解決策:管理状況や行政処分の経験がないかを確認する
新しいマンション管理会社へ変更する前に、必ず管理委託を依頼しようと思っている管理会社の管理実績や行政処分の経験について確認することが大切です。
・管理実績を確認する方法①:一般社団法人 マンション管理業協会
管理委託先の管理会社が、「マンション管理業協会」の会員である場合、「キーワード検索」で社名を入力すれば、以下のような情報を確認できます。 ・設立年月日 ・登録番号(更新回数) ・主要株主 ・管理実績(総合管理、部分管理、管理戸数、管理組合数など) ・資格保有者情報(区分所有管理士、マンション管理士、管理業務主任者など) |
・管理実績を確認する方法②:国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」
「マンション管理業協会」で情報が確認できない場合は、国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で検索をしましょう。 「マンション管理業者」もしくは「賃貸住宅管理業者」で検索をすると、以下の内容を確認できます。 ・国土交通大臣もしくは都道府県知事に許可された管理会社かどうか ・免許の更新回数 |
※現在、5年に一度のペースで免許の更新が行われており、免許証番号の横にある( )の数字は、更新するほど大きくなります。
※数字が大きい=歴史があり、多くの人に支持されている一つの指標になります。
行政処分経験の有無:国土交通省ネガティブ情報等検索システム<マンション管理業者>で調査
国土交通省ネガティブ情報等検索システム<マンション管理業者>は、マンション管理業者に対する行政処分の情報をまとめた公的なサイトです。 更新頻度は、月1回程度となっており、タイムラグがありますが、最近5年分の情報が公開されているので、管理委託先を決める前に必ず確認しましょう。 |
万が一、管理委託の候補管理会社が行政処分を受けていた事実が発覚した場合は、別のマンション管理会社を検討しましょう。
新しい管理会社と契約後にずさんな管理をする会社だと発覚した場合の相談先 |
新しい管理会社と契約をした後に、適当に管理・運営をする管理会社だと分かったときは、1人で抱え込まず、以下のような機関へ相談してください。 ・マンション管理適正化推進センターの「無料相談」窓口 ・マンション管理業協会の「無料相談」窓口 公平かつ中立な立場でアドバイスをしてくれるため、第三者の意見も聞きたいという場合に、ぜひご活用ください。 |
4.変更失敗ケース4|新マンション管理会社の工事費用が高額すぎる!内容も不明瞭だった
マンションの場合、10〜15年くらいに一度、大規模修繕工事が行われますが、マンション管理会社任せにして、内容がはっきりとしない高額な工事費用を請求された失敗をしている人がいます。
初めての大掛かりな工事でわからないことも多く、「任せておけば安心」と思いがちですよね。
しかし、任せっぱなしにするのではなく、あなた自身も工事費用の相場感を把握し、そのうち内訳比率なども把握しておくことが大切です。
なぜなら、その行動をしているかどうかで、不当な工事を見抜き、数百万円ものコストを削減できる可能性があるからです。
解決策:適切な相場感を把握し、「オーナーまたは管理組合」主導で工事会社を選定する
オーナーまたは管理組合が主導となって、工事会社を選定し、正しい相場感とポイントをおさえて、しっかりと確認してください。
特に、大規模修繕工事は、マンション管理会社に工事会社を紹介してもらうよりも、管理会社から設計書だけを受け取り、オーナーや管理組合が外部の工事会社を探して工事を依頼する方法がおすすめです。
工事費用の相場感は、工事回数によって異なります。ここでは、大規模修繕工事1回目をモデルケースに紹介します。
参考:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
大規模修繕工事の回数によって若干の違いはありますが、1回目の場合、4,000~6,000万円の工事費用が必要になるケースが最も多くなっています。
その工事費用の中で大きなウエイトを占めるのが「建築系工事」にかかる費用です。「建築系工事」は、外壁塗装や屋根防水・床防水といった、建物躯体の維持管理に必要な工事です。
具体的な数値に置き換えて、相場感を把握すると、以下のようになります。
工事費用が4,000万円だった場合、2,352万円くらいが建築系工事費用になるということです。
建物の状況によって変わりますが、建築系工事の中で最もコストがかかるのが外壁塗装です。工事費用の割合が21.6%なので、工事費用が4,000万円だった場合、およそ510万円が外壁塗装費用となります。
見積もり書を受け取ったら、上記の工事金額割合を参考に、各項目のコストが同じような構成比になっているかを確認しましょう。
もし大きく異なるような割合は、どういう工事なのか、詳しく説明を求めるようにしてください。
なお、国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、全体の平均値や、工事2回目・3回目などの工事費用や工事内訳などの情報が紹介されています。
内訳などを詳しく確認したいという人は、国土交通省が発表している調査結果をご確認ください。
5.変更失敗ケース5|旧マンション管理会社の対応がずさんになる
マンション管理会社の変更にともない、旧マンション管理会社へ解約の申し入れを行うと、担当者のモチベーションが下がって、管理業務や対応がずさんになる可能性があります。
もし旧マンション管理会社に依頼しても対応をしてもらえないときは、新しいマンション管理会社へ入居者募集の対応を打診しましょう。
解決策:入居者募集などの対応は新しい管理会社に相談して対応を始めてもらう
特に、解約を申し入れた後は、入居者募集をしてもらえなくなるトラブルが起こりやすいです。
旧マンション管理会社が力を入れたところで、解約までの短い期間しか募集できず、旧管理会社の収益にも直結しづらいためです。
入居者募集は、収益に大きく関わる部分なので、旧マンション管理会社に対応してもらえないとわかった時点で、すぐに新しいマンション管理会社へ打診する行動を取りましょう。
6.変更失敗ケース6|マンション管理会社変更に必要な書類が揃わない!変更に時間がかかった
スムーズかつ確実なマンション管理会社変更を行うためには、旧マンション管理会社の対応履歴や、これまでのマンション管理状況が把握できる書類が欠かせません。
解決策:必要書類を把握し事前に準備をしておく
マンション管理会社変更では、以下のような重要書類が必要です。
・修繕履歴がわかる書類
・議事録(過去の総会議事録など)
・管理図面
・旧マンション管理会社との契約書(契約内容がわかるもの)
必要な書類が揃わなければ、過去に遡って対応を確認したり、本当は終わっていたはずの点検をもう一度行なったりすることになります。
余計なコストと時間をかけることになり、結果的に管理会社の変更にも時間がかかる可能性があるため、管理会社を変更することを検討し始めた時点で揃っているかを確認しましょう。
7.変更失敗ケース7|入居者へ管理会社変更の連絡を忘れてトラブルになった
マンションの管理会社が変わった連絡を入居者へ行わなかった場合、以下のようなトラブルにつながる可能性があります。
・家賃振り込みをしたが、差し戻しになって余計な振込手数料が発生した
・工事や修理を依頼しようと思ったら、管理会社が変更されていてすぐに対応してもらえずクレームが来た
入居者への連絡を忘れると、最悪の場合退去されてしまう可能性があるため、告知のタイミングを把握して、早めの行動を取ることが大切です。
解決策:変更手順を把握し、1.5~2か月前までに連絡するスケジュールを組む
入居者への連絡は、遅くても解約の1.5〜2ヶ月前までに連絡をするよう行動しましょう。
なお、告知タイミングは、旧マンション管理会社の解約から逆算して行動することになります。
入居者への告知タイミングは、新しいマンション管理会社と契約をした後です。
もし、入居者への告知で困ったことがあれば、新しいマンション管理会社へ相談してください。
オーナーや管理組合に代わって対応してくれるケースや、自分で用意する場合も相談に乗ってくれることがあります。
8.変更失敗ケース8|全入居者から書類への署名捺印がもらえず新管理会社へ移行できない
マンション管理会社を変更する際に、書類による手続きが必要になるケースがあり、全入居者から署名・捺印がもらえなくて新しいマンション管理会社へ移行できないトラブルが起こりやすいです。
解決策:入居者のメリットを伝えて変更する
入居者が変更を渋るような場合は、「変更したほうがいいんだ」と思ってもらえるように、管理会社の変更で入居者が得られるメリットを根気よく伝えましょう。
【入居者メリットの例】
・24時間問い合わせができるようになった
・管理会社変更のタイミングで規約も見直され、ペット可になる
・旧管理会社と新しい管理会社の変更点をわかりやすく比較表にまとめる
上記のようなメリットを丁寧に伝えることで、協力的になる可能性があります。
9.まともなマンション管理会社を選び変更失敗を防ごう
ここまでマンション管理会社の変更失敗ケースを紹介してきました。
それぞれの解決策もお話ししましたが、同じ轍を踏まないためには、変更失敗ケースを理解した上で、まともなマンション管理会社を選ぶことが重要です。
まともなマンション管理会社に出会うために取るべき行動は、2つあります。
数ある中から厳選する場合は、必ず透明で公平な方法で決めることが大切です。
候補を選定する場合は、2~3社程度の複数のマンション管理会社に相見積もりを依頼し、各社のサービスをより正確に比較できるよう、共通のヒアリング項目を用意しておきましょう。
10.まとめ
マンション管理会社の変更失敗ケースを取り上げ、それぞれの解決策について紹介してきました。
これだけの変更失敗ケースがありますが、いずれも管理会社へ任せっぱなしにするのではなく、マンションのオーナーや管理組合が正しい理解でリスクを把握し、対策することで回避できる可能性があります。
本記事を読むことで、あなたが抱える「初めてのマンション管理会社の変更で失敗するかもしれない」という不安を解消し、満足できる形でマンション管理会社の変更ができるよう願っています。