不動産投資は「客付け」が重要!自主管理の方法と不動産会社の選び方

不動産投資は、家賃収入によって継続的に安定した収入が見込める投資です。しかし、安定的かつ継続して収益を得るためには客付けが欠かせません。 不動産投資で収益を得る方法は、物件を安く買って高く売り売却益を狙う方法(キャピタルゲイン)と、物件購入後、一定期間賃貸で収益を得てから売却を検討する方法(インカムゲイン)の2種類です。 ここでは不動産投資における客付けの重要性や、専門会社へ委託するときのポイントを紹介します。

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「客付け」とは?不動産投資での重要性

賃貸による不動産投資のメリットは、長期的に安定した収益を出せる点です。ただし、想定通りの収益を得るためには、物件の空室率を下げる必要があります。

物件の空室を解消する方法として欠かせないのが客付けです。

不動産投資における客付けとは

不動産投資において「客付け」とは、賃貸物件に入居者を見つけるための活動を指します。

ここでは、不動産投資における客付けについて詳しく解説します。

不動産投資における客付けの意味

客付けとは、賃貸物件の空室を埋めるために入居者を募集し、契約を結ぶプロセスを指します。この活動は、物件オーナー自身が行う場合もあれば、不動産管理会社や仲介会社に委託することもあります。

具体的には、物件の広告掲載、内見の対応、入居希望者の審査、契約手続きなどが含まれており、客付けの成功は、物件の収益性を左右する重要な要素です。

特に、競争が激しいエリアでは、迅速かつ効果的な客付けが求められます。さらに、長期的な安定収入を確保するために、適切な入居者を選ぶことが重要です。

不動産投資における客付けの重要性

客付けは、不動産投資の成功において極めて重要です。空室が続くと、収益が減少し、固定費用がかさむリスクがあります。

適切な入居者を迅速に見つけることで安定した収益を確保でき、信頼できる入居者を見つけることでトラブルのリスクを減少させることができます。

例えば、家賃の滞納や物件の損傷といった問題を未然に防ぐことが可能です。また、入居者の満足度を高めるためのサービスや設備の充実も重要です。長期的な入居が期待でき、再度の客付けの手間やコストを削減することができます。

総じて、客付けの質が高いほど投資物件の収益性は向上し、投資の成功に直結します。

不動産投資での客付けと元付けの違い

不動産投資における元付けとは、物件の所有者から直接依頼を受けて、物件の管理や販売を行う不動産会社を指します。一方、客付けは、元付け業者に対して借主や買主を紹介する不動産会社のことを指します。

元付け業者は物件の管理やメンテナンスを行い、長期的な関係を築くことが多いです。物件の詳細な情報を持ち、大家とのコミュニケーションも密に行うため、物件の価値を最大限に引き出すための提案やアドバイスが期待できます。

対照的に、客付け業者は広範囲の物件情報を扱い、入居希望者や購入希望者を集めることに特化した業者です。元付け業者から提供された情報をもとに、入居者や購入者に物件を紹介します。客付け業者の主な役割は、迅速に借主や買主を見つけることです。

このように、元付けと客付けの役割は異なりますが、両者が協力することで不動産取引はスムーズに進行します。不動産投資を成功させるためには、これらの業者の役割を理解し、適切に活用することが重要です。

不動産投資を行う際に自分で客付けする方法

不動産投資において、自主管理での客付けはコスト削減ができますが、適切な方法を用いなければ、空室が長引くリスクもあります。

ここでは、自主管理での客付け方法について解説します。

看板やチラシを活用する

客付けには、物件の敷地内や近隣に看板やチラシを設置する方法があります。看板には「入居者募集」と連絡先を記載し、チラシには物件の間取りや家賃、設備情報を詳しく掲載します。

このような方法をとることで、近隣住民や通行人に物件の存在を周知させることが可能です。さらに、チラシは地域の掲示板やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどに設置することもできます。

また、地域のイベントや祭りなどに参加して、直接チラシを配布することで、地域住民との接点を増やし、物件の認知度を高めることができます。チラシにQRコードを付けて、物件の詳細情報や内覧予約ページに誘導する方法も有効です。

これらの方法を実施することで、興味を持った人がすぐに行動に移せるようになります。

オンライン広告を活用する

客付けの施策には、インターネットを活用した方法もあり、情報サイトや自社サイトなどを利用して物件情報を広く発信します。物件の写真や詳細情報を掲載し、問い合わせを受け付けることで、広範囲の潜在入居者へのアプローチが可能です。

オンライン広告には、物件の魅力を引き立てる写真や詳細な説明文を記載しておく必要があります。また、オンライン広告にはGoogle広告やFacebook広告などの有料広告も活用できます。

これらのプラットフォームでは、ターゲットとなる入居者層に対してピンポイントで広告を表示することが可能です。

例えば、特定の地域や年齢層、興味関心に基づいて広告を配信することで、より効果的に物件をアピールできます。また、広告のパフォーマンスを分析し、クリック率やコンバージョン率を確認しながら、広告内容を最適化することも重要です。

SNSを活用する

客付けは、FacebookやInstagramなどのプラットフォームで物件情報をシェアし、友人やフォロワーに拡散してもらうことで、多くの人に物件を知ってもらうことができます。

SNSでは、物件の魅力を伝えるために、明るく清潔な写真を複数投稿し、物件の特徴や貸主の挨拶文を添えると効果的です。

さらに、SNSのストーリーズ機能を活用して、物件の内覧動画や周辺環境の紹介動画を投稿すれば、フォロワーが物件の雰囲気をよりリアルに感じることができます。また、ハッシュタグを活用して、物件に関連するキーワードを設定し、検索されやすくすることも重要です。

不動産投資を行う際に自分で客付けするメリット・デメリット

不動産投資において、自らが客付けを行うことには多くのメリットとデメリットがあります。

ここでは、不動産投資を行う際に自分で客付けするメリット・デメリットについて解説します。

メリット

自分で客付けを行うと、費用の節約や入居者選びの自由度、そして経営ノウハウの獲得など、さまざまな利点を得られます。

ここでは、自分で客付けを行うメリットについて詳しく解説します。

費用の節約

自分で客付けを行うことの最大のメリットは、費用の大幅な節約です。通常、不動産会社に客付けを依頼すると、成約時に家賃の1ヶ月分程度の仲介手数料が発生します。

例えば、月額家賃10万円の物件であれば、10万円の手数料を支払うことになりますが、自分で行えば手数料を完全に削減できます。

さらに、広告費用も抑えることができます。不動産ポータルサイトに直接掲載したり、SNSを活用したりすることで、低コストで効果的な宣伝が可能です。

このように長期的に見れば、これらの節約は投資収益に大きく貢献します。

入居者を自分で選べる

自分で客付けを行うもう一つの大きなメリットは、入居者を自分の基準で選べることです。

不動産会社を介すると、時間的制約や成約へのプレッシャーから、必ずしも理想的でない入居者を受け入れざるを得ない場合があります。しかし、自分で選ぶことで、より慎重に入居者を吟味できます。

例えば、長期入居を希望する人や、物件を大切に使ってくれそうな人を優先的に選ぶことが可能です。また、直接コミュニケーションを取ることで、入居者の人柄や生活スタイルをより深く理解できます。

このように、適切な入居者を選ぶことで、将来的なトラブルのリスクを軽減し、安定した賃貸経営につながる可能性が高まります。

賃貸経営のノウハウが身につく

自分で客付けを行うことで、賃貸経営に関する実践的なノウハウを身につけることが可能です。

物件の効果的な紹介の仕方や適切な家賃設定、効果的な広告戦略など、多岐にわたる知識と経験を積むことができます。これらのスキルは、将来的な物件運営や新たな投資判断に大いに役立ちます。

また、市場動向や競合物件の状況を直接把握することで、より的確な経営判断が可能です。例えば、需要の変化に応じて迅速に家賃を調整したり、人気の設備を追加したりするなど、柔軟な対応ができるようになります。

このような経験は、不動産投資のプロフェッショナルとしての成長につながり、長期的な投資成功の鍵となります。

デメリット

一方で、自分で客付けを行うことには、時間と労力の負担、専門知識の必要性、入居者獲得機会の制限、そしてトラブル対応の責任など、考慮すべき課題があります。

ここでは、自分で客付けを行うデメリットについて詳しく解説します。

労力がかかる

自分で客付けを行う最大のデメリットは、膨大な時間と労力が必要になることです。

物件の写真撮影や広告作成から始まり、問い合わせへの対応、内見の案内、契約手続きまで、全てを自分で行う必要があり、複数の物件を所有している場合、この負担は大幅に増えます。

また、夜間や休日の問い合わせにも対応しなければならない場合もあるため、プライベートの時間が削られる可能性があります。

このように、時間と労力を他の仕事や投資活動にあてられない状況になると、機会損失につながる可能性も考えられるため、自主管理をする際の計画は入念にしておくことが重要です。

専門知識が必要

効果的な客付けを行うためには、不動産市場や賃貸契約に関する専門的な知識が必要不可欠です。

例えば、適切な家賃設定、契約書の作成、重要事項説明など、法律や市場動向に関する深い理解が求められます。これらの知識が不足していると、トラブルの原因になったり、効率的な客付けができなかったりする場合があります。

また、常に変化する法律や規制に対応するため、継続的な学習が必要です。法律の改正に対応できなかった場合、法的リスクを負う可能性もあります。

専門知識の習得には時間がかかり、場合によっては専門家のアドバイスを受ける必要があるため、追加のコストが発生することもあります。

入居者獲得の機会が減る

自分で客付けを行う場合、不動産会社を通じたネットワークを利用できないため、入居者を見つける機会が減る可能性があります。

例えば、転勤や進学で引っ越しを考えている人は、不動産会社に相談することが多いため、自分で客付けを行っている物件は、このような層にリーチしにくいです。

また、不動産会社は法人契約のニーズも把握しているため、安定した長期入居が見込める企業との契約機会も逃す可能性があります。結果として、空室期間の長引きや、理想的な入居者を見つけるのに時間がかかるリスクが高まります。

不動産会社が対応してくれる客付け業務とは?

不動産投資家が自ら入居者を探すのは容易ではありません。本業であっても、事務作業以外に多くの時間や手間が生じます。副業として行うのであれば、さらに本業との兼ね合いで時間的な余裕がなくなります。

時間や手間をかけられない方は、多少の費用をかけてでも不動産会社への依頼がおすすめです。不動産会社が対応してくれる客付け業務は入居者探しに留まらず多岐にわたります。

物件情報の掲載

集客のために、物件情報をさまざまなメディアに掲載します。不動産会社のウェブサイトや物件情報を集めたポータルサイトなど、インターネット上に掲載してくれたり、チラシを配布してくれたりすることもあります。

他には不動産会社ならではのネットワークを活用して、同業他社との連携による集客も期待できます。

掲載する情報は、主に物件の間取りや家賃、最寄り駅からの所要時間などです。「風呂・トイレ別」「屋内洗濯機置き場」「ペット相談可」など、物件の魅力情報も掲載してくれます。

入居希望者への対応

物件情報を見て来店したり、ウェブサイトから問い合わせメールを送ったりした顧客の対応も行ってくれます。物件が気になっている顧客から具体的なニーズを聞き出し、内見の案内も対応します。

接客の中で不動産オーナーと交渉の必要が生じた場合、客付け業者が直接やり取りすることはできません。元付け業者を間に挟んで交渉することとなります。

入居者審査・契約

内見後に顧客が入居を希望した場合、入居申し込みの対応も行います。家賃の支払い能力があるか、不動産オーナーが提示する条件を満たしているかなど、入居者審査を行います。

入居者審査で問題ないと判断されれば契約締結です。

客付けを不動産会社に依頼する際の仲介手数料

客付けを不動産会社に依頼するときに生じる費用が仲介手数料です。一口に仲介手数料といっても依頼先によって仕組みが異なる場合もあります。

仲介手数料が発生するタイミング

仲介手数料は、賃貸借契約が成立したタイミングで発生します。ここで注意したいのが、仲介手数料を入居者と貸主のどちらが支払うかです。

契約内容によっては入居者と貸主の両方が支払う場合や、入居者または貸主のいずれか一方のみが支払うこともあります。

物件の中には「仲介手数料無料」「初期費用0円」など費用面で差別化している競合もあります。仲介手数料を入居者が負担する仕組みだと、入居希望者が競合の方へ流れていくおそれがあります。仲介手数料の支払い元は、競合も調べたうえで慎重に判断しましょう。

仲介手数料の相場

賃貸借契約が締結したときの仲介手数料は、物件ごとに異なります。宅建業法によって、仲介手数料の上限は家賃1か月分までと定められているためです。仮に家賃10万円の物件に入居が決まった場合は、最大10万円が仲介手数料として請求されます。

前述のとおり、仲介手数料は入居者と貸主の両方が支払う場合もあります。それぞれが支払う場合は折半することとなり、最大で0.5か月分ずつです。

信頼できる客付け不動産会社を選ぶコツ5つ

不動産会社に客付けを任せるときは、信頼できるところに任せることが大切です。安易に丸投げすると実績目的で質の悪い入居者を入れられたり、トラブルを放置されたりするおそれがあります。

入居者の質は、物件そのものの価値も左右する大きな要素です。質の良い入居者を紹介してもらうためにも、信頼関係を構築できるような不動産会社を選びましょう。

不動産会社選びのポイントは下記の5つです。

不動産会社の得意分野を見極める

不動産会社ごとに、強みや特徴は異なります。例えば、大手の不動産会社は知名度が高いため集客力に優れており、遠方からの引越しにともなって入居先を探している顧客にアプローチしやすいのが特徴です。

一方、地場の不動産会社は対応エリアが限られている分、地元企業ゆえの情報を豊富に有しています。入居者のニーズに合った物件紹介をしたり、地域の特色を考慮した集客方法をオーナーに提案したりしてくれます。

ただし、上記はあくまで傾向にすぎません。中には客付けに力を入れていない不動産会社もあるため、実際に問い合わせたときの対応やサービス内容も含めて総合的に判断しましょう。

取り扱い物件数をチェックする

知名度が高くても、エリア内の取り扱い物件数が少なければ集客力は期待できません。取り扱い物件数が豊富で写真や情報の掲載内容にも力を入れている不動産会社は、入居見込み者へのアプローチに期待できます。

顧客のニーズに合った物件を紹介でき、的確に魅力を伝えてくれるため、入居申し込みにつながりやすいのが特徴です。

アクセスしやすい立地にあるか確認する

顧客の多くは、インターネットで情報収集した後に実店舗へ足を運びます。内見したり掘り出し物件はないか調べてもらったりと、実店舗に行くことで多くの情報から慎重に物件選びできるためです。

そのため、客付けを依頼する不動産会社の実店舗は、好アクセスな立地であることが重要です。アクセスが悪い立地にあると、面倒に感じて候補から外されてしまうおそれがあります。

入居審査方法や審査基準を確認する

不動産会社は、客付けの実績に応じて仲介手数料を得ます。中には、1件でも多くの成約を取ろうと審査を甘くしたり契約に不備があるまま進めたりする不動産会社もあります。

入居者の実績が多くても、審査や契約がルーズではトラブルが生じかねません。トラブルリスクを軽減するためには、入居審査方法や審査基準を必ず確認しましょう。賃貸保証会社の信頼性なども重視すべきポイントです。

対応力に優れているかチェックする

委託先を選定する場合、もっとも重視すべきことは対応力です。質問や相談など、委託するうえで必要なことへのレスポンスが早い不動産会社を選びましょう。日頃のレスポンスが早い不動産会社であれば、トラブル発生時も素早い対応が期待できます。

家賃保証や修繕、管理など、総合的に対応してくれる不動産会社もおすすめです。トータルサポートを依頼できれば、一部の業務のみ他社に任せるなど余計な費用をかけることがありません。費用を抑えやすいうえ、いざというときの担当者間の連携もスムーズです。

まとめ

賃貸での不動産投資を行う場合、重要となるのが集客です。集客を委託する方法は、不動産会社に直接依頼する元付けと、間接的に依頼する客付けの2種類があります。オーナー自ら集客する方法もありますが、不動産投資初心者の場合は、専門会社に任せる方が安心です。

ただし、客付け対応してくれる不動産会社の質はそれぞれ異なります。希望するサポートがあるか、信頼して長く付き合えるかどうかを慎重に判断することが大切です。