不動産投資は「客付け」が重要!自主管理の方法と不動産会社の選び方

不動産投資は、家賃収入によって継続的に安定した収入が見込める投資です。しかし、安定的かつ継続して収益を得るためには客付けが欠かせません。 不動産投資で収益を得る方法は、物件を安く買って高く売り売却益を狙う方法(キャピタルゲイン)と、物件購入後、一定期間賃貸で収益を得てから売却を検討する方法(インカムゲイン)の2種類です。 ここでは不動産投資における客付けの重要性や、専門会社へ委託するときのポイントを紹介します。

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「客付け」とは?不動産投資での重要性

賃貸による不動産投資のメリットは、長期的に安定した収益を出せる点です。ただし、想定通りの収益を得るためには、物件の空室率を下げる必要があります。

物件の空室を解消する方法として欠かせないのが客付けです。

客付けの意味

不動産売買の場面では、「客付け」や「元付け」の単語がよく使用されています。客付けとは、不動産売買や賃貸の契約対象となる顧客を見つけてくる業務のことです。客付けを行っている不動産会社のことを、客付け業者と呼びます。元付けも、不動産売買や賃貸の顧客を見つけることを指します。しかし、元付けは間に業者を挟まず、不動産オーナーから直接顧客を見つけてくることを委託されています。

一方の客付けは、不動産オーナーではなく元付け業者に顧客を紹介するのが仕事です。不動産オーナーと客付け業者、元付け業者の関係は、下記のように整理できます。

不動産オーナー

↓(元付けを依頼)

元付け業者

↓(客付けを依頼)

客付け業者

客付け業者にあたる不動産会社は、元付け業者に買主や借主を紹介するため、不動産オーナーと直接的にやり取りすることがありません。

客付けの重要性

客付けは、専門知識を有する不動産会社に任せられるため、スムーズに借主を見つけられるメリットがあります。

前述したように、賃貸で不動産投資を行う場合の収入源は家賃収入です。家賃は、所有する物件に入居者がいなければ入りません。どんなに良い物件でも客付けを行わなくては空室が生まれ、収益が出るどころか固定資産税など支出によって収益がマイナスとなってしまいます。

短期間で効率的に入居者を得るためにも、客付けに注力することが重要です。

【自主管理】自分で客付けする方法

客付けは、専門業者に頼らず不動産オーナーが自ら行うこともできます。自分で客付けする場合、物件の目立つ場所に「入居者募集中」の張り紙をする他、SNSで大々的にアピールする方法があります。

SNSは拡散力に優れており、近年は不動産をはじめ、さまざまな商品・サービスのPRに活用されているプラットフォームです。一方で、PR方法や書き方によってはユーザーの反感を買ったり炎上したりするリスクがあります。活用する際は、誤解を与えないように注意しましょう。

他には、個人が利用できる不動産情報サイトへの掲載も効果的です。いずれの方法も狙ったターゲットに情報が届くように配慮することが重要です。

張り紙は敷地の外からも見える位置に貼り、掲載する情報は分かりやすく書きましょう。写真も掲載するときは、全体的に明るい印象となるように意識して、きれいに撮影するのがポイントです。

【自主管理】自分で客付けするメリット・デメリット

自分で客付けすると、メリットがある一方でデメリットも生じます。不動産会社に完全に委託するか自分で客付けするかは、メリットとデメリットの両方を考慮して決めることが大切です。

自分で客付けする場合に考えられるメリットとデメリットは、次のとおりです。

メリット

入居者探しや選別に、オーナーの意思を反映させられます。不動産オーナー自ら客付けや選別を行えば、ファミリー層など長期入居が期待できる入居者を選んだり、不安のある希望者を断ったりできます。

一方で、不動産会社に委託すると提示した条件を元に担当者が代理で客付けや選別を行うため、不動産オーナーはどのような人が借主になるのか把握しにくくなります。

デメリット

不動産会社に委託しないデメリットとして、第一に挙げられるのが労力です。

入居者が決まった後も契約や更新手続き、家賃集金などに手間もかかります。入居者の選別も自身で行うため、不動産投資初心者にはハードルの高い方法です。

スムーズに客付けするためには、不動産オーナー自ら賃貸借契約に関する知識を得ておく必要もあります。

不動産会社が対応してくれる客付け業務とは?

不動産投資家が自ら入居者を探すのは容易ではありません。本業であっても、事務作業以外に多くの時間や手間が生じます。副業として行うのであれば、さらに本業との兼ね合いで時間的な余裕がなくなります。

時間や手間をかけられない方は、多少の費用をかけてでも不動産会社への依頼がおすすめです。不動産会社が対応してくれる客付け業務は入居者探しに留まらず多岐にわたります。

物件情報の掲載

集客のために、物件情報をさまざまなメディアに掲載します。不動産会社のウェブサイトや物件情報を集めたポータルサイトなど、インターネット上に掲載してくれたり、チラシを配布してくれたりすることもあります。

他には不動産会社ならではのネットワークを活用して、同業他社との連携による集客も期待できます。

掲載する情報は、主に物件の間取りや家賃、最寄り駅からの所要時間などです。「風呂・トイレ別」「屋内洗濯機置き場」「ペット相談可」など、物件の魅力情報も掲載してくれます。

入居希望者への対応

物件情報を見て来店したり、ウェブサイトから問い合わせメールを送ったりした顧客の対応も行ってくれます。物件が気になっている顧客から具体的なニーズを聞き出し、内見の案内も対応します。

接客の中で不動産オーナーと交渉の必要が生じた場合、客付け業者が直接やり取りすることはできません。元付け業者を間に挟んで交渉することとなります。

入居者審査・契約

内見後に顧客が入居を希望した場合、入居申し込みの対応も行います。家賃の支払い能力があるか、不動産オーナーが提示する条件を満たしているかなど、入居者審査を行います。

入居者審査で問題ないと判断されれば契約締結です。

客付けを不動産会社に依頼する際の仲介手数料

客付けを不動産会社に依頼するときに生じる費用が仲介手数料です。一口に仲介手数料といっても依頼先によって仕組みが異なる場合もあります。

仲介手数料が発生するタイミング

仲介手数料は、賃貸借契約が成立したタイミングで発生します。ここで注意したいのが、仲介手数料を入居者と貸主のどちらが支払うかです。

契約内容によっては入居者と貸主の両方が支払う場合や、入居者または貸主のいずれか一方のみが支払うこともあります。

物件の中には「仲介手数料無料」「初期費用0円」など費用面で差別化している競合もあります。仲介手数料を入居者が負担する仕組みだと、入居希望者が競合の方へ流れていくおそれがあります。仲介手数料の支払い元は、競合も調べたうえで慎重に判断しましょう。

仲介手数料の相場

賃貸借契約が締結したときの仲介手数料は、物件ごとに異なります。宅建業法によって、仲介手数料の上限は家賃1か月分までと定められているためです。仮に家賃10万円の物件に入居が決まった場合は、最大10万円が仲介手数料として請求されます。

前述のとおり、仲介手数料は入居者と貸主の両方が支払う場合もあります。それぞれが支払う場合は折半することとなり、最大で0.5か月分ずつです。

信頼できる客付け不動産会社を選ぶコツ5つ

不動産会社に客付けを任せるときは、信頼できるところに任せることが大切です。安易に丸投げすると実績目的で質の悪い入居者を入れられたり、トラブルを放置されたりするおそれがあります。

入居者の質は、物件そのものの価値も左右する大きな要素です。質の良い入居者を紹介してもらうためにも、信頼関係を構築できるような不動産会社を選びましょう。

不動産会社選びのポイントは下記の5つです。

不動産会社の得意分野を見極める

不動産会社ごとに、強みや特徴は異なります。例えば、大手の不動産会社は知名度が高いため集客力に優れており、遠方からの引越しにともなって入居先を探している顧客にアプローチしやすいのが特徴です。

一方、地場の不動産会社は対応エリアが限られている分、地元企業ゆえの情報を豊富に有しています。入居者のニーズに合った物件紹介をしたり、地域の特色を考慮した集客方法をオーナーに提案したりしてくれます。

ただし、上記はあくまで傾向にすぎません。中には客付けに力を入れていない不動産会社もあるため、実際に問い合わせたときの対応やサービス内容も含めて総合的に判断しましょう。

取り扱い物件数をチェックする

知名度が高くても、エリア内の取り扱い物件数が少なければ集客力は期待できません。取り扱い物件数が豊富で写真や情報の掲載内容にも力を入れている不動産会社は、入居見込み者へのアプローチに期待できます。

顧客のニーズに合った物件を紹介でき、的確に魅力を伝えてくれるため、入居申し込みにつながりやすいのが特徴です。

アクセスしやすい立地にあるか確認する

顧客の多くは、インターネットで情報収集した後に実店舗へ足を運びます。内見したり掘り出し物件はないか調べてもらったりと、実店舗に行くことで多くの情報から慎重に物件選びできるためです。

そのため、客付けを依頼する不動産会社の実店舗は、好アクセスな立地であることが重要です。アクセスが悪い立地にあると、面倒に感じて候補から外されてしまうおそれがあります。

入居審査方法や審査基準を確認する

不動産会社は、客付けの実績に応じて仲介手数料を得ます。中には、1件でも多くの成約を取ろうと審査を甘くしたり契約に不備があるまま進めたりする不動産会社もあります。

入居者の実績が多くても、審査や契約がルーズではトラブルが生じかねません。トラブルリスクを軽減するためには、入居審査方法や審査基準を必ず確認しましょう。賃貸保証会社の信頼性なども重視すべきポイントです。

対応力に優れているかチェックする

委託先を選定する場合、もっとも重視すべきことは対応力です。質問や相談など、委託するうえで必要なことへのレスポンスが早い不動産会社を選びましょう。日頃のレスポンスが早い不動産会社であれば、トラブル発生時も素早い対応が期待できます。

家賃保証や修繕、管理など、総合的に対応してくれる不動産会社もおすすめです。トータルサポートを依頼できれば、一部の業務のみ他社に任せるなど余計な費用をかけることがありません。費用を抑えやすいうえ、いざというときの担当者間の連携もスムーズです。

まとめ

賃貸での不動産投資を行う場合、重要となるのが集客です。集客を委託する方法は、不動産会社に直接依頼する元付けと、間接的に依頼する客付けの2種類があります。オーナー自ら集客する方法もありますが、不動産投資初心者の場合は、専門会社に任せる方が安心です。

ただし、客付け対応してくれる不動産会社の質はそれぞれ異なります。希望するサポートがあるか、信頼して長く付き合えるかどうかを慎重に判断することが大切です。