目次
コンパクトマンション投資とは
コンパクトマンションとは、ワンルームとファミリータイプの中間に位置する物件を指します。広さや間取りに明確な定義はないものの、一般的には30㎡〜50㎡程度の物件が中心です。
入居者のターゲットには単身世帯のほか、子どものいない夫婦や同棲カップルなども含まれます。インターネット回線や宅配ボックスなど設備が整っており、暮らしやすい部屋を求める人から人気が高まっていることも特徴です。
ただし、ワンルームより物件数が少なく、さらには都心部に集中しています。
コンパクトマンションの定義
コンパクトマンションは以下のような特徴を持つ物件が該当します。
専有面積 | 30㎡〜50㎡ |
間取り | 1LDK~2LDK |
立地 | 都心部や駅チカなど好立地な場合が多い |
設備 | 宅配ボックスや浴室乾燥機、防犯カメラやオートロックなどが充実している場合が多い |
明確な定義はありませんが、コンパクトマンションはワンルームマンションより広く、ファミリータイプより狭い物件を指すことが多いです。
単身者だけでなく、子どものいない夫婦、共働きの夫婦、シニア世代など幅広い層から人気を集めています。
暮らしやすさを重視していることから、都心部や駅チカなど、通勤に便利な好立地に位置している場合が多いです。
また、コンパクトマンションは、宅配ボックスや浴室乾燥機などの設備、防犯カメラやオートロックなどのセキュリティ面が充実している物件が多いのも特徴です。
特に仕事とプライベートを充実させるDINKs(子どものいない共働き夫婦)からは、高いニーズを期待できるでしょう。
コンパクトマンション投資のターゲット
コンパクトマンション投資のターゲットは多種多様です。
専有面積が30㎡〜50㎡のコンパクトマンションの間取りは1LDK~2LDKがメインとなっており、単身者やDINKs、シニア層など幅広い層がターゲットとなるでしょう。
例えば、以下のような方から高いニーズを見込めます。
・住宅設備の整った環境で生活したい単身者
・子どものいない共働き夫婦
・ファミリータイプの物件よりもコストを抑えたいと考えているシニア層
・立地が良く生活面で利便性を重視するシニア層
このように幅広い層をターゲットにできるのがコンパクトマンションの強みです。
ワンルームマンションであれば単身者、ファミリータイプであれば世帯人数の多いファミリー層のようにターゲットが絞られないため、空室率が高くなるリスクを防げます。
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2023年におけるコンパクトマンションのシェア率は13.5%
株式会社不動産経済研究所のデータによると、2023年の首都圏コンパクトマンションのシェア率は13.5%です。
全マンション発売戸数2万6,886戸に対して、コンパクトマンションの発売数は3,617戸にのぼり、大きなシェア率を占めています。
過去11年の首都圏・近畿圏のコンパクトマンションのシェア率の推移は以下の通りです。
年度 | 首都圏発売戸数 | シェア率 | 近畿圏発売戸数 | シェア率 |
2013年 | 2,016戸 | 5.2% | 877戸 | 3.6% |
2014年 | 1,647戸 | 3.7% | 710戸 | 3.8% |
2015年 | 1,798戸 | 4.4% | 817戸 | 4.3% |
2016年 | 2,236戸 | 6.3% | 825戸 | 4.4% |
2017年 | 2,697戸 | 7.5% | 682戸 | 3.5% |
2018年 | 3,237戸 | 8.7% | 1,150戸 | 5.5% |
2019年 | 2,798戸 | 9.0% | 1,003戸 | 5.6% |
2020年 | 3,498戸 | 12.8% | 997戸 | 6.6% |
2021年 | 3,663戸 | 10.9% | 1,265戸 | 6.7% |
2022年 | 3,357戸 | 11.4% | 1,202戸 | 6.7% |
2023年 | 3,617戸 | 13.5% | 1,251戸 | 8.7% |
2019年までの首都圏シェア率は10%を切っている状況だったものの、2020年以降からは10%以上のシェア率をキープしています。
また、発売戸数自体も増加傾向にあり、このことからもコンパクトマンションの需要が高まっていることが分かります。
過去11年の傾向を見ても、コンパクトマンションの需要は今後も高まる可能性が十分に考えられるため、空室リスクの防止や出口戦略の考えやすい物件だといえるでしょう。
また、近畿圏でも同様にコンパクトマンションのシェア率は上昇傾向にあります。首都圏のシェア率には及ばないものの、2023年には全体の8.7%を占めています。
ただし、コンパクトマンションの発売戸数を考えると、近畿圏よりも首都圏で不動産投資を始めたほうが有利になる可能性が高いといえるでしょう。
コンパクトマンションの平均価格
ここでは、コンパクトマンションの平均価格を首都圏と近畿圏に分けて解説します。
首都圏のコンパクトマンションの平均価格は5,111万円
2023年における首都圏のコンパクトマンションの平均価格は5,111万円です。
ファミリータイプのマンションよりは専有面積が狭いためコストを抑えられるものの、年々上昇傾向にあります。
過去11年のコンパクトマンション平均価格と専有面積の推移は以下の通りです。
年度 | 平均価格 | 平均専有面積 |
2013年 | 3,717万円 | 40.35㎡ |
2014年 | 3,910万円 | 41.34㎡ |
2015年 | 4,354万円 | 40.54㎡ |
2016年 | 4,190万円 | 39.46㎡ |
2017年 | 4,256万円 | 38.90㎡ |
2018年 | 4,439万円 | 38.50㎡ |
2019年 | 4,418万円 | 38.44㎡ |
2022年 | 4,272万円 | 37.30㎡ |
2021年 | 4,311万円 | 37.71㎡ |
2022年 | 4,771万円 | 38.09㎡ |
2023年 | 5,111万円 | 39.03㎡ |
出典元:株式会社 不動産経済研究所(首都圏・近畿圏コンパクトマンション(専有面積30㎡以上50㎡未満)供給動向)
2013年には、4,000万円を切る価格でコンパクトマンションを購入できたにも関わらず、現在は約1,300万円も平均価格が上昇しています。
また、コンパクトマンションの平均専有面積も縮小傾向にあり、㎡あたりの単価が大きく高騰しています。
2013年の㎡あたりの単価は約92万円、2023年の㎡あたりの単価は約130万円です。
シェア率は上昇しているものの、10年前と比較するとコンパクトマンションで不動産投資を始めるためには、ある程度の資金が必要になるといえるでしょう。
近畿圏のコンパクトマンションの平均価格は3,651万円
2023年における近畿圏のコンパクトマンションの平均価格は3,651万円です。首都圏の平均価格と比較すると、大きな差が顕著に現れています。
過去11年のコンパクトマンション平均価格と専有面積の推移は以下の通りです。
年度 | 平均価格 | 平均専有面積 |
2013年 | 2,396万円 | 40.84㎡ |
2014年 | 2,440万円 | 42.09㎡ |
2015年 | 2,606万円 | 40.10㎡ |
2016年 | 2,767万円 | 39.19㎡ |
2017年 | 2,996万円 | 39.84㎡ |
2018年 | 3,030万円 | 39.18㎡ |
2019年 | 3,041万円 | 38.21㎡ |
2022年 | 3,285万円 | 37.96㎡ |
2021年 | 3,378万円 | 38.27㎡ |
2022年 | 3,642万円 | 39.61㎡ |
2023年 | 3,651万円 | 38.90㎡ |
出典元:株式会社 不動産経済研究所(首都圏・近畿圏コンパクトマンション(専有面積30㎡以上50㎡未満)供給動向)
首都圏と同様に、10年間で平均価格の上昇と専有面積の縮小傾向が見られます。
2013年の㎡あたりの単価は約58万円、2023年の㎡あたりの単価は93万円です。2023年は首都圏の2013年㎡あたりの単価とほぼ同額となっています。
首都圏よりもコストを抑えて不動産投資を始められますが、地価高騰などの影響によって今後も平均価格が上昇する可能性があるため、上昇を見据えて早い段階で物件購入を検討するのもおすすめです。
コンパクトマンションで不動産投資するメリット
ここでは、コンパクトマンションで不動産投資するメリットを紹介します。
なぜワンルームやファミリータイプではなく、コンパクトマンションを選択する人がいるのか、主な理由を解説します。
幅広いニーズが期待できる
コンパクトマンションは暮らしやすさに焦点を当てているため、立地・設備の良さが特徴です。そのため、「年収の高い独身世帯」「仕事とプライベートを上手に両立したい子どもがいない夫婦」「利便性を重視する高齢者」など幅広いニーズが期待できます。
一方で、ワンルームやファミリータイプは、それぞれ「家賃の安さを優先する独身世帯」「子どものいる世帯」などターゲットが限定されてしまいます。空室率対策や出口戦略を考えるのであれば、ターゲットが広いコンパクトマンションは十分にメリットが見込める物件です。
資産価値が下がりにくい
コンパクトマンションは人気のある都心エリアや駅の近くに建てられていることが多く、大幅な資産価値の減少が起きにくいとされています。築年数が経っても人気を維持しやすく、空室リスクを抑えられるでしょう。
区分マンションであれば物件そのものに高級感があり、周囲の相場以上に高めの家賃設定ができるかもしれません。収益化を目指すときに、コンパクトマンションならではの良さが活きてくるのです。
長期間の入居が期待できる
コンパクトマンションはライフプランの変化による出入りの激しい単身者だけでなく、安定した生活基盤を築いているDINKsなどもターゲットにできます。長期間の入居を期待でき、空室になってしまうリスクを抑えやすいのです。
入退去の手続きにかかる手間も削減しやすく、効率良く不動産投資できる期待が高まります。
反対に、単身者や学生をメインターゲットにするワンルームでは、年度の切り替わりに応じて入退去が激しくなる傾向があります。回転率が高くて新たな入居者を安定確保しやすいエリアでも、1~2ヶ月間の空室が後々大きな差となって現れることも多いのです。
初期費用を抑えられる
コンパクトマンションは、ファミリータイプの物件と同等の立地・設備が整っていながらも、販売価格が安いので初期費用を抑えられます。魅力的な物件を安く購入したい不動産投資家にとって、コンパクトマンションは魅力的です。
さまざまな出口戦略を検討しやすい
不動産投資用にコンパクトマンションを購入した場合、さまざまな出口戦略を検討しやすい点がメリットとして挙げられます。
不動産投資の主な出口戦略は以下の通りです。
・物件を売却する
・投資用物件としてそのまま運用する
・物件を相続する
・自ら居住する
一般的な不動産投資物件では、物件を売却する出口戦略を選ぶ方がほとんどです。
物件購入費用から家賃収入や売却益を差し引き、最終的な収支がプラスとなれば出口戦略の成功となります。
ただし、物件の形態によっては売却が難しいケースも少なくありません。
例えば、ワンルームマンションの場合は住居用として購入する方が少ないため、不動産投資用として売却を考える必要性もでてきてしまいます。
一方、コンパクトマンションは暮らしやすさに焦点を当て、幅広い層からのニーズを期待できるため、売却などの出口戦略を計画しやすいメリットがあります。
30㎡〜50㎡程度のコンパクトマンションは自ら居住する場合でも検討しやすいため、出口戦略が豊富だといえるでしょう。
不動産投資でコンパクトマンションを選ぶデメリット
ここからは、不動産投資でコンパクトマンションを選ぶデメリットを解説します。
慎重な判断をするためにメリットだけでなくデメリットも理解しておきましょう。
割高な物件もある
立地や設備の良いコンパクトマンションは、広さの割に高額な物件もあるので注意が必要です。
また、立地面などを重視するため、大きな建物に挟まれたスペースに建てられているなど、真四角な整形地とは限りません。面積あたりの価格が割高になりやすい、全体に対して水回りが占める割合が大きいなども代表的なデメリットです。
エリアのニーズに合わないリスクがある
コンパクトマンション自体は魅力的な物件タイプですが、必ずしもエリアのニーズに合致するとは限りません。ニーズに合わないリスクを理解したうえで、検討材料に加えましょう。
例えば、大学やオフィス街が近い場合、安めの家賃で短期間利用できるワンルームの需要が高くなります。また、小中学校・商業施設が近い場合、ファミリータイプの需要が高くなると予想できます。
コンパクトマンションは、ワンルームを求める人からは広く、ファミリー層には手狭すぎると受け取られる場合があります。どのような層にコンパクトマンションのニーズがあるかを分析し、人気がありそうなエリアを選定しましょう。
管理組合が機能しないリスクがある
コンパクトマンションに注目している不動産投資家は多く、オーナーのほとんどが不動産投資家という物件も多いです。その場合、実際に住んでいる人とオーナーが異なるので、管理組合が十分に機能しないおそれがあります。
管理組合が機能しなければ管理や修繕の計画が十分に立たず、管理状況が悪ければ資産価値が下落しやすくなってしまうのです。コンパクトマンションは戸数が少ない分、修繕費の積み立てが難しくなるケースもあることを知っておきましょう。
投資用にコンパクトマンションを購入するときのポイント
最後に、不動産投資用にコンパクトマンションを購入するときのポイントを解説します。下記を押さえて、理想に近い物件を取得できるよう対策しておきましょう。
資産価値を重視して選ぶ
コンパクトマンションは、将来的な資産価値も重視しながら選定するのが重要です。資産価値の高い物件であれば、最終的に売却するなど出口戦略が豊富になります。空室リスクも軽減しやすく、効率の良い不動産投資ができる確率が高まります。
反対に、将来的に自分が住むことを前提に投資用コンパクトマンションを検討するのはおすすめできません。どうしても「自分の好みに合うか」を重視しやすくなり、投資観点が抜け落ちやすくなるので注意が必要です。
住宅ローン減税の対象か確認する
コンパクトマンションの場合、床面積次第では住宅ローン減税の対象にならないおそれがあります。2021年に住宅ローン減税の対象が緩和され、床面積50㎡以上から床面積40㎡以上の物件に適用されるようになりました。
ただし、コンパクトマンションは40㎡未満であるケースも多く、減税の対象外になってしまうこともあるため、減税制度を利用する場合は注意しましょう。カタログではなく実際の登記簿も見ながら面積を調査し、正確な判断をするのが重要です。
賃貸比率が低い物件を選ぶ
コンパクトマンションで不動産投資する場合、賃貸比率の低い物件を優先するのがおすすめです。
オーナー自ら住んでいる戸数より賃貸戸数が多いコンパクトマンションでは、前述したような管理組合の機能不全が起こりやすくなります。自分が住んでいないため修繕やルールへの関心が低くなりやすく、共有部が荒れてしまうかもしれません。
また、入退去が頻繁に発生すれば治安が悪くなったり、建物自体の評判が悪くなったりします。
コンパクトマンションのニーズにあったエリアの物件を選ぶ
コンパクトマンションを購入する際は、エリアのニーズにあった物件を選ぶことが大切です。
コンパクトマンションに限らず全物件で共通しますが、エリアのニーズにあっていない物件は空室率が高まり、運用が難しくなってしまいます。
学生の多いエリアやファミリー層の多いエリアでコンパクトマンションを購入しても、入居者のニーズとマッチしないため、入居者がなかなか集まらないでしょう。
コンパクトマンションは、どのような方からニーズがあるのかを理解したうえでエリアを選んでください。
例えば、単身者や共働きの世帯が多く、アクセス面に優れたエリアがコンパクトマンション投資に向いているエリアです。
まとめ
コンパクトマンションは30㎡〜50㎡ほどの物件を指し、単身者やDINKs(子どものいない共働き夫婦)、シニア層などさまざまな層をターゲットにしています。
物件の平均価格は上昇傾向にあるものの、資産価値の下落が起きにくく、さまざまな出口戦略を立てやすいため、不動産投資に向いている物件です。
ただし、賃貸比率が高い傾向があり、管理組合の機能不全などのリスクが発生しやすいデメリットもあるため、十分に比較検討していくことが大切になるでしょう。
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コンパクトマンションの不動産投資を検討している方は、まずはお気軽にご相談ください。