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ますます膨張する日本・世界経済
近年では株価・地価・首都圏マンション価格、代表的な経済の多くの指標が上昇しています。ちなみに2013年と2024年とでは日経平均株価が約3.25倍、地価が(全国ベースの公示地価で約1.4倍、首都圏新築マンション価格は1.6倍に上昇しました。この背景には2013年より始まった異次元の金融緩和が大きな要因となっています。
私達の日常生活においては生鮮食品を始めとする身の回りの諸物価の値上がりに翻弄されがちですが、マクロの視点で見た動きを見ると、改めて驚くばかりです。ちなみに2013年に850兆程度の通貨供給量(M2)は2024年においては1200兆を超える水準となっています。つまり異次元緩和により私達の国内において驚く程大量の通貨が出回っている訳です。
またこれを地球規模の視点で見てみると、この地球上には京の単位の資産、通貨がこの地球上をぐるぐる回っている訳です。かつて昭和元年には公務員の初任給が約100円であった時代から、現在では多くの企業が初任給30万円超えとなっています。つまり供給される通貨量と共に株価、地価、不動産価格が上昇するのはごく自然な成り行きとなっているのではないでしょうか。
今後も物価が上がる理由は?
今から数年前からマンションなど住宅の工事現場において人手が足りないという問題が顕在化し始めてきました。現場で働く高いスキルを持った技能工さんを始めとするベテランの職人さんの多くが高齢化により引退してきましたが過酷な現場で働きたいという若いなり手がなかなか集まらないという事です。また飲食店を始めとするサービス業なども同様で、ファミリーレストランなどの飲食店においてはAIロボットを導入した戦略も加速しています。
またバスの運転手・タクシードライバーなどの人手不足も深刻化しています。例えば幼稚園の送迎をして頂ける送迎バス、また介護施設などへの送迎バス、また日常的な街中のバスの運転手なども不足しています。
自動車の自動運転、はまだまだ現実的ではなく、この人手不足がこれからも続く可能性はとても大きいと考えられます。
人口問題
日本は全国的に少子高齢化を迎えていますが、今後は地域格差がより鮮明化していく時代となります。
一口に人口と言っても、若年世帯人口、高齢世帯人口、夜間人口、昼間人口、外国人人口、労働人口、など様々な指標がありますが、これから不動産投資をする方にとって、大切な人口の指標はまず労働人口が挙げられます。
日本国内においては近年労働者人口が右肩上がりに実は増えつつあります。その背景には専業主婦の減少に伴う女性の労働力の増加、派遣から正社員に転じた正社員の増加、さらに65歳以上のシニア層の労働人口の増加、また近年著しく増えているのは外国人労働者人口です。つまり多少国内人口は減少したとしても労働者人口が増えているエリアは消費や住宅の需要拡大、当該エリアの地価の上昇など多くの側面から経済活動に寄与される訳です。
東京や横浜、名古屋、大阪、福岡などの中心エリアは労働市場を求めて転入超過も多く、近年顕著な例としては、熊本市の菊陽町エリア、札幌市の千歳エリアなど、半導体関連の企業の進出により莫大な経済効果をもたらしています。
家計の金融資産がついに2200兆円を超える
日銀が発表した2024年10~12月期の資金循環統計によると、2024年12月末時点の金融資産はなんと2230兆円と過去最高になりました。給料がなかなか上がらず物価が高騰する中で、金融資産が膨張していく現実には違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。
しかしこの金融資産が増大した最も大きい理由は株高を始めとする資産運用の効果と言えます。
これを国民一人当たりに換算すると約1,800万円となりますが、これはあくまでも平均であり、中央値ではありません。金融広報中央委員会の統計によると、20代の若い方々の36%が金融資産なしとなっています。逆に金融資産の多くを所有するのがシニア層です。
また皮肉な結果としてはNISAやiDeCoの投資を通じてマネーが国内から海外へ流出しているという実態も無視できません。例えばオルカン(オール・カントリー/全世界への株式投資)などがその代表例ですが、数兆円規模の円の流出が結果的に円を売りドルを買う事になりますので、円安を招いてまるでブーメランのように日本への物価高などの影響に直結しているという事です。
家計の金融資産
| 2023年 | 2024年 | ||||||
| 3月末 | 6月末 | 9月末 | 12月末 | 3月末 | 6月末 | 9月末 | 12月末 |
残高(兆円) | 2,053 | 2,114 | 2,121 | 2,144 | 2,186 | 2,212 | 2,179 | 2,230 |
<日銀「2024年第4四半期の資金循環(速報)」>
地価
国土交通省より最新の地価動向が発表されました。経済の回復、インバウンドの大幅な増加、海外からの投資、再開発など様々な要因で全国的に地価が上昇となりました。特に上昇が顕著なのが全国的にも商業地でした。
この要因としてはコロナが収束し、人流が活性化し企業においても在宅勤務から出社となり、都心都区部における商業施設における消費の活性化が一つの要因となっています。
また海外の富裕層による都心のタワーマンションへの投資、過去最高となったインバウンド需要によるホテルの需要増大による一泊料金の値上がり、さらに多くのエリアにおいて駅前の再開発、新駅、などによる街の資産価値の上昇を始めその要因は多岐に渡ります。一方、郊外、地方都市においては鉄道ネットワークを始めとする交通利便性の低下(減便、廃線)などの理由により土地の需要が低下する事による地価下落減少も見られます。
さらに急速な高齢化世帯の増加による土地の需要の減退など様々です。
つまり地価動向においてもまさに玉石混交・優勝劣敗の色合いがより鮮明化となりました。
また一方、人手不足による物流業界の発達に伴い倉庫を始めとする物流センターの需要拡大により工業地の地価も一部のエリアで上昇傾向となっています。
日本人は中国本土において土地を購入する事はできませんが、中国人の方々は日本のマンションや土地を購入する事ができます。
現在東京都内を見渡してみても、多くのエリアで中国人を始め多くの外国人が日本の土地を購入されています。管理や売買においても新たな法整備が必要な時代になってきているのではないかと考えます。
2025年も特に主要都市の都心部エリア、その周辺エリアにおいては地価が下がる要因はなかなか見当たらないと考えます。
大阪では2025年4月に大阪・関西万博が開幕となり、連日多くの人が訪れています。万博の影響もあり湾岸エリアの地価も上昇傾向となってきています。
さらに大阪「キタ」では「うめきた」の「グラングリーン大阪」の開業を始め、「ミナミ」などでも多くの大規模再開発が進行しています。今後は「なにわ筋線」や「リニア中央新幹線」などの開業が予定されており、こうした将来性からも地価の上昇基調が続いています。
公示地価 三大都市圏の地価変動率の推移
| 住 宅 地 | 商 業 地 | 工 業 地 | |||
| 2024年 | 2025年 | 2024年 | 2025年 | 2024年 | 2025年 |
東京圏 | 3.4% | 4.2% | 5.6% | 8.2% | 6.2% | 7.1% |
大阪圏 | 1.5% | 2.1% | 5.1% | 6.7% | 6.1% | 7.3% |
名古屋圏 | 2.8% | 2.3% | 4.3% | 3.8% | 4.1% | 3.9% |
<国土交通省「令和7年地価公示」>
東京のマンション価格上昇→大阪のマンション価格に出遅れ感
アベノミクス以降、最も金融緩和の影響を受けた二つの指標として、株価と住宅価格が挙げられます。日経平均株価は2013年約16,000円だったのが、直近では24,000円前後となっています。
また東京23区のマンション価格は2013年に東京都区部で5,853万円だったのが、2024年には 1億1,181万円と上昇してきています。同じマンションでも特に都心3区、都心6区の上昇幅が際立っており、都心3区においては2024年平均で1億9,105万円となっています。もはや一般のサラリーマン、・パワーカップルにおいても手が届かない水準となってきています。
では一体誰が都心のマンションを買っているのか、都心のタワーマンションの主要購入層は外国人投資家、特に英語圏以外のアジア系の富裕層が多くのシェアを占めているようです。
筆者は毎年台湾の不動産会社信義房屋(東京都渋谷区)の台湾人の社員様向けに東京都心エリアの住宅事情についての講演をさせて頂いていますが、昨年以来特に目立つのが、台北・台南などの富裕層の顧客が増えているという話です。
その背景には上昇したとは言え、まだまだ世界の主要都市と比較しても東京都心マンション価格の割安感があるという事、さらに台湾有事を想定して資産の移動も要因の一つと言えます。
では読者の皆様クイズを出します。
2025年10月に港区麻布台1-1-1に竣工する「麻布台ヒルズ(総戸数970戸)」の中にある専有面積33.44㎡のワンルームマンションの価格はいくらでしょうか。
正解は何と3億2,800万円です。筆者はバブル時代に大京という会社に在籍していましたが、当時でも1億を超えるワンルームマンションは存在していませんでした。
このような超都心エリアはまさに驚愕の価格帯を構成しているマーケットに化けている訳です。
今後はこのような市場が大阪など多く開発が見込めるエリアへ波及する可能性を帯びています。
マネーの行き先は?
昭和の時代の資産運用の行先は不動産か株式か、一定の利息が期待できる預貯金か、などに大別されていました。しかし近年では急激な金融工学の進化に伴い多くの資産運用の対象物が拡大されてきました。代表的な例としては仮想通貨などがあります。
但しマーケットが未成熟の投資対象は値動きがとても激しく安定した資産とは言い難いものがあります。仮想通貨などはたった1日で36兆円も買われたり、またその逆も当然あります。あまりにも先行きが期待されると思わぬ落とし穴もある訳です。世界経済に不透明感が漂う中、伝統的な投資対象である金価格が史上最高値を更新しています。
読者の皆さんが毎月払っていらっしゃる厚生年金などは公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用していますが、株式や投信信託、リートなど様々な投資で運用しています。
これからの時代に大切な事は、国民一人一人が財務戦略的に限られた生涯所得を効率よく運用していくという着眼点です。基本的な戦略としては歴史のある基盤がしっかりとした投資対象に軸足を置き、新しい投資対象は浅く広く試してみるという姿勢も大切かと考えます。
トランプ関税発動の影響とは?
2025年3月28日の日経平均株価は大きく値下がりしました。この背景にはトランプ関税発動ニュースの影響を受ける、特に輸出産業(自動車、幅広い部品・素材関連の収益にマイナスの影響が及ぶという憶測が影響しています。
果たしてこのトランプ関税は取引のためのツールなのか、恒久増税なのか不透明感が漂っていますが、トランプ大統領は本気の様子もうかがえます。
今年の春闘は勢いよくベースアップの結果となりましたが、4月5月6月の第一四半期の企業業績に影響が出た場合、企業にとってみれば人件費のコストアップと共に一定のダメージを受ける事になるかもしれません。
一方、投資家の目線から見ると、株式市場などにおいては大きな影響を受ける輸出主導型産業・外需産業から内需産業への投資の切り替えも当然の事ながら予想されます。
内需産業の柱の一つはサービス業、及びズバリ不動産業界です。
米国のトランプ大統領は4月3日に「相互関税」を発表し、日本は24%の関税税率と発表され、さらに中国が反発し報復関税を発表した事から株式市場にも影響があり株価が大きく下落しました。その後4月9日には一部停止が発表され、再び株価が上昇するなど株式市場は乱高下の様相を呈しています。
これは最近多くの人が投資しているNISAなどの投資信託にも影響があり、トランプ関税の影響で損を出しているケースも多いと考えられます。
将来のための資産運用を考えた場合は、こうした外的要因に左右されづらい「内需中心の投資」を推奨したします。内需産業は多くありますが、その主たるものはやまり「不動産」と言えるでしょう。特にマンション投資の場合は賃料も上昇傾向にあり、安定した投資として人気があります。
大阪が大きく発展していく中で大阪エリアの住宅需要も今後も増加する可能性も高いので、大阪エリアの住宅需要と不動産の資産価値も将来的に安定していると考えられます。