円安が不動産投資に与える影響とおすすめの対処法

不動産投資において円安はメリット・デメリットの両面があるため、双方を理解してリスクを最小限に抑えることが重要です。投資手法次第では円安のメリットを最大化できることから「むしろ不動産投資しやすくなった」と感じる方もいるようです。 今回は円安が不動産投資に与える影響について解説します。今後、資産運用を検討している方へ、円安のメリットを活かした不動産投資のコツも紹介します。

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円安が起こっている原因

急激な円安が起こっている原因として、日米の金融政策にギャップが生じていることが挙げられます。

アメリカでは歴史的なインフレを抑える目的で利上げが行われました。FRB(米連邦準備制度理事会)の議長が2022年8月に「物価上昇が落ち着くまで利上げを続ける」旨の発言をしており、今後もしばらく同じ状況が続くと予想されています。

一方、日本では新型コロナウイルス感染拡大により落ち込んだ景気を回復させるため、大規模金融緩和を進めて金利が下がっています。日米の2国間で金利差が開いているからこそ、円を売却してドルにしようとする動きが活発になりました。

結果的に円の価値が下がり、現在の円安が起きているのです。

不動産投資に円安がもたらす影響

 

不動産投資の観点からすると、円安はメリットとなる一方で、場合によってはデメリットにもなり得る事態です。物価高が続くので一般的にマイナスイメージの強い円安ですが、資産運用も視野に入れると全てがデメリットとは限りません。

下記では円安が不動産投資に与える影響を解説します。

円安がプラスに影響する理由

円安がプラスに作用する要素として、家賃収入増への期待が挙げられます。円安が続いてインフレが起きた場合、家賃を上げる環境が整います。「円安であれば仕方ない」と考える人も多いので、無理のない範囲で価格設定すれば多くの収入を得られるのです。

また、家賃を含む物価高騰を受け、あえて郊外の賃貸を検討する人が増加します。そのため郊外の安い物件の需要が伸びる可能性が高いです。該当する物件を保有できていれば効率良く空室対策ができるでしょう。

他にも海外の不動産に投資している場合は、為替レートの影響で恩恵を受けられるケースもあります。

円安がマイナスに影響する理由

家賃収入への期待が高まる一方で、円安がマイナスに影響する例として支出増が懸念されます。円安において不動産投資をする場合、物価高への注意が必要です。

例えば部屋をリフォームしてから貸す場合、材料費の高騰によりリフォーム代が想像以上に高くなる可能性があります。消耗品の経年劣化など後回しにできないリフォームも多いため、安易に工事を諦めれば済む問題とはいえないのが悩みどころです。

管理会社に支払う手数料が値上げされる可能性もあり、家賃収入を得られていてもローンの返済に回せる額が減少するかもしれないので注意しましょう。

また、「都心の物件は家賃が高くて手が出せない」と考える人が増え、エリアによっては空室率が高くなる傾向も出てきます。

入居者も物価高によって家賃に回せるお金が減り、家賃滞納が起きる可能性もあるので、家賃の引き上げは慎重に検討しなければなりません。

円安によるマイナスの影響を抑えるポイント

ここでは不動産投資において円安によるマイナスの影響を抑えるコツを解説します。

影響を最小限に抑えて、むしろ円安のメリットを得るためにも対策を学んでおきましょう。

キャピタルゲインよりインカムゲインを狙う

不動産投資におけるキャピタルゲインとは不動産の売却による利益のことです。円安においては不動産価格も含めて高騰する傾向にあるため、一見すると売却によるキャピタルゲインを狙った方が良いと感じるかもしれません。

しかし、不動産を取得したときより確実に資産価値がプラスになっているとは限らず、場合によっては円安でもマイナス収支になってしまうことがあります。無理にキャピタルゲインを狙うより、徐々に資産を成長させていくインカムゲインを狙った方が効果的なケースが多いのです。

インカムゲインとは、家賃収入を得て長期的な利益を得る手法です。円安により変化した入居者のニーズに対応できる物件であれば、空室リスクを抑えられます。

円安でも円高でも「住む場所」は必ず必要であることを考えると、時代のニーズに合った不動産投資物件を選ぶことが重要だとわかります。不安定な時代こそ安定収入を得ることにシフトすることがポイントです。

買いやすい物件を狙う

円安における不動産投資では、買いやすくニーズが高まりそうな物件を取得することが大切です。

東京23区内・駅チカ物件・築浅物件などいわゆる「好条件の物件」は、外国人投資家など一部の富裕層による購入が増加します。物価高の影響も受けて価格が吊り上がり、「手が出ない」と感じるかもしれません。

無理をして取得しても、円安中は高額な賃貸に住む人の割合が少なくなるおそれがあります。「条件が良い物件なのに空室率が高い」という思わぬ落とし穴に陥ることもあり得るので、本当に今買うべき物件なのか慎重に判断することが必要です。

物件の取得費用が高いと、その分管理費・共益費・固定資産税などのランニングコストも高くなります。ローンの返済プランに悪影響が出るおそれがあるため注意しましょう。

円安下では郊外にある比較的手の届きやすい物件や非公開物件など、安く購入できて今後ニーズが拡大する可能性のある物件を探す方が効率的です。

なお、ゼロ金利政策が続いている昨今、住宅ローン金利だけでなく不動産投資ローン金利も長期的に低く抑えられています。日銀総裁の任期が2023年4月までであり、今後の金融政策について正確な予想を立てるのは難しい状況です。そのため低金利を活用した不動産投資を始めるなら今が理想といえます。

物件価格の低下を待って機会を逃すより、現段階で手の届く物件を低金利のうちに取得しておいた方が、トータルで多くのメリットを得られるかもしれません。

なかには円安に合わせて不動産投資を始める人をサポートしてくれる不動産会社もあるので、「物件選定時に円安の影響を懸念している」と伝えてみましょう。専門家から情報収集することで、効果的な不動産投資ができるかもしれません。

まとめ

円安が続いて日々の買い物に負担を感じるシーンが多い昨今、「今、不動産投資を始めるのは危険」と考える方は多いかもしれません。

しかし、不動産投資において円安はメリット・デメリットの両面を持ち合わせています。メリットを最大化できれば効果的な投資が可能になるということです。まずは円安の影響を知り、今後どのような不動産ニーズが拡大するか予想していきましょう。

無理に売却益(キャピタルゲイン)を狙わずに運用益(インカムゲイン)を狙ったり、物価高対策として取得しやすい物件に焦点を当てたりするのがおすすめです。