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金融資産に含まれる種類とは
金融資産とは、形がなくても自身の資産として換算できるもののことです。金融資産の代表として現金があげられます。現金はアルミや銅などの金属や紙としての形はありますが、特に紙幣はその物質以上の価値があります。同じ理由として、株券(有価証券)も含まれます。
金融資産は価値の変動が大きいもの、現金化しやすいものがあげられます。不動産は、価値の変動幅が小さく、即日現金化できないため、金融資産には当たりません。
一方、預貯金の場合、形として手元に現金はないものの即現金化可能な状態にあるため、金融資産といえます。
以下では、金融資産に含まれる種類についてそれぞれ解説します。
現金・預貯金
現金・預貯金は、代表的な金融資産です。タンス貯金や、外貨も含まれます。日本では、金融資産のうち、現金・預貯金を占める割合が欧米に比べて50%以上と大きい傾向にあります。(※日本銀行「資金循環の日米欧比較」より)これは、投資をしない日本人が多いためです。
投資をしない理由として、他の金融資金の運用リスクを恐れている他、専門的な知識がない、運用できる資金的余裕がないなどがあげられます。災害大国である日本の現金・預貯金への信頼性の高さも日本特有といえます。
現金や預貯金の特徴は、流動性が高いことです。急な出費が必要となった時、現金はそのまま用意すれば、預貯金は引き出すか振込み手続きを行えば即座に使用できます。
一方で、「金利が低い」「インフレに弱い」などのデメリットもあります。
株式
株式も、金融資産にあたります。株券を購入することで、企業へ資金を出資する代わりに、株主としての権利を取得できる仕組みです。株主は保有する株に応じて企業の利益を配当金や株主優待として受け取ったり、株主総会に出席し、運営方針などの決議に参加する権利を有したりできます。
売買で積極的に運用せずとも、配当金や株主優待で堅実にリターンを得られる金融資産です。運が良ければ大きなリターンを得られる反面、下落のリスクも大きく、投資先を慎重に見極める必要があります。
債券
債券とは、国や企業が投資家から資金を借りるために発行する有価証券です。国が発行する債券は国債、企業が発行する債券は社債と呼ばれます。地方公共団体が発行者となるケースもあります。
債券と株式の大きな違いは、発行から資金返済まで年数が決められていることです。あくまで債券の発行者が投資家から借り入れた資産であり、決められた期間が過ぎれば返済しなくてはなりません。
債券のメリットは、満期まで保有すると元本が保証されることです。安全性の高い金融資産として、幅広い層から人気を得ています。額面よりも安く購入し、満期を迎えると額面どおりの金額で投資した資金が返済されるのが一般的です。場合によっては、利息も受け取れることがあります。
投資信託
投資信託(ファンド)とは運用会社に資産を預けて、代わりに運用してもらう方法です。多くの投資家から出資してもらい、集めた資産を投資の専門家であるファンドマネジャーが運用します。出た利益は、出資額に応じて分配されます。
投資信託のメリットは、自分で銘柄選定などの面倒な作業をする必要がないことです。お任せで運用できるため、投資に割く時間がない方にも向いています。
ただし全面的に任せる形となる分、手数料の支払いも必要です。また、思うようなリターンを得られないリスクもある点に注意しましょう。
生命保険
万が一の時の備えとしてのみならず、金融資産となるのが生命保険です。契約するプランによっては、解約時に返戻金が発生したり、満期保険金を受け取れたりします。いくらかのリターンがある生命保険のプランは、総じて金融資産に分類されます。個人年金や養老保険も含まれます。
ただし、満期前に解約した場合は元本割れとなる商品がほとんどです。また、掛け捨てタイプの生命保険は、満期を迎えても戻ってくるお金がないため、金融資産とはいえません。
商品券・小切手
商品券や小切手も、金融資産に該当します。どちらも額面と同等の品物と交換(購入)できるうえ、換金可能な点が共通しています。
小切手は振出日から10以内に換金する必要があります。この期限を過ぎても6ヶ月は遡及期間がありますが、振出人が金融機関に決済の取り消しを求めている場合は換金できません。また、換金に数日かかる場合もありますので注意が必要です。資産としては短期間で現金・預貯金となるものと言えます。また、換金時は指定された金融機関に持ち込む必要もあります。
不動産は実物資産!金融資産と実物資産の違い
実物資産は、実体がありその商品自体に金額と同等の価値がある資産のことです。不動産は金融資産ではなく、実物資産に含まれます。
その他、代表的な実物資産として、金・銀・プラチナなどの貴金属、美術品なども挙げられます。
金融資産のメリット・デメリット
金融資産を保有するメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット |
・少額から保有できる ・ハイリターンが狙える ・流動性が高い ・分散投資に向いている | ・価値の変動が激しい金融資産もある ・インフレに弱い傾向がある ・リターンが低くなる場合もある ・価値がゼロになるリスクがある |
誰でも手軽に保有できる資産であり、使い方次第ではハイリターンが見込めます。流動性が高いので短期的な判断をしやすいこと、分散投資に最も向いていることなど、多数のメリットが存在します。
一方で、価格の変動が激しい金融資産の場合、ハイリターン・ハイリスクになる傾向が強いです。インフレに弱く、金融資産自体の価値が増減する可能性があることも知っておきましょう。
株券などは特に値動きが激しく、一瞬で爆発的な値上がりをすることもあれば、一瞬で無価値になってしまうこともあります。会社が倒産すれば、保有していた株券の価値がゼロになることもあります。
実物資産のメリット・デメリット
実物資産のメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット |
・長期運用に向いている ・インフレに強い ・価格変動のリスクが小さい ・老後資金にできる ・税金対策できる | ・保有にコストがかかる ・資産としての流動性が低い ・災害時に損失するリスクがある ・ものによっては盗難にあうリスクもある |
実物資産は、実体があるので、価格が下落した場合でも完全に資産価値がゼロになることはありません。固定資産税などプラスの出費が生じることもありますが、運用次第では節税対策として成立することもあります。そのため、老後資金用として長期運用を前提に実物資産を活用する人が増えました。
ただし、実物資産は地震・家事・台風など災害での損失や、盗難・破損・汚損のリスクがある点に注意が必要です。事前に各種保険へ加入することでカバーできるケースもありますが、必ずしも満額補填されるとは限りません。
金融資産と実物資産はどちらを持つべき?
金融資産にも実物資産にもメリット・デメリットがあり、運用方法次第でリスクは変化します。税制により適した投資手法が変わることも多く、一概にどちらがベストといえないのが現状です。
ただし、金融資産・実物資産それぞれに向いている人の特徴があるので、下記で紹介します。どちらの資産を所有・運用すべきか悩んでいる方は、向いている人の特徴と自分自身の状況を照らし合わせて判断しましょう。
金融資産の投資に向いている人の特徴
金融資産の投資に向いている人の特徴は、下記の通りです。
・資産に余裕がある人
・少額から資産運用したい人
・自分で情報収集できる人
・他人の意見に惑わされない人
・機械的に利益・損失の確定ができる人
金融資産はハイリスクハイリターンな投資手法であり、万が一損失を被っても生活に影響が少ない人に向いています。資産にある程度の余裕がある人や、自分で情報収集しながら投資できる人向きといえます。
ただし、少額から投資できるので投資初心者に向いていることも事実です。1万円から低リスクで始められる手法もあるので、まずは投資方法の基本を学びたいと考える方におすすめです。適切なタイミングで利益を確定し、時には損も確定できるような人であれば、少額からでも確実に収入を上げられます。
まずは少額からチャレンジして、慣れたら多様な金融資産にチャレンジしてみる人も多いです。
実物資産の投資に向いている人の特徴
実物資産の投資に向いている人は、下記の通りです。
・安定した収入源をもつ人
・長期的に資産運用したい人
・合理的に判断できる人
・行動力や決断力がある人
実物資産は、高価な貴金属・美術品・不動産などを購入するので、安定した収入源を持つ人向きです。
不動産など一部の実物資産を購入する時に、場合によってはローンを組むこともあります。収入の安定性・職業の社会的評価・保有している金融資産の額によってはチャレンジできない可能性があることを知っておきましょう。
また、長期的に資産運用することが前提の手法なので、短期的な利益に考えを振り回されず合理的に判断できる人向きともいえます。市場価格が前後する度に売り買いをするなど、短期的な運用ができるものではないことを理解したうえで、長期的な視野で運用計画を立てられるかどうかが重要です。
一方で、慎重になりすぎると、好条件で売買できるタイミングを逃してしまいます。多額を一度に動かす行動力・決断力も必要です。
実物資産と金融資産を上手に保有するコツ
実物資産も金融資産も、それぞれ異なるメリットがあり、どちらが良いと安易に判断できるものではありません。それぞれの特性を生かして、バランス良く両方を保有することが大切です。
実物資産と金融資産を上手に保有するコツとして、次の二つがあげられます。
金融資産のなかで分散投資をする
資産運用において重要なのは、リスクヘッジを考慮することです。リスクヘッジとは、将来的に起こり得る下落などのリスクを前提に、対処できるような体制を整えることを指します。
金融資産は種類が豊富にあるため、リスクヘッジを前提に投資先を選びましょう。特定の資産に偏らないように分散投資すれば、万が一資産が下落しても他の分野が残ります。
分散投資をする時は、年齢を参考に資産配分を検討します。例えば20代の働き盛りかつ今後さらに収入が増える見込みがある年齢なら、多少のリスクを冒してでも高いリターンを得られる投資に挑戦できます。
一方、定年が近付く50代前後なら、せっかく貯めた資産を大幅に減らすリスクがある投資方法は避けるべきです。ミドルリターンまたはローリターンでも、堅実で資産が減りにくい金融資産を選ぶ必要があります。
実物資産での資産運用なら不動産投資がおすすめ
実物資産を購入する時は、不動産投資がおすすめです。保有資産の3分の1を不動産にすると、家賃で安定した収入を得つつ現物の相続資産を残せます。
不動産投資ならではの特徴の一つが、他人資本で自己資金を抑えつつ運用できることです。他人資本とは、銀行からの借入金など調達した外部資本を指します。
一般的な不動産投資は、不動産投資ローンを利用して物件を購入し、毎月入ってくる家賃を返済金に充てる仕組みです。借り入れる不動産投資ローンの金額によっては、支出を抑えつつ、高額な不動産も購入・運用できます。
まとめ
金融資産と実物資産にはそれぞれメリット・デメリットがあり、自分がどんな投資をしたいか次第で手法を変えるのがおすすめです。不動産投資は実体のある実物資産であり、ある程度の長期運用を前提にして合理的な判断をすることが求められます。
どうしても不安な場合は、金融資産と実物資産の両方を活用して分散投資することもおすすめです。可能な限りリスクを減らしながら確実な収益を確保する手法を探るためにも、引き続き情報収集していきましょう。