評価額を利用したマンションの資産価値の調べ方

投資用マンションを探す際に大切なことは、資産価値と販売価格のバランスが取れているかどうかを、事前に試算することです。資産価値の高いマンションを見極められると、投資は成功に近づきます。 反対に、資産価値の低いマンションを相場以上の金額で購入してしまった場合、収益化までの道が遠ざかるので注意が必要です。 今回は、投資用マンションの資産価値を調べる方法について解説します。物件選びの参考にもなるので、ぜひチェックしてみてください。

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マンションの資産価値とは

マンションの資産価値は、主に「売却価値」と「収益価値」の2つの側面で試算されています。

売却価値とは、「売却した場合にいくらで売れるか」を示す基準です。物件の売却時に利益を上げたいのであれば、売却価値の確認は欠かせません。

一方、収益価値とは「保有時にどれくらいの価値を生むか」を示す基準です。不動産投資で長期的に収益を上げたい場合は、収益価値の高さが重要視されます。

同じ時期に購入したマンションでも、同等の資産価値とは限りません。資産価値が異なれば、売却時の収益に1,000万円以上の差が出ることもあります。

マンションの資産価値を調べるときの4つの指標

マンションの資産価値を調べるときは、下記4つの指標を使うのが一般的です。

・路線価

・固定資産税評価額

・公示価格

・実勢価格(時価)

同じマンションで間取りが近い部屋が直近で売却されているなら、その物件の価格を参考にしてみましょう。似たような条件で直近の売買歴がないのであれば、4つの指標に基づいて資産価値を算出する必要があります。

ここでは、それぞれの指標について解説していきます。

路線価

路線価とは「相続税算出時の基準になる金額」であり、相続税評価額と言い換えることもできます。土地そのものではなく、道路に対して設定されているのが特徴です。毎年7月1日に国税局および税務署から公表されるので、参考にしてみてください。該当エリアにある不動産の所有者でなくても、国税庁のホームページから誰でも自由に閲覧できます。

なお、路線価が発表されていない場合、不動産の資産価値は公示価格をもとに算出するのが一般的です。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、「固定資産税算出時の基準になる金額」のことです。国が定めた固定資産評価基準に基づいて、都が算定する東京23区を除いた市区町村が決定し、原則として3年ごとに公表されます。ほとんどの場合、土地は公示地価の70%程度、建物は建築費の50~70%程度になることが多いです。

固定資産税評価額は、不動産を保有している方に毎年送られる固定資産税の「納税通知書」に付属する課税明細書に記されています。

公示価格

公示価格とは、「不動産売買をする際におよそ適切と思われる金額」のことです。地価公示法に基づいて国土交通省土地鑑定委員会が決定し、毎年1月1日時点の情報として3月に公表されます。

法外な金額での取引を避けるためのものであり、不動産売買時のガイドライン代わりにもなる数値です。国土交通省のホームページ内の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」から誰でも調べることができるため、 不動産投資家にとっては、いわゆる「相場」を調べるための材料ともいえます。

実勢価格(時価)

実勢価格(時価)とは、「実際に売買が成立した価格」を指します。売主や買主の事情も反映されるので必ずしも上記3指標に基づいた価格になるとは限らず、その時々に応じて変動するのが特徴です。

「早く売りたいので少し安めの金額を提示した」「公示価格より高い金額を払ってでも手に入れる価値があると感じた」など、個人の気持ちに左右されることがあるのです。売主の事情によっては、価値の高い不動産が短期間で安価になることもあります。

実態価格は「市場価格」と言い換えられることもあるので、ニーズやトレンドを見たいときにチェックするのがおすすめです。

こちらも国土交通省が発表しているデータ「土地総合情報システム」を見れば、すぐに確認できます。

マンションの資産価値の具体的な調べ方

ここからは、具体的にマンションの資産価値を調べる方法を解説します。ただし、固定資産税評価額は計算方法が複雑であり、不動産会社など専門家を頼らないと確実な数値が出ないことも多いです。

また、実勢価格は過去のデータのみでしか調べることができず、現在のトレンドが反映されているとは限らないので注意しましょう。

下記では、路線価と公示価格を例に挙げて解説します。

路線価を利用した資産価値の調べ方

路線価を利用して資産価値を調べるときは、下記のステップに沿って行うのが一般的です。

1.路線価を調べる

2.マンションの面積を調べる

3.物件の占有面積を調べる

4.マンションの資産価値の評価額を算出する

土地全体の評価額は、「土地全体の評価額=路線価×マンション面積」で簡単に算出できます。

また、区分マンションを投資用に購入する際は、さらに「持分割合」を掛ける必要があります。持分割合とは、マンションにおいて自身が専有する部分の割合のことです。

専有部分の評価額は「専有部分の評価額=土地全体の評価額×持ち分割合」で試算できます。

公示価格を利用した資産価値の調べ方

公示価格を利用して資産価値を調べる方法は、下記の通りです。

1.マンションが建っている土地の公示価格を調べる

2.マンションの面積を調べる

3.マンションの資産価値の評価額を算出する

4.「公示価格×マンション面積」で評価額を算出する

公示地価は単位面積の価格なので、マンションの場合は専有面積分を算出するための面積調査が欠かせません。面積に関する正確な情報は、不動産会社が情報を持っているケースが多いので、問い合わせてみましょう。

また、土地の公示価格を調べる際は、国土交通省に公表されている「土地総合情報システム」の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」を利用すると、誰でもすぐに確認できます。

公示地価や路線価を利用して調べるときの注意点

公示価格や路線価を利用して資産価値を調べる場合、どちらも「土地のみの評価額」しか算出できない点に注意しましょう。

どんなに評価額の高い土地に建っているマンションでも、事情次第で総合的な資産価値は低くなります。例えば、築年数が古く随所に傷みがある物件や近隣住民からの評判が悪い物件などです。

反対に、公示価格・路線価から算出した資産価値が一見低く見えても、ニーズが高く状態も良いマンションが建っていれば効果的な不動産投資ができるかもしれません。

より正確な情報を求めるのであれば、建物を含めた実際の資産価値を調べておくのがおすすめです。そのためには固定資産税評価額や実勢価格(時価)を参考にする必要があるので、不動産会社に問い合わせてみましょう。

特に固定資産税評価額は、専門家に調べてもらうのが近道です。実勢価格(時価)は不動産会社もしくは不動産一括見積サイトなどで情報収集できるケースが多く、比較的簡単に調べられます。

まとめ

不動産投資用の物件を選ぶ際は、事前に資産価値をリサーチしておくことが重要です。売却時に収益を上げる目的なら「売却価値」を、賃貸による家賃収入を狙うなら「収益価値」を試算するのがおすすめです。

なお、路線価と公示価格は本記事で紹介した計算式にて算出できます。固定資産税評価額は不動産会社など専門家の手を借りないと正確に算出できないケースがほとんどなので、専門家への相談も検討しましょう。

実勢価格(時価)は過去の取引情報を調べ、参考にすることが大切です。