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日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける条件
日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受けるにはどのような条件をクリアすべきか、ポイントを紹介します。
不動産賃貸業の借り入れであること
日本政策金融公庫は国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業に分かれ、このうち国民生活事業は国民生活の向上に寄与する事業への融資を目的としています。
この性質から、売買を繰り返して短期間で利益を得るような投資を目的とした物件の購入では融資を受けられません。
不動産投資で融資を受けるには、不動産賃貸業であることが必須です。融資の書類申請や面談では、不動産賃貸業として手続きを進めていく必要があります。
物件を担保として提供すること
日本政策金融公庫でより多くの融資を受けようとするなら、取得予定の物件を担保にする必要があります。無担保で融資を受ける場合の上限は4,800万円です。上限を超えて融資を受けたい場合は、担保の提供は避けられませんので注意しましょう。
なお、日本政策金融公庫は独自の融資審査基準を設けているため、民間の金融機関と比べると担保評価が厳しい傾向にあります。
税金や公共料金の滞納がないこと
日本政策金融公庫は政府系の金融機関です。そのため、税金の未納や公共料金の滞納には厳しい面があります。税金や公共料金を支払っていなければ審査に通らない可能性がありますので、未納や滞納を解消してから申し込むことが大切です。
日本政策金融公庫で不動産投資ローンを組むメリット
不動産投資で、日本政策金融公庫以外の銀行から融資を受ける選択肢もあります。日本政策金融公庫で融資を受けるメリットは何でしょうか。主なメリットを4つ取り上げます。
保証人なしで融資を受けられる
税金の滞納がなく、税務申告を2期以上行っている個人事業主であれば、保証人不要で融資を受けられます。
民間の金融機関からの融資では、借り入れの際に保証人をつけることが条件になるケースが多く見られます。保証人不要で融資が受けられるのは日本政策金融公庫の大きな特徴といえます。
低金利で融資を受けられる
日本政策金融公庫は、営利を目的としない一般社団法人です。民間の金融機関などに比べると比較的低い金利で融資を受けられる可能性があります。
金利の高さは不動産投資の収支にも関わってきますので、低い金利で融資を受けられるのは大きなメリットとなるでしょう。
なお、日本政策金融公庫の金利は、その多くが返済途中で金利が変わる変動金利ではなく、一定の金利が適用される固定金利であることも特徴です。
女性・35歳未満・55歳以上の人に優遇措置がある
日本政策金融公庫は、女性、若者やシニアを支援し、新規開業資金を融資しています。
これは35歳未満、55歳以上、女性(全世代)を対象にした事業です。対象となる人には優遇措置があり、一般貸付と比べて、融資限度額や融資期間、金利面においてメリットがあります。
団体信用生命保険への加入が必須ではない
団体信用生命保険は、契約者死亡時にローン残債を保証する保険です。
一般的な金融機関で不動産投資のローンを組む場合は、団体信用生命保険の加入が求められます。
一方、日本政策金融公庫は、団体信用生命保険の加入は任意です。団体信用生命保険は保証内容が手厚いほど金利が上がりますので、金利を抑えて融資を受けたい人には日本政策金融公庫の融資が向いています。
日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける手順
日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受けるにはどうすれば良いのでしょうか。ここからは日本政策金融公庫で融資を受けるまでの流れを紹介します。
融資申請のための必要書類を準備する
日本政策金融公庫で融資を受ける場合、様々な書類の提出が求められます。融資の相談をした後に必要書類を揃えるのも良いですが、あらかじめ準備が必要と分かっている書類は事前に揃えておいた方がスムーズです。
例えば、過去2年分の源泉徴収票、本人確認に関わる印鑑登録証明書や身分証明書の写し、登記簿謄本や販売図面などの不動産に関係する書類が求められます。
また、不動産賃貸業として融資を受けることになりますので、創業計画書もしくは事業計画書の作成も必要です。日本政策金融公庫のホームページに事業計画書のテンプレ―トが公開されていますので、これに沿って作成していくと良いです。
日本政策金融公庫に融資の相談・面談の申し込みをする
ある程度の準備が整ったら、日本政策金融公庫の窓口に融資の相談と面談を申し込みます。予約はネットからも受け付けていますので、必要に応じてWeb申し込みを活用しましょう。
なお、事業計画書の書き方に悩んでいる場合は、事前に相談することで解決することもあります。面談を申し込む前に相談するのもおすすめです。
支店で担当者との面談を行う
予約日に日本政策金融公庫の支店で面談が行われます。面談場所は、不動産賃貸業の所在地を担当する支店です。面談時に必要書類の提出が求められますので、忘れずに持参しましょう。
面談での質問は、事業計画に対するものが中心になります。質問に的確に答えられるよう、事業計画をよく練っておき、収支の見込みについても伝えられるようにしておくことが大事です。
日本政策金融公庫による融資の審査
提出した書類に問題がなければ審査が開始されます。状況にもよりますが審査結果が出るまでには1ヶ月ほどかかるとされています。審査結果が出るまでの期間を見越して早めに融資の相談をしましょう。
契約の手続き後に融資開始
融資が決定すると、融資額や融資期間、金利の通知が届きます。この時点では、まだ融資は始まりません。
融資を受けるには、日本政策金融公庫から送付される金銭消費貸借契約証書など、融資に必要な契約書に必要事項を記入して返送する必要があります。
必要な契約関連の手続きを済ませた後に、融資が始まります。手続き完了後から融資実行までに時間がかかることもあります。
日本政策金融公庫で不動産投資ローンを組むためのコツ
融資を申し込んでも審査が通らず、融資を受けられないこともあります。融資の可能性を高めるためのポイントをみていきましょう。
物件は築年数よりも利回りを重視する
日本政策金融公庫では、長期的な事業の継続を前提に物件を評価する特徴をもちます。日本政策金融公庫の物件の担保評価は、一般的な金融機関より厳しい傾向にあります。ですから、収益性が落ちるリスクが低い物件よりも、収益性の高い物件の方が評価されやすいと考えられます。
日本政策金融公庫で融資を受けるなら、収益性の高い物件を狙って審査を受けた方が良いでしょう。
また、物件価格が高く、限度額いっぱいまで利用するような物件を選ぶと審査が通りづらい傾向にあります。物件価格が低く、借入残高に余裕のある物件の方が融資を受けられる可能性は高いと考えましょう。
事業計画書には利益の根拠を明記する
日本政策金融公庫の融資審査では、確実に収益を上げられるかがポイントといえます。具体的な事業計画がなく、将来的な利益の根拠に乏しい場合は融資を受けるのは難しいと考えられます。
事業計画書に記載する利益について、十分な根拠をもって説明できるようにするためにも、融資に関連する資料をできるだけ多く集めましょう。また、客観的なデータを使って利益の根拠を説明することも重要です。
自己資金の比率を高める
経営的な視点では、自己資産の比率が高いほど返済リスクが低くなり、資金がショートする可能性が低くなります。日本政策金融公庫の融資審査では、事業の継続性が重視されますので、自己資本比率も審査の対象です。
一般的に、日本政策金融公庫からフルローンで融資を受けるのは難しいとされています。自己資金の比率が20〜30%程度あった方が審査に通りやすいとされています。資金に余裕を持たせることも大切です。
まとめ
日本政策金融公庫から不動産投資の資金を調達するのであれば、不動産賃貸業として融資を受ける必要があるなどいくつか注意点もあります。また、日本政策金融公庫では事業の継続性が重視される傾向にあります。融資を受ける際には自己資金比率を高めるなどの対策をとりましょう。