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やってはいけない空室対策の代表例
ここでは、やってはいけない空室対策の代表例を3つ紹介します。
相場よりも大幅に家賃を下げる
家賃を急激に引き下げると、その分収益が下がります。また、一度引き下げた家賃を元に戻すのは容易ではありません。空室対策として家賃を下げる方法しか見つからない場合は、敷金や礼金から優先的に下げることを検討しましょう。
一方で、家賃を大幅に上げたとしても入居者が埋まらず、収益は上がらないこともあります。
大規模なリフォームやリノベーションをする
大規模なリフォームやリノベーションには多額の費用と時間がかかります。急いで入居者を見つけたい場合には非効率的といえるでしょう。
ネックになっている設備のみを取り替えるか、部分的なリフォームで済ませる方が、コストパフォーマンスが良い場合があります。また、老朽化が激しい場合は思い切って建替えてた方が良いケースもあるでしょう。
無計画に入居条件を緩める
ペット可や外国籍の方の入居可など、リスクを考慮しないまま入居条件を緩めるのはNGです。ペット可にする際のリスクとして以下が挙げられます。
・足音や鳴き声などの騒音がする
・ニオイや汚れが染みつく
・退去時の原状回復費用が高くなる
外国籍の方を入居可にした際に、起こりやすい問題は以下の通りです。
・住民同士でトラブルが発生した際の解決が難しくなる
・家賃滞納のまま帰国する
・文化の違いにより、連帯保証人を立てられない
上記のようなリスクや起こりやすいトラブルを想定した上で、入居条件を緩めることを検討しましょう。
【空室対策の前に】まずは空室の原因を特定しよう
空室の原因を特定せずに空室対策を行っても思うような効果が得られません。まずは「なぜ空室になっているのか」原因を特定しましょう。ここでは空室が起こる主な原因を解説します。
設備が現代のニーズに合っていない
古い設備は敬遠する方が多く、空室の原因になっていることが考えられます。以下は敬遠されやすい設備・仕様です。
・和式トイレ
・ユニットバス
・収納がない
・浴槽がない
・エアコンがない
・洗濯機置き場が外
・お風呂がバランス釜
・電熱コンロ
上記に加えて、便座やお風呂が黄ばんでいたり、鏡が錆びていたりなど、経年劣化によって見た目や使い心地が悪くなっている設備も敬遠される傾向にあります。
不人気の間取り
間取りは住み心地に影響する要素です。家事動線が悪かったり、部屋が狭すぎたりなど、住み心地の悪い間取りは敬遠されるでしょう。以下は敬遠されやすい間取りです。
・広すぎる1R
・和室がある
・ドアを開けたらすぐにキッチンがある
・脱衣スペースがない
・いびつな部屋の形
・細長い間取り
間取りを変えるにはリフォームやリノベーションが必要ですが、「建物の形状的にリフォームができない」「リフォームをする資金がない」という場合もあるでしょう。
その場合は、まず家賃設定を見直すことが大事です。多少不便な間取りであっても、家賃が安ければ住みたいと考える方はいます。また人気の設備を導入したり、入居条件を緩めたりなど、間取りを改善するのではなく、他の点でアピールポイントを作ることも検討しましょう。
相場よりも賃料や礼金が高い
賃料や礼金が相場よりも高いと空室につながりやすくなります。近くに同じような間取りや設備の物件があった場合、賃料が安い方を選ぶ方が多いです。所有する不動産の適切な相場を知り、家賃や礼金を設定する必要があります。
物件の家賃設定には駅からの距離や築年数、建物の構造など考慮する点が多く、専門的な知識が必要です。必要に応じて専門家に相談しつつ、賃貸経営の収支をシミュレーションして適切な賃料を設定しましょう。
立地が悪い
立地は生活の利便性を左右する要素です。立地が悪いと、通勤や通学、買い物などで不便に感じるでしょう。以下は、一般的に立地が悪いとされています。
・騒音がある(近くに工場、学校があるなど)
・最寄駅から遠い(10分以上)
・日当たりが悪い
・治安が悪い
・買い物が不便(近くにスーパーや商業施設などがない)
・道が狭い
・災害のリスクが高い
・学校や幼稚園が遠い
・近くに墓地や火葬場がある
立地が悪くても改善するのは難しいため、立地の悪さをカバーできるようなメリットを作ることが大事です。
建物の見た目が悪い
あまりにも建物の見た目が悪いと、「管理が行き届いていないのでは」「入居者の質が悪いのでは」と不安になる方がいます。外壁のペンキが色褪せていたり、錆びていたりする場合は、メンテナンスや外装のリフォームを行うことが必要です。
効果を期待できるおすすめの空室対策5選!
空室対策はいくつもありますが、中でもおすすめの方法を5つピックアップして紹介します。
1.賃料と管理費の配分を工夫する
空室を解消するには、その物件の露出を高めることが大事です。いまではインターネットの普及によって、賃貸情報サイトで物件を探す方が増えました。賃貸情報サイトの物件検索では、賃料の検索が5,000円刻みとなっています。賃料と管理費の配分を工夫すれば、検索に引っかかりやすくすることが可能です。
例えば、管理費込みの賃料54,000円の物件は、50,000円以下の検索には引っかかりません。しかし、賃料を50,000円、管理費を4,000円に設定すれば、50,000円以下の検索に引っかかります。
極端な例だと、賃料を30,000円にし、管理費を24,000円にすると、30,000円以下の検索に出てきます。
空室対策としてただ賃料を下げるのではなく、管理費に配分できないかも検討すると良いでしょう。また物件検索の観点から、賃料は5,000円刻みでの設定がおすすめです。
2.内見方法を現地対応にする
内見は物件の魅力や特徴を直接目で見てもらう重要な機会であり、少しでも多くの方に内見してもらうことが空室解消につながります。内見方法は主に以下の4つが挙げられます。
・現地対応:現地のメールボックスやキーボックスなどに鍵があり、個人で内見してもらう
・近隣業者へ鍵取り:近隣の不動産会社に鍵が預けられており、仲介会社がピックアップして内見する
・立会内見:募集会社の担当者とともに内見する
・在住内見:貸主(オーナー)が居住中で、予定を合わせて内見する
上記の中で、最も内見しやすいのは「現地対応」です。現地対応であれば予定を合わせる必要がなく、営業の方も勧めやすくなります。
3.費用対効果の高い設備を導入する
ネックになっている設備を取り替える、あるいは入居者が喜ぶ設備を導入するのもおすすめです。例えば、「和式トイレを洋式トイレに取り替える」、「置き型収入を設置する」などが挙げられます。
重要なのは、費用対効果を踏まえて優先順位をつけることです。高額な設備を導入しても空室が解消できなければ意味がありません。
4.共有部を徹底的に綺麗にする
内見ではエントランスや駐車場、ゴミ捨て場といった共有部も見られます。共有部が汚いと「管理が行き届いてない」と思われて入居を敬遠されるため、常にきれいにして印象を良くすることが大事です。
また、共有部の美化は退去率を下げることにも寄与します。長期滞在してもらえれば、空室も生まれません。
5.初期費用を安くする
入居のハードルを下げるために初期費用を安くするのも有効です。「敷金や礼金をゼロ円にする」「フリーレントにする」などを検討してみてください。ただし、初期費用を安くすれば収益が下がるため、空室期間やキャッシュフローを考慮して慎重に決めましょう。
まとめ
やってはいけない空室対策には、「相場よりも大幅に家賃を下げる」「無計画に入居条件を緩める」などが挙げられます。空室対策で重要なのは、空室の原因を特定することです。無闇に空室対策をせずに、費用対効果やリスクを考慮して慎重に実施しましょう。