「大阪・関西万博」でますます期待の高まる大阪ベイエリア

東京に次ぐ大都市大阪は都心のみならず大阪ベイエリアにも注目が集まりつつあります。大阪では万博の開催が決定し、万博開催に伴い鉄道の延伸計画・IRの誘致も進んでいます。今回は大阪ベイエリアの魅力と将来性について見てみましょう。

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2025年「大阪・関西万博」の開催が決定

2018年11月に、パリで開催された博覧会国際事務局総会において2025年の日本(大阪)の万博開催が決まりました。

正式名称は2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)、開催期間は2025年4月13日(日) から 10月13日(月)までの184日間、約6カ月間に及びます。想定来場者数2,820万人、経済効果は約2兆円と試算されています。

日本で開催された大規模な万博としては2005年に開催された愛知万博以来で、大阪では1970年に開催された大阪万博、1990年の花博に次いで3回目の開催となります。

 

都心にも近い夢洲(ゆめしま)

会場となるのは大阪湾の夢洲(ゆめしま)です。大阪万博の開催による大阪ベイエリアの注目度が高まっています。

過去の大阪万博は千里(1970年)や鶴見緑地(1990年)など大阪内陸部でしたが、今回はベイエリアでの開催となります。夢洲は大阪市此花区にあり比較的都心やミナミなどから近く、万博終了後も大阪市と一体となった発展が見込まれると考えられます。

2017年には「夢洲まちづくり構想」により観光拠点の形成など新たな機能を盛り込んだ夢洲全体のまちづくり方針や土地利用等が策定されています。

また夢洲は企業の誘致も行われており、「関西イノベーション国際戦略総合特区」に指定され、事業者が様々な支援を受ける事ができます。

「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」のあるユニバーサルシティも近い夢洲ですが、今後も注目のエリアとなりそうです。

 

過去に開催された万博は?

日本で最初に万博が開催されたのは1970年の大阪万博です。その後1975年に沖縄海洋博、1985年には筑波博(科学万博)、1990年には大阪花博、そして2005年に愛知で開催された愛知万博(愛・地球博)が最後となっています。

第1回の大阪万博は東京五輪が終了した後となり、高度経済成長の時期でもあり大きく盛り上がりました。総入場者数は6,422万人にとなり、今回の万博の入場者予想の倍以上の入場者となりました。今回の万博もベイエリアを始め大阪市に与える経済効果やインフラ整備などの効果も大きいと考えられます。

 

過去に日本で開催された万博

開催年

場所

名称
「略称または通称」

テーマ

1970年

大阪

日本万国博覧会
「大阪万博」

「人類の進歩と調和」

1975年

沖縄

沖縄国際海洋博覧会
「沖縄海洋博」

「海-その望ましい未来」

1985年

筑波

国際科学技術博覧会
「科学万博」

「人間、居住、環境と科学技術」

1990年

大阪

国際花と緑の博覧会
「花の万博」

「花と緑と生活の係わりを捉え21世紀
へ向けて潤いのある社会の創造を目指す」

2005年

愛知

2005年日本国際博覧会
「愛・地球博」

「自然の叡智」

2025年
(予定)

大阪

2025年日本国際博覧会
「大阪・関西万博」

「いのち輝く未来社会のデザイン」

 

鉄道延伸計画のある夢洲(ゆめしま)

こうした大規模イベントには交通インフラの整備も重要となります。

夢洲の大阪万博開催に伴い鉄道の延伸が計画されています。「大阪メトロ中央線」は現在咲洲(さきしま)の「コスモスクエア」駅まで運行していますが、これをさらに「夢洲」まで1駅延伸する計画があります。すでに新しい車両も2022年5月に公開されています。

さらに京阪電鉄の中之島線延伸の構想もあります。これは公式には発表されていませんが京阪線の「中之島」駅から「西九条」駅を通り「新桜島」、「舞洲」、「夢洲」などに運行する構想です。

またJR桜島線を「桜島」駅から「舞洲」「夢洲」駅などに延伸する構想も検討されています。いずれも万博開催後のIRなどの進捗にもよりますので、今後の動向を見守りたい所です。こうした鉄道が万博開催後に延伸すれば、ベイエリアの長期的な発展にも寄与すると期待されます。

 

大阪ベイエリアの魅力は

大阪湾は貨物や客船の利用者なども多い港です。2019年の港湾取扱貨物量ランキングでは大阪港は全国で8位、入港船舶総トン数では6位となっています。

こうした港湾施設としての経済力があるエリアですが、夢洲に大阪万博が開催される事で交通の利便性が高まり、オフィスやMICE(※)機能も高まる事が期待されます。

また大阪港の内航フェリー乗降人員は2020年には新型コロナの影響もあり減少していますが、2015年から2019年にかけて上昇傾向にあり、新型コロナが収束すれば万博開催に向けてフェリー利用者の増加や周辺の商業施設の発展なども期待されます。

 

※MICE

MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称です。

 

 

港湾取扱貨物量ランキング

順位

港湾名

1位

名古屋

2位

千葉

3位

横浜

4位

苫小牧

5位

北九州

6位

神戸

7位

東京

8

大阪

9位

水島

10位

川崎

(2019年)

<「港湾統計(年報)」より国土交通省港湾局作成>

 

大阪港内航フェリー乗降人員

 

2015

2016

2017

2018

2019

2020

乗車人員

835

942

1023

2021

1090

512

(単位:千人)

<大阪市「港湾統計(年報)」>

 

都市再生緊急整備地域に指定されている咲洲(さきしま)・コスモスクエア駅周辺

ベイエリアの咲洲(さきしま)にある「コスモスクエア」駅周辺は、規制緩和などで再開発を促進する「都市再生緊急整備地域」に指定されています。

咲洲には「コスモスクエア」「アジア&パシフィック トレードセンター(ATC)」、「ハイアット リージェンシー大阪」などの施設・ホテルもあります。

咲洲にあるスポーツメーカーである「ミズノ」の本社内に新研究拠点を設立する計画があります。さらにコスモスクエア周辺は総合的に再開発の計画があり、ホテル・住宅・商業施設など多くのビルが建設される予定です。

夢洲と咲洲は近い位置にあり、また鉄道の延伸と1駅でつながる事になるのでこの二つのエリアの総合的な発展も期待できます。

 

都市再生緊急整備地域「大阪コスモスクエア駅周辺地域」

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>

https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/kinkyuseibi_list/pdf/kuiki/k_osakacosmo.pdf

 

IRの誘致も進む夢洲

夢洲ではIRの誘致が進められています。IRとは「統合型リゾート」の事で、これは「カジノ施設、ホテル、MICE(※)施設、レストラン、エンターテイメント施設等、カジノの収益を活用して、多くの集客施設を民間事業者が一体的に整備・運営する複合型の施設であり、民間事業者の活力と創意工夫を最大限に活かす民設民営の事業です。(大阪市「大阪IRについて」より引用)」IR施設は全国で誘致が進んでいます。

大阪府、大阪市、大阪IR株式会社が2022年に策定した「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」によると、2023年頃に工事着手、2029年~2032年頃にIR施設の開業、設置運営事業の実施を目指しています。

建設される施設は国際会議場、展示施設、魅力増進施設、送客施設、宿泊施設など様々です。

東京五輪は開催期間が約2週間と比較的短期間であるのに対して、大阪万博は約6ヵ月と長期に渡り、さらにIRが続きますので、大阪ベイエリアの長期的な発展が期待できます。

 

大阪IRにおける魅力増進施設

No.

施設名称

内容例

1

ガーデンシアター

伝統芸能に新たな表現手法を取り入れた革新的な
コンテンツや体験型のイベントといった多彩な
プログラムを提供する。

2

三道体験スタジオ

華道・茶道・香道等の日本の伝統的な芸道を、先進的な
テクノロジー等を用いた演出によって、五感を通じた体験
として提供する。

3

ジャパン・フード パビリオン

大阪・関西の幅広く奥深い食文化の魅力を伝えるため、
気軽に楽しめるフードホールから、「食」の奥深さ
を味わえる高級店にいたるまでの多様な飲食施設を
配置する。

4

関西ジャパンハウス

工芸品の制作過程見学や工芸品の制作体験プログラム等、
日本の伝統的な工芸文化の魅力に触れる機会を提供する。

5

関西アート&カルチャー
ミュージアム

古典的な芸術作品からメディアアート等の
現代的な作品まで幅広い作品を取り扱う。

<大阪府、大阪市、大阪IR株式会社「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」>

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/42448/00000000/kuikiseibikeikaku_202204.pdf

 

※MICE

MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称です。

 

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万博開催と地価の関係は

万博が開催されると、周辺の再開発や鉄道が整備されるケースも多くなっていますので、周辺の地価が上昇する例も散見されます。

2005年に愛知県で開催された万博の例を見て見ると、開催場所となった長久手市の地価は万博開催後は上昇傾向が続き、名古屋市全体の地価上昇率よりも上昇率が高くなりました。地価は景気動向とも密接な関係があるので万博開催だけが地価上昇の要因とは言えませんが、少なくとも地価が上昇傾向となった事は確かです。

また東京五輪の行われた東京都区部の地価動向を見て見ると、新型コロナの影響もある中で地価は住宅地・商業地ともに2021年の下落から2022年は上昇に転じています。これは東京五輪開催に合わせて都内主要ターミナル駅周辺などで大規模な再開発や新駅の誕生などが相次ぎ、東京のポテンシャルが上昇している事も要因と考えられます。

こうした大規模イベントが開催するまでは地価が上昇し、終了した後は地価が下がるのではないかという憶測もありましたが、こうした例を見てみると終了後も地価は上昇するケースが多いと考えられます。

 

東京都区部の地価の推移

 

住宅地

商業地

 

2021

2022

2021

2022

東京都

△0.6%

1.0%

△1.9%

0.6%

東京都区部

△0.5%

1.5%

△2.1%

0.7%

<国土交通省「令和4年地価公示」より作成>

 

湾岸エリアの地価動向

では大阪ベイエリアの地価動向は近年どう推移しているのでしょうか。夢洲のある此花区(このはなく)、咲洲のある住之江区の地価の推移を見て見ると住宅地・商業地ともに2021年の下落から2022年は横ばいまたは上昇へと転じています。

特に商業地では大阪市全体の平均が2022年に下落にも関わらず、此花区、住之江区では上昇となっています。つまり湾岸エリアの商業地の需要が高まってきている事が予想されます。

過去のベイエリアの10年間の地価動向を見て見ると、2018年に万博開催が決定し、2019年から地価は上昇傾向となっています。但し此花区の商業地は2017年にすでに上昇に転じており、土地需要が高まってきている事が分かります。

地価は新型コロナの影響で2021年には一時的に調整局面に入り、2022年には再び上昇となっています。今後万博に向けてますます土地需要も高まり地価上昇が加速する可能性もあります。

 

大阪市此花区・住之江区の地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2021

2022

2021

2022

大阪市

△0.1%

0.6%

△4.4%

△1.1%

此花区

△0.8%

0.2%

△1.2%

0.7%

住之江区

△0.3%

0.0%

△1.0%

0.3%

<国土交通省「令和4年地価公示」>

 

此花区の地価変動率の推移(2013年~2022年)

 

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

住宅地

△1.1

△0.5

△0.5

△0.2

△0.1

△0.1

0.1

1.8

△0.8

0.2

商業地

△1.8

△1.1

△0.8

△0.4

0.5

0.3

0.9

4.8

△1.2

0.7

 

(単位:%)

<国土交通省「地価公示」より作成>

 

住之江区の地価変動率の推移(2013年~2022年)

 

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

住宅地

△1.0

△0.6

△0.1

△0.1

△0.1

△0.1

0.1

0.1

△0.3

0.0

商業地

△2.1

△1.4

△0.8

△0.4

△0

△0.4

--

2.8

△1.0

0.3

(単位:%)

<国土交通省「地価公示」より作成>

 

中・長期的に見ても成長性が期待できる大阪ベイエリア

「なにわ筋線」が2031年に開業し、2037年にリニア中央新幹線の開通する予定の「新大阪」駅から京阪中之島線「中之島」駅や大阪メトロ中央線の「西本町」駅を通りますので、新幹線、リニア中央新幹線と夢洲などのベイエリアとの交通アクセスも向上します。

こうした交通アクセスの向上と共に企業の誘致もされており、将来的にオフィス街が形成され「第二のうめきた」ともなる可能性もあります。大阪は「キタ」「ミナミ」に次いで「ベイエリア」が今後注目の第三のエリアと言えるのではないでしょうか。

 

このように大阪ベイエリアは万博・新線計画・IRなども含めて極めて成長性が高く、莫大な就業人口の増加も見込まれます。ベイエリアを中心として、さらに周辺部においても今後大きな住宅需要が見込まれますので不動産投資の立地としても期待が高まります。