最新!大阪の地価動向と不動産投資

大阪圏の地価は新型コロナの影響もあり一時的に調整局面の様相を示していましたが、近年では回復基調が見られるようになってきています。 大規模再開発の続く大阪の地価動向を2023年の公示地価から見てみましょう。

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地価と不動産投資との関係は

地価と不動産投資には密接な関係があります。マンション価格に占める土地価格の割合は大きいので、地価が上昇するとマンション価格も上昇する傾向にあります。地価上昇により新規に発売されるマンションの価格が上昇すると、その地域の中古マンション相場を引き上げる事になり、その地域全体のマンションの資産価値が上昇する事もあります。

地価が上昇しているエリアは不動産の需要も多く、商業地では店舗なオフィスなどの法人需要が多くので、就業人口も増加する傾向も多いと言えます。つまり地価動向はそのエリアが発展しているバロメーターとも言えます。

そのエリアに行きやすい沿線上などにも住宅需要が増加しワンルームマンションの賃貸需要も増加する可能性があります。地価上昇局面では景気が上昇していると言えますので、今後も大阪の経済の発展・回復に伴って地価が上昇する可能性があります。

最新の大阪エリアの地価の動きを国土交通省から発表された公示地価からみ見てみましょう。

大阪圏の地価は上昇傾向に

広域的な地価動向を見ると、大阪圏では2020年頃までは地価上昇が続き、特に商業地では2019年に6.4%、2020年に6.9%の上昇となるなど地価が大きく上昇してきましたが2021年には新型コロナの影響で地価は反転しました。その後2022年にはわずかに上昇・横ばいに転じ、2023年にはさらに地価上昇率が拡大し地価の回復が見られています。

<公示地価>大阪圏の地価の推移

 

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

住宅地

0.3%

0.4%

0.5%

0.1%

0.7%

商業地

6.4%

6.9%

1.8%

0.0%

2.3%

大阪圏:福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県

<国土交通省「令和5年地価公示」>

地価が大きく上昇したエリアはその反動も

近畿圏の中心とも言える大阪府の地価動向を見てみましょう。

大阪では過去にも大きく地価が上昇し2016年、2017年にも地価上昇率が一位となりました。2018年には道頓堀や宗右衛門町などで地価が大きく上昇しており、大阪市の中心商業地で大きな地価上昇が見られました。

2019年にも大阪では地価上昇が続き「大阪市中央区日本橋1-21-6」は地価上昇率が44.4%にもなり大阪圏で1位となりました。また「北区茶屋町12-6」では地価上昇率が44.2%となるなど大阪市のミナミやキタなどでも大きく地価が上昇していました。

しかしその後は新型コロナの影響を受け、地価が大きく上昇した地点などはその反動で地価も大きく下落しました。

大阪府の地価も上昇傾向に

その後は大阪府では新型コロナ発生前までは訪日外国人の大幅増の影響もあり、大阪市の繁華街など都心部の商業地を中心に地価は大きく上昇していました。特に商業地の地価は大きく上昇し2019年には6.5%、2020年には7.7%の上昇となりました。

2021年には地価下落となるものの、2023年には住宅地で0.7%、商業地で2.5%と地価が回復基調となりました。商業地は3年ぶりの上昇となり今後の上昇も期待されます。

<公示地価>大阪府の地価動向

 

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

住宅地

0.2%

0.4%

0.5%

0.1%

0.7%

商業地

6.5%

7.7%

2.1%

0.2%

2.5%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

大阪市は都心部を中心に地価が上昇

大阪市全体では2023年に住宅地で1.6%、商業地で3.3%と地価が上昇しています。

大阪市の地価動向を地域別に見ると、住宅地、商業地共に中心6区(福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区)の地価上昇率が最も高く、住宅地で3.0%、商業地で3.9%の上昇となりました。

また北大阪(豊中市、池田市、吹田市、高槻市、茨木市、箕面市、摂津市、島本町、豊能町、能勢町)の商業地は平均で2.4%の上昇を始め東大阪やミナミ大阪などでも地価が上昇傾向となっています。

<公示地価>大阪府 地域別 地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

大阪市

0.6%

1.6%

1.1%

3.3%

中心6区

1.8%

3.0%

1.8%

3.9%

北大阪

0.4%

1.1%

1.0%

2.4%

東大阪

0.2%

0.4%

0.2%

1.4%

南大阪

0.1%

0.3%

0.5%

1.6%

中心6区:福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区

北大阪:豊中市、池田市、吹田市、高槻市、茨木市、箕面市、摂津市、島本町、豊能町、能勢町、

東大阪:守口市、枚方市、八尾市、寝屋川市、大東市、柏原市、門真市、東大阪市、四條畷市、交野市、

南大阪:大阪市、北大阪、東大阪を除くその他の大阪府

<国土交通省「令和5年地価公示」より作成>

大阪市の区別の地価動向は

大阪市の区別の地価動向はどうなっているか見てみましょう。

2023年の公示地地価では大阪市の区部は住宅地・商業地ともにすべての区で上昇になっています。

住宅地では「西区」が5.5%の上昇で最も高く、以下「都島区」「中央区」が4.0%、東成区」3.3%、「浪速区」3.3%上昇と続きます。マンションなど住宅用地の需要の高いエリアの地価が上昇しています。

商業地では「福島区」が5.8%の上昇と最も高く、以下「西区」4.7%、「北区」4.5%、「港区」「城東区」4.2%などが続きます。商業地では2022年の公示地価で「福島区」「西区」「天王寺区」「浪速区」「阿倍野区」「住吉区」「東住吉区」「北区」「中央区」が地価下落となっていましたが、今回は上昇に転じています。

大阪市の区別地価上昇率ランキング<住宅地>

順位

上昇率

1位

西区

5.5%

2位

都島区

4.0%

3位

中央区

4.0%

4位

東成区

3.3%

5位

浪速区

3.2%

6位

北区

3.1%

7位

城東区

2.8%

8位

淀川区

2.7%

9位

天王寺区

2.6%

10位

福島区

2.5%

<国土交通省「令和5年地価公示に」より作成>

大阪市の区別地価上昇率ランキング<商業地>

順位

上昇率

1位

福島区

5.8%

2位

西区

4.7%

3位

北区

4.5%

4位

港区

4.2%

5位

城東区

4.2%

6位

東成区

4.0%

7位

阿倍野区

3.6%

8位

都島区

3.4%

9位

浪速区

3.4%

10位

此花区

3.2%

<国土交通省「令和5年地価公示」より作成>

大阪市の地価上昇率の高いエリアは

地価上昇率の高いエリアを見ると、港南ポートタウンに近い「住之江区南港中1-2-90」の地点や、舞洲の「此花区北港白津1-6-10」など湾岸エリアで地価上昇が見られています。

更に大阪市の中心部で、再開発の進むうめきたエリアである「福島区福島6-20-2」でも8%の地価上昇が見られています。福島区では住宅地の「福島3丁目」の地点が7.4%の上昇となるなど、住宅地・商業地ともに大きな上昇が見られており、うめきたを中心とする都心部の再開発が周辺の地価上昇につながっている可能性があります。

大阪市内の地価上昇率ランキング<全用途>

 

住所

地価変動率

1

住之江区南港中1-2-90

13.1%

2

此花区北港白津1-6-10

11.2%

3

福島区福島6-20-2

8.0%

4

福島区福島7-21-17

7.8%

5

福島区吉野1-10-13

7.7%

<大阪市「令和5年地価公示について」より作成>

大阪市の地価が高いエリアは

大阪市の土地の価格の高いエリアはグランフロント大阪のある「北区大深町4-20」が最も高く1㎡当たり2240万円です。大阪の中心地であり再開発や新線の開業など将来性も高いエリアで大阪市でも最も地価が高い場所となりました。

ミナミの「宗右衛門町7-2」が2位となっています。宗右衛門町はインバウンドの増加などで一時期大きく地価が上昇していましたが、新型コロナの影響で一時調整局面となりましたが、現在でも地価が高い水準を保っている事が分かります。

大阪市の地価高価格ランキング<全用途>

 

住所

価格

1

北区大深町4-20

22,400,000円

2

中央区宗右衛門町7-2

18,800,000円

3

北区梅田1-8-17

16,700,000円

4

中央区心斎橋筋2-8-5

13,300,000円

5

北区角田町7-10

11,800,000円

<大阪市「令和5年地価公示結果について」>

インバウンドと今後の大阪商業地の地価動向

新型コロナの影響で大きく減少していたインバウンド(訪日外国人)が増加に転じています。インバウンドの動向は地価にも大きな影響を与えます。特に都心部の商業地などは多くの人が訪れますので地価が大きく上昇してきた半面、新型コロナの影響で来客が減少するとその反動も大きく受けていました。

2019年にはインバウンドが3,000万人を超え、翌年の大阪市の商業地の最高価格は2,870万円と前年より44%も上昇しています。2020年にはインバウンドが411万人と大きく減少し翌年の商業地の最高価格は2290万円に下落しました。但し2019年と比較しても下がってはいなので、まだまだ高い水準にあると考えられます。2023年1~3月には既に479万人と2022年の年間の訪日客数を超えています。

政府は今年5月にはインバウンドの旅行消費額を2025年までに新型コロナ前の2019年の水準を2割引き上げる目標を設定しました。

今後もインバウンドの増加から商業施設・宿泊施設を始め多くの施設の需要も高まると予想される事から、大阪の特に都心部の商業地の地価は再び大きく上昇する可能性もあります。

インバウンドの推移と大阪市の商業地の最高価格の推移

 

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

訪日外客数

3188万人

411万人

24万人

383万人

479万人(1~3月)

最高価格

1980万円

2870万円

2290万円

2210万円

2240万円

<訪日外客数:日本政府観光局(JNTO)/地価:国土交通省>

今後の大阪の再開発は

筆者は2020年以降、講演等の仕事で百回以上大阪を訪れてきましたが、年々再開発で進化していく大阪都心エリアの変貌ぶりには驚かされます。過去においてもすごいスピードで進化してきましたが、今後も大阪エリアでは再開発が進行しています。

大阪・梅田の北ヤードでは二期工事が進められており「大阪(うめきた)」駅が3月に開業しました。2025年には大阪・関西万博の開催が予定されており、湾岸エリアではIR(統合リゾート)の計画もあり地下鉄の延伸も計画されています。

さらに2037年にはリニア中央新幹線の延伸なども計画されており、大規模な再開発と併せて大阪エリアが大きく変貌する可能性もあります。大阪の魅力や将来性が世界的に発信される事により、大阪エリアの地価・不動産価格も今後さらに上昇する可能性もあると考えられます。

大阪エリアのイベント

年(予定)

予定されるイベント

2023年

「うめきた(大阪)駅」開業

2024年

うめきた2期 まち開き

2025年

大阪・関西万博開催

概ね2029年位まで

京阪中之島線・大阪メトロ中央線延伸

2029年

IR(夢洲、他)

2031年

なにわ筋線 開業

2037年

リニア中央新幹線 大阪まで延伸

2046年

北陸新幹線 大阪まで延伸