人口減少の将来予測!これから日本はどうなる?
はじめに政府が公表したデータに基づき、本当に人口減少が進展するのか正確に分析しましょう。
不動産投資との関係性を探るうえでは全体的な人口の推移だけでなく、地域別・年齢階層別の傾向を把握する必要があります。
国土交通省の「国土の状況変化①について」を参考に人口減少の主要な論点をまとめました。
2050年代には総人口が1億人を下回る
日本の人口が減る未来は確実で、2023年に1億2,435万人だった総人口は2050年には1億人を割り込むとみられています。
たった30年で5分の1の人が消えるという試算は衝撃的ですが、現実から目を背けてはいけません。
労働力を提供して価値を生み出す人の数が減れば、国力の低下を招く可能性も否定できません。なお、高度経済成長を迎える前の1965年時点の総人口は約1億人でした。
東京を除くすべての都道府県で人口減少を迎える
「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、東京を除く46道府県の人口は2020年以降、一貫して減少する見通しです。さらに2020年〜2025年にかけて減少率が5%を上回るのは12県、2035年〜2045年は17道県、2045年〜2050年は35道県と次第に増えると予測されています。
ほとんどの都道府県で総人口が減少する未来は避けられず、年々その速度が早くなる可能性が高いです。2040年以降は東京都でも人口減少が始まるとみられますが、地方からの流入の影響も加味すると他の都道府県よりも限定的な影響にとどまります。
少子高齢化が加速度的に進行する
日本の人口減少は少子高齢化の急速な進行を伴うことが特徴です。2050年の高齢化率は約38%と予測され、国民の4人に1人が65歳以上の高齢者になると試算されています。
年齢階層別では2015〜2050年にかけて高齢者人口が454万人増えるのとは対照的に、生産年齢人口(15〜64歳)は2,453万人、若年人口(0〜14歳)は518万人減少します。
他の年代と異なる動向をみせる65歳以上の高齢者は、特に都市部で大幅な人口増となる見通しです。
人口減少が不動産投資に与えるリスク
この先大幅な人口減少を迎える中でも「東京都の進行は緩やかであること」「高齢者人口は逆に増えること」が分かりました。
以上を踏まえ、日本の人口が減ると賃貸経営にどのようなリスクが生じるのか解説します。
空き家の増加
人口減少や少子高齢化の進行は空き家の増加を招く可能性が高いです。単身世帯の高齢者が亡くなり、次の入居者が見つからなければ、管理者不在で放置されます。
土地の有効活用を妨げる空き家は、賃貸マンションやアパートの建設可能な場所を減らす厄介な存在です。「令和5年住宅・土地統計調査」によると空き家数の900万戸、空き家率13.8%という数字はいずれも過去最高。
この傾向は今後も続く可能性が高く、不法投棄の温床になることや景観の阻害、近隣とのトラブルにもつながるため、空き家の減少は国策の一つに位置づけられています。
地方の賃貸需要の低下
すでに東京以外の道府県では人口減少が始まっており、部屋を借りる人自体が減る問題に直面しています。不動産投資は賃貸マンションを経営して入居者から家賃収入を得ることで成り立っています。
皆さんが不安を抱くように借り手が減れば、マンション経営の逆風となるのは事実です。
人口減少でも不動産投資が稼げる理由
人口減少は不動産投資に悪影響を与えますが、決してネガティブなことばかりではありません。全体では人が減り続けていても、内訳をみれば反対に増える層もあるためです。
ターゲットの選定を間違えなければ、安定した賃貸需要を背景に不動産投資で稼ぎ続けるのは可能です。
高齢者の賃貸需要が伸びるから
急速な高齢化を背景に、配偶者に先立たれた65歳以上の人を中心に、単身で賃貸マンションを探す人が増えつつあります。部屋がいくつもある必要以上に広い持ち家よりも、最低限の居住スペースで生活資金が少なくて済む一人暮らしを望む人は少なくありません。
現に65歳を超えて賃貸物件を探し始めた高齢者が、年齢を理由に入居を断られる事例が後を絶ちません。孤独死により事故物件になることを懸念しての措置ですが、裏を返せば、65歳以上の人たちの賃貸需要は旺盛だといえます。
単身世帯の賃貸需要が伸びるから
人口の減少とは対照的に世帯数は年々増え続けています。背景にあるのは核家族化や単身世帯の増加です。ライフスタイルが多様化し結婚をしない若者の数が増え、30代や40代に差し掛かっても一人暮らしを続けるケースがみられます。
また子供をもたないDINKsと呼ばれる夫婦や、旦那の親元で同居する夫婦の数が減ったことも関係しています。
人口が減少しても単身世帯が減らなければ、賃貸需要に大きな影響が生じるとは限りません。一人暮らしを始めるため物件を探そうと考える人は、今後も大幅には減少しないと予測されています。
都心でマンションを借りる人は減らないから
人口が急激に減少しても、都心でマンションを借りる人の数にはさほど影響を与えないと考えられます。少なくとも人口の流出がまだ先の今後数年間は、目に見えて賃貸需要がなくなるとは思えません。
背景にあるのは進学や就職で東京都近辺で物件を探す若者たちのニーズです。大企業や大学、大型の商業施設が集中する都心部で一人暮らしを始めたいと上京する若い世代は少なくありません。
彼らは地方の人口流出の原因となる存在ですが、東京都で不動産経営を始める投資家にとって貴重な存在です。若者の都心部への流入の動きを読んで、賃貸マンションを経営すれば十分勝機はあります。
人口減少でも勝てる不動産投資戦略
人口の減少を理由に不動産投資を諦める必要はないとはいえ、バブル経済の時代と比べて利益を上げるのは難しくなった今、勝つためには戦略が必要です。賃貸マンションを購入して広告費を投じて入居者を募れば、簡単に稼げる時代ではなくなりました。
人口減少を踏まえた、成功につながる投資戦略を具体的に解説します。
単身世帯にターゲットを絞る
一人暮らしを始める高齢者や若者による旺盛な賃貸需要を考慮し、単身世帯にターゲットを絞ると効果的です。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018年推計」によると、単身世帯は2035年まで増加の一途を辿ると予想されています。
重要なのは一人で生活する決意を固めた人は賃貸物件に住む割合が高いことです。配偶者に先立たれた独居老人が持ち家に住み続けるケースは決して多くありません。
以上を踏まえると不動産投資で成功したいと考えるならば、母数が多く家を借りたいニーズも大きい単身者を狙うのが常道だといえます。必然的に単身者向けのマンションやアパート、もしくはワンルームマンション投資が選択肢に上がるでしょう。
都心の物件を購入する
これからの不動産投資で成功するには、人口減少の影響が少ない都心の物件を選ぶことが重要です。東京で夢を叶えたいという若者のニーズにとどまらず、社会インフラの整備を考慮しても、都心回帰は進むとみられます。
関係が深い国の施策に、住まいや交通、商業施設を一帯に配置し、比較的狭い範囲で不自由ない生活を可能とする「コンパクトシティ」があります。都心部、または周辺に居住すれば車がなくても、電車や徒歩による移動だけでも不都合は生じなくなるでしょう。
住まいを決める際に重要となる、利便性が高いエリアに住みたいというニーズは今後も衰えを知らないでしょう。
1LDKの賃貸マンションに絞る
初期費用を抑えて効率的に利益を出せるワンルーム投資もおすすめです。核家族世帯やDINKs世帯をターゲットに据えて、1LDKの賃貸マンションが投資先として優れています。
都心のマンションはワンルームやファミリータイプが主流で、1LDKの物件は未だに多くありません。募集をかければ入居者がすぐ決まり、入居期間も長期に及ぶと想定されます。
今後需要が伸びるとみられる都心の1LDKは出口戦略を考えるうえでも有利です。売りに出せば他の投資家やDINKs世帯をはじめ、希望者が即見つかると予想できるため、価格に関する売主の希望が通りやすいからです。
都心のワンルームマンションは値上がりが想定されるお宝物件です。上手くいけば購入価格と同等の価格で売却して、利益を出して投資を終えられる可能性は低くありません。
コンセプト経営による差別化もおすすめ
人口減少の影響を考慮して、都心部で単身者向けの物件を選ぶ投資家は少なくありません。
ライバルも多くなるため、多数の入居者を集めて潤沢な賃貸収入を得るには戦略的に心許ないと言わざるを得ません。
他の物件より一歩抜きんでて優先的に借り手を募る方法としてコンセプト経営をおすすめします。その名のとおり、特定のコンセプトに沿ったマンション経営を表します。
言い換えると、ターゲットの具体化と捉えても間違いではありません。例えば高齢者向けにバリアフリー機能を充実させたり、若者向けにペット可・楽器演奏可にしたりする方法が考えられます。
まとめ
これから人口減少を迎えたとしても、戦略の立て方次第では不動産投資は今後も利益を出せる方法の一つです。
独居老人や若者の上京を背景に、高い水準で推移するとみられる単身世帯をターゲットにした都心のマンション経営がおすすめです。
さらにワンルームマンション投資の中でも、需要が高くライバルが少ない1LDKの物件が狙い目です。
大まかな方向性は共通していても、エリアや外観、内装によって具体的な戦略は千差万別です。これから不動産投資を始める人は専門家を頼り、何から始めれば良いかアドバイスを求めると成功の確率が高くなります。
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