不動産投資は年収いくらから可能?不動産投資ローンについて解説!

「不動産投資を始めたい」と思っていても、手持ちの現金や自分の年収を考えて躊躇ってしまう人も多いのではないでしょうか。一方、十分に不動産投資を始められるはずと思案して調査してみると、年収が足りなくてがっかりしたという経験をお持ちの方もいます。そこで今回は、不動産投資に最適な年収をご紹介します。年収別で見る融資可能額にも触れるので、これから不動産投資を始めたい方は参考になさってください。

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不動産投資は年収いくらから始められる?

不動産投資を始めるためには、どの程度の年収が必要なのでしょうか。多くの人がこの疑問を抱えています。

ここでは、不動産投資を始めるための年収基準について詳しく解説します。

不動産投資ローンの一般的な年収基準

不動産投資を始めるために必要な年収は、一般的に500万円から700万円とされています。これは金融機関が融資を行う際の基準であり、年収が高いほど融資を受けやすくなります。

年収700万円以上であれば、多くの金融機関で融資を検討してもらえる可能性が高くなりますが、年収500万円以下でも融資を受けることは不可能ではありません。

金融機関の審査は年収だけでなく、物件の収益性や資産価値、個人の信用情報など多角的に判断されます。たとえば、年収が500万円前後でも、物件価格の20%以上の自己資金を用意することで審査に通りやすくなる場合があります。

また、家族構成や既存の借り入れ状況、物件の収益性なども考慮され、これらの条件が整っていれば、年収が低くても不動産投資ローンを組むことが可能です。

年収が低い場合でも不動産投資はできるか

年収が低い場合でも、不動産投資を始める方法はあります。例えば、金融資産を増やすことで融資を受けやすくする方法です。預金や株式、投資信託などの金融資産を増やすことで、年収が低くても融資を受けられる可能性が高まります。

また、日本政策金融公庫のような政府系金融機関を利用することで、年収が低くても融資を受けられる場合があります。

さらに、年収が低い場合でも、専門家のアドバイスを受けることで、適切な物件選びや融資の方法を見つけることが可能です。不動産投資のプロに相談することで、ローン契約までをスムーズに進められることが期待できます。

不動産投資は、年収が高いほど有利ですが、年収が低くても工夫次第で始めることが可能です。不動産投資にはリスクが伴うため、慎重な検討と専門家への相談などを行い、不動産投資を行いましょう。

年収別の借入可能な不動産投資ローン金額

ここからは、年収別に借入可能な不動産投資ローンの金額の目安を解説します。あくまで目安に過ぎず、実際に借りられる金額は申し込み者の状況に左右されます。

特に不動産投資ローンの審査では、年収・年齢などの属性・職業といった社会的信頼度などをチェックされることが多いです。同じ年収1,000万円であっても、年齢や職業次第では希望する額を借り入れできない可能性があるので注意しましょう。

実際の審査手法は申し込み先の金融機関により異なりますが、借入可能な不動産投資ローンの金額はおよそ年収の7〜10倍程度を目安にしています。

【年収400万円の場合】約3,200万円〜4,000万円

年収400万円の場合、約3,200万円~4,000万円程度の借り入れができます。ただし、年収400万円は不動産投資をする人のなかで比較的低い方なので、3,200万以下の額でも借り入れ自体ができないケースも多いです。

年収が低くても借りられるのは、大手上場企業に勤務している方や公務員など安定性の高い職業に就いている方に限られます。

それ以外の方で融資を受けたいのであれば、なるべく自己資金を多く保有しておくようにしましょう。年収が少なくても、自己資金が多ければ返済の目処があると判断してもらえるため、融資を受けられる可能性が高いです。

【年収500万円の場合】約4,000万円〜5,000万円

年収500万円の場合、約4,000万円〜5,000万円程度の借り入れができます。ローンを前提に不動産投資をする場合、年収の最低ラインは年収500万円とイメージしておくのが理想です。

ただし、年収500万円でも不動産投資ローンを検討してくれる金融機関は全体の30%に留まります。大手上場企業勤務や公務員、収入の安定性、自己資金の多さなど、信頼性をアピールできる要素が少ないと難しいでしょう。メガバンクや地方銀行は特に厳しい傾向なので、日本政策金融公庫などの利用を検討することも一つの手です。

とはいえ、年収500万円は不動産投資を行う上でギリギリのラインであることは間違いありません。転職や副業などで収入アップを目指し、自己資金に余裕が出てきた段階で不動産投資の融資を検討することをおすすめします。

【年収700万円の場合】約5,000万円~7,000万円

年収700万円の場合、約5,000万円〜7,000万円程度の借り入れができます。不動産投資をするうえで、年収700万円以上あればチャレンジできる幅が広がるといわれています。

実際に、年収700万円の人に対して不動産投資ローンを検討してくれる金融機関の割合は、全体の50%に達します。

ただし、あくまでも検討してくれる金融機関の割合が増えるだけであり、属性や詳しい金額によっては借り入れできないケースもあります。

確実な返済プランを提示するため、投資計画や収益の想定をきちんと説明できるよう準備しておきましょう。

不動産投資ローンに力を入れている地方銀行や、ネット銀行を中心に相談することもおすすめです。

年収700万円の場合、融資を受ける上でつまずくケースはほとんどありません。しかし、金融機関の担当者への対応によっては断られてしまう可能性もあります。融資を受ける際の銀行員とのやりとりは丁寧に行いましょう。年収面では問題なくても、返済が滞りそうと思われてしまい、融資を受けられないケースはしばしばあります。

【年収1,000万円の場合】約8,000万円〜1億円

年収1,000万円の場合、約8,000万円〜1億円の借り入れができます。仕事が安定しており社会的に信用できると評価されるケースが多く、資金力も十分なのでほとんどの金融機関から融資を受けられます。

この年収帯になると融資を断られるケースはほとんどありません。ただし、運用計画次第では無理な不動産投資になりそうと判断され、融資を断られる可能性もあるので注意しておきましょう。

また、年収の高さに目をつけた金融機関や不動産会社からの営業も増加します。なかには詐欺や悪徳業者が含まれている可能性もあるので、情報を取捨選択したうえで信頼性のある取引先を見つける必要があります。

都市銀行を利用する場合は、事業実績の有無も判断材料となります。確実に融資を受けるなら、地方銀行などで実績を作ることから始めることもおすすめです。融資を受けて返済した実績があれば、仮に年収が下がったとしても融資を行ってくれる可能性が高まります。

不動産投資ローンの特徴と審査基準

不動産投資ローンは、収益を目的とした不動産を購入するためのローンです。

ここでは、不動産投資ローンの特徴と審査基準について詳しく解説します。

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産投資ローンと住宅ローンは、目的や審査基準が大きく異なります

住宅ローンは自分や家族が住むための住宅を購入するためのローンであり、返済原資は主に給与収入です。一方、不動産投資ローンは収益物件を購入するためのローンで、返済原資は家賃収入となります。

また、融資金額についても違いがあります。住宅ローンは年収の5〜6倍程度が一般的ですが、不動産投資ローンは年収の7〜10倍程度まで融資されることがあります。金利も異なり、不動産投資ローンの方が高く設定される傾向があります。

不動産投資ローンは物件の収益性と価値が重要

不動産投資ローンの審査では、物件の収益性と価値が重要なポイントとなります。

金融機関は物件の所在地や築年数、間取りなどを評価しますが、収益性が高い物件であれば融資を受けやすいです。また、物件の価値が高いほど、将来的なリスクが低いと判断され、審査に有利となります。

物件の収益性を高めるためには、賃貸需要が高いエリアに物件を購入することが重要です。

駅から近い物件や新築物件は、賃貸需要が高く安定した収益が期待できます。一方で、収益性を重視する場合は、築年数が古い物件でもリフォームや修繕を行うことで価値を向上させることが可能です。

不動産投資ローンを利用する際は、物件の収益性と価値をしっかりと見極めることで、安定した収益につながり、ローンの返済もスムーズに進めることができます。

不動産ローンで重視される属性

不動産ローンでは個人の属性が重視されます。ここでは、判断基準となる項目についてご紹介しますので、不動産ローンを利用する際の参考にしてみてください。

収入に関する属性

収入は最も重要な要素となります。一般的には直近3年以上で安定して高い収入を得ている方が融資を受けやすいでしょう。 

安定性の高い職業では、医師や公務員、上場企業・有名企業に勤めるサラリーマンが挙げられます。 さらに、勤続年数も長いほど信用が高まります。

ただし、年収が高くても、勤続年数1年未満 だったり、給与が不安定な職種だったりすると不動産投資ローンが組めないケースがあるので注意しておきましょう。タクシードライバーや保険販売業など歩合給の割合が高い職業や個人事業主などは融資が通りにくいケースが多いです。 

ほかに契約しているローンの有無

ほかに契約しているローンがあるかどうかも重要です。すでに住宅ローンや車のローンなどを組んでいて借入総額が多いと、年収が高くても審査に通らないケースがあります。

また、クレジットカードの支払額が極端に多い方や返済が遅れたことがある方も、ローンを組めない可能性が高いでしょう。

持ち家かどうか

居住環境も重要なポイントになります。賃貸の場合は、継続的な支出が発生するため、経済的に困窮しやすく返済が滞る可能性があると判断されてしまうことがあります。

できれば持ち家の方が不動産ローンを組みやすいですが、すぐに家を購入するのは難しいでしょう。住宅ローンを組んでいることがマイナス評価にも繋がりかねません。

現在、賃貸物件に住んでいる場合は、他のポイントで融資を受けられるようにアピールをする必要があります。

換金できる資産

自己資金が多い方が不動産ローンを組みやすいと説明しましたが、同様に換金できる資産についても評価対象となります。例えば、金や株を保有していたり、すでにアパートを何件か持っていたりする場合は、換金が可能なため返済能力があると判断されやすいです。

家族構成

最後に家族構成です。基本的には、単身者より配偶者がいる方が審査に通りやすい傾向です。ローンの返済が困難になっても、配偶者を連帯保証人とみなせるためです。

一方、子どもの多い家庭は融資を断られるケースがあります。子どもの人数によって今後かかる生活費や教育費などが大きく異なり、ローンの返済能力に影響すると判断されるためです。

不動産投資ローンで属性を上げるためのポイント

不動産投資ローンを利用する際には、金融機関からの評価を高めることが重要です。

ここでは、不動産投資ローンで属性を上げるためのポイントについて詳しく解説します。

収入を増やす

不動産投資でローンを組むには、収入を増やすことが重要です。

金融機関は安定した収入を持つ借り手を好むため、収入を増やすことでローン審査が通りやすくなります。副業や昇進、転職などの収入を増やす手段を検討しましょう。

具体的には、本業での昇給交渉や、スキルアップによる転職も有効な手段です。副業では、フリーランスとしての仕事や、投資による不労所得の獲得なども考えられます。

さらに、不動産投資の経験がある場合は、その実績を示すことで金融機関の信頼を得やすくなります。

ローン審査において有利に働かせるには、収入の安定性と成長性を示すことが重要です。

資産形成の重要性

金融機関は借り手の資産状況を重視しているため、貯蓄や投資を通じて資産を増やし、自己資金を充実させることが求められます。

特に、不動産や株式などの流動性の高い資産を持つことが評価されます。したがって、資産形成は借り手の信用力を高めるための基本です。

資産形成の方法としては、定期的な貯蓄はもちろん、投資信託や株式投資、不動産投資などがあげられます。既に行っている不動産投資で物件の価値上昇や賃貸収入などの実績がある場合は、新たな投資物件のローン審査に好影響を与えることが可能です。

また、金融資産だけでなく、事業用資産や知的財産権なども評価の対象となる場合があります。さまざまな資産を保有し、適切に管理している状況を示すことが重要です。

信用スコアの改善方法

信用スコアは、ローン審査において非常に重要な要素であるため、クレジットカードの利用履歴やローンの返済履歴を良好に保つ必要があります。

特に、延滞や未払いを避け、定期的に信用情報を確認し、必要に応じて修正を行うことが重要です。信用スコアを高めることで、より有利な条件でローンを利用できる可能性が高まります。

信用スコアを改善するためには、現在の自分の信用情報を把握することから始めましょう。信用情報機関に登録されている情報を確認し、誤りがあれば速やかに修正を依頼します。

また、クレジットカードの利用額を抑え、毎月の支払いを確実に行い、複数のローンがある場合は、早期の返済を心がけましょう

さらに、長期的な取引実績を作ることも信用スコアの向上につながります。例えば、同じ銀行との継続的な取引や、住所や勤務先を保つことも安定性を示す要因となります。

不動産投資ローンのリスクと対策

不動産投資ローンにおいて発生するリスクを理解し、適切な対策を講じることで、安定した投資を実現できる可能性が高まります。

ここでは、不動産投資ローンのリスクと対策について詳しく解説します。

金利上昇リスク

金利上昇リスクは、不動産投資ローンを利用する際に注意すべき重要な要素です。

たとえば変動金利を選択した場合、将来の金利上昇によってローン返済額が増加し、投資収益に影響を与える可能性があります。

そのような場合は、固定金利の選択や自己資金の投入が効果的です。また、低金利時に繰り上げ返済を行い、残債を減らすことも有効な方法となります。

また、金利上昇に備えて、複数の金融機関からの借り入れを検討し、金利条件を比較することも重要です。金融機関によっては、金利の見直しや借り換えが可能な場合があるため、定期的に金利動向をチェックし、適切なタイミングで対応することが求められます。

このように、金利上昇リスクを管理することで、長期的な投資の安定性を確保できます。

空室リスク

空室リスクは、長期間の空室は家賃収入を失うだけでなく、ローン返済や管理費の負担がより重くなってしまいます。このリスクを軽減するためには、立地条件の良い物件を選ぶことが重要です。

駅からの距離や周辺の利便性を考慮したうえで、需要の高いエリアの物件を選択しましょう。適切な賃料設定や入居率の高い管理会社との提携も、空室リスク対策として効果的な方法となります。

また、物件の魅力を高めるためにリフォームを行ったり、設備を充実させたりすることで、入居率の向上が期待できます。

さらに、ターゲット層を明確にし、マーケティング戦略を練ることも重要です。たとえば、学生向けや単身者向けの物件としてアピールすることで、特定の需要を狙うことができます。

これらの対策を講じることで、空室リスクを大幅に軽減することが可能です。

修繕費用のリスク

建物の経年劣化に伴う修繕費用は、不動産投資における避けられないリスクです。予期せぬ高額修繕が必要になると、投資収益を圧迫する可能性があります。

このリスクに備えるためには、計画的な修繕積立金の確保が重要です。また、物件購入時に建物の状態を専門家に確認してもらい、将来的な修繕の必要性を把握しておく必要があります。

定期的なメンテナンスを行うことで、大規模修繕のリスクを軽減できる場合もあります。修繕費用の見積もりを事前に把握し、予算を確保することも重要です。

たとえば、屋根や外壁の修繕、配管の交換など、具体的な修繕項目をリストアップし、必要な費用を見積もることで、予算計画を立てることができます。

また、修繕費用を抑えるために、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することも有効です。信頼できる業者を選ぶことで、質の高い修繕を適正な価格で行うことが可能となります。

このように、あらゆる観点で修繕費用のリスクを管理することで、長期的な投資の安定性を確保することができます。

まとめ

不動産投資を始めるのに最低限必要な年収は、明確に明かされていません。一般的に目安となる借入可能な不動産投資ローンの金額は年収の7〜10倍程度であり、下記の範囲になることが多いです。

・年収400万円の場合:約3,200万円~4,000万円

・年収500万円の場合:約4,000万円~5,000万円

・年収700万円の場合:約5,000万円~7,000万円

・年収1,000万円の場合:約8,000万円~1億円

ただし、年収だけでなく勤務先・勤続年数・家族構成・連帯保証人の有無や既存ローンの返済状況などを総合的に評価したうえで、借り入れできるかが決定する点に注意が必要です。

また、審査には不動産投資での収益計画も重視されることを知っておきましょう。「確実に返済してくれるだろう」と評価してもらうことができれば、少額の融資はもちろん多額の融資を受けられる可能性が高まります。