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不動産投資でFIREを目指す目安は「年間支出×25」の保有資産
FIREを目指す目安は貯金や運用で貯めた資産が25年分の生活費を上回ったときです。
例えば年間支出が300万円(月25万円×12)と仮定した場合、7,500万円の保有資産があれば、この先資産運用だけで生活を成り立たせることは可能です。
月々の支出は個々のライフスタイルや家族構成しだいで異なるため、必要な資産額は4,000万円〜1億円以上まで振り幅があります。
運用益の目安を表す4%ルール
年間支出の25年分という基準は、資産運用の目安を表す4%ルールを根拠に導き出されました。先に紹介した7,500万円も年利4%での運用が前提となっています。
つまり年間4%の運用益を継続的に挙げれば、生活費を賄い、投資だけで生活を成り立たせることができます。
4%は、アメリカのS&P株の平均的な成長率である7%からインフレ率の3%を控除した数字です。インフレの影響が薄い日本の場合、5〜6%の運用を目指すと実態と乖離せず現実的です。
6%ルールで不動産投資を始めると仮定すると、年間支出の20倍の資産を蓄えれば、十分生活費を賄えると試算されます。
シミュレーションで必要な投資の規模を把握しよう
皆さんが気になるのは、「私の収入や支出ではいくら貯めればFIREできるのだろう?」ということではないでしょうか。
必要な試算額は収支のほか投資規模にも左右されますが、実現可能性が高い収支計画を練るにはシミュレーションが必要です。
ここでは、2つのモデルケースを事例にFIREの計算方法を解説します。
ケース1.都内のワンルームマンション投資
以下の条件で賃貸マンションを経営したときの必要な投資額を算出します。
・年間の生活資金:500万円
・年間の家賃収入:60万円
・ワンルームマンション(新築)の購入価格:1,500万円
・購入時の諸経費:5万円
・年間の諸経費:5万円
※不動産投資ローンの活用はなく、自己資金のみの想定
税引き前キャッシュフロー(年間)は60万円-(5万円+5万円)=50万円です。年間の生活資金500万円を賄うには同じ条件で10軒の投資用物件を運用する必要があります。
1,500万円×10棟=1億5,000万円の初期投資が相場だと判定できます。
なお本モデルの表面利回りは4%です。ワンルームマンション投資は1件当たりの購入価格を抑えられる一方、空室になると収入が0円になるため、常に稼働する状態を維持することに努めなくてはいけません。
ケース2.50歳でアーリーリタイヤを狙う
独身のサラリーマンが50歳で退職し、FIRE生活を実現させるには不動産投資でどの程度の規模が必要なのでしょうか。
・年間の生活費:300万円
・50歳~85歳までの総支出額:1億500万円
・貯金:5,000万円
・退職金:2,000万円
・公的年金(65歳以降の受け取り):200万円
上記の事例では、貯金と退職金、公的年金だけでは退職後に必要な生活費が3,300万円不足します。
次に不足額を補うにはいつまでにどの程度の規模で不動産投資を行うかシミュレーションします。
・物件価格:3,000万円
・満室時の想定収入:1,000万円
・空室率:10%
・自己資金:2,000万円
・借入金額:1,000万円
・返済期間:15年
・借入金利:2%
想定される運用結果は次のとおりです。
・年間ローン返済額:77万円
・年間諸経費:250万円
・年間支出:327万円
・年間手取り額:673万円
賃貸マンションの購入に2,000万円の自己資金を投じたため、老後に安定した生活を送るには生活資金が5,300万円不足します。
家賃収入で不足額を補うには約8年間の想定収入が必要です。
つまり50歳時点でFIREを狙うには8年前の42歳から3,000万円のマンションを購入し、家賃収入を1,000万円上げるべきだと結論を出せます。
不動産投資はFIREの実現可能性が高い方法
FIRE(Financial Independence, Retire Early)は経済的自立と早期自立を意味する言葉です。資産運用で働かずに生活が成り立つならば、株や投資信託、FXで稼いでも問題ありません。
しかし、実現可能性を考えると不動産投資はFIREの達成におすすめの方法です。その理由について解説します。
理由1.複数物件の保有でリスク分散に効果的
不動産投資は複数の物件を所有しても、減収による影響を最小限に抑えられるという側面があります。
あるマンションで空き室率が想定を超えても、別のアパートで満室になればトータルで損失は発生しません。
さらに不動産会社に物件の管理を依頼すれば、複数の物件を所有するオーナーへの負担は微々たるものです。
リスク分散の具体的な方法は保有エリア、物件の種別、投資のタイミングなどが挙げられます。
理由2.レバレッジ効果による加速度的な資産の上昇
不動産投資ではローンを活用して、自己資金を超える規模の投資を実現できます。
単に不足分を補い欲しい物件の購入をサポートするだけでなく、レバレッジ効果による運用収入の最大化を狙えます。
例えば同じ利回り(10%と仮定)のグレードが異なる賃貸マンションが二つあるとしましょう。1,000万円の自己資金で小さいほうの物件を購入した場合、運用益は100万円です。
一方ローンの活用で大きな5,000万円の物件を購入した場合、運用益は500万円を得られます。返済の負担を考慮しても後者のほうが利益を伸ばしやすく、加速度的な資産の積み上げに効果的です。
理由3.安定収入が確保できて比較的ローリスク
不動産投資で得られる家賃収入は他の投資の収入と比べて安定的な財源です。
賃料はオーナーの希望に沿って決められる上、入居者が居続ける限り、収入が途絶えることはありません。
株式投資の場合、投資先の業績次第ではキャピタルゲインやインカムゲインを受け取れない可能性があります。
FXはレバレッジ効果を狙えるのは不動産投資と共通していますが、予測が外れて損失を被ったときのリスクが大きすぎます。
分散投資のリスクヘッジと安定収入という特徴をもつ不動産投資は、FIREを叶えやすいバランスの良い方法です。
不動産投資でFIREを始める具体的な手順
マンション経営でFIREを目指す際の手順は次のとおりです。
STEP1.収支を把握する
まずリタイア後の生活を解像度高くイメージして、想定収支の把握に努めてください。退職後の生活を支えるのは主に貯蓄や年金、退職金、不動産の売却益です。
支出を見積もる際は固定費と変動費を漏れなく計上する必要があります。引越しや結婚、出産など大きなライフイベントを控えている場合、住宅ローンや結婚費用、養育費などの算定も必要です。
今よりも豪華な暮らしを望むのか、質素で慎ましい生活で良いのか、実現したい姿は人それぞれです。理想を達成したと仮定して、具体的な収支を思い浮かべることがfireを成功に導く第一歩です。
STEP2.目標資産額を決める
次にリタイア後の生活を成り立たせるのに必要な資産額を算出します。基本的には4%ルールに則り、年間支出を25倍した資産をもつことを目標に据えて問題ありません。
現在の保有資産に不足があればいつまでに解消が可能か、シミュレーションが必要です。
「給与の〇%を貯蓄に回せば〇年で実現できる」というように、期限や必要資産額を具体的に明らかにしましょう。
STEP3.物件を選定する
必要な資産を準備できた後は不動産投資を始めるために物件を選定します。言うまでもなく賃貸マンション選びの成否は、将来の運用益に直結する極めて重要なポイントです。
最低でも利回りの高さや空室リスク、購入価格の三点は見逃してはいけません。立地や利便性、外観、内装なども内見の際にチェックすべき重要な項目です。
不動産投資によるFIREの失敗を防ぐコツ
不動産投資でFIREを目指すのは決して簡単ではなく、長く険しい道のりを迫られます。
できるだけ多くの資金を用意し、注意深く用心して行うのが基本的な戦略です。不動産投資でFIREを成功に導くためのコツを解説します。
銀行から融資を受ける
富裕層や資産家ではない普通のサラリーマンが、自己資金だけでFIREするのは難易度が高いです。
金融機関のローンを活用し、レバレッジ効果を活用して大きなリターンを狙いたいところです。
10部屋以上を抱える規模のマンションやアパートなら空室を抱えても、ローンの返済やランニングコストを考慮して余りある収入を得られます。リスク分散の観点から複数物件を所有することを考えたとき、多額の初期投資は避けられないでしょう。
最初のうちはサイドFIREを目指す
必要な資産額と現実が乖離し過ぎるときは無理に完全なFIREを目指すのではなく、副業で投資を始めるサイドfireを検討するのも有効です。
他に収入があれば、たとえ4%ルールの運用ができなくても、収支を逼迫しないで済みます。会社を退職しても派遣やアルバイトで稼ぎを補えば、投資が失敗しても致命的な状況には陥りません。
完全な不労所得を目指して投資に傾倒するのも良し、一定の自由を得られる今の生活が心地よいと感じるならそれも良しです。
利回りを踏まえた入念なシミュレーションを立てる
FIREに限らず不動産投資で成功するには、収支を漏れなく考慮した入念なシミュレーションが必須です。
基本的にいずれのケースでも以下の事項はチェックが必要だと考えましょう。
・物件の購入価格
・実質利回り
・満室時の年間収入
・空室率
・不動産会社への仲介手数料
・ローンの借入額、返済期間、金利
・固定資産税、不動産取得税など各種公租公課
・修繕コスト
災害リスクや事故のリスクも念頭に入れた、ゆとりある資金計画を作成することが大切です。
まとめ
不動産投資でFIREを実現できる資産の目安は年間支出の25倍で、具体的な金額は4,000万円〜1億円の範囲に収まると推察されます。
必要な資金を調達できても投資が成功するかは別問題です。入念なシミュレーションを立てた上、投資物件を吟味し、中長期的に粘り強く取り組む姿勢が求められます。
投資初心者は何から始めれば良いか分からず、途方にくれる人が少なくありません。
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賃貸管理のコストを抑えていち早くFIREを実現したい人は、ぜひお気軽にご相談ください。