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不動産投資ローンで審査落ちになる理由
不動産投資ローンを申し込んでもなかなか審査が通らない人がいます。
融資をあてにできなければ、高額の物件を購入することができず、不動産経営の夢を断念せざるを得なくなるでしょう。
申し込んだにもかかわらず、不動産投資ローンの審査に通過できない主な理由を解説します。
年収や保有資産が少ないから
年収や保有資産が少ないと、思うように家賃収入が得られないときにローンの返済が滞る可能性があります。
競売にかけて売却益を残債に充当するのは万一の保険です。金利を上乗せした金額を毎月返済できる程の資金力がない人は、残念ながら金融機関から敬遠されます。
不動産投資ローンの審査に通過する年収は、500万円〜700万円といわれています「令和3年民間給与実態調査」によるとサラリーマンの平均年収は約443万円です。
普通の人が不動産投資を始めるには金融資産や貯蓄がある、高年収の会社に勤務している、昇進や昇格で給与が上がったなどの事情がないと厳しくなるでしょう。
収入が安定しない働き方だから
申込人が不動産投資以外で稼いでいれば、たとえマンション経営が赤字でも、金融機関は給料から返済できるだろうと考えます。
正社員ではない派遣社員や契約社員で働いている人は雇い止めのリスクがあるため、審査に落ちる可能性が高くなるかもしれません。
正社員の雇用を前提とした派遣契約でも、歩合給の占める割合の高さから収入が不安定だとみなされる場合があります。フリーランスのように都度必要に応じて契約を交わす働き方も同様です。
正社員でも就職・転職したばかりで勤続年数が短い人は、毎年同じ収入が続くとは限らないため、審査を断られる可能性があります。
物件の資産価値が低いと判断されたから
担保に入れる物件の資産価値が低いと判断され、審査落ちになるケースは枚挙にいとまがありません。
競売にかけても残債を回収し切れない事態に備えて、金融機関はローンの申し込み時に築年数や立地、設備などから、売却していくらになるか査定します。
担保に入れた物件の価値は、市場価格の6〜8割程度が一般的です。自分で考えている以上に、金融機関が厳しい査定を下す可能性があることに注意が必要です。
物件の耐用年数が近いから
あらゆる物件は構造ごとに法定耐用年数が定められています。
築年数が経過して耐用年数が間近に到来している、既に期限を過ぎている場合、融資を受けることが難しくなるでしょう。
基本的に、金融機関は法定耐用年数から経過年数を差し引いた期間を融資の上限だと考えています。古い物件は居住空間として問題がある程劣化していなくても、担保価値が低いとみなされる可能性が高いです。
耐用年数までの期間が短いと、運よく審査に通過できたときでも毎月の返済が負担になりやすいという側面があります。
返済期間も短縮する傾向がみられ、月々の返済額が大きくならざるを得ないからです。
申込人の信用情報に傷があるから
過去にクレジットカードやローンの返済で支払いの遅延や滞納をした人は、同じ過ちを繰り返す可能性が高いとみなされ、審査が厳しくなります。
不動産投資ローンの審査では申込人の調査につき、信用情報機関に信用情報の照会が行われます。今までのローンの借入れや滞納歴、ブラックリストの有無などが明らかにされるのです。
また、信用情報の傷は返済期限に間に合わず督促を受けた場合だけとは限りません。
他の金融機関からの借り入れが多い人も、審査に通りにくい傾向が見受けられます。既存の債務と合わせて債務超過の状態になり、返済が滞るリスクを懸念した対応です。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンは投資用の不動産の購入を目的とした融資です。居住用不動産の購入や設備の修繕・改修費用を捻出する際は住宅ローンに申し込まなくてはいけません。
不動産投資用ローンは、収益を出す目的で購入した投資用(事業用)の物件にかかる調達にしか利用できないことに注意してください。
またローンを組む際には住宅ローンより金利が高く、返済の負担が大きいことに注意が必要です。
事業用の物件は空室リスクや災害リスクから思うように利回りが上がらない状態に備えるため、金利を高めに設定しています。
不動産投資ローンの審査項目
不動産投資ローンの審査では、通常の住宅ローンと比べてさまざまな項目がチェックされます。
年収や勤続年数、貯蓄など本人に関する項目以外にも、物件の資産価値や収益性までみられるのが特徴です。
申込人に関する項目は次のとおりです。
- 年収や保有資産
- 勤務先や勤続年数
- クレジットカードやローンの履歴、利用情報
審査を通過する目安は概ね年収が700万円以上、勤続年数が2〜3年以上です。
返済能力は総合的にチェックするため、収入が多くても勤続年数が足りなければ融資を断られる場合があります。
他の不動産や預貯金、有価証券など保有資産が潤沢な場合、審査に有利です。物件に関する主な項目は次のとおりです。
- 収益性
- 資産価値
収益性とは家賃収入が安定して得られるか示す指標で、返済が滞る可能性の高さを判断する際に用いられます。立地や築年数、間取り、競合物件との比較など幅広い観点から精査します。
交通の便が悪かったり築年数が経過していたりすると、返済の原資となる家賃収入が不安定になるため、収益性は低くなるでしょう。
資産価値は物件を売却に出したとき得られる金額を示しています。経営状態が悪化してローンの返済ができなくなったとき、金融機関は担保にかけた抵当権を実行し、強制的に売却します。
売却益を返済の残高に充当しても不足する程の金額しか得られない見込みだと、担保の価値がないと判断され、融資を断られます。
不動産投資ローンの審査落ちを防ぐコツ
いきなり年収や資産を増やすのは不可能だからと運に頼るだけでは、審査落ちを防ぐことはできません。審査に通過するための自分でできる対策は次の4つです。
他のローンや使っていないクレジットカードを解約する
信用情報を良好に保ち、金融機関からの心象を良くするために、借入金を減らす努力をしましょう。過去の借入れで未返済の借金があれば、できる限り返済します。
借り換えを利用して金利を減らしたり、自己資金の範囲内で一部のみ負担したりするだけでも構いません。使っていないクレジットカードは解約し、少しでも借入件数を減らすことも重要です。
十分な頭金を用意する
十分な頭金を用意できれば借入金が少なくて済むため、審査に通過しやすくなります。金融機関が恐れる貸し倒れリスクを抑えるには、自己資金をできる限り多く拠出すると効果的です。
とくに年収が低く勤続年数が短いケースでは、頭金を用意して返済能力の高さを示すことが大切です。手持ち資産が豊富にあれば家賃収入が想定を下回っても、金融機関は返済不能には陥らないだろうと安心します。
不動産投資ローンの頭金は投資用物件の購入価格の1〜2割が相場です。5,000万円の物件が欲しいなら1,000万円の自己資金を用意すれば、審査落ちを免れる可能性が高くなるでしょう。
頭金を支払わずに、購入資金のすべてを借入金でまかなうフルローンの活用は現実的ではありません。貸し出す金額が大きくなる分、審査が厳しく、高年収で保有資産が豊富でないとなかなか認められないからです。
運よくフルローンの融資を勝ち取ったとしても、返済額の負担がのしかかるのは経営上、大きなリスクです。
日本政策金融公庫に融資を依頼する
金融機関ごとに審査基準は異なるため「A銀行では断られたが、B銀行では融資を受けられた」という事態が起こり得ます。
信用情報や年収に不安がある人でも、複数社に依頼するうちに、快く応じてくれる銀行が見つかる可能性があります。
融資の確度が高い金融機関を探している人は、日本政策金融公庫の活用がおすすめです。申し込み可能な人の範囲が広く、29歳未満の若年層や55歳を超える高齢者でも審査を通過できる可能性があります。
高齢の人は定年を迎える前に融資期間の上限を迎える場合があるため、30代や40代の将来的に長く現役で働き続けられる人より、審査落ちの確率が高くなります。
日本政策金融公庫の融資は民間の金融機関と比べて金利が低い傾向にあるのも、おすすめの理由です。
資産価値が高い物件に変更する
担保物件の価値の低さが原因で融資を断られた人は、投資対象を変える余地がないか検討しましょう。
「絶対にこのマンションが良い!」というこだわりがなければ、立地が良く設備が充実した資産価値が高い物件にしたほうが賢明です。
魅力的な物件は、入居者が殺到して安定した家賃収入が得やすくなる他、売却時に希望価格で買い手が見つかりやすくなります。
マンションやアパートの資産価値はさまざまな事情に左右されますが、なかでも重要な要素は築年数や立地です。築浅や新築、駅近、都心部の物件などが狙い目です。
アクセスに優れ、周辺施設も充実した住みやすいエリアは、年代問わず多くの人から好まれます。自分が住むとしたら魅力的かという視点で考えると、後悔しない物件選びにつながります。
まとめ
申込人の経済力や信用力のほか、物件の収益性や担保価値まで審査される不動産投資ローンは利用のハードルが高いといえます。
しかし事業用物件の購入は通常の住宅ローンでは認められないため、ローンの借入れは不動産投資の重要な条件です。
少しでも借入件数を減らした上で、十分な頭金を準備することが大切です。また日本政策金融公庫の融資の活用や、投資用物件の変更もおすすめします。
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