不動産投資では損切りしても良い?検討すべきタイミングを徹底解説

不動産投資の損切りとは賃貸物件を売却して、損失を確定させる行為を意味します。これ以上痛手を負わないために、投資の世界では必要な戦略の一つです。この記事では不動産投資における損切りの必要性や検討すべきタイミングを解説します。 不動産に限らず投資の世界でよく耳にする損切りという言葉。とかげの尻尾切りのようなネガティブな意味で使われがちですが、必ずしも失敗や負けを表すのではありません。 時と場合によっては大切な資産を守る、投資家を助ける重要な戦略です。 この記事では不動産投資における損切りの必要性や検討すべきタイミングを解説します。判断に迷ったときに何を拠り所にすれば良いか分かるため、ぜひご一読ください。

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損切りは資産を守るための基本的な戦略

不動産投資における損切りとは、想定していた家賃収入が得られない赤字続きの局面で、資産を売却して今以上の損失を防ぐことです。

一見投資が失敗に終わったように見えますが、必ずしもネガティブに捉えるべきとは限りません。

今後収入が増える見込みが薄ければ早々と手を切り、最低限の損失で抑えることは重要です。

下落局面で何もせず放置していては損失が膨らみ続けるだけですが、致命的な状況に陥る前に損切りの判断を下せば、リスタートの道が拓けます。

実際に成功した投資家には収益性が低い物件を早々に手放し、新たな物件に資金を移動する戦略を重要視する人も少なくありません。

不動産投資の初心者にとっては、損切りの影響を正しく把握し、その有効性を理解することが大切です。

不動産投資の損切りのメリット

赤字が続く賃貸物件を売却に出し、損失を確定させるメリットは次のとおりです。

  • 損失が膨らむかもしれないという精神的な不安から解放される
  • 損失を最小限に抑えられる
  • 投資先を変更するきっかけになる
  • 損益通算で節税を期待できる

長期間うまくいかない投資に固執するなら、思い切って諦めて別の投資先に切り替えるのも賢明な判断です。明確な正解はなく、結果論で何とでもいえると考える人もいるかもしれません。

しかし徐々に膨らむ損失に頭を抱えて不安を抱き続けるだけでは、運が良くないと状況は好転しません。新たなチャンスをみすみす逃さないためにも、頭の中に常に損切りという選択肢を入れておきましょう。

不動産投資の損切りのデメリット

損切りをすると、多かれ少なかれキャッシュの流出は避けられません。貯金の切り崩しを迫られ、目に見えて手持ち資金が減少すれば誰でも気持ちが滅入ります。

今後他の投資で収支は好転する可能性はありますが、しばらくは苦しい財政状態を余儀なくされます。短期的なキャッシュフローの悪化を招くことは、資金力が乏しい人の判断を鈍らせる要因の一つです。

赤字続きでも損切りを敬遠する理由は、回復する可能性を期待してのことです。不動産の相場は変動が激しく、待っていれば奇跡の上昇機運が訪れるかもしれません。

しかし確実に黒字に転ずるとは断言できず、さらに損失が膨らむ可能性もあることから非常に難しい判断を迫られます。

不動産投資で損切りを検討すべきタイミング

損切りは必ずしも悪い行為ではないと知っていても、いつすべきか検討がつかない人もいるでしょう。投資のプロでも適切なタイミングを掴むことは難しく、悩ましい判断を迫られます。

目安となる状況を把握すれば、同じ事態に直面したときに早急な決断を下せます。物件や資産の状況に関係なく、誰でもあてはまる損切りを検討すべきシチュエーションは次のとおりです。

ローンの返済ができなくなったとき

ローンを返済できない程、経済状態が悪化したときは一刻も早く損切りを検討する状況です。

家賃だけでは返済が滞る場合、持ち出しで補填する形になりますが、手元資金が底をついたら、いよいよ危険な状況です。

ローンの返済を滞納した場合、金融機関の信用情報に傷がつき、今後の審査に不利に働きます。新たな借り入れが難しくなる他、一括返済を求められてさらなる困窮を極める可能性があるのです。

他の投資先を見つけて逆転を狙う道も閉ざされるため、ローンを返済できないときは早急に損切りして損失を確定する判断が求められます。

手持ちの資金に余裕がないとき

ローンの返済が滞る程ではなくても、手持ちの資金に余裕がないときは、積極的に損切りを検討する局面です。

結婚や出産など大きなライフイベントを控えている場合、投資に傾倒し過ぎず、貯金に回すことを検討しなくてはいけません。

持ち出しが負担で家計を圧迫する状況では、収益が好転する前に限界を迎える可能性があります。

投資を始めてから時間が経過していて、新たな修繕が必要になる程、建物の老朽化が進んでいれば資金の流出が加速します。

不動産投資を成功させるには、災害や事故など万一の場合に備える余剰資金が大切です。

損益分岐点を下回る状況が続いたとき

収入と支出が均衡する損益分岐点を下回る、赤字続きの状況を迫られているときも損切りを検討すべき状況です。

損益分岐点はプラスにもマイナスにもならない最低限の売上を把握するために用いられる指標です。

例えばローンの返済が年間100万円、ランニングコストが年間200万円の場合、300万円の家賃収入があれば損失は発生しません。

損益分岐点を下回る状況は赤字状態を示しているに他ならず、少なからず手元から資金の流出が起こっています。

収支が均衡する売上を維持し続けているならまだしも、ボーダーラインを下回る状況が続くのであれば危険なサインです。

家賃収入を増やす方法かコストを下げる方法が見つからない限り、今後も利益が上昇するとは思えません。

損益分岐点を下回る状況が数ヵ月~数年続いたときは、真剣に損切りを考えるべき局面です。

周辺環境が悪化したとき

直接的に収支が悪化しておらず、資金繰りに余裕があっても、今後の収入の下落を見越して売却を検討したい状況もあります。

代表的なシチュエーションは、周辺環境が目に見えて悪化したときです。具体的な状況は次のとおりです。

  • 近隣に大きなマンションが設立した
  • 近隣の大規模なショッピングモールがつぶれた
  • 近くに工場やアダルト系の店舗ができた
  • 入居者の自殺や殺人事件が起きた

グレードが高いライバル物件が近くにできたときに、入居者が離れる危険があります。家賃がだいたい同じ水準だと、新しい設備や近代的な外観につられて解約希望が多発するかもしれません。

近隣の大規模な施設に入居者のニーズが依存している場合、連鎖的に経営状態が悪化する可能性があります。

例えばショッピングモールや学校、フィットネスジムなどが代表的です。一たびこれらの施設が倒産すれば、生活の利便性は著しく悪化し、入居者からの不満が噴出するでしょう。

治安の悪化の観点でいえば、工場の建設による悪臭や騒音、居住者の自殺なども入居率の低下に直結する危険な現象です。

あらかじめ損切りのルールを決めることが重要

不動産投資では黒字への転換を急いで収益の上昇に意識が向きがちです。しかし利益を捻出すること以上に、今の損失を増やさないという視点も必要です。

損切りの目安を紹介しましたがリスク許容度は人それぞれで一概に今の物件を諦める明確なタイミングを提示するのは不可能です。

最終的な判断は不動産のオーナーである自分自身が自らの意思で下しましょう。

人が決めた基準をそのまま受け入れるのではなく、以下のようなマイルールを設ければブレがない判断につながります。

  • 物件の価格が購入時より10%下がったら売却する
  • 毎月の持ち出しが5万円を超えたら売却する
  • 5年連続物件の価値が下落したら売却する

赤字が続くと何とかして取り戻したいという想いから、もう少し待ったほうが良いのではと迷います。

しかし予想に反して損失が膨らむ状況で損切りを躊躇し続けていては取り返しのつかない事態になりかねません。

マイルールに基づき、その状況が訪れたときに迅速な判断を下せば、次のアクションを起こしやすくなるでしょう。

損切りを防ぐためにすべきこと

あらかじめ入念に計画を立て、将来的に利益が出る想定をして投資を始めたはずです。損切りを真剣に考えなくてはいけない状況は想定外で、極力避けたい場面には違いありません。

早い段階で赤字から脱却して、黒字化に成功することが一番です。損切りを考えるまで状況が悪化する状況を防ぐためにすべきことを解説します。

空室リスクへの対策は徹底的に

不動産の経営で最大かつ重要なリスクが空室の発生です。想定どおりに家賃収入が入り続けさえすれば、大事な物件を手放さずに順調な運用を継続できます。

常に満室が続く理想的な状態は現実にはほぼ実現しません。ある程度の空室を想定して収支計画を練るほうが現実的です。

空室率が想定を越える場合、短期的な出来事ならまだしも長期的に入居者が見つからないなら問題です。

入居者の対応を管理会社に任せている場合でも、オーナーが積極的に入居率の改善に乗り出しましょう。

対応方針や具体的な対策を担当者にヒアリングし、問題がないか他に施すべきものはないか検討します。

赤字続きで悩んでいると相談したら、仲介会社は賃料の低下を打診するかもしれません。しかし、収入に直接関わる家賃の変動は極力避けたい方策です。

DIYで内装を改良する、修繕費を投じてトレンドを押さえた作りにするなど改良の方向で舵を切ることをおすすめします。

近隣の物件のリサーチを怠らない

購入前に行った物件の調査結果は古くなり、現状を適切に反映していない可能性があります。

運用の開始後も近隣の物件の家賃や空室の状況、修繕の頻度などの把握に努めるようにしましょう。

賃料の相場は居住エリアに大きく左右されます。周辺との足並みを揃えるか、差別化戦略で安価にするか決める上でもリサーチの精度や頻度が重要になります。

空室の発生率が近隣の物件より高いときは入居者が魅力を感じておらず、住むメリットを見いだせていない可能性があります。

隣にあって自分の物件に足りない部分を知り、戦略の方向性や具体的な策を見つける際に徹底したリサーチが不可欠です。

需要が高いエリアで物件を購入する

物件を選定する際には駅から徒歩圏内、大型のショッピングモールがある、都心部とのアクセスが良いなど需要が高いエリアにしましょう。

入居者から人気が出て空室が発生しにくくなる以外にも、出口戦略における売却先の実現可能性を高めるからです。

不便な地域より便利な地域が良いと思うのは入居者でも投資家でも相違ありません。不動産投資の成否を最終的に決めるのは出口戦略による部分が大きいといえます。賃料収入だけでは住宅ローンの残債を返済し切れなくても、売却益で黒字に転じれば万々歳です。

さらに大型ショッピングモールの建設や再開発など将来的なニーズの変化を考慮に入れられれば、投資用物件の選定では文句のつけようがありません。

とはいえ不動産投資の初心者が価値が高くなるエリアか見極めるのは難しいことです。

あまり奇をてらわず、アクセスの良さや周辺施設の充実度などから判断を下しましょう。

火災保険を有効活用する

修繕費が膨大な金額に達し、収支を圧迫しないために火災保険の活用が有効です。

火災による建物や家財の損害以外にも、自然災害や浸水、住居人の不注意による壁や床の破損など補償範囲が広くなっています。

大きな物件の管理ではいくら日頃から気を付けていても、不行き届きが起きるリスクから逃れられません。

修繕費の補填はもちろん、特約をつけることで損害賠償責任に対する補償を受けられます。

多額の修繕コストを見積もって想定外の事故や災害に備える方法もありますが、火災保険を付帯して定額の保険料で収支計画を考えたほうが精度は高いといえるでしょう。

まとめ

損切りは投資の失敗を表すのではなく、損失を最小限にとどめる基本的な戦略の一つです。

検討したいタイミングはローンの返済が滞ったときや持ち出しが負担になったとき、損益分岐点を下回ったとき、周辺環境が悪化したときです。

明確な正解があるわけでないため、マイルールを設定して自分の判断で損切りするか決めても問題ありません。

しかし投資のプロでも迷うタイミングを経験のない人間が判断を下すのは酷なことです。

アセットテクノロジーは大阪を中心に、賃貸管理や土地・物件の売買仲介を手がける不動産会社です。

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