目次
不動産投資で選ぶべきエリアの特徴
不動産投資において、「このエリアの物件を購入すれば絶対にうまくいく」という保証はありません。しかし、不動産投資がうまくいきやすいエリアの特徴、傾向は存在します。
どのようなエリアであればうまくいきやすいのか、不動産投資で選ぶべきエリアの特徴を把握しておきましょう。
人が集まっている
不動産投資で選ぶべきエリアの特徴のひとつが、人が集まっていることです。不動産投資の主な収益として、入居者から支払われる家賃収入と、不動産を売却して得られる売却益があります。
いずれにしても、その物件を求める人がいなくては得られない利益です。入居者が殺到するような収益性が高い物件は入居希望者も多いため、不動産投資が成功しやすいでしょう。
都市部など人が集中している地域は、その分賃貸を利用したい人も多いため、家賃収入を得やすくなります。
とくに会社や商業施設、学校などが集まっている場所は、物件の入居者になる見込みがあるターゲットが多いので、安定した収益を得たい方にはおすすめです。
単身者が多い
単身者が多いことも、不動産投資で選ぶべきエリアの特徴です。ビジネス街や大学の近辺など、学生や社会人が多いエリアは、ワンルームマンションをはじめとした賃貸需要が高い傾向にあります。
退去者が出ても、翌年度には新たに入学する学生や新入社員が物件を求めてやってくるので、空室対策もしやすいでしょう。
交通アクセスが良い
交通アクセスが良いことは、物件の大きな強みになります。主要駅にアクセスしやすい範囲の物件は通勤・通学に便利で、人気が出やすいからです。
都心部に所在する物件は高額で手が出せないことが多いですが、都心部に30~50分程度でアクセスできる郊外の物件であれば、都心部の物件よりも安価に購入できるという魅力もあります。
住みたい街として人気がある
住みたい街として人気があることも、不動産投資で選ぶべきエリアの特徴です。大手の賃貸サイトなどで住みたい街ランキングに入っているエリアは、生活しやすい条件が整っています。
駅や学校が近い、買い物がしやすい、治安が良いなどで人気の街は、少々家賃が高くても住みたい人が多いため、空室に悩まされることが少なく収益を上げやすいでしょう。
なお、生活ガイド.com(全国住みたい街ランキング2024)によって集計された住みたい街のランキングは以下の通りです。
1位 | 神奈川県横浜市 |
2位 | 福岡県福岡市 |
3位 | 北海道札幌市 |
4位 | 大阪府大阪市 |
5位 | 東京都世田谷区 |
基本的に政令指定都市が人気エリアとなっていることが分かります。
また、神奈川県横浜市については12回連続で住みたい街ランキング1位を獲得しています。その他のエリアにも大きな変動がないため、上位の人気エリアを投資対象として選択したほうが長期にわたって安定して運用できる可能性が高まるでしょう。
治安が良い
治安の良さもチェックしておきたいポイントです。不動産投資における問題は、空室だけではありません。騒音や家賃滞納といった入居者トラブルも、不動産投資が失敗する原因のひとつです。
騒音がひどい、不審者の目撃情報が多いなどのトラブルがあると、入居者がなかなか現れず、ようやく来た入居者もすぐに退去してしまう可能性があります。空室が続くと利回りがどんどん悪くなってしまうでしょう。
また、家賃滞納が発生すれば利益が得られず、退去してもらうにも多大な労力がかかります。治安が良いエリアは入居者の質も高く、こうした入居者トラブルが起こりにくい傾向にあります。
トラブルが起こらない住み心地が良い物件には同じ人が長く住み続けるため、空室対策やトラブル対応に追われることも減るでしょう。警視庁が公開している犯罪情報マップを参考に、気になるエリアの治安も調査してみてください。
再開発予定がある
再開発予定があるエリアも、不動産投資用の物件を購入するのにおすすめです。再開発によって商業施設が充実したり、鉄道が新線・延伸されたりすると、物件の資産価値が向上します。
再開発後のエリアには人が集まるので、物件の需要も向上するでしょう。再開発エリアには家族連れが集まりやすいので、ワンルームタイプよりも、ファミリータイプの区分マンションが向いています。
持ち家率が低い
持ち家率の低いエリアは、賃貸需要が高いため不動産投資に最適です。人口の多いエリアかどうかも重要ですが、持ち家率が低いほど賃貸物件を利用する可能性が高まります。
総務省統計局(統計Today No.152)によると、2018年10月時点の住宅は5,361万6千戸。そのうち持ち家は3,280万2千戸となっており、日本全体の持ち家率は61.2%です。つまり、38.8%は賃貸住宅を利用している計算となります。
しかし、持ち家率は都道府県やエリアによっても異なります。例えば、2018年時点で最も持ち家率が高いのは秋田県です。一方、持ち家率が最も低いのは沖縄県となっています。
2018年時点の都道府県別持ち家率は以下の通りです。
順位 | 持ち家率の高い都道府県 | 持ち家率の低い都道府県 |
1 | 秋田県 | 沖縄県 |
2 | 富山県 | 東京都 |
3 | 山形県 | 福岡県 |
4 | 福井県 | 大阪府 |
5 | 岐阜県 | 北海道 |
不動産投資を始める際は、秋田県や富山県のように持ち家率の高いエリアではなく、沖縄県や東京都などの持ち家率の低い場所を選んだほうが高い賃貸需要を期待できます。
人気エリアで不動産投資を始めるメリット
不動産投資は人気エリアで運用するほうが成功する可能性が高まります。空室リスクを抑えたり、高い家賃設定が可能だったりとさまざまなメリットがあります。また、最終的な出口戦略として売却を検討しやすいのも人気エリアの特徴です。
ここでは、人気エリアで不動産投資を始めるメリットについて解説します。
空室リスクを抑えて運用が可能
人気エリアでの不動産投資は、空室リスクを抑えて運用が可能になります。
不動産投資において常に把握しておかなければいけないのが空室リスクです。収益物件を購入したとしても必ず入居者がいるとは限りません。空室期間を少しでもなくすためにさまざまな対策を行うことが成功へとつながります。
しかし、設備のグレードアップ、家賃の値下げなどの対策を行ったとしても、そもそもの賃貸需要が少なければ空室リスクは高まります。
その点、人気エリアは人が多く集まっているだけでなく、「住みたい」と思う人が多いため、入居率が上がる可能性が高いです。
ただし、人気エリアには競合となる物件が多く存在するため、常に差別化を図る対策を考えていかなければいけません。
高い家賃設定でも運用できる
人気エリアは高い家賃設定でも運用可能です。
賃貸需要の高いエリアであれば、他エリアの同等条件の物件よりも高い家賃設定が可能です。例えば、都心部の物件は初期費用の負担が大きくなってしまうものの、家賃設定を高く設定できることによって安定した収益性を期待できます。
ただし、相場以上の極端に高い家賃設定は空室リスクの増加を招きます。エリアの相場以上に家賃を高くしたい場合は、最新設備の導入、防犯設備の完備など、競合物件との差別化が必要です。
出口戦略として売却を検討しやすい
出口戦略として売却を検討しやすいのも人気エリアの特徴です。
不動産投資の収益物件は、年月の経過とともに経年劣化が進み、不動産としての価値が低下します。特に不人気エリアの場合、過疎化や利便性の悪化が進むと、不動産価値はさらに低下するでしょう。
不動産価値が低下した場合、最終的な出口戦略として想定した売却益(キャピタルゲイン)を得られる可能性が低くなってしまいます。場合によっては、今までの家賃収入(インカムゲイン)を大幅に上回る損失を発生させてしまうケースもあるでしょう。
一方、人気エリアの物件は経年劣化が進んだとしても売却益(キャピタルゲイン)を得られやすい特徴があります。賃貸需要の高いエリアであれば、リフォームやリノベーションを行って継続して運用するだけでなく、収益物件としての売却も難しくありません。
人気エリアで不動産投資を始めるデメリット
人気エリアで不動産投資を始める場合、得られるのはメリットだけではありません。そのため、人気エリアならではのデメリットを把握したうえで検討することが大切です。
ここでは、人気エリアで不動産投資を始めるデメリットについて解説します。
物件価格が高く初期費用の負担が大きい
人気エリアの物件は価格が高くなるケースがほとんどです。
土地価格の高さもあるため、賃貸需要の高いエリアの物件は大きな初期費用が必要となるでしょう。
例えば、自己資金が足りなければ不動産投資ローンの必要性も出てきますが、借入額が高額になるほどリスクが高まります。月々の返済額が増えるため、キャッシュフローを安定化させる綿密なシミュレーションが必要となるでしょう。
また、借入額が多いほど金利が上昇したときの影響が大きくなるため、あらゆるケースを想定した計画が重要です。
利回りが低くなりやすい
人気エリアの物件は、利回りが低くなりやすい特徴を持っています。基本的に物件価格が高くなりやすいため、利回りは低くなりがちです。
しかし、利回りが低いといっても収益性が低いわけではありません。賃貸需要の高いエリアは入居率が高く、空室リスクを抑えて安定的な運用が可能となります。
そのため、人気エリアでの不動産投資はローリスク・ローリターンとなる場合が多いため、長期的な目線で運用に取り組まなければいけません。
競合物件が多い
人気エリアのデメリットには競合物件の多さが挙げられます。
例えば、人口が多く賃貸需要の高いエリアは不動産投資向きといえるため、多くの投資家が参入しています。近隣にはターゲット層や条件が重なる物件が溢れているケースがほとんどです。
入居者はより条件の良い物件を選択する場合が一般的なため、競合物件より魅力ある物件作りをしなければその他の物件に埋もれてしまうでしょう。
このようなリスクは賃貸物件が密集する人気エリアならではの課題です。常に周辺状況に関する情報収集に努め、競合物件よりも好条件かつ魅力の高い物件を提供していく必要があります。
不動産投資で避けるべき危険エリア
不動産投資の物件を選ぶのに適切なエリアがある一方で、避けるべきエリアも存在します。ここでは、不動産投資が失敗するおそれのあるエリアについて、その特徴を詳しくご紹介します。
自然災害による被害が想定されているエリア
不動産投資において、所有物件に自然災害が直撃すると、不動産運営にも大きな傷跡を残します。自然災害のリスクが高いエリアの物件は、ほかの物件と比べて安いと感じることも少なくありません。しかし、自然災害によって建物が破損すると、規模によっては修繕に数千万円の費用がかかります。保険に加入していても、修繕費用全額をカバーしきれないおそれも考えられます。
被災するリスクを少しでも減らすために、購入物件のエリア選定にあたり、自治体のハザードマップで災害リスクを確認しておくことが大切です。
ひとつの施設に依存しているエリア
大学や大企業の工場など、限られた施設に経済活動が依存しているエリアも要注意です。その巨大な施設に集まる人をターゲットとして、商業施設や集合住宅が形成されるエリアは、施設が移転、または撤退してしまうと、賃貸需要が大幅に低下してしまうおそれがあるからです。
特に、大学を取り巻く環境は、少子化の影響で厳しくなっています。経営悪化に陥り、学部の統廃合や校舎の移転を進めるところも少なくありません。工場も、企業の経営状況に影響を受けて閉鎖や移転する可能性があります。
このように、ひとつの施設に経済的に依存しているエリアの物件を購入する場合は、その施設を運営している法人の経営状況をチェックする必要があります。
商業施設が撤退したエリア
購入を検討している物件のエリアに、コンビニエンスストアやドラッグストアだった空き店舗が散見される場合は注意が必要です。
大手コンビニエンスストアやドラッグストアの運営は、エリアの特性を調査したうえで、収益が見込めると判断して出店します。しかし、そのような店舗の撤退は、店舗運営がうまくいかなかった結果です。
大手商業施設が撤退したエリアの物件を購入しても需要がなく、見込みどおりの収益が得られないおそれがあります。
駅から遠いエリア
駅から遠いエリアは不動産投資には不向きです。
基本的に駅から遠いアクセス面の悪いエリアは、物件価格が下がるため、初期費用を抑えて運用を始められます。初期費用が低いことで高利回りを期待できる可能性もありますが、入居者がいなければシミュレーション通りの収益を得られません。
とくに駅から遠いエリアは、賃貸需要が低いケースが多く、空室リスクが高まります。設備をグレードアップしたり、家賃を下げたとしても賃貸需要が低ければ入居者を募ることも難しいでしょう。
そのため、初期費用を抑えられるメリットだけに注目せず、総合的に判断してください。多くの初期費用がかかったとしても、駅チカのアクセス良好なエリアのほうが長期的に見ても不動産投資が失敗してしまうリスクを減らせます。
不動産投資をするのにおすすめのエリアはここ!
不動産投資で選ぶべきエリアの特徴を紹介しましたが、「結局どのエリアが良いのか決められない」という人もいるでしょう。そこで、不動産投資を始めるのにおすすめのエリアを紹介します。
東京23区
人が多く集まり、都心部へのアクセスも良いエリアといえば、やはり東京23区でしょう。東京23区には東京の人口の約70%が集まっており、物件の需要も非常に高いため、不動産投資が成功しやすいといえます。
とくに人口増加率が高い千代田区、中央区、港区の都心3区や、新宿区、渋谷区、文京区などは、不動産投資に向いているエリアです。
ただし、東京23区に所在する物件の多くは価格が高いので、高額な初期費用がかかることは覚悟しておきましょう。
大阪
西日本であれば、やはり大阪が良いでしょう。大阪は東京に負けないくらい人が集まるエリアであるにもかかわらず、東京23区よりも安い価格で物件が購入できることが多いためです。
新幹線の大阪延伸計画やなにわ筋線の延伸計画などの再開発も進んでおり、今後さらに人口が増加する期待ももてます。
とくに北区・中央区・福島区・西区・浪速区・天王寺区は人口が増加傾向にあるので、できればこのあたりのエリアを狙うのがおすすめです。
名古屋
人が集まるエリアといえば、名古屋も外せません。愛知県の人口増加率は大きく、若い世代の人口割合が高いという魅力もあります。リニア中央新幹線が開通予定で、再開発による地価上昇や賃貸需要の増加なども見込めます。
また、大阪と同じく、東京23区と比べて物件価格が安いのも魅力のひとつです。初期費用を抑えたいのであれば、名古屋も検討してみると良いでしょう。
【エリア決定後】物件の選ぶ際のポイント4つ
エリアの決定後は物件探しを行います。新築や中古物件、駅チカなど、物件がもつ特徴もさまざまです。物件の選定時に注意すべきポイントは以下の4つです。
住宅設備の充実度
入居者が快適に暮らすためには、住居設備の充実度は欠かせません。入居者として狙うターゲットによって、住宅設備に求める充実度のレベルは異なります。建物の立地などから入居者層を想定し、ターゲットに合った住宅設備が揃っているかチェックしましょう。
ひとくちに住居設備といっても、キッチンやバスなどの水回りはもちろん、ウォークインクローゼットや宅配ボックスなど、多岐にわたります。また、入居者が防犯面を重要視しているのであれば、モニター付きインターホンや防犯カメラなどのセキュリティ設備も必要です。
物件の管理体制
不動産投資を行う際、物件の管理は管理会社に委託します。特に中古物件の場合、物件を管理している管理会社は重要なポイントです。実際に現地に足を運び、管理会社が物件を適切に管理しているか、共用部の清掃やメンテナンスの状況を確認しましょう。
物件の管理体制が不十分な場合、入居者が定着しない原因になるおそれもあります。空室リスクの削減には、新規入居者を集客するとともに、物件への定着率をあげることも大切な要素のひとつです。
相場に適した利回りか
不動産投資において、利回りの高さは物件選びの重要なポイントです。しかし、利回りが高ければ高いほど良いという単純なものではありません。
一般的に利回りは、その物件の満室状態から計算されます。しかし、高利回りをうたい文句にしている物件の中には、立地や築年数などが原因で空室リスクが高いものもあり、実際に利回り通りの収益を得られるとは限りません。
エリアや築年数、部屋のタイプなどによって、適正利回りは決まります。同じタイプの物件を比較検討し、適正利回りの範囲内で少しでも高い利回りのものを選びましょう。
現地確認を必ず行う
物件選びの際の現地確認は必須といっても過言でないポイントです。
不動産会社で物件を購入する際は、図面や写真といったさまざまな情報の提供を受けますが、それだけではすべての状況を把握することはできません。
現地確認によって室内のキズや汚れ、設備の故障などの詳細を確認できるため、購入前の値下げ交渉の材料となるだけでなく、運用後に必要な費用のシミュレーションも行いやすくなります。
また、現地確認によって周辺環境の把握も可能です。共用部分は清潔に保たれているのか、治安は悪くないのか、商業施設などはあるのかなどを自分の目で見て確認できます。
エリアが決まったら物件を選ぼう!
不動産投資先のエリアが決まったら、物件を選びましょう。以下のような物件であれば、高い収益が得られるでしょう。
・駅に近い物件
・近隣に大学や大企業のオフィスがある物件
都心であればワンルームが人気ですが、郊外の場合は広めの物件のほうが、人気が出ることがあります。ネットで情報を集めるのはもちろん、実際に現地に足を運んでみて、どのような需要があるかを調査することが大切です。
まとめ
不動産投資において、物件購入前のエリア選びはとても重要なポイントです。いくら良い物件であっても、賃貸需要がないエリアでは空室リスクが高まり、家賃収入(インカムゲイン)を得られない可能性が高まります。
賃貸需要が高ければ必ず成功するという保証はありませんが、人が多く集まりアクセス面が良好で、住みたい街として人気のあるエリアは入居率が上がりやすい傾向にあります。また、将来的な収益を期待して再開発予定のあるエリアを選ぶのもおすすめです。
ただし、エリアによって需要のある物件は異なります。単身者の多いエリアであればワンルームマンションやアパート、ファミリー層の多いエリアであればファミリー向けマンションなどが挙げられます。物件を購入する前にエリアの需要を把握し、ニーズにマッチした物件を選ぶことが不動産投資成功のカギを握ります。
しかし、不動産投資は購入して終わりではありません。運用中は適切な管理を行い、入居者の満足度アップに努め、入居率を低下させないような対策が必要です。
アセットテクノロジーでは、不動産投資管理業務をオーナー様に代わってサポートいたします。管理業務のプロによって適切な管理を行い、入居者の満足度アップとともに入居率アップも実現しています。
また、スマホアプリで契約状況や収入状況の確認、メッセージ機能で弊社とのやりとりが簡単に可能なため、煩雑な手間を削減可能です。
不動産の管理方法でお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。