不動産投資のキャピタルゲインとは?メリット・デメリットとリスクへの回避方法を解説

資産運用には『キャピタルゲイン』という言葉があり不動産投資でも使われます。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 そこで今回の記事では、不動産投資におけるキャピタルゲインの基本や、キャピタルゲインを得るためのコツなども紹介していきます。

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不動産投資における『キャピタルゲイン』の基本

ここでは、不動産投資の特徴やキャピタルゲインの基礎知識について解説します。

キャピタルゲインの意味とは

キャピタルゲインとは、値上がりした資産(キャピタル)を売却して得られる利益(ゲイン)のことです。

一般的にキャピタルゲインは安い価格で購入し、価値が高くなった時点で売却して売買差益を得るものとされます。そのため、不動産投資に限らず株式や貴金属などの売却益もキャピタルゲインに該当します。

インカムゲインとの違い

投資で得られる利益はキャピタルゲインを含めて2種類あり、もうひとつが『インカムゲイン』です。

インカムゲインとは、資産を保有(インカム)して運用することで得られる利益のこと。不動産投資の場合は家賃収入を指します。

キャピタルゲインがより多くの売却益を目指すのに対し、インカムゲインは長期間の運用で安定した利益を目指すといった点が、主な違いとして挙げられます。

キャピタルゲインを狙った不動産運用は危険?

不動産投資のキャピタルゲインにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

メリット

不動産投資のキャピタルゲインは、株式投資などよりも多くの利益を期待できます。

たとえば、株式投資で資産価値が2倍になったとき、元手が200万円なら400万円になり、キャピタルゲインは200万円です。

一方、不動産投資はローンを利用することで元手の200万円をさらに増やせるので、より高額な物件を購入可能です。もし2,000万円の物件を購入した場合、資産価値が20%上昇するだけでもキャピタルゲインは400万円になります。

このとおり、不動産投資では適切なタイミングや資産価値を見極めれば、キャピタルゲインはとても大きなものとなり、場合によっては短期で大きな利益を出すことも可能です。

また、不動産の情報を元に得られる売却益がわかりやすいため、資産運用はもちろん出口戦略も立てやすいといえます。

デメリット

不動産投資は相場を予測するのが難しく、一定の知識や経験が求められます。資産価値は周辺環境の変化や市場の変動などによって変化するため、将来の価格推移を予測することは決して簡単ではありません。

そのため、損失を被るリスクが大きいほか、損失額が多額になるケースもあります。また、売買によって得られた所得に対する税率は高めに設定されており、仮に利益が得られたとしても所有期間に応じた税金を支払う必要があります。

・短期譲渡(売買した年の1月1日時点で所有期間が5年以下):41.1%

・長期譲渡(売買した年の1月1日時点で所有期間が5年超):22.1%

※復興特別所得税2.1%を含む

短期譲渡では4割近い税金が持っていかれてしまうため、できれば5年以上所有している不動産を売却するのがおすすめです。

 不動産投資でキャピタルゲインを得るコツ

キャピタルゲインのメリット・デメリットが理解できたところで、不動産投資でキャピタルゲインを得るためのコツを紹介します。

相場が上昇したときに売却する

不動産価格相場が上昇しているときは、投資用物件の売却益を出せる可能性が高いタイミングです。

価格相場は需要が上がれば上昇するもので、立地や間取り、築年数などさまざまな要素で需要は変動します。

相場を見極めるには、路線価(国税庁が公表する土地の価格)や実勢価格(土地の売買成立時のなどを参考にして導き出します。国土交通省の「土地総合情報システム」も参考にしてみてください。

金利が低いときに売却する

購入者の立場になって考えれば、できるだけ金利が低いうちにローンを組んで物件を購入し、最終的な返済額を減らしたいと思うものです。

低金利で購入したいと考える人が続出すると、需要が多くなるので物件価格も上昇します。現在、日本では長く低金利が続いているので、まさに売却には良いタイミングともいえます。

残債を減らしてから売却する

不動産投資でキャピタルゲインを得るために、不動産ローンを活用する人は多いと思います。売却時は、ローンの残債も気に留めてください。残債が多く残っている状態で売却してしまうと、せっかく得たキャピタルゲインの多くを、返済に充てなければならなくなります。

ただし、返済に焦って返済額を増やすことはおすすめできません。月々の返済額を増額してしまうと、手持ちのキャッシュが減少してしまうため、万が一の事態に対応できなくなるおそれがあります。

不動産所有時には劣化による修繕費も必要となり、これは突発的に発生するケースもあります。インカムゲインが少なくなれば、このようなケースに対応できなくなるかもしれません。

そのため、なるべく手持ち資金に余裕を持たせた状態で不動産投資を始めることが理想であるといえるでしょう。

所有期間が5年を超えてから売却する

先述したように、キャピタルゲイン(譲渡所得)には一定の所得税および住民税が課されます。

5年以下で売却すると短期譲渡所得に該当し、約4割近い金額が税金として消えてしまいます。

そのため、投資用物件は所有期間が5年を超えてから売却した方がキャピタルゲインの恩恵を得やすいです。

正確な譲渡所得の計算式や、税率については以下の参考サイトを参考にしてください。

国税庁:土地や建物を売ったとき

物件の所有期間は5年以上がおすすめですが、築年数が20年を超えたときも売却を検討したいタイミングです。というのも、築年数20年以内であれば、35年ローンでの借り入れが可能となります。買い手は毎月の返済額を安く済ませることができるので、買い手がつきやすいです。

また、築20年になると排水設備の交換のタイミングでもあります。大規模修繕は居住者の修繕積立金から支払われますが、それだけでは足りず不動産所有者も請求されるケースがあるので、築20年を迎える前に売却するのもひとつの手です。

まとめ

不動産投資においてキャピタルゲインとインカムゲインは異なる性質を持つため、投資を始めた際にどちらを目指した投資なのか考えを練っておくことが大切です。

また、不動産投資は物件を購入したらそれで終わるわけではありません。とくにキャピタルゲインはハイリスク・ハイリターンな方法ともいえるので、売却のタイミングには気を付けなければいけません。

キャピタルゲインはある程度の専門的知識が必要となります。今回の記事を参考に、自分の目的に見合った不動産投資を目指してみてください。