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不動産投資をする弁護士は多い
年収が高く融資を受けやすい弁護士は、余剰資金で不動産投資に取り組む人が多い職業です。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、令和3年度(2021年)の弁護士の平均年収は約945万円です。
民間の全体的な平均年収が約443万円となり、弁護士は普通のサラリーマンの2倍以上の稼ぎがあります。
他方、健美屋が会員向けに行った不動産投資に関する意識調査では回答者のうち、年収700~1,000万円の割合が22.1%と最も高い数値となりました。
年収500万円未満は15.7%にとどまることからも高年収の人たちは不動産投資に積極的に取り組んでいるとわかります。
出典 厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
出典 健美屋 「不動産投資に関する意識調査」
弁護士に不動産投資が向いている理由
弁護士に不動産投資が向いていると言われるのには、理由があります。下記でひとつずつ解説します。
ローン審査に有利な職業である
弁護士は一部の業務を独占できる国家資格であり、ローン審査に有利な商業です。投資用物件は自己資金とローンで借り入れた資金を組み合わせて購入するのが一般的であり、金額も大きいことから金融機関からの審査を受ける人が多いです。
金融機関の審査において、職業が弁護士であることは非常に有利に働きます。不動産投資を始めるハードルが低いのは、弁護士の社会的信用の高さゆえのメリットです。例え同じ年収を稼ぐ会社員と比較した場合でも、弁護士の方が安定性があると判断されることもあります。
また、弁護士は収入が高い人が多く、用意できる自己資金の額が大きいことも影響しています。ローン審査時のメリットになるだけでなく、購入物件の選択肢が増えるという意味でも不動産投資向きと言えます。
良い不動産を紹介してもらいやすい
他の弁護士や不動産業者、資産家など、幅広い層と付き合いがあり、良い不動産を紹介してもらいやすくなります。投資用物件の情報は不動産会社で入手するのが一般的ですが、投資家同士のコミュニティ内で情報交換されることもあります。
また、不動産を複数保有している資産家自身から情報を仕入れたり、コネクションを活かしてよい物件を紹介してもらえたりすることもあるのです。
顔の広い弁護士であれば、必然的に投資用物件情報を手に入れやすくなる点は大きなメリットです。なかには、一般には流通しないレアな不動産情報もあり、比較対象を増やしやすくなります。
仕事と不動産投資の経験を互いに活かせる
弁護士の仕事で得た知識や経験が、不動産投資にまつわる法的なトラブルの対処に活きることも多いです。不動産投資は多くの人間の利害関係が関与するので、法的な知識を有している方が万が一のトラブル発生時に優位になれます。
場合によっては不動産会社や元のオーナーにアドバイスして、信頼関係を構築することもできます。
反対に、不動産投資で得た経験を弁護士としての仕事に役立てることも可能です。弁護士が飽和状態にある近年、「不動産投資に詳しい」ということがひとつのステータスとなります。
得意な分野をもつことで、思わぬところから顧客を獲得できる可能性もあります。
本業に支障を来たさず収入を伸ばせる
多忙な仕事として知られる弁護士は副業を始めたくても十分な時間を確保できず、悩んでいる場合があります。
不動産投資は物件の選定を入念に行えば、購入したアパートやマンションの管理は不動産会社に一任できます。投資家は入居人との契約手続きや物件の清掃に時間をかけずして、ほぼ労力をかけず家賃収入を得られるのです。
物件を購入後はほぼ何もしなくて済みますが、購入するアパートを決める際は入念なリサーチが必要です。
資産価値が高く多数の入居者を集めるため、複数の物件を比較検討して時間をかけて決めましょう。家賃の設定や家賃保証会社の有無などの契約条件を定めることも忘れないでください。
入居者とトラブルが起きても自分で解決できる
弁護士の高度な法律の専門知識を活かせば、万一入居者との間にトラブルが発生しても、自分だけで迅速に解決できます。例えば家賃を滞納する者が現れた時、借地借家法の規定に基づき、3か月以上未払いが続けば立ち退き要求ができることを知っています。
賃貸物件につきものの入居者同士の騒音トラブルが発生した時も、弁護士として直面した過去の事例を思い出すことで適切な対処が可能です。
管理会社に委託していればトラブルの窓口は自分ではありませんが、法律的な解釈が求められる複雑な案件では自ら名乗り出て迅速な解決に励むことができます。
家賃滞納の問題は不動産のオーナーの収益に直結する、一刻も早く解決すべき問題です。第三者の手を借りずして入居人とのいざこざを解消し、強制退去をはじめ適切な措置を講じられるのはメリットです。
利益を伸ばしやすい投資対象の選び方
不動産投資の利回りは物件の種類によって差が出る性質があります。おすすめは一棟物のマンションやアパート、ワンルームマンションです。購入する物件の選び方に関して基本的な指針を提供します。
一棟物のマンションやアパート
一棟物の不動産投資とは物件(マンションやアパート)と敷地を両方購入して、1戸丸ごと運用する方法です。中古の賃貸向け住宅を見つける他、更地に新たに物件を設置する手法もあります。
10部屋あるマンションを購入して、家賃5万円で満室の状態が続くと仮定した時、毎月の収益は5×10=50万円です。購入時の価格帯が同じなら、高額の家賃収入が見込める戸数の多い物件がおすすめです。
部屋が10戸ある一棟物のマンションを購入する場合と、ワンルームの区分所有権を10個保有するのは意味が全然違います。管理や運営の手軽さでいえば間違いなく前者に軍配が上がります。
土地の購入が伴う一棟物の不動産投資では、売却益を狙えるのも魅力です。物件が老朽化して修繕より買い替えた方が良いと判断した時でも、不動産市場で売却に出せば購入資金を得られます。
弁護士は高年収の職業とはいえ、年々平均年収は下落の一途を辿っています。試験の合格者が増加してライバルが増えたことが原因とされますが、昔より楽に稼ぐことは難しい時代になりました。
本業で何が起こるかわからない先行き不透明な状態が続くと考えた時、本業以外の収益源を確保できると万一の時焦りません。これを機に不動産投資をひと段落させようと考える時も、最終的な出口戦略が残されている一棟物は優れた手法です。
ワンルーム投資
投資初心者は、一棟物よりも手軽なワンルームマンション投資から始めるのも一つの選択です。ただし購入費用を抑えられるという意味ではないため、注意が必要です。
弁護士がワンルームマンション投資で十分な収益を確保したい場合、投資対象は高級物件を選びたいところです。高級なワンルームマンションは総じて一等地にあるため、賃料を高めに設定できます。
富裕層からの人気が高く、早めに安定した家賃収入を得られてローンの返済期間を短縮しやすくなります。立地や設備次第では一部屋ながら1億円を超える物件もあるほどです。
ワンルーム投資にはオフィスビルの一室の区分所有権を得る手法もあります。居住スペースとは異なり、法人の事務所や会議室を提供する場所です。入居人は個人よりも資金力が潤沢な法人となるため、賃料が高くても続々と希望者が集い、安定した収入を期待できます。
ただし都心の事務所は出入りが激しく、時期によっては空室が発生しやすいことは頭に入れましょう。
弁護士が不動産投資をするときのポイント
弁護士は不動産投資に向いていると言われる一方で、注意すべきポイントも存在します。下記では、弁護士が不動産投資するにあたって知っておくべき、代表的な注意点を紹介します。
不動産投資ローンの返済比率に注意する
弁護士は年収が高い分、申し込めるローンの金額も大きくなります。金融機関により多少基準は異なりますが、年収のおよそ7倍から12倍程度を融資してもらうことができるので、弁護士の年収で考えると相当な額であると分かります。
ただし、多くの融資が受けられるからといって、安易に高額な物件を買ったり複数の物件を一度に買ったりするのはおすすめできません。ローンの返済比率(毎月の返済額)をきちんと試算したうえで、物件の価値と見合うかどうか冷静に判断する必要があるのです。
ローンの返済比率への考慮は、弁護士であってもなくても必ず必要な視点なので、押さえておきましょう。
優良な不動産会社を選ぶ
管理や運用を不動産会社に任せる際には、業者選びに細心の注意を払う必要があります。入居人との交渉や物件の管理を直接的に行う相手となるため、利益重視の不誠実な姿勢が垣間見れる業者はできるだけ避けた方が良いでしょう。
不動産投資で安定した利益を確保するには不動産会社と友好な関係を築けると有利に事が進みます。保有物件とは別に優良物件の情報を得られたり、入居人の対応で困った時に気軽に相談できたりするからです。
信頼できる不動産業者を見つける際のチェックポイントは次の通りです。
- 業歴は10年以上あるか
- 売買棟数や管理戸数は競合他社より多いか
- 事務所の立地は良いか
- 「お客様の声」を公開しているか
- 多数の金融機関と取引があるか
- 弁護士や税理士とのパートナー関係を構築しているか
- 非公開の物件情報を扱っているか
- 現地の土地勘を把握しているか
- デメリットを交えて説明しているか
人脈があるなら人づてで紹介を受けると良いですが、知り合いがいない時はインターネットの検索や口コミの評価を参考にしましょう。検討中の不動産会社に関する悪い口コミが多い場合は要注意です。
利用した多くのユーザーが不満を抱いているなら、依頼した時に同じ思いを抱く可能性が高くなります。
投資用物件選びを不動産会社に一任しない
弁護士は日常業務が忙しい職種でもあるので、つい投資用不動産選びを不動産会社に一任したくなるかもしれません。しかし、不動産会社に任せっきりにせず、自分自身できちんと投資額に見合うか判断することが大切です。
特に、地域の特徴・家賃相場・住民の属性・ターゲットとなるユーザーに関する情報は万全に収集しておきましょう。
不動産会社が見せる利回りだけを見て購入した場合、ファミリー層の多いエリアで単身向けマンションを買ってしまうようなことになりかねません。
また、購入後も管理会社に管理を丸投げするのはNGです。きちんと管理されているか不透明なまま、ランニングコストだけが膨らんでしまいます。結果的に修繕や共用部の清掃状況など、目に見えない部分でボロが出る可能性もあります。
法律知識を活用して自分に有利な投資をしよう
弁護士の最大の強みは法律に関する知識が豊富なことであり、自分に有利な不動産投資をするために役立てるのが理想です。物件購入時はもちろん、管理会社と契約するとき、ローンを締結するとき、入居者トラブルが発生したときなど、使える知識があれば使っていきましょう。
特に契約時の書面は隅々まで読み込み、自分に不利な文言があれば修正もしくは削除を願い出ることも大切です。中古物件の場合は特に瑕疵担保保険などトラブルが生じやすくなります。事前に知識をブラッシュアップしてから臨めば、不安を軽減できるのでおすすめです。
士業のネットワークをフル活用しよう
弁護士・税理士など士業のネットワークをフル活用し、信頼できる専門家とつながることも大切です。弁護士は不動産投資に有利な職種であるとはいえ、日頃から不動産によく触れている専門家や不動産会社の方が情報に詳しいのが一般的です。
税理士だけでなく、司法書士・不動産鑑定士・土地家屋調査士・不動産投資トラブルに詳しい弁護士など、多くの味方を得ておきましょう。「弁護士だから騙されることはない」と考えず、自分自身で情報収集や信頼できる相手を見つけることがトラブルを避けることにつながります。
繰り上げ返済を有効活用する
繰り上げ返済とは毎月の支払いに加えて、借入金の一部を前倒しで返済することです。元本の返済に当てられるため、利息の負担を減らせます。すべての残債をゼロにするまでの返済期間が短くなり、最終的な支払額が減少するのは繰り上げ返済の利点です。
月々の返済額は変えずに返済期間を短くする「期間短縮型」、返済期間は変えずに月々の返済額を減らす「返済額軽減型」があります。
繰り上げ返済は賢く返済金を減らせる有益な方法ですが、余剰資金をいち早く返済に拠出した方が良いとは限りません。新しい物件の購入を検討中の人は、返済ではなく貯蓄に回した方が運用利益の増加につながります。
貯金を切り崩してまで繰り上げ返済をすると日常生活に支障を来たす恐れがあります。繰り上げ返済は上手く使えば心強い制度とはいえ、むやみやたらに利用すると自らの首を締めかねません。
不動産投資で失敗する弁護士の特徴
弁護士は投資にかけられる金額が多い分、失敗した時の損失も大きくなる傾向があります。上手くいかない人に共通する傾向を把握し、反面教師にして学ぶことが大切です。不動産投資で失敗する人の特徴を紹介します。
無計画な投資に終始する
物件を購入する前に緻密な計画を立てず、感覚を頼りに進める人は高確率で失敗します。不動産投資は5年や10年を超える中期的な期間での運用が必要です。
長い運用期間中は家賃の滞納や大規模な修繕、自然災害による損失などに見舞われる可能性があります。
計画の見立てが甘いと不測の事態に対応できず、資金繰りの悪化を招きかねません。運用期間中は細かく出費の把握に努める他、赤字がどこまで膨らんだら売却を検討するか自分の中で基準を設けるようにしましょう。
定期的に実績ベースの収支を把握し、計画通りに進んでいるかチェックすることも欠かさず行う必要があります。
投資によるリスクを自身で把握していない
投資に関する勉強を軽視し、リスクを十分に把握していない人は、不測の事態に対応しきれず没落します。オーナーは物件の管理を不動産会社に任せられる利点がありますが、すべて人任せで自ら何も学ばないのは危険です。
不動産投資では空室リスクや老朽化リスク、災害リスク、家賃滞納リスクなどさまざまな落とし穴があります。不勉強で知識が不足していると想定外の事情がいくつも発生し、資金力がない人はキャッシュがみるみる減りかねません。
他にも管理会社が倒産するリスクや借入金の利率が上昇するリスクも考慮する必要があります。将来的な危険に備えて、修繕積立金を取り崩して事故を未然に防いだり、リノベーションに積極的に取り組んで価値を向上させたりする取り組みをしましょう。
目先の利益だけを追い求める
不動産投資では多額の初期投資は避けられず、何年もの間、家賃収入による返済を続けて黒字に転換させる戦略が求められます。
ビジネスモデルを考えると目先の利益だけしか考えられない人はアパートやマンション経営には向いていないといえるでしょう。
長期的な目線で計画を立て、定期的に計画通りに進行しているかチェックする細やかさが大切です。コツコツと地道に努力を続けられる人は物件選びを間違えにくいため、初期の赤字状態にも負けずに耐え抜けるはずです。
まとめ
高年収で融資を受けやすい弁護士の利点を存分に活かすには、普通の人では手が届かない高価格帯の物件の購入をおすすめします。また法律の知識は人以上でも投資の経験がないのであれば、いきなり欲しいマンションを買うのではなく、情報収集や投資の勉強から始めましょう。
物件の管理や運用は不動産会社に任せて良いとはいえ、自ら主体的に取り組まないと学びを得られず成長しないためです。