入居者とのトラブルが起こる原因と事前にできる予防策

入居者トラブルは対応に苦慮するだけでなく、物件そのものの評判も落としかねない厄介な出来事です。オーナーや管理会社のなかには長く続く入居者トラブルに悩む人も多いのではないでしょうか。 今回は、入居者トラブルの解決法を紹介します。事前にできる予防策にも触れるので、参考になれば幸いです。

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入居者トラブルがあっても簡単には追い出しできない

大前提として、入居者トラブルがあっても簡単に入居者を追い出すことはできません。法律で入居者の権利が守られている以上、一方的な判断で退去を強制することはできないのです。

最悪の場合、オーナー側が訴えられて賠償金を支払わなくてはいけないケースもあるので注意しましょう。

トラブルなく退去してもらうための4つの手順

ここからは、トラブルなく退去してもらうための正しい手順について説明します。話し合いだけでは解決しないレベルにトラブルが発展してしまったときは、強制退去も視野に入れて対応しましょう。

1.注意と勧告

まずは、ルールを守らない入居者に対して口頭および書面などで繰り返し注意します。

家賃滞納の場合、「〇月〇日までに入金がなければ連帯保証人に連絡する」など明確な期日を決めて注意しましょう。期日までに入金がなければきちんと連帯保証人に連絡し、約束を守る姿勢を示すことも重要です。

また、一度だけでなく複数回注意したこと、きちんと期限に余裕を設けて一方的な連絡はしていないことなどを客観的な証拠として残しておくことも大切です。

2.内容証明郵便による勧告

内容証明郵便を出し、問題行動の改善が見られない場合には賃貸借契約を解除する旨を通知します。家賃滞納の場合、未払い家賃の催促も同時にできるので明確な期日を書面上に記しておきましょう。

内容証明郵便は、裁判の場で重要な証拠書類となります。普通郵便やメモの投函ではなく、公的に証明力の高い内容証明で差し出すことを徹底するのが勧告時のポイントです。

3.契約解除

内容証明郵便の内容に基づき、期日までにこちらが提示した条件を満たされなければ法的に契約解除をするステップに進みます。

あらかじめ内容証明郵便などで提示していれば本人のサインがなくても進行できるので、早めに管理会社へ相談しつつ進めましょう。

4.明け渡し請求訴訟

賃貸借契約が解除された旨を本人に改めて通知し、部屋の明け渡し訴訟請求を提起します。裁判をすることになりますが、ほとんどのケースでは和解が勧告されて話し合いによる解決に至ります。

これまで頑なに話し合いに応じてこなかった入居者でも、裁判となると態度を軟化させることも少なくありません。最終手段として、入居者との交渉に応じる場合があることを覚悟しておく必要があります。

よく起こる入居者トラブルの事例

入居者トラブルには、いくつかのパターンが存在します。ここでは、特に起こりやすいトラブルに触れます。リスクとなりそうな入居者がいないか、チェックしてみてはいかがでしょうか。

共用部に勝手に物を置く

廊下などの共用部は、本来勝手に私物を置いてはいけないようになっています。景観や通行の妨げにならないよう配慮する意味合いもありますが、万が一火事や地震が起きたとき消防の邪魔になってしまうおそれがあるためです。

自転車やバイクの無断駐輪・物置や洗濯機の無断設置なども、共用部の無断占拠に当たります。

まずは物を置いている入居者や連帯保証人に連絡し、撤去してもらえるよう説得しておきましょう。誰のものかわからない場合は全戸にお知らせを配り、「〇月〇日までに対応がなければ撤去する」など伝えるのもひとつの方法です。

ただし、他人の財産なので勝手に処分することはできません。物の状態が悪くても勝手に処分することは避け、撤去に留めておくことが大切です。

ゴミ出しマナーを守らない

ゴミ出しの曜日や分別方法が違ったり、市区町村指定のゴミ袋を使わず回収してもらえなかったり、ゴミにまつわるトラブルは意外と多いものです。悪意があってマナー違反をしている場合もあれば、外国人入居者などルールを把握しきれていない場合もあるので、繰り返し書面や張り紙などで対策しましょう。

管理会社が何も対策してくれない場合、業者の怠慢にあたるので、管理会社そのものを変えることも効果的です。ただし、管理会社との契約が建物管理のみで入居者管理は対象外の場合、オーナーの自主管理となります。

注意喚起だけでなく防犯カメラを設置すればピンポイントで注意したり、抑止したりすることもできるので検討しましょう。ゴミを放置すると景観を損なうだけでなくネズミやカラスが増えるおそれがあります。場合によっては放火など重大なトラブルに発展するケースもあるので、早期における対応が必要です。

家賃の滞納

家賃滞納が続き、家賃収入に多大な影響が出るケースです。実質的に空室のような状況が続くものの、新しい入居者を募集するわけにもいかず、オーナーにとって悩ましい問題となります。

無理に追い出したり部屋のものを勝手に処分したりすると、かえってオーナーが訴えられてしまうこともあります。前述した裁判までのフローを参考に、ひとつずつ順を追って対応しましょう。

騒音トラブル

子どもの足音・掃除機の音・ゲームなどの配信および実況時の声・車やバイクのエンジン音など、騒音にまつわるトラブルも発生します。最悪の場合、入居者同士が直接言い争ったり、騒音を理由に片方の入居者が退去してしまったりすることもあります。

退去した側が、引っ越しの原因は隣人の騒音であったとして、後日オーナーに費用請求してくることもあるので注意が必要です。とはいえ、オーナーが被害者側から苦情を受けていて、ある程度トラブルメーカーに口頭注意していたなど対処していた事実があれば、支払いの義務は生じません。

また、被害者側から何の相談もなかった場合も、オーナーが対処する義務はありません。ただし、オーナーが苦情や相談に対して、何の行動もしていなかった場合は、責任を問われる可能性があります。

入居者トラブルを未然に防ぐための対策

入居者トラブルは、以下のような対策をしておくことで未然に防ぐことができます。

・入居者からの相談は早めに対処する

・賃貸借契約書に禁止事項を記載しておく

・家賃は銀行振替にする

・入居者審査をきちんと行う

オーナーや管理会社は、入居者から相談を受けたときは放置せずきちんと対処しましょう。どちらか一方の話を聞くのではなく、両方の話を聞いて判断することが重要です。

また、ペットや楽器などに由来する問題は、あらかじめ賃貸借契約書に禁止事項として記載しておくことが大切です。黙ってペットを飼育したり楽器を鳴らしたりした場合、規約違反として注意できるようになります。

家賃も銀行振替にして、引き落とし日を通知しておくと、トラブル対策に効果的です。手渡しや振り込みの場合、忘れられたりタイミングが合わず支払ってもらえなかったりする可能性が高まります。

まとめ

オーナーや管理会社を悩ます入居者トラブルは、100%予防することができないとはいえリスクを抑えることは可能です。空室を早く解消したくても入居者審査はしっかり行い、協力的な姿勢のある人に優先して物件を紹介しましょう。

審査や入居後の管理を管理会社に委託している場合は、行動力のある他社へ乗り換えるのもおすすめです。