空室リスクを回避したい!空室を最小限に抑える7つの方法

空室リスクは不動産投資における様々なリスクの中でも最大のリスクといわれています。空室が出ると、家賃収入が途絶えて収支計画が大きく狂ってしまうからです。この記事では、空室の要因と空室を最小限に抑えるために有効な7つの方法をご紹介します。

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不動産投資における空室リスクとは

空室リスクとは、所有物件に入居者が埋まらず、想定していた家賃収入が得られないことです。不動産投資のリスクの中でも、直接収益に関わることから最大のリスクとされています。

総務省による調査結果を参考に推定した全国の物件の空室率は約13%です。不動産投資家にとって無縁のものではないことがわかります。

賃貸住宅において入居者の入れ替わりは当然発生します。そのため、投資シミュレーションでは一般的に2~3ヶ月ほどの空室期間を想定して収益判断を行いますが、実際はそれよりも長い期間、空室となることも起こり得るでしょう。

家賃収入が途絶えている間も、物件の管理費用や固定資産税の支払いは必要です。また、マンションの場合は修繕積立金の支払いも必要で、空室リスクは収益に大きな影響を及ぼします。

空室が長期化するとローンの返済が難しくなり、結果的に物件を売却せざるを得ない状態に陥ってしまう恐れもあるでしょう。

出典:「平成30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

空室により生じる損失とは

空室によって生じる損失のことを「空室損」と呼びます。空室損とは、入居者がおらず空室状態が続き、本来は回収できるはずの賃料を回収できないために生じる損失のことです。

空室が発生すると賃料が入らず収益が減少し、収益性やキャッシュフローに大きな影響を及ぼします。

2,000万円のワンルームマンションをローンで購入している場合を例にして、具体的な数字を確認していきましょう。

物件価格

2,000万円のワンルームマンション

賃料収入

月額10万円(年額120万円)

頭金

500万円

借入額と条件

1,500万円で金利2.5%(30年払い)

ローン元利払い

月5.9万円

管理・修繕費

2万円

この条件で空室が発生した場合、ローンの支払いと管理・修繕費が実費でかかるため、1ヶ月で7.9万円のキャッシュフローマイナスです。空室状態が2ヶ月、3ヶ月と続けば、マイナスは着々と増えていきます。金利が上昇すれば、さらに負担は増大していくでしょう。

空室が出てしまう要因

不動産で空室が生じる理由は、退去発生後に次の入居者が現れないからです。その背景にはいくつかの要因があります。

人口の減少

賃貸物件があるエリアの人口が減少すると、一般的に住宅の需要は減少し空室リスクが高まる傾向です。

日本の人口は減少局面に入ってきていますが、人口動態は地域差があり、人口減少が進むエリアは必然的に高い空室リスクを背負うことになります。

賃貸の供給過多

一定のエリアに賃貸マンションやアパートが増えると相対的な需要が減少するため、空室率が上昇します。開発とともに短期間に多くの賃貸不動産が建設されている場合、将来的には人口増加が期待できるかもしれませんが足元では注意が必要です。

なお、人口増加が期待できないにも関わらず、相続税対策で賃貸物件が建設されることもあります。このようなエリアでは供給過多を解消できない可能性も想定しておかなければなりません。

賃料が相場に合っていない

賃貸物件を探している人は、賃料に敏感です。できる限り安くて自分の条件に合った物件を探している人が多く、周辺エリアの同じような賃貸を比較検討します。

同じような設備を備えた周辺の物件の相場から外れていると、賃料が安い別の物件が選ばれてしまい、いつまで経っても空室が埋まりません。

空室損を回避するには、エリアの相場をしっかり把握して、相場にあった賃料を設定しましょう。

物件の状態があまり良くない

賃貸物件を探していて気に入った物件があった場合には、内見してから入居を決定する人がほとんどです。物件の状態が良くないと、最終的に入居を決めてもらえません。

例えば、共有部分にゴミが散乱していたり、不快な臭いがしていたりすると、定期的なクリーニングや日々のメンテナンスが行き届いていない物件と思われ、入居希望者からの印象は悪くなります。信頼できないと思われてしまうと、他の物件と比較検討している人には借りてもらえないでしょう。

クリーニングやメンテナンスを管理会社に委託する場合は、空室を避けるためにも信頼できる管理会社を選ぶようにしてください。

空室リスクを最小限に抑える7つの方法!

空室リスクは不動産投資で避けることのできないリスクですが、投資先の選択や運用の工夫次第で最小限に抑えることができます。空室リスク対策に有効な7つの方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.立地の良いエリアを選ぶ

賃貸需要と大きな関係があるのは立地条件です。東京や大阪、愛知などの大都市では地方からの流入により人口の増加傾向が続いているため、空室リスクは低めとなっています。

その中でも、都心までの距離が近く交通アクセスが良好な地域は、高い賃貸ニーズが期待できます。不動産投資を行う際には、このような立地の良いエリアの物件を選ぶことが必須です。

2.ワンルームマンションに投資する

賃貸住宅の中でも、ワンルームマンションは比較的安定した需要が期待できます。その背景として、晩婚化が進み一人暮らしをする人が増えていることが挙げられます。若年層や外国人の多い都心部は特に単身世帯が多く、ワンルームマンションは安定した需要を見込めます。

また、特に東京23区では地価上昇やワンルームマンション開発規制の影響により、ワンルームマンションの新規供給は難しい状態となっています。つまり、安定した需要がある上、供給過多になりづらいため、空室リスクは抑えられるといえます。

3.入居者の仲介に強い管理会社を選ぶ

退去が出ても、すぐに次の入居者が決まれば問題ありません。

入居者募集で重要なのは、管理会社の営業力です。実際に、ほぼ同条件の物件であっても一方は満室、もう一方は空室が目立つといったことが少なくありません。入居者募集に積極的で仲介に強い管理会社を選択しましょう。

管理会社を選ぶ際には、会社のサイトに掲載されている管理実績や入居率を参考にすると良いでしょう。また、入居者の目線で物件紹介をチェックしてみることもおすすめです。物件情報が豊富に掲載されていれば、それだけ多くの反響が得られる可能性が高まります。

また、管理会社の物件を下見して、管理状況を調査してみるのも有効です。管理の行き届いている物件は内見時の印象も良く、入居が決まりやすくなります。

4.周辺の物件と所有物件の特徴を分析する

不動産投資を始める際には、周辺の物件と投資予定の物件の特徴を分析することが非常に重要なポイントです。すでに不動産を購入した後であっても、周辺の物件を分析することで、所有物件のアピールポイントが見つかり、空室を減らせる材料となります。

分析するには、不動産ポータルサイトの活用や不動産会社への調査、周辺の情報収集などを行いましょう。立地条件や築年数、設備、間取り、募集条件などの情報収集をはじめ、周辺環境や既存入居者の属性を調査し、所有物件のターゲット層を明確に把握することも大切です。

これらを調査すれば、所有物件のターゲット層が明確になります。例えば、初めて一人暮らしをする学生がターゲット層であれば、セキュリティ設備を導入することで親御さんへのアピールに繋がるでしょう。

周辺の物件と所有物件をしっかりと分析し、正しいターゲットに合わせた施策を行えば、空室リスクを最小限に抑えられます。

5.入居条件を見直す

空室期間が長引いている場合は、周辺の物件と比較して条件が悪いことが考えられます。最も多いケースは賃料の問題です。地域の賃料相場は、社会情勢や環境によって変化していきます。

長らく賃料の見直しを行っていないという人は、周辺の物件状況を調査し、賃料の見直しを行いましょう。また、賃料は築年数によっても変化するものです。退去時に都度見直すのも良い方法です。

賃料が相場から外れていない場合は、別の原因が考えられます。より多くの人に注目してもらえるように、ペット可物件にしたり、フリーレントを試したりしてみるのも選択肢の一つです。

6.人気設備の導入やリフォームをする

新しい設備の導入やリフォームの実施により物件の魅力を上げることも空室リスクを抑えるために有効です。

例えば、宅配ボックスや無料インターネット、浴室乾燥機などが挙げられます。人気設備を導入することで同条件の物件と差別化ができ、入居者に選ばれる可能性が高まります。

ただし、設備導入やリフォームには費用がかかりますので、費用対効果をシミュレーションして検討することが必要です。

7.サブリースを検討する

空室による家賃収入の減少対策として、サブリースを活用することも一つの方法です。

サブリースは、不動産会社がオーナーから物件を借り上げ、入居者に転貸します。サブリース契約を行えば、入居者の有無に関わらずオーナーは一定の家賃収入を得ることが可能です。

ただし、入居者に直接賃貸する場合に比べて、10~20%ほど家賃収入が減少します。また、空室リスクの高い物件は契約更新時に家賃減額のリスクがある上、オーナーからの解約には正当事由が必要です。大きく収益を減らしてしまう可能性もあるため、サブリースの導入は慎重に検討する必要があります。

まとめ

賃貸物件は入居者の出入りがある以上、空室リスクをゼロにすることはできませんが、リスクを最小限に抑えることは十分に可能です。購入時の物件やエリアの選定はもちろんですが、空室が生じた際にできることも多くあります。収益を悪化させないよう、空室リスクに対して万全の対策を講じるようにしましょう。