目次
不動産投資における空室リスクとは
空室リスクとは、所有物件に入居者が埋まらず、想定していた家賃収入が得られないことです。不動産投資のリスクの中でも、直接収益に関わることから最大のリスクとされています。
総務省による調査結果を参考に推定した全国の物件の空室率は約13%です。不動産投資家にとって無縁のものではないことがわかるでしょう。
賃貸住宅において入居者の入れ替わりは当然発生します。そのため、投資シミュレーションでは一般的に2~3ヶ月ほどの空室期間を想定して収益判断を行いますが、実際はそれよりも長い期間、空室となることも起こり得るでしょう。
家賃収入が途絶えている間も、物件の管理費用や固定資産税の支払いは必要です。また、マンションの場合は修繕積立金の支払いも必要で、空室リスクは収益に大きな影響を及ぼします。
空室が長期化するとローンの返済が難しくなり、結果的に物件を売却せざるを得ない状態に陥ってしまうおそれもあるでしょう。
出典:「平成30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)
空室が出てしまう要因
不動産で空室が生じる理由は、退去発生後に次の入居者が現れないからです。その背景にはふたつの要因があります。
人口の減少
賃貸物件のあるエリアの人口が減少すると、一般的に住宅の需要は減少し空室リスクが高まる傾向です。
日本の人口は減少局面に入ってきていますが、人口動態は地域差があり、人口減少が進むエリアは必然的に高い空室リスクを背負うことになります。
賃貸の供給過多
一定のエリアに賃貸マンションやアパートが増えると相対的な需要が減少するため、空室率が上昇します。開発とともに短期間に多くの賃貸不動産が建設されている場合、将来的には人口増加が期待できるかもしれませんが足元では注意が必要です。
なお、人口増加が期待できないにも関わらず、相続税対策で賃貸物件が建設されることもあります。このようなエリアでは供給過多を解消できない可能性も想定しておかなければなりません。
空室リスクを最小限に抑える6つの方法!
空室リスクは不動産投資で避けることのできないリスクですが、投資先の選択や運用の工夫次第で最小限に抑えることができます。空室リスク対策に有効な6つの方法を紹介します。
1.立地の良いエリアを選ぶ
賃貸需要と大きな関係があるのは立地条件です。東京や大阪、愛知などの大都市では地方からの流入により人口の増加傾向が続いているため、空室リスクは低めとなっています。
その中でも、都心までの距離が近く交通アクセスが良好な地域は、高い賃貸ニーズを期待できます。不動産投資を行う際には、このような立地の良いエリアの物件を選ぶことが必須です。
2.ワンルームマンションに投資する
賃貸住宅の中でも、ワンルームマンションは比較的安定した需要が期待できます。その背景として、晩婚化が進み、一人暮らしをする人が増えていることが挙げられます。若年層や外国人の多い都心部は特に単身世帯が多く、ワンルームマンションは安定した需要を見込めます。
また、特に東京23区では地価上昇やワンルームマンション開発規制の影響により、ワンルームマンションの新規供給は難しい状態となっています。つまり、安定した需要がある上、供給過多になりづらいため、空室リスクは抑えられるでしょう。
3.入居に強い管理会社を選ぶ
退去が出ても、すぐに次の入居者が決まれば問題ありません。
入居者募集で重要なのは、管理会社の営業力です。実際に、ほぼ同条件の物件であっても一方は満室、もう一方は空室が目立つといったことも少なくありません。入居者募集に積極的で、客付けに強い管理会社を選択しましょう。
管理会社を選ぶ際には、会社のサイトに掲載されている管理実績や入居率を参考にすると良いでしょう。また、入居者の目線で物件紹介をチェックしてみることもおすすめです。物件情報が豊富に掲載されていれば、それだけ多くの反響が得られる可能性が高まります。
また、管理会社の物件を下見して、管理状況を調査してみるのも有効です。管理の行き届いている物件は内見時の印象も良く、入居が決まりやすくなります。
4.家賃設定を見直す
賃貸需要の高い地域にある物件でも、家賃が相場に比べて割高な場合はなかなか入居者が決まりません。空室が長期化している場合には、家賃設定を見直すのもひとつの方法です。
しかし、家賃を下げるとそれだけ収益も減少することになるため、周辺の家賃相場や家賃変更後の利益を考慮しながら検討しましょう。入居ハードルを下げるために敷金礼金を下げることやフリーレント期間を設けることも有効です。
なお、1~3月は不動産需要が高まる繁忙期です。家賃が高くても入居者が埋まりやすい傾向があるため、この時期は様子を見ておき、閑散期に検討することをおすすめします。
5.人気設備の導入やリフォームをする
新しい設備の導入やリフォームの実施により物件の魅力を上げることも空室リスクを抑えるために有効です。
たとえば、宅配ボックスや無料インターネット、浴室乾燥機などが挙げられます。人気設備を導入することで同条件の物件と差別化ができ、入居者に選ばれる可能性が高まるでしょう。
ただし、設備導入やリフォームには費用がかかりますので、費用対効果をシミュレーションして検討することが必要です。
6.サブリースを検討する
空室による家賃収入の減少対策として、サブリースを活用することもひとつの方法です。
サブリースは、不動産会社がオーナーから物件を借り上げ、入居者に転貸します。サブリース契約を行えば、入居者の有無にかかわらずオーナーは一定の家賃収入を得ることが可能です。
ただし、入居者に直接賃貸する場合に比べて、10~20%ほど家賃収入が減少します。また、空室リスクの高い物件は契約更新時に家賃減額のリスクがある上、オーナーからの解約には正当事由が必要です。大きく収益を減らしてしまう可能性もあるため、サブリースの導入は慎重に検討する必要があるでしょう。
まとめ
賃貸物件が入居者の出入りがある以上、空室リスクをゼロにすることはできませんが、リスクを最小限に抑えることは十分に可能です。購入時の物件やエリアの選定はもちろんですが、空室が生じた際にできることも多くあります。収益を悪化させないよう、空室リスクに対して万全の対策を講じるようにしましょう。