目次
基準地価とは
基準地価とは、各都道府県が主体になって毎年7月1日時点の評価を毎年9月下旬ごろに公表する土地の標準価格のことです。評価の対象となるのは、全国約2万地点の基準地です。
一般の土地取引の他に、地方公共団体や民間企業の土地取引の目安として活用されています。
公示価格・路線価・固定資産税評価額・実勢価格との違いは?
基準地価以外にも、土地の価格の基準になる価格が4つあります。
・公示価格
・路線価
・固定資産税評価額
・実勢価格
それぞれの特徴や基準地価との違いを詳しく解説します。
公示価格との違い
公示価格とは、土地の適正な価格を判断するための客観的な目安です。基準地価と公示価格の違いは下記の表の通りです。
| 基準地価 | 公示価格 |
公開元 | 都道府県知事 | 国土交通省、土地鑑定委員会 |
公開日 | 毎年9月下旬 | 毎年3月下旬〜中旬 |
基準日 | 毎年7月1日時点 | 毎年1月1日時点 |
評価方法 | 不動産鑑定士が1人以上 | 2人以上の不動産鑑定士が鑑定し、それぞれの結果を加味したうえで決定 |
対象 | 都市計画区域外も含まれる | 都市計画区域内。不動産の取引が行われると予想される土地 |
土地の価格は乱高下する可能性があります。そのため、基準地価と公示価格を別々のタイミングで公表することで、正確な土地の値段を把握しやすくしています。
また、基準地価と公示価格の最大の違いは評価方法です。公示価格は都市計画区域内以外も含まれる点、公示価格では2人以上である不動産鑑定士が1人以上という点が異なります。
路線価との違い
路線価とは、国税庁が算定した税金算出の基準となる土地の価格です。相続税や贈与税などの税金を計算する際に使用します。基準地価と路線価の違いは下記の表の通りです。
| 基準地価 | 路線価 |
公開元 | 都道府県知事 | 国税庁 |
公開日 | 毎年9月下旬 | 毎年7月1日 |
基準日 | 毎年7月1日時点 | 毎年1月1日時点 |
評価方法 | 不動産鑑定士が1人以上 | 公示価格や売買実例価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額をもとに決める |
対象 | 都市計画区域外も含まれる | 路線(道路)に面する土地1㎡当たりの価格 |
路線価と基準地価は、国税庁が調査し、路線(道路)に面する土地1㎡当たりの価格が対象になる点が異なります。
固定資産税評価額との違い
固定資産税評価額とは、「固定資産税」や「不動産所得税」を算出する基準になるものです。基準地価と固定資産税評価額の違いは下記の表の通りです。
| 基準地価 | 固定資産税評価額 |
公開元 | 都道府県知事 | 各市区町村 |
公開日 | 毎年9月下旬 | 4月初旬 |
基準日 | 毎年7月1日時点 | 毎年1月1日時点 |
評価方法 | 不動産鑑定士が1人以上 | 総務大臣が定める固定資産評価基準をもとに、市区町村で決める |
対象 | 都市計画区域外も含まれる | 土地と建物が別々で評価される 建物は内壁や外壁、設備が対象 |
基準地価は土地取引の目安になるのに対し、固定資産税評価額は税額決定の指標になるため性質が異なります。
実勢価格との違い
実勢価格とは、実際に売買された土地の価格のことです。ここまで紹介した基準地価、公示価格、路線価、固定資産税評価額は、不動産の価値を判断する際の参考になります。
しかし、実際に不動産が売買される際は、周辺施設との距離や形状、事情など様々な要因によって異なるため、売買価格と一致しません。
そのため、基準地価は土地売買の目安、実勢価格は実際の価格であるという違いを覚えておくと良いでしょう。
基準地価の調べ方
基準地価の調べ方は下記の2つです。
・国土交通省のHPで基準地価を調べる
・各都道府県のHPで基準地価を調べる
調べ方を詳しく解説します。
国土交通省のHPで基準地価を調べる方法
不動産の基準地価は国土交通省のHP「標準値・基準地検索システム」に掲載されています。調べ方は下記の通りです。
1. 検索したい都道府県を選ぶ
2. 検索したい地域(市区町村)を選ぶ
3. 検索条件を入力する
検索条件を入力する際に対象を選択します。基準地価を知りたい場合は「都道府県地価調査のみ」を選択してください。地価公示を選択すると、公示価格を調べることもできます。
各都道府県のHPで基準地価を調べる方法
各都道府県のHPでも基準地価を調べることができます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで「都道府県名 基準地価」と入力して検索すると各都道府県の検索ページが表示されます。
検索方法や表示方法は都道府県ごとに差異があるため、HPの仕様に沿って操作してください。
令和5年の全国の基準地価の状況
直近5年間の基準地価の動向は下記の表の通りです。なお、▲は減少を示しています。
| 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 |
全国 | 0.4 | ▲0.6 | ▲0.4 | 0.3 | 1.0 |
三大都市圏 | 2.1 | 0.0 | 0.1 | 1.4 | 2.7 |
東京圏 | 2.2 | 0.1 | 0.2 | 1.5 | 3.1 |
大阪圏 | 1.9 | 0.0 | ▲0.3 | 0.7 | 1.8 |
名古屋圏 | 1.9 | ▲0.8 | 0.5 | 1.8 | 2.6 |
地方圏 | ▲0.3 | ▲0.8 | ▲0.6 | ▲0.2 | 0.3 |
地方四市 | 6.8 | 4.5 | 4.4 | 6.7 | 8.1 |
その他 | ▲0.5 | ▲1.0 | ▲0.8 | ▲0.4 | 0.0 |
出典:国土交通省
上記の表からも分かる通り、令和5年はどの地域も減少することはなく、上昇しています。上昇している理由を解説します。
2年連続でコロナ禍を上回る
令和5年度は全国の全用途平均が1.0%上昇し、2年連続でコロナ禍を上回っています。三大都市圏においては全用途平均が2.7%上昇と3年連続上昇しました。住宅地は2.2%上昇、商業地は4.0%上昇と11年連続の上昇となり、上昇率が大幅に拡大しました。
地方圏の住宅地は31年ぶりに上昇した理由
三大都市圏以外の地方圏においては、全用途平均が0.3%上昇しました。地方圏の住宅地が上昇に転じるのは31年ぶりです。
上昇の要因としては、インバウンドによる観光客の増加や地域の再開発が挙げられます。今後も上昇が期待できるため、地方圏の土地の売買を検討している方は、積極的に行ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、基準地価の特徴やそれぞれの評価額との違い、調べ方、令和5年に上昇した理由を解説しました。基準地価は土地の売買で必要になる基準値でもあるため、土地の売買を検討している方は、国土交通省のHP「標準値・基準地検索システム」から該当する地域を検索してみてください。
また、インバウンドや地域開発、景気回復の観点から今後も土地の価格は上昇すると予想されます。そのため、土地の売却を検討されている方は、基準地価を調べて価値が高いタイミングで売却できるように備えておくと良いでしょう。