地価はどうやって決まるの?上がる条件・下がる条件を解説

目次1 そもそも地価とは?1.1 公示地価1.2 基準地価1.3 相続税路線価1.4 固定資産税路線価1.5 実勢価格2 … 続きを読む 地価はどうやって決まるの?上がる条件・下がる条件を解説

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土地の価値を示す地価は、住宅を購入する際や不動産投資を検討するときの大切な判断材料ですが、さまざまな要因によって変動します

また、公示地価や基準地価、路線価など、用途に応じて異なる種類があります。さらに、上昇や下落には複雑な要因がからみます。

この記事では、不動産取引や資産運用に役立つ地価の基礎知識や変動要因を解説します。土地や住まいの価値を正しく理解し、将来を見据えた判断をしましょう。

そもそも地価とは?

地価は、土地の価値を金銭的に表したものです。

種類や用途によって、さまざまな区分があります。

  • 公示地価
  • 基準地価
  • 相続税路線価
  • 固定資産税路線価
  • 実勢価格

これらはそれぞれ異なる目的や基準で算出されるため、同じ土地であっても価格が異なる場合があります。

地価は不動産取引や税金の算定、都市計画など、私たちの生活に密接に関わる重要な指標です。土地の所有者や不動産投資を考えている人からすると、種類の違いを理解することはきわめて重要です。

ここでは、5つの地価を詳しく解説します。

公示地価

公示地価は、国土交通省が毎年1月1日時点で算出し、3月に公表する土地の評価額です。

全国の都市計画区域内から選ばれた標準地の価格を示すもので、一般の土地取引の指標になります。

決定は、不動産鑑定士による鑑定評価を基に行われます。価格は実際の取引価格の目安として利用され、土地の売買や賃貸借の際の参考になるのが一般的です。

また、公共事業用地の取得価格算定の基準としても活用されます。

公示地価は地域の発展状況や経済動向を反映するため、推移を見ることで、地域の将来性や投資価値を判断する材料にもなります。

基準地価

基準地価は、都道府県が毎年7月1日時点で算出し、9月に公表する土地の評価額です。

公示地価を補完する役割を持ち、公示地価の標準地がない地域の土地評価を行います。

決定は、不動産鑑定士による鑑定評価をもとに行われます。価格は地方自治体が行う土地取引の指標として利用され、固定資産税評価額の算定基準としても活用されるのが一般的です。

基準地価は地域の特性をより細かく反映しているため、地域の土地価格の動向を詳細に把握できます。

ただし、実際の取引価格とは乖離がある場合があるため注意が必要です。

相続税路線価

相続税路線価は、国税庁が毎年1月1日時点で評価し、7月に公表する土地の評価額です。

相続税や贈与税を算出する際の基準となる価格で、路線(道路)に面した標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額を示します。

主に、公示地価の約80%程度に設定されるのが一般的です。相続や贈与の際の税金計算に直接影響するため、不動産所有者にとっては重要な指標になります。

ただし、相続税路線価は地域や道路条件によって細かく設定されているため、同じ地域内でも場所によって大きく異なる場合があります。

固定資産税路線価

固定資産税路線価は、市町村が3年ごとに評価し、固定資産税を算出するための基準となる土地の評価額です。

地方税法に基づいて算定され、公示地価の約70%程度に設定されます。

価格は地域の特性や土地の利用状況を反映して細かく設定されており、同じ地域内でも場所によって異なる場合があります。

固定資産税路線価は、3年ごとの評価替えの際に大きく変動する可能性があります。したがって、不動産所有者は定期的にチェックすべきです。

実勢価格

実勢価格は、実際の不動産取引で成立した価格を指します。

公示地価や路線価などの公的な評価額とは異なり、市場の需給バランスや経済状況、個別の取引条件などを反映した実際の取引価格です。

主に、売主と買主の交渉によって決定されるため、同じような物件でも取引ごとに価格が異なる場合があります。また、不動産市場の現状を最も正確に反映しているため、不動産投資や売買を検討する際には重要な指標になるでしょう。

ただし、実勢価格は個別の取引情報であるため、一般に公開されていない場合が一般的です。

地価が上がる条件

ここでは、地価が上がる条件を詳しく解説します。

需要の増加

地価上昇が上がる条件のひとつは、需要の増加です。

人口流入や経済成長に伴い、住宅や商業施設、オフィスなどの需要が高まると、土地の価値が上昇します。

特に、都市部では企業の集積や雇用機会の増加によって人口が増加し、それに伴って住宅需要が高まるのが一般的です。

需要の増加は特定のエリアに集中して起こるケースが多く、地価の上昇は急激になる傾向があります。

賃貸需要の調べ方は、以下の記事をご覧ください。

賃貸需要の調べ方5選!失敗しない選び方を解説

地域の開発による影響

地域の開発は、地価上昇に大きな影響を与える条件のひとつです。

新しいショッピングモールや大型商業施設の建設、企業の進出、公共施設の整備などは、地域の魅力を高め、人々の関心を集めます。

これにより、周辺地域の土地需要が増加し、地価の上昇につながります。

例えば、大規模な再開発プロジェクトが行われると、その地域全体の価値が向上し、住宅や商業施設の需要が高まりやすいです。また、企業の本社移転や工場の誘致は、雇用を創出し、人口流入を促進します。

新しい交通手段が計画されている

新しい交通手段の計画は、地価上昇の要因です。

新駅の建設や新路線の開通、高速道路のインターチェンジの設置などは、地域のアクセス性を大幅に向上させます。

これにより、通勤や買い物などの利便性が高まり、住宅需要が増加します。

また、商業施設やオフィスの立地にも好影響を与え、土地の価値を押し上げます。例えば、新幹線の新駅が計画されると、その周辺地域の地価は大きく上昇しやすいでしょう。

これは広域からの集客が見込めるため、ホテルや商業施設の需要が高まるためです。

インバウンド需要が高い

インバウンド需要の高まりは、地価上昇の条件のひとつです。

外国人観光客の増加に伴い、ホテルや商業施設、飲食店などの需要が高まると、観光地や都市部の地価が押し上げられます。

例えば、人気の観光スポット周辺では、宿泊施設の需要が急増し、土地の価値が上昇します。また、外国人観光客向けの商業施設や免税店の出店も増加し、商業地の地価を上昇させます。

さらに、民泊などの新しい宿泊形態の普及も、住宅地の価値を上昇させる要因になるでしょう。

金融緩和による市場の活発化

金融緩和政策は、地価上昇に大きな影響を与えます。

中央銀行が低金利政策を実施すると、借入コストが低下し、不動産投資が活発化するのが一般的です。

これにより、住宅ローンの金利も低下し、個人の住宅購入意欲が高まります。加えて、低金利環境下では投資家が高い利回りを求めて、不動産投資に資金を振り向ける傾向があります。

ただし、金融緩和の効果は地域や物件タイプによって異なるため、慎重な分析が必要です。

震災後の復興

震災後の復興事業は、被災地の地価に大きな影響を与えます。

特に、復興に伴う公共投資や住宅再建需要は、一時的に地価を押し上げる効果があります。

例えば、東日本大震災後の岩手県や宮城県の一部地域では、復興需要により地価が上昇しました。しかし、復興による影響は進捗状況や地域の将来性によって異なります。

計画が順調に進み、新たな産業や雇用が創出されれば、長期的な地価上昇につながる可能性があります。

地価が下がる条件

ここでは、地価が下がる条件を詳しく解説します。

人口が減少している

人口減少は、地価下落の主な条件です。

特に地方都市や郊外部では、人口減少に伴い住宅需要が低下し地価の下落につながります。

例えば、北海道古平郡では人口減少と高齢化率の上昇により、地価の下落傾向が続いています。

人口減少は、商業施設やオフィスの需要にも影響を与え、商業地や工業地の地価にも下落圧力をかけます。

大手企業の撤退

大手企業の撤退は、地域経済と地価に大きな影響を与えます。

雇用の減少や関連産業の衰退を引き起こすため、地域全体の経済活動を縮小させてしまうのです。

その結果、オフィス需要や住宅需要が減少し、地価の下落につながります。

例えば、工場の閉鎖や本社機能の移転は、地域の不動産市場に深刻な影響を与える可能性があります。特に、ひとつの大企業に依存している地域では、影響が顕著に現れるでしょう。

ただし、企業撤退後の跡地利用や新たな産業誘致などの対策により、地価下落を緩和できる場合もあります。

学校の閉鎖

学校の閉鎖は、地域の不動産価値にマイナスの影響を与えます。

特に小中学校の統廃合は、若い家族の流出や転入の減少につながり、住宅需要を低下させる要因です。

学校は地域コミュニティの中心的な役割を果たしており、喪失は地域の魅力を大きく損なう可能性があります。また、学生向けの賃貸住宅需要も減少し、周辺の不動産価値に影響を与えるでしょう。

大学の移転や閉鎖も同様の効果をもたらします。

このように、学校の存続は地域の持続可能性と密接に関連しており、地価動向を左右する重要な要素です。

震災

震災は、地価に長期的な影響を与える要因です。

被災直後は、建物の損壊や土地の安全性への懸念から、地価が急激に下落することがあります。

例えば、2023年の能登半島地震では、被災地の住宅地価格が大幅に下落しました。また、原発事故のような二次災害のリスクがある場合は、影響がさらに深刻になります。

復興の進捗状況によっては、地価の回復に長期間を要する場合もあります。一方で、人口流出が続く場合は再び下落するリスクがあるでしょう。

土地の形が悪い

土地の形状は利用価値に影響するため、地価に大きな影響を与えます。

不整形な土地や間口が狭い土地、高低差のある土地などは、建物の建築や効率的な土地利用が困難なため、価値が低下するのが一般的です。

例えば、旗竿地(はたざおち)は、道路に面する部分が狭いため、建築の制限や日照の問題が生じやすく、一般的に地価が低くなります。

また、開発や再開発の際のコストが増加し、投資対象としての魅力が低下するケースもあるでしょう。

まとめ

地価の変動は、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じます。

上昇する条件は、需要の増加、地域開発、交通インフラの整備、インバウンド需要、金融緩和です。一方、下落する要因は人口減少、企業撤退、学校閉鎖、震災、土地の形状の問題が挙げられます。

不動産投資や資産管理では、これらの要因を総合的に分析し、地域ごとの特性を考慮する姿勢が重要です。