不動産投資の立地として注目される「大阪」都心エリアの魅力と将来性

2021年東京五輪が終了しましたが、東京五輪が開催される数年前から東京の不動産価格は上昇トレンドとなりました。大阪エリアにおいては今後2025年の「大阪・関西万博」が開催予定で、今後不動産投資の対象としても期待が高まりつつあります。 「大阪エリア」は2025年「大阪・関西万博」やさらに2037年「リニア中央新幹線」の開業予定などビッグイベントが予定されており、また「未来都市」の実現を目指す「スーパーシティ型国家戦略特別区域」の指定や「国際金融都市OSAKA戦略」の策定などでも注目を集めています。 大阪の経済力は東京に次ぐ規模で、「うめきた二期」を始め大規模な再開発も多く進行中です。 大阪市の中でも「キタ」と言われる梅田などの中心部には大阪を代表する多くのビジネス街があり就業人口も多いエリアです。こうした街の魅力を見てみましょう。

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大阪市中心部で進む再開発

再開発による就業人口と不動産の資産価値の関係は

マンションの資産価値や住宅需要を考える時に「再開発」が重要なキーワードとなります。再開発により街が発展し就業人口が増加すれば住宅やオフィス需要なども増加し地価や不動産の資産価値も増加するからです。

再開発の指針に「都市再生緊急整備地域」というものがあります。これは規制緩和などにより再開発を促進するエリアで、将来的に街が大きく変貌する可能性のあるエリアと言え、大阪でも数カ所あります。

再開発によってビジネスビルや商業施設などが建設されれば就業人口も増加しますので、周辺や沿線の住宅需要が増加すると考えられます。また企業が多い事から法人賃貸の需要も高いと言えます。つまり不動産投資としての将来性を考える場合の重要な指標となる訳です。

大阪駅から御堂筋にかけてのエリアも「都市再生緊急整備地域」に指定されています。

こうした中から、大阪駅周辺・梅田エリアの特長から見てみましょう。

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>

<1>大阪駅周辺・梅田エリア

①将来性の高い「うめきた」エリア

筆者は過去20年間において大阪は講演などで何度も訪れていますが、その度に変わりゆく駅周辺の変貌ぶりには驚くものがあります。

大阪市の中でも「梅田」エリアはJR「大阪」駅、私鉄や地下鉄の「大阪梅田」「梅田」駅を始め多くの路線が集まる大阪の中心とも言えるエリアで、オフィスビルや商業施設が建ち並び地下街も広がっています。

東京で言うと「東京」駅周辺の丸の内、大手町などにも匹敵する、大阪のみならず全国的に見ても一等地のエリアと言えます。交通利便性が高いので商圏が広域である事も特長です。

駅の北側は「うめきた」と言われ、現在大規模な再開発が進行しています。2013年に「グランフロント大阪」が開業しました。現在は「うめきた二期」の工事が進行しており2024年に先行まちびらき、そして2027年に全体開業を予定しています。広大な「うめきた公園(仮称)」や広場、オフィス、ホテル、住宅などが建設される予定です。

近代的な高層ビルが建設されており今後ますます大阪の玄関口にふさわしい風景になると予想されます。

梅田エリアの駅

大阪駅 - (JR東海道本線・JR大阪環状線・JR福知山線) 

梅田駅 - (阪急京都線・阪急宝塚線・阪急神戸線・阪神本線・大阪市営地下鉄御堂筋線)

東梅田駅 - (大阪市営地下鉄谷町線) /西梅田駅 - (大阪市営地下鉄四つ橋線)

北新地駅 - (JR東西線)

②2023年なにわ筋線の開業

「うめきた」には2023年に「なにわ筋線」の「大阪」駅が開業を予定しています。JR「難波」駅および南海本線の「新今宮」駅を結ぶ新たな鉄道路線です。

「うめきた」から「関西国際空港」や「新大阪」駅などのアクセスが向上します。また「中之島」駅や「西本町」駅などを通りますのでこれらの駅への連携もしやすくなります。

大阪駅など大阪の中心部に新線が開通する事は非常に珍しく、こうした新線の開業によって「うめきた」の利便性もますます向上すると共に大阪全体の底上げにつながると考えられます。

③「大阪」駅南側でも再開発が進む

JR「大阪」駅の南側では多くのビジネスビルや商業施設が建ち並ぶエリアです。「うめきた」だけではなく南側でも多くの再開発が計画・進行しています。

「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」は阪神百貨店が入居する大阪神ビルディングの建替えによって2022年3月に開業しました。筆者も早速日本一と言われる阪神百貨店のデパ地下に行ってきましたが、そのフロアの広さには驚かされました。さらに「阪急うめだ本店」が入っている梅田阪急ビルが「大阪梅田ツインタワーズ・ノース」と改称し、両ビルは「大阪梅田ツインタワーズ」と総称されます。

「大阪中央郵便局」跡地などでは「梅田三丁目計画」として2024年に39階建てのビルの建設が予定されており、「マリオットホテル」系の高級ホテルなどが開業する予定で、今後インバウンドの増加とともにますます魅力的な街になっていくと考えられます。また円筒形のユニークな形状の「大阪マルビル」の建替えも計画され2030年開業の予定です。

④阪急梅田駅周辺でも再開発の計画

JR大阪駅の東側にある阪急「大阪梅田」駅周辺でも再開発の計画があります。

「芝田1丁目計画」では「大阪新阪急ホテル」「阪急ターミナルビル」の建て替えと、「阪急三番街」のリニューアルを計画しています。JR大阪駅と空中デッキで結ぶ事も検討されており、2035年頃の開業の予定です。

このようにJR大阪駅、梅田エリアでは大阪でも中心的なビジネス街であると共に、今後大きく発展する事が期待できます。また大阪市ではMICE※も推進されており、こうしたイベントなどの開催も期待されます。

※MICE(マイス)とは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称

<2>淀屋橋・北浜エリア

「淀屋橋」も大阪を代表するビジネス街です。大通りである「御堂筋」に沿って「本町」から「心斎橋」、さらに「なんば」方面まで大型のビルが建ち並び、「淀屋橋」周辺には日本生命本店や淀屋橋三井ビル、ビジネス・商業ビルである「淀屋橋odona(オドナ)」などがあります。

「淀屋橋」エリアでは再開発が進んでいます。淀屋橋駅前の「淀屋橋ツインタワー計画」では150メートルと135メートルのツインタワーの計画が進んでいます。また「淀屋橋駅東地区」では地上28階・高さ約150メートルのビルの建設計画があり、「淀屋橋駅西地区」では地上28階・高さ135メートルのビルの建設が計画されており2025年に竣工予定です。このように淀屋橋では多くのプロジェクトが進行し、ビジネス街としてますます発展する事も期待されます。

金融の街としても知られる「北浜」エリアは淀屋橋と天満橋の間に位置し、「北浜」駅は京阪本線と大阪メトロ堺筋線が利用できます。

この周辺は歴史的な建造物も多く、金融街は地価も高く不動産投資としての価値も極めて高く、また法人賃貸需要が多いエリアではないでしょうか。

江戸時代には金・銀・銭の取引相場を決める金相場会所などもあり、その跡地には大阪証券取引所が開設されています。銀行や証券関係の会社も多くあります。東京で言うと茅場町のような街ではないでしょうか。

また住友グループの会社の本社・本店オフィスなども多く立地しています。就業人口も多く周辺の住宅需要も多く見込めるエリアといえます。また周辺にはタワーマンションも数棟あり、居住エリアとしての魅力も合わせ持っています。

<3>中之島エリア

「中之島」駅は大川の中州にある<ビジネス・文化エリア>です。水辺の公園である「中之島公園」の近くには「大阪市中央公会堂」などの歴史のある建物があるほか、「大阪市役所」「日本銀行大阪支店」「中之島フェスティバルタワー」など官民の多くのビルが建ち並びます。「国立国際美術館」「フェスティバルホール」などの文化施設も多いエリアです。

また再開発計画も進んでおり「(仮称)中之島4丁目未来医療国際拠点整備事業」では地上17階・高さ86mのビルに医療施設を整備し2024年に開業予定で、中之島エリアは「未来医療国際拠点」としての発展も期待されます。

また「中之島」駅には「なにわ筋線」の開業も予定されており、大阪駅へのアクセスも向上します。さらに「京阪中之島線」を「九条」まで延伸して大阪メトロ中央線と接続する計画もあり、大阪・関西万博の会場となる夢洲までのアクセスも向上するなど交通利便性もますます高くなります。

<4>天満橋・大阪城エリア

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>

①天満橋エリア

「天満橋エリア」は都市再生緊急整備地域にも指定されており再開発も進んでいます。

「天満橋」駅は「京阪本線・中之島線」「大阪メトロ谷町線」など様々な路線が利用でき、「京阪中之島線」は延伸も計画されています。

天満橋の交差点には特長のある外観の「OMMビル(大阪マーチャンダイズ・マートビル)」があり目を引きます。また天満橋駅の駅ビルである「京阪シティモール」が2005年に開業、2019年にリニューアルしています。

リバーフロントである「天満橋」駅近くでは「八軒家浜船着場」が2020年にオープン、隣接した商業施設の「パナンテ京阪天満橋」は2017年にリニューアルしています。

「天満橋」駅近くの「大手前」エリアでは大規模な再開発が進んでいます。「日本経済新聞社旧大阪本社」跡地などに「大阪・大手前一丁目プロジェクト」が進められておりテレビ大阪なども入居予定です。マスコミ・報道関係に勤める方々は職住近接を求める方も多く周辺の住宅需要を押し上げる要因と考えられます。また外資系ホテルであるヒルトンホテルも入居予定で周辺の街としてのブランドバリューの上昇も考えられます。

②大阪城公園周辺エリア

大阪城は大阪市民にとっても大阪の象徴とも言える場所で多くの観光客が訪れる他、春には花見客などでも賑わいます。

大阪城公園周辺のエリアも「都市再生緊急整備地域」に指定され、再開発プロジェクトが進行しています。

谷町筋の東側は官庁街となっており「大阪府庁」や「大阪府警本部」などがあるエリアです。東京では霞が関などに匹敵し、不動産の資産価値も高いエリアと言えます。

大阪城公園南側のNTT西日本の本社跡地にはシンガポールの高級ホテル「カペラホテルグループ」の進出が予定されています。高級ホテルが建設される事で地域のイメージアップとなり、地価が上昇するケースもありますのでこうした効果も期待できます。

大阪城公園の東側「森之宮北地区」は都市再生緊急整備地域に指定されており、2025年には地上13階建ての「大阪公立大学」森之宮キャンパスの開設が計画されています。多くの学生や教職員などが集まる事が予想されますのでこうした学校関係者の住宅需要も期待できるのではないでしょうか。

<5>本町エリア

歴史のあるビジネス街である「本町」エリアは江戸時代から栄えた大阪城下の中心とも言えるエリアです。本町通りを始めこの一帯には大規模なオフィスビルが多くあり就業人口も多いエリアです。御堂筋周辺でも大型ビルが林立し金融機関を始め多くの企業がありビジネスマンであふれています。「なにわ筋線」の「西本町」駅の開業も予定されています。

また超高層のタワーマンションも建設されているエリアですので今後人口の増加が見込まれ、周辺の生活利便施設などもさらに拡充する可能性もあります。

本町通り近くには地上19階のオフィスビル「本町ガーデンシティテラス」が2023年に竣工予定があるなど周辺でも再開発が進み、ますますの発展も期待されています。

「本町」駅近くには大型公園である「靭公園」があり、オフィス街の中の憩いの場になっています。

<6>福島エリア

「福島」エリアは近年再開発も多く進んでおり注目を集めているエリアです。「大阪」駅から1駅と近く「うめきた」なども近い立地です。梅田駅までも徒歩圏でありその立地アクセスは極めて高いと言えます。

JR「福島」駅の北側には「水都・OSAKA α」プロジェクトの一環として「ほたるまち」が2008年に開業しています。「朝日放送グループ本社ビル」や「堂島クロスウォーク」「堂島リバーフォーラム」の他タワーマンションなどが建設されています。

福島エリアは筆者が10年以上前に訪れた時と比べ街が大きな変貌を遂げています。昔ながらのお店も健在ですが、一方では大規模なタワーマンションが多く建設されまさに新旧が混在した魅力的な街へと進化しています。

例えば東京では「東京駅」から1駅の山手線「有楽町」駅、中央線「神田」駅といずれも不動産としても価値が極めて高い立地となっています。

「うめきた」にも近い立地にある事から「うめきた」の発展により福島エリアの不動産の資産価値も高まる可能性があります。

<7>新大阪エリア

「東海道新幹線」の開通とともに1964年に「新大阪」駅が開業しました。御堂筋線の「新大阪」駅も同年に開業しています。

大阪の陸の玄関口であり多くの路線が利用でき、さらに今後は2031年にはなにわ筋線、2037年にはリニア中央新幹線、2046年には北陸新幹線の延伸・開業も予定されており将来性も高いエリアです。こうした立地を活かして駅周辺にはホテルなども多く開業しています。

ビジネスの拠点としても注目されており、新たにオフィスビルも「PMO EX 新大阪」が2021年に竣工、「新大阪第2NKビル」が2022年1月に開業しています。

新幹線の停車駅は交通利便性が高い事が特徴です。「新大阪」駅は大阪・梅田にもアクセスしやすい立地であり、神奈川県でも新幹線の停車駅である「新横浜」駅周辺が発展しているように、今後も発展が期待できるエリアと言えます。

筆者は仕事で大阪を訪れる度に「新大阪」駅近くのホテルに宿泊していますが、「新大阪」駅の構内がリニューアルされ、新しい魅力的な飲食店がとても増えています。また新大阪エリアのマンションは東京などの企業がホテル代わりに所有するというケースもあるようです。近年では「新大阪」駅周辺にオフィスを構える会社も増えており、それだけ利便性が高いと言えるのではないでしょうか。

今後も「新大阪」駅周辺の不動産投資需要はますます高まると考えられます。

大阪都心部の地価動向

マンション投資の立地を選定する際に地価動向が重要な指標となります。

大阪エリアの地価は2019年にかけてインバウンド増加などの要因から商業地を中心に地価が大きく上昇してきました。しかし2021年以降新型コロナの影響でインバウンドが減少、国内でも緊急事態宣言による外出自粛などもあり地価は調整局面となりました。

しかし現在では緊急事態宣言も解除され国内の観光なども回復してきている事から、地価は回復基調にあります。

大阪市の中心部の商業地の地価はインバウンドの影響で大きく地価が上昇し、その反動で地価が下落しましたが2022年には下落幅も縮小しています。

過去10年間の地価の推移を大阪都心部の「北区」を例にとって見ると、住宅地では新型コロナの影響のあった2021年を除いて上昇が続いていました。商業地では2021年以降地価下落となったものの2016年から2020年にかけては10%以上の高い上昇率が続きました。

つまり新型コロナの影響で地価は一時的に調整局面にあるものの、地価は高い水準にある事が分かります。

また新型コロナ収束やインバウンドが復活すれば、地価も以前のように上昇軌道に回帰する可能性もあります。

公示地価

地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2021年

2022年

2021年

2022年

大阪市

△0.1

0.6

△4.4

△1.1

都心6区

1.1

1.8

△5.9

△1.8

中心6区:福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区

<国土交通省「令和4年地価公示」>

 

北区の地価変動率の推移

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

住宅地

1.0

2.1

2.2

4.1

4.9

4.5

4.3

4.5

0.0

1.2

商業地

0.7

5.4

6.0

10.7

12.9

12.1

15.1

17.2

4.4

1.0

(単位:%)

<国土交通省「地価公示」より作成>

実際の地価を見てみると、大阪市で地価の高い地点は大阪駅北側の「北区大深町」や商業エリアの「宗右衛門町」、「梅田1丁目」などが続きます。つまり依然としてこうしたビジネス・商業エリアの地価は高水準にある訳です。

2022年の公示地価では東京・名古屋などでは既に地価が上昇に転じています。いい意味で出遅れ感のある大阪は今後地価も上昇に転じる可能性もありますので、まさに今が不動産の買い時とも言えるかもしれません。

 

大阪市の価格上位地点

 

住所

令和4年価格

1

北区大深町4-20

2,210万円/㎡

2

中央区宗右衛門町7-2

1,880万円/㎡

3

北区梅田1-8-17

1,620万円/㎡

<大阪市「令和4年地価公示結果について」>