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不動産投資の対象になる駐車場の種類
駐車場とひと口にいっても、経営スタイルや運用方法など、不動産投資の対象としていくつかの種類に分かれます。まずは、駐車場の種類別の特徴や違いについてご紹介します。
経営方法の違いによる駐車場の種類
駐車場の経営方法には大きく、投資家本人が行う自営方式、日常の維持を管理会社に委ねる管理委託方式、不動産会社に貸し付けるサブリース方式(一括借り上げ方式)の3種類があります。
駐車場への投資は、マンションやアパートなどへの投資より少ない資金で始められるため、自営方式を選択する方も多いでしょう。自営であれば、管理の手間はかかるものの管理委託費などの経費がかかりません。そのため、収益をそのまま受け取ることができますが、駐車場の稼働率が低ければ収入が停滞したまま改善策をなかなか打ち出せないリスクもあるでしょう。
管理委託方式は、自身で駐車場の整備まで行い、運営開始後の集客、集金、トラブル対応などを不動産会社に委託する方法です。一定の管理委託費を支払う必要がありますが、自営方式に比べると投資家にかかる負担は大きく減らせます。
サブリース方式は一括借り上げ方式とも呼ばれ、駐車場経営そのものを不動産会社に委ねるものです。駐車場の整備から維持管理まですべてを任せ、契約書に基づき一定の賃料を受け取るだけなので、すでに土地があるなら自己資金ゼロからでも投資をスタートできます。
ただし、高稼働率の駐車場であっても契約書通りの収入しか得られません。また、不動産会社に支払う委託費用が高額になりやすいというデメリットがあります。
運用方法の違いによる駐車場の種類
駐車場には、不特定多数が利用するコインパーキングと、1ヶ月単位で契約者に貸し出す月極駐車場があります。駐車場への不動産投資では、これらの運用方法の違いを知るのも重要です。
コインパーキングは停車に必要なロック板や精算機、防犯カメラなどの設備が必要です。その分、初期費用がある程度かかり、設備の維持や修繕などに費用が発生する可能性もあります。
立地によっては、何もせずとも24時間収益を生み出し続けることも期待されますが、収入は変動が大きいため不安定になる傾向があります。
月極駐車場は、コインパーキングほど初期費用や維持費用がかからず、始める時のハードルの低さが魅力です。身元の明らかな契約者が利用するため、トラブルが少ないのもメリットですが、契約満了後の新たな契約者の募集や契約の手続きに手間がかかる場合があります。
形態の違いによる駐車場の種類
平面駐車場と立体駐車場の形態による違いは、コスト面や管理面で大きく表れます。
平面駐車場は、建物やスロープ、昇降機などの設備が不要で、土地の整備さえすればすぐに経営を始められます。しかし、土地の面積に応じて駐車台数に限りがあるため、よほどの面積でなければ大きな収益は見込めません。
立体駐車場は、狭い土地でも駐車台数を増やすことができ、土地の有効活用に最適ですが、設備の準備には多額の費用がかかり、それらの維持管理にも負担がかかります。スロープを使う自走式と昇降機による機械式の2種類の方式から、土地の広さや予算に応じて決定します。
駐車場投資のメリット
駐車場投資が注目される背景には、様々なメリットが挙げられます。それぞれのメリットを確認しておきましょう。
初期費用を抑えて始められる
駐車場投資は、他の不動産投資と比較すると初期費用を安く抑えられるメリットがあります。平面駐車場であれば建物が必要ないため、初期費用を大きく抑えた金額で経営をスタートさせることが可能です。
すでに土地を所有しているのであれば、土地を購入する費用かからないため、コンクリートブロックや舗装費用、ライン引き費用などで済みます。所有する土地の面積によっても初期費用は変わりますが、100坪ほどの面積であれば200~500万円前後で始められるでしょう。
舗装をせずにロープで区割りしてスタートさせる場合では、ホームセンターから資材を自分で調達し、簡易的な駐車場からとしてスタートすることも可能です。自分で区割りなどを行えば、数万円の初期費用でも始められます。
短期間での運用開始・撤退ができる
平面駐車場であれば、不動産を建築したり設備を搬入したりする必要がないため、駐車場投資を始めようと決意してから、比較的短期間でスタートさせられます。
例えば、すでに土地を所有している状態で既存建物の解体から始めた場合でも、1ヶ月程度の工事期間で駐車場の経営が開始できるのです。所有している土地が更地の場合は、最低1週間から長くても半月程度で駐車場がスタートできます。
一般的な不動産投資をイチから始めようとすれば、間取りや構造の決定、建設業者の選定から行い、最終段階で建設に着工となるため、事業をスタートさせるのに1年以上かかるケースも多いです。
仮に、既存の建物を購入して不動産投資を行う場合でも、物件の選定やリフォーム、リノベーションを実施するため、事業をスタートさせるまでに数ヶ月から1年はかかってしまいます。
このような理由から、短期間で運用開始ができる点においても、駐車場投資のメリットとなるでしょう。また、土地を転用させたい時や駐車場経営から撤退したくなった場合にも、契約解除の予告をすれば1ヶ月程度で辞められます。
土地の広さ・形に左右されない
駐車場投資では、一般的な不動産投資とは異なり、土地の広さや形に左右されずに始められるメリットがあります。住宅には向かないような狭い土地や変形地であっても、駐車場経営を始められる可能性が高いです。
とはいえ、普通乗用車1台の駐車に必要な面積は、4.5坪といわれています。あまりにも面積が狭い土地や特殊すぎる変形地であると、利用者が使いにくい駐車場となってしまうのです。
車が出入りするスペースを考えると、1台当たり9坪の土地面積があれば駐車場にできると考えられます。これから駐車場投資を考えている場合は、「9坪で1台」を目安として覚えておくと良いでしょう。
駐車場投資のデメリット
メリットの多い駐車場投資にもデメリットが存在します。駐車場投資を検討しているなら、デメリットについても理解しておきましょう。
税負担が大きくなる
駐車場投資で、最も大きなデメリットは税制上の優遇がないことです。賃貸住宅経営の場合は、住宅用地と呼ばれる土地の扱いになるため、都市計画税や固定資産税の優遇措置が受けられます。
しかし、住宅用地扱いとならない駐車場では優遇措置がないため、土地面積に対して満額が課税されることになるのです。
さらに、建物のような構造物は減価償却費として経費計上できますが、土地は減価償却費の対象ではありません。
駐車場投資で減価償却費になるのは、監視カメラや会計の機械などが対象になりますが、節税効果が期待できる規模の経費にはならないため、節税対策にはならないといわれています。
他の不動産投資に比べて収益性が低い
平面駐車場の場合は、活用できるところが1フロアしかないため、アパートやマンションなどの建物に比べて収益性が大きく劣ります。
駐車場投資でも立体駐車場にすれば、同じ土地面積であっても駐車台数を増やせるため、収益性を上げられます。ただし、その分初期費用が高額になってしまうことに注意が必要です。
駐車場投資を始める際は、収益性もしっかりと計算しておきましょう。
駐車場経営の不動産投資で収益性をアップさせるポイント
土地があればすぐにでも始められる駐車場への不動産投資ですが、より多くの収益を上げるにはポイントを押さえた経営が必要です。ここでは、駐車場経営で押さえておきたいポイントをお伝えします。
駐車場に適した立地にする
駐車場は、立地選びが非常に重要です。車の出入りがスムーズな場所でなければ、駐車場として機能しません。出入口の向きや道幅など、駐車場としての利用しやすさを考慮して土地を選びましょう。
また、月極駐車場の場合、駐車スペースのない家や駐車場の足りないマンションが多い住宅街、事業で車を常用する会社が多いビジネス街などでニーズが高いとされます。
コインパーキングの場合は、一時的な駐車が必要になる場所なら、住宅街、オフィス街から繁華街、観光地まで、幅広いエリアでニーズを見出せます。
ニーズの高いエリアには競合する駐車場も多数あるので、エリアの相場や駐車場のニーズを入念にリサーチしてください。
周辺の環境を調査する
現在はインターネット上で様々な情報を調べることが可能です。駐車場の候補地周辺の様子も画像で詳細に調べられるでしょう。
駐車場の候補地を決めたら、駐車場に適した環境か、競合の稼働率はどうなっているのか、相場はどれくらいか、自分自身の目で周辺環境を調査するのがおすすめです。
候補地の周辺に問題がなくても、大きな道路に出るまでの道が入り組んでいれば、稼働率を上げにくいでしょう。実際に訪れると出入口に使える部分が限定されており、駐車場には不向きだと気づくかもしれません。
現地を訪れたら街の様子にも注目してください。人や車の流れ、街並みを見れば、今後も長く需要を見込めるかを予測できます。
リスクにも配慮した収益予想にする
駐車場も、他の不動産投資と同じく、空きが出れば賃料収入を得られません。立地や設備に問題がなくても100%の稼働率を維持できる保証はないため、ゆとりを持った経営計画を立てることが大切です。
駐車場の稼働率の目安は月極駐車場で約80%、コインパーキングで約40%としておくと良いでしょう。
期待値ではなく現実的な平均値で収益を見積り、空きが長く続いた時やトラブル発生時に備えた資金の準備も忘れないようにしましょう。
まとめ
駐車場は、建物部分にかかる費用や管理が不要なため、より気軽に不動産投資を始められるといえます。しかし、マンションより収益性が低いといったデメリットもあるため、費用対効果を十分に検討してください。
すでに土地を持っているかどうかでも考え方は変わります。遊休地であれば一旦駐車場として有効活用するのがおすすめです。新たに土地を購入するなら、駐車場として機能する土地であるか、ニーズの高いエリアかどうかをリサーチして決めましょう。