不動産投資を始める前に固定資産税について理解しよう

不動産投資を始めてみたいけど、税金も大きくかかりそうでなかなか踏み出せないという方もいるでしょう。中でも、不動産を所有する際にかかる固定資産税は、収支計画を立てる上で負担に感じてしまう人も多いようです。 今回は、固定資産税とはどんな税金なのか、不動産投資における固定資産税や算出方法についても解説します。

この記事は約5分で読み終わります。

固定資産税とはどんな税金?

まずは、固定資産税とはどのような税金なのか、詳しく紹介します。

課税対象と税率

固定資産税とは、土地や建物に課される地方税です。 

総務省によると、固定資産税とは「資産価値に応じて、所有者に対し課税する財産税」とあります。財産税とは物質的な資産をいい、土地や建物を指します。固定資産税がかかる対象は、法人税法または所得税法上で減価償却の対象となるべき資産も含みます。

固定資産税とは別に、市街化区域にある固定資産に対して都市計画税が課税されます。都市計画税も地方税です。市区町村の自治体(23区は都)が、土地計画事業などによる都市整備に要する費用として課税するものです。

固定資産税と都市計画税の税率はそれぞれ以下のとおりです。 

【固定資産税】:1.4%(標準税率)です。多くの自治体で1.4%ですが、地方税のため自治体によって税率に差が生じます。

【都市計画税】 :0.3%(制限税率)です。多くの自治体で0.3%が採用されています。最大税率が0.3%なのでこれ以上になることはありません。

納税者

固定資産税は土地や建物を所有する人が負担します。毎年1月1日現在の所有者が固定資産税を納税します。固定資産課税台帳に登録されている人です。

年の途中で不動産を売却したことなどによって所有者が変わった場合には、決済日を基準にして納税すべき固定資産税を日割り計算し、清算するのが一般的です。売却した側と購入した側が所有していた日数分支払うことになります。

納付方法

固定資産税の納税者には、自治体から納税通知書が送られてきます。

納付は、年4回に分割して支払う「分納」が一般的です。市区町村によっては1年分の固定資産税を1回で納める「全納」ができるところもあります。

支払い方法には、いくつか方法があります。納税通知書に同封される振込用紙を使って金融機関やコンビニで支払うほか、口座振替、クレジットカード払いなども可能です。 

納税については、納期や支払い方法が自治体ごとに異なるため、納税通知書で確認するようにしましょう。

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固定資産税は不動産投資の経費にできる

不動産投資では、固定資産税を経費として計上することが可能です。

ここでは、固定資産税を経費として計上する際に押さえておきたいポイントを解説します。

目安は家賃の0.5~1ヶ月分程度

不動産投資の運営において、固定資産税はその年の経費として計上できます。しかし経費計上できるとはいえ、実際には支出となります。

固定資産税は、たとえ不動産投資が赤字経営であっても納税しなくてはならないため、固定資産税が大きな金額であると月々の資金繰りや返済も含めた資金計画にも影響が出てくるでしょう。

順調に家賃が入ってきても、固定資産税を支払って利益が残らないという状態にならないようにすることが大切です。 

目安として、家賃の0.5~1ヶ月分程度の固定資産税額になるように物件選びや家賃設定を考えていくと良いでしょう。

売買時の固定資産税精算分は経費にできない

不動産を取得したとき、固定資産税は日割りで清算しますが、これは不動産投資の経費には計上できません。税務上、「固定資産税の清算分は物件の取得価格に含めること」とされており、取得した年度分の確定申告で、経費ではなく取得価格に含めて減価償却していきます。

なお、取得した年に支払った登録免許税や不動産取得税は不動産投資の経費として計上できます。

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固定資産税の計算方法

不動産投資でおおまかにシミュレーションができるよう、固定資産税の計算方法を知っておきましょう。

固定資産税の計算式

固定資産税と都市計画税の計算式を見ていきましょう。

計算式は以下の通りです。 

  • ・ 固定資産税=固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率) 
  • ・ 都市計画税=固定資産税評価額 × 0.3%(制限税率) 

固定資産税評価額とは、土地や建物そのものの価格ではありません。課税対象として資産価値を適正に反映した額で、土地と建物それぞれに定められます。

固定資産税評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて、土地と建物に対して自治体の長(東京都なら都知事)が決定し、固定資産課税台帳に登録した価額です。

土地は売買実例価額を基準として評価する方法、建物は再建築費(価格)を基準として評価する方法で算出します。

土地の評価額は路線価を基準にして計算されます。建物の評価額は構造、広さ、経年劣化などを反映させて算出するため、計算が複雑になる点に注意が必要です。 

固定資産税評価額の概算は、土地については公示価格の70%程度、家屋については再建築価格(その建物を今もう一度建てるのにかかる費用)の50~70%程度が目安です。

住宅用地に関する固定資産税の軽減措置

固定資産税は、投資用不動産にも居住している不動産にもかかります。ただし、住民の暮らしの基礎になる居住用の建物が立つ土地にかかる固定資産税は、低く抑えられるような算出方法になっています。

居住用建物が建つ土地に適用される軽減措置として、固定資産税と都市計画税の課税標準額(固定資産税評価額)はそれぞれ以下の通りです。 

【固定資産税】

  • ・ 200平方メートル以下(小規模住宅用地):評価額 × 1/6  
  • ・ 200平方メートルを超えた部分(一般住宅用地):評価額 × 1/3 

【都市計画税】

  • ・ 200平方メートル以下(小規模住宅用地):評価額 × 1/3 
  • ・ 200平方メートルを超えた部分(一般住宅用地):評価額 × 2/3

新築住宅にかかる減額措置

購入する物件が新築住宅であれば、固定資産税が減税される措置が取られています。

一定の条件を満たした新築住宅(貸家・共同住宅含む)は、課税評価額が1/2に減額されます。物件が認定長期優良住宅であるという条件を満たしていれば、戸建は3年間、マンションは5年間適用されるのです。

この減税措置は税制改正要綱に挙げられていて、令和4年度税制改正により2年間延長、令和6年3月31日までに新築された住宅に対して適用される見通しです。さらに2年間延長して適用されます。

詳細については、投資用物件所在地の役所に確認しましょう。

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まとめ

不動産投資において、固定資産税がいくらかかるのかは重要な項目です。納付義務のある税金であるため、「経費計上ができるからといってどれほどかかっても問題がない」ということにはなりません。

これから投資用物件を購入したいなら、固定資産税の計算方法のしくみを知った上で固定資産税額をシミュレーションしておくと良いでしょう。