目次
不動産クラウドファンディングで注意すべきデメリット
不動産クラウドファンディングのデメリットを紹介します。リスクも正しく理解したうえで自分に合った手法か検討していきましょう。
元本割れのリスクがある
不動産クラウドファンディングは、不動産投資と同様に元本割れのリスクが生じます。空室が埋まらずに家賃収入が少なくなってしまった場合、配分される利益も少なくなるのです。配分された利益が出資した額を下回った場合、結果的に損をする「元本割れ」を起こす可能性があることを知っておきましょう。
稀なケースですが、事業者が倒産して債務不履行(デフォルト)に至ることも考えられます。実際には、優先劣後方式を採用している案件も多いので元本割れをするリスクは低く抑えられます。
優先劣後方式とは、出資金を投資家と事業者で分けて扱う方式のことです。優先出資者を投資家、劣後出資者を事業者、このふたつに分かれます。不動産運用において損失が発生した際は、劣後出資者の事業者から損失が補填される仕組みです。そのため出資者は元本割れになるリスクを抑えられます。
途中解約できない場合が多い
不動産クラウドファンディングの場合、途中解約できないケースが多いです。あらかじめ運用期間(投資期間)が決まっている案件が増えており、期間中の途中解約は原則としてできないでしょう。
一部の案件は途中解約できますが、事務手数料が発生する可能性もあります。
不動産クラウドファンディングを始める際は、あらかじめ途中解約できるか、途中解約に伴う事務手数料の相場に合っているかを調べるなど、万が一のことも考えた対策が不可欠です。
人気の高いファンドは投資できない場合がある
人気の高いファンドは他の投資家からの注目度も高く、必ずしも投資できるとは限りません。注目度の高い案件は募集開始から数秒で枠が埋まったり、クリック合戦になったりすることもあるので注意しておきましょう。
特に、プロの不動産投資家や日頃からリアルタイムで情報をキャッチできる環境にある人と対等に渡り合おうと思っても、競争に負けてしまう可能性があります。そのため、あらかじめ目星をつけておいた場合でも100%クラウドファンディングに参画できる保証はありません。
次の手を常に準備し、想定通りいかなかった場合の手段も確保しておくことが大切です。
金融機関からの融資は期待できない
不動産クラウドファンディングが目的である場合、金融機関からの融資を得ることはほとんど期待できません。自己資金のみで投資する必要があり、融資を利用して自己資金以上に投資をすることはできないのです。
すでに多額の自己資金がある人にとっては、不動産クラウドファンディングが有効な手段になるケースが多いですが、融資をして大きな投資をしたいと考えている人には向いていません。
また、少額の自己資金のほとんどを不動産クラウドファンディングに費やすのは万が一の元本割れリスクに対応できず、決して効率が良いものではありません。コンパクトかつ手軽に始めたい人向きの手法であることを理解した上で、不動産クラウドファンディングに手をつけるべきかどうか検討しましょう。
節税効果は期待できない
不動産クラウドファンディングで得た分配金には、税制の優遇措置が適用されません。現物投資であれば損益通算で優遇措置が受けられますが、不動産クラウドファンディングにはこの制度がないのです。
節税の一環として不動産投資を検討している人には、クラウドファンディング形式はおすすめできません。節税を意識したいのであれば現物投資に切り替えるか、もしくは不動産以外の投資手法を選ぶなど対策したほうが良いでしょう。
流動性が低い
先述したとおり、不動産クラウドファンディングでは途中解約できないことが多いため、流動性が低い商品といえます。不動産における流動性とは、売買のしやすさのことを指します。
不動産価格の変動があったとしても自由に売却できないため、注意が必要です。
とはいえ、現物不動産投資でも流動性が低くなるケースはあるため、不動産クラウドファンディングだけの話ではないことを念頭に置きましょう。
不動産クラウドファンディングでリスクを軽減する方法
最後に、不動産クラウドファンディングでリスクを軽減する方法を紹介します。デメリットを最小限に抑えつつ利益の最大化を図りたいときは参考にしてください。
分散投資でリスクを最小限に抑える
分散投資を行い、リスクや損害を最小限に抑えることが大切です。
不動産クラウドファンディングでは、複数の運営会社に登録して分散投資することが可能です。万が一空室率が高くなり収益性を確保できない場合でも、トータルでのリスクは大幅に抑えられます。
また、元本割れするなど大きなトラブルが起きた場合でも、自己資金に与える影響が少なくなります。金融機関による融資が期待できない以上、生活費を十分に確保したうえで余裕のある投資をすることも意識してみましょう。
運営会社の情報を調べたうえで登録する
運営会社の情報は入念に調べてから会員登録しましょう。
サービスや保証内容は運営会社ごとに異なるので、投資家の損失を軽減させる仕組みがあるかチェックすることが大切です。特に優先劣後出資やマスターリース契約に関する項目には目を通し、条件のよい運営会社を選定するよう意識します。
また、実際に運営会社の担当者と対面し、授けてくれるノウハウ・ナレッジ・知識の厚さや対応の丁寧さを選びましょう。
複数の運営会社の情報を集めておけば、比較・検討するときにも便利です。運営会社ごとの違いを可視化し、判断材料として役立てていきましょう。
ファンド情報も細部まで確認することが大切
人気案件だからといって無理に焦らず、ファンド情報は細部まで確認しましょう。投資エリア・物件の種類・運用期間などを確認し、投資する側の事情に合っているファンドを選ぶのが理想です。
例えば、運用期間が長すぎると管理しきれないと感じるのであれば短めの運用期間を掲げているファンドを選びます。
人気のあるファンドが自分にとって理想のファンドであるとは限りません。「1秒を争う戦いだから」「人気があるから大丈夫だろう」と安易に信じず、ニーズに合うかを第一に考えましょう。
まとめ
不動産クラウドファンディングは、自己資金を使い手軽かつ小規模に不動産投資したい人におすすめの手法です。
一方で、少なからず元本割れのリスクが生じることや途中解約できないことが多い(もしくは事務手数料がかかる)などデメリットもあるので、比較しながら検討しましょう。また、節税効果が期待できないこと、金融機関からの融資がほとんど得られないことなども注意しておきたいポイントです。
あらかじめ運営会社やファンドの情報を調べ、自分に合っていると思えるときのみ実行に移しましょう。
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