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投資用マンションに自分で住むのは空室対策の最終手段
投資用に購入したマンションに、投資家が住んでも問題はないのでしょうか。まずは、投資用マンションの考え方や自分で住むときの条件をみていきましょう。
投資用マンションに自分で住むこと自体は可能
投資用のマンションに、投資家本人が住むことはできます。実際に、空室がなかなか埋まらないときの対策に自分で住もうと考えるオーナーは多いです。
ですが、投資用と居住用マンションでは選ぶ基準が異なるでしょう。投資目的では条件の良い物件でも、快適に生活できるとは限りません。投資のために運用するマンションと自分の住まいは、別口として扱うのが基本です。
投資用マンションに自分で住むのは、空室対策の最終手段と考えましょう。
投資用マンションに自分で住むための条件
投資用マンションに自分で住めるのは、次の2つの条件を満たすときです。
不動産投資のローンを完済している
投資用マンションに自分で住むと、空室は埋まっても家賃収入が減ります。返済計画が変わるため、ローン返済中に投資用マンションに住むには、借りている金融機関の許可が必要です。
なかには、融資条件が変わったと見なされ、ローンの繰り上げ返済を求められるケースもあります。不動産投資用ローンは金利が高いため、多大な出費を迫られるかもしれません。
入居者がいない
いま現在空室であることも、自分で住むための条件です。マンションのオーナーでも、住んでいる入居者は追い出せません。立場が弱い入居者は、「借地借家法」で守られています。
どうしても物件が気に入って住みたい場合は、入居者との交渉が必要です。立ち退いてもらうために、引越し費用や退去費用などの支払いを求められるケースもあります。
投資用マンションに自分で住むのが難しい5つの理由
不動産投資用のローンが残っている、または入居者がいる場合でも、自分で住むのが100%NGというわけではありません。
しかし、ほとんどのケースで困難なのが事実です。投資用マンションに自分で住むのが難しい理由を5つに分けて解説します。
家賃収入が途絶えるリスク
投資用マンションの1部屋を自分で使ってしまうと、当然その部屋から得られるはずの家賃収入がなくなります。区分マンションを複数所有している場合であればすべての収入がなくなってしまうわけではありませんが、1戸のみであれば収入がゼロになってしまいます。
本来その部屋を借りたいと思っていた人を入居させられず、多大な機会損失になるかもしれません。
マンションの管理費・修繕積立金・固定資産税は、自分で住むかどうかにかかわらず発生します。家賃収入が減った状態で無理なくランニングコストを支払えるかも、試算しておくことが必要です。
経費計上できなくなるリスク
自分で投資用マンションに住む場合、一部を経費計上できなくなる可能性があります。
本来、投資用マンションは修繕などの費用が発生した場合、経費として計上できます。物件そのものの法定耐用年数に応じた減価償却費など、ほかにも計上できる項目が多く、節税対策効果が得られるのです。
しかし、自分で住む場合は投資用マンションとみなされなくなる場合があり、これらの費用を経費として計上できません。節税効果が失われてしまうので、税金対策用にマンションを購入したい人は特に注意しましょう。
住みづらさを感じるリスク
投資用マンションに自分で住むと、求める設備・グレード・立地条件に違いが出ることも多く、住みづらさを感じるリスクがあります。投資に向いているマンションが必ずしも自分向きでないことも含めて検討しておきましょう。
例えば、賃貸物件に住む人は、家賃の安さや駅からの距離など利便性とコストパフォーマンスを求める傾向があります。
一方、何十年と住む「終の棲家」として投資用マンションを使う場合、自身のライフスタイルと合わなくなっていく可能性があります。ファミリー向けではない、近くに小中学校がない、近隣に公園や安いスーパーがないなど、不便を感じやすくなります。
また、賃貸用に人気のある最上階角部屋は、高い家賃を設定しやすいので自分で住むのは避けたいところです。自分にとっての住みやすさと、不動産投資で収益を上げることのどちらを優先するか迷うことがあるでしょう。
最初から自分の理想に合う投資用マンションを探すこともできますが、そのぶん初期費用がかさんでしまい収益性の面でデメリットになることもあるので考慮しておきましょう。
住宅ローンに切り替えられないリスク
不動産投資ローンを利用して投資用マンションを購入している場合、自分で住むには住宅ローンに切り替える必要があります。とはいえ、ローンの目的変更は、非常に難しいと考えたほうが良いでしょう。金融機関ごとに投資用マンションの最低面積の基準があり、住宅ローンの対象にならないケースも多いです。
住宅ローンにすると金利を下げられるメリットがありますが、金融機関にとってはデメリットとなります。そのため不動産投資ローンから住宅ローンに切り替えるのを、渋る金融機関は少なくありません。なかには住宅ローンへの切り替えを認めていない金融機関もあるので、投資を始める際に確認しておくことが大切です。
住宅ローン締結時には、利用目的を必ず確認されます。自分で住む用と伝えて住宅ローンを組んだにもかかわらず、不動産投資用として部屋を使っていた場合は規約違反となります。
入居者とのトラブルのリスク
入居者との間にトラブルが起きたとしても、無理に追い出すことができません。どうしても入居者に賃貸契約の途中解約を申し出たい場合でも、正当な事由がなければできないと定められています。
自分がオーナーであっても入居者を追い出す権限は強くないということを知ったうえで、自分が住むかどうかを判断する必要があります。
投資用マンションに自分で住むリスクを避けるためのポイント
前述したようなリスクを考えると、「空室がでたら自分で住めば良い」と安易に投資用マンションを購入するのはおすすめできません。投資用マンションはあくまでも投資用マンションとして捉え、自分が住む選択肢は外して考えるのが良いでしょう。
とはいえ、空室が続いてしまうのであれば自分で住まざるを得なくなります。ここでは、自分で住む事態を避けるためのポイントを解説します。
投資家目線でターゲットに合う物件を選ぶ
空室を防ぐには、自分の好みを重視して物件を選ぶのではなく、投資家目線で選ぶことを意識しましょう。
自分好みの物件が、ターゲットのニーズにあうとは限りません。ニーズにあわない物件を投資に選ぶと、空室リスクが高まります。安定した不動産運営をするためには、投資家としての冷静な判断が必要です。
ターゲットによって、理想的な家の条件は異なります。どんな人をターゲットに据えて、そのターゲットはどんなニーズを持っているのか分析してから、条件にあった物件を選定するのが理想です。
立地や設備、住環境も含めて、投資用マンション購入時はターゲットに合う物件かどうかを重視していきましょう。
中長期的な投資プランを定めておく
不動産投資のなかでも、マンション投資は中長期の経営が一般的です。長く安定した家賃収入を得るためにも、5~10年先を見据えた投資プランを定めておきましょう。特に、ローンの完済、修繕、売却までの出口戦略を考えておくことが必要です。
不動産投資の出口戦略として考えられる代表的な売却手法は、下記の3つです。
・ 収益物件のまま売却する「オーナーチェンジ」
・ 借主(賃借人)にそのまま売却する
・ 更地にして売却する
集客力のある物件であれば不動産会社や投資家が興味を持ってくれますが、交通の便があまり良くないなど強みのない物件は売却が難しくなります。それぞれの出口戦略でメリット・デメリットがあるため、慎重に考えていきましょう。
売却時だけではなく、投資用マンションを購入するときから出口戦略のことを視野に入れておくのが理想です。
空室リスクを抑えるには不動産会社選びも大切
管理を委託する不動産会社もしっかり選びましょう。空室対策は自分だけで考えるのではなく、マンション経営のノウハウがある不動産会社に相談して進めるほうがスムーズに問題を解決できます。
不動産会社選びで重視すべきは、入居率の高さです。入居者募集に強い会社を選んでおけば、投資用マンションの空室に焦り、自分で住む選択をしなくて済みます。入居者向けのサービスが充実していると入居率が高い傾向があるため、ホームページなどでも確認しておきましょう。
不動産会社の実績の高さも、重要なポイントです。中長期的な投資にむけて、長く、継続して管理を任せられる不動産会社を選びましょう。会社の創業からの経歴を振り返ってみて、問題がないか、口コミなども調べておく必要があります。
まとめ
投資用マンションに自分で住むのは、空室対策の最終手段と考えましょう。自分のライフスタイルに合う物件が、必ずしも投資向きとは限りません。投資用マンションは自分の住まいとは別と考えて、ターゲット層のニーズをとらえた投資家目線で選ぶのが肝心です。出口戦略まで考えた中長期的な投資プランで、空室を防ぎましょう。