不動産投資詐欺に要注意!よくある手口と騙されやすい人の特徴

不動産投資に興味はあるものの、失敗を恐れて手が出せないという人もいるのではないでしょうか。家賃収入が途絶えるリスクや家賃値下げで収入が減るリスクもありますが、不動産投資では、詐欺まがいのトラブルもよく耳にします。 不動産投資詐欺に遭わないためにどのような心掛けが必要なのでしょうか。この記事では、不動産投資トラブルの実態をはじめ、詐欺まがいの営業で使われるセールストーク、詐欺を防ぐための対処法を紹介します。

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不動産投資トラブルの実態

不動産投資トラブルは、セールスマンからの直接的な営業が入り口になるとは限りません。SNSなどをとおして不動産詐欺の被害に遭うケースも見られます。

被害に遭う20~30代の若者が急増中

国民生活センターの2019年3月の報道発表資料によると、投資用マンションの勧誘に関する相談は、2013年は2,321件だったものが、2018年には1,350件にまで減少したことがわかりました。

全体的な相談件数は減少傾向にあるものの、20代については、2013年は160件だった相談が2018年には405件に増えるなど、年々トラブルが増加しています。20代や30代の若者では、むしろ不動産投資の勧誘トラブルが増えているのです。

このような不動産投資の勧誘の相談では、詐欺まがいの手口で高額な物件を購入させられるケースが増加しています。国民生活センターに寄せられた相談のうち、2018年に相談があった物件の平均契約購入金額は2,776万円と高額です。

少し話を聞くだけのつもりが強引に物件購入を迫られたり、高額な物件を契約させられたことで赤字になりローン返済ができなくなったりするケースも見られます。

出典:「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!」 (独立行政法人国民生活センター)

不動産投資詐欺のよくある手口

ここでは、不動産投資詐欺のよくある手口と対策方法をご紹介します。

手付金詐欺

手付金詐欺とは、手付金を支払った後、音信不通になり実際の不動産が手に入らなくなる手口です。当然、支払った手付金も戻ってきません。「人気のある物件だから他の人に買われないよう、早く手付金を支払った方がいい」と買主を急かし、手付金を払わせるのが手付金詐欺のパターンです。

手付金詐欺の対策は、以下のとおりです。

1.手付金の目安は物件の代金の10%です。また、不動産会社など宅建業者との売買契約の場合、上限は20%と決まっています。物件の代金の20%以上となる手付金を要求されたら、手付金詐欺を疑いましょう。

2.取引する不動産会社が宅建免許を持っているか、国土交通省のサイトでチェックしましょう。手付金詐欺を仕掛けてくる相手は架空業者であることが多いです。

サブリース詐欺

サブリース詐欺とは、サブリース契約を悪用した手口です。サブリース契約は、オーナーが所有するマンションやアパートをサブリース会社が一括借り上げし、サブリース会社が入居者に貸す形態の契約です。サブリース会社は一定の賃料保証をオーナーに約束するため、物件に空きが出ることは大きなリスクであるオーナーにとってサブリース契約はメリットがあります。

ここでの注意点は、サブリース契約の細かな内容です。サブリース契約には、数年ごとに賃料の見直しが行われるルールが盛り込まれていることがあります。サブリース詐欺では、賃料の見直し時に入居率の悪さなどを理由に、一方的な賃料値下げを通知し、当初聞いていた賃料保証が受けられなくなるのです。

そのほかに、契約期間中に解約されたり、賃料保証を得られる代わりに出費が発生したりするケースもあります。

サブリース詐欺の対策は、契約書をしっかり読み込むことです。サブリース詐欺でよくあるパターンは「業者が言ったことと契約内容が違う」などです。契約書をよく読むと但し書きがあるなど、勧誘業者の言葉と厳密には一致しないこともあります。

満室偽装詐欺

空室が多い物件にもかかわらず、満室であるかのように見せかけて投資家に購入させる手口です。投資家にとって、入居率が高い物件は高い利回りが期待できるため魅力的です。

しかし、満室偽装詐欺は業者がサクラを使って入居させるなどして満室状態を装っているため、投資家が物件を購入した後は入居者が相次いで退去します。立地面など条件が悪い物件の場合、入居率を上げることも難しく、賃貸経営に行き詰まる可能性があります。

満室偽装詐欺の対策は、レントロールを確認することです。レントロールとは賃貸借条件の一覧表のことで、部屋別の家賃や契約日、契約期間などが記載されています。入居者の契約期間をチェックし、入居者が最近になって急に増えたりしていないか確認しましょう。

婚活・デート商法詐欺

婚活・デート商法詐欺は、婚活アプリなどを利用して出会った相手に対し、関係が深まったところで不動産投資を持ちかける手口です。購入者は相手から「私が信用できないのか?」などと詰め寄られ、嫌われたくないという気持ちで物件を購入してしまいます。

物件を購入した人は成約後、相手と連絡が取れなくなったところで詐欺であることに気づきます。しかし、そのころにはすでに解約できる期限を過ぎてしまっているケースも珍しくありません。

対策としては、婚活アプリなどで出会った相手を簡単に信用しないことです。

覚えておきたい!詐欺まがいのセールストーク5例

詐欺まがいの勧誘をしてくる業者ほど、甘い言葉で言葉巧みに契約にもっていこうとします。セールストークでよく使われるのが、以下のような言葉です。

「絶対儲かります!」

「住宅ローンが使えます」

「家賃保証があるので心配いりません」

「優良物件なので早く手付金を!」

「自己資金ゼロで購入できます」

なぜこのような言葉に注意する必要があるのか、理由を詳しく説明します。

「絶対儲かります!」

不動産取引を行う宅地建物取引業者に対して、宅地建物取引法では、契約の締結の勧誘において6つの禁止事項が設けられています。

このうちのひとつが、宅地建物取引法第47条の2第1項にある「不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為」です。

つまり、「絶対儲かる」「将来必ず値上がりする」など、将来の利益を断定して勧誘してくる営業マンは、法律に違反して勧誘していることになります。

このような法律を知ってか知らずか、勧誘してくる営業マンは信用できません。必ず儲かるといったような話には乗らないことです。

「住宅ローンが使えます」

「住宅ローンが使えます」という営業マンの勧誘にも乗らないようにしましょう。

投資用に購入する物件では、一般の住宅ローンは利用できず、不動産投資ローンを利用するのが鉄則だからです。投資目的にも関わらず、自宅であると偽って住宅ローンを申し込むと契約違反になります。

近年では、2019年に公開されたフラット35(住宅ローン)の不正利用の調査で、融資申込時に自宅と偽って契約がなされた事例、さらに、業者によって住宅購入価格が水増しされた状態で契約が行われた事例があることが浮き彫りになりました。

出典:「フラット35の不適正利用懸念事案に係る調査結果の公表」(独立行政法人住宅金融支援機構)

このような住宅ローンの不正利用のケースでは、残債の一括返済を求められ、自己破産せざるを得なかったケースも発生しています。

「家賃保証があるので心配いりません」

サブリースを過度に推してくる営業マンには注意しましょう。サブリース自体に違法性はありませんが、「30年間家賃保証があるので安心」「家賃保証があるので大丈夫です」など、安心感を誘って契約に至っても、トラブルになるケースがあります。

上述したように、サブリースは長期間同じ賃料が保証される契約ではありません。また、サブリース契約では、退去があってから一定期間は家賃が保証されないなど、オーナーに不利な免責条件が設定されていることも多いです。トラブルにつながるケースもあるため、契約内容はしっかり確認しておきましょう。

「優良物件なので早く手付金を!」

優良物件だからなどの理由で、不動産投資を考えている人に熟考させる時間を与えず、話を進めてくる営業マンにも注意が必要です。

投資の話を強引に進めて、物件キープのために手付金の入金をうながすようなケースでは、手付金を営業マンに持ち逃げされる、手付金詐欺といった悪質なケースも存在します。

また、手付金詐欺とまでいかなくても、契約のキャンセルのタイミングによっては、手付金は返還されません。しっかり検討して不動産投資をすることが大切です。

「自己資金ゼロで購入できます」

自己資金が少ない人にとって、「自己資金ゼロ」で投資を始められるというのは魅力的です。

もちろん、自己資金なしで不動産投資ができることは事実ですが、自己資金なしで投資を始めるデメリットについて触れない営業マンには注意が必要でしょう。

自己資金ゼロのフルローンは、借入額が多くなり、キャッシュフローの悪化によりローンの返済が難しくなるリスクもあるためです。おいしい言葉には疑う目をもちましょう。

不動産投資で騙されやすい人の特徴

では、不動産投資ではどんな人が騙されやすいのでしょうか。騙されやすい人の特徴として、大きく2つの特徴が挙げられます。

(1)人の言葉を鵜呑みにする人

不動産業者や知人などから「この物件は儲かるから大丈夫」という言葉をそのまま信じてしまう人です。不動産業者が物件を勧めてくる場合、扱いに困っている物件を押し付けられることも少なくありません。

(2)押しに弱い人

不動産業者の強い営業トークに押し切られ、契約書に押印してしまうというパターンもあります。物件に投資をすることの重大性を自覚していないまま、その場しのぎで契約してしまいます。

騙されやすい人の特徴に共通していることは「自分自身で調べて判断していない」ということです。不動産投資は大金が動くため、安易に手を出すべき投資ではありません。購入を検討している物件の利回りやレントロールなど、自分でしっかりと調べて見極める力が必要です。

不動産投資詐欺を防ぐふたつの心構え

不動産投資詐欺に遭わないためには、普段からの心構えが大切です。詐欺を防止するために意識しておきたいふたつのポイントを紹介します。

不動産投資について勉強する

不動産関係は専門用語が多く、知識がないと言葉巧みに契約に誘導されてしまいます。少しでも疑問に感じることがあれば、一度立ち止まってみることが大切です。

また、不動産投資を考えるなら、詐欺に遭わないために、日頃からインターネット上の記事、不動産投資セミナーなどを活用して、不動産投資の知識を蓄えるようにしましょう。

営業マンの言葉に流されない

営業マンの言葉を信じ、うまい投資話に流されないようにしましょう。契約をせかす営業マン、専門用語ばかりで素人にわかりやすいように説明できない営業マン、メリットばかりでリスクやデメリットを伝えない営業マンは避けるのが無難です。

まとめ

不動産投資は魅力的な一方、詐欺まがいのトラブルも多数発生しています。詐欺に遭わないためには、営業マンのうまい投資話に流されず、自分自身で判断し、意思決定する心構えが大切です。