不動産投資には修繕費が不可欠?必要な理由や費用目安、注意点を紹介

不動産投資では、建物の修繕は欠かせません。費用も安くはないので、相応の準備も必要です。しかし、具体的な費用の目安や重要性がイメージできていない方もいるでしょう。そこで今回は、不動産投資で修繕費が必要な理由や費用の目安を紹介します。

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不動産投資で回避できない修繕費!必要な理由は?

不動産投資において、修繕費は回避できない費用です。なぜ必要なのか、その理由を解説します。

不動産投資に計上すべき修繕費

不動産投資における修繕費とは、家賃収入を得るために保有するアパートやマンションなどで生じる不具合の修理やメンテナンスにかかる費用です。賃貸住宅を貸し出す場合、オーナーが修繕の義務を負うことが民法で定められています。

修繕に要した費用は賃貸経営に必要な費用のため、経費として扱えます。

不動産投資には修繕費が必要な理由

不動産は築年数が経過するにつれ経年劣化するため、資産価値が低下します。利益を上げるためには、家賃を高めに設定したいところですが、資産価値が低いと賃料を高く設定できません。

建物の経年劣化を抑えるには、定期的な屋根や外壁などの修繕が必要です。また、建物内部や設備などの劣化にも対応していかなければなりません。

修繕費用は、規模が大きくなるとまとまった金額がかかります。そのため、あらかじめ家賃収入から修繕費を積み立てておく必要があります。

不動産投資に欠かせない修繕費の種類や費用の目安

不動産投資で必要となる修繕費の種類や、費用の目安について見ていきましょう。

修繕費の種類

修繕には、「大規模修繕」「小規模修繕」「修繕予防」の3種類があります。

大規模修繕とは、外壁や屋根、配管設備など建物全体について行う修繕です。マンションやアパートなどで10~15年の周期で行う、多くの費用や時間をかけて行う修繕のことを指します。

小規模修繕は、入居者が入れ変わる際の原状回復や随時行う規模の小さな修繕、ハウスクリーニングなどです。物件の魅力を高める効果も期待できます。

建物の診断・検査などの修繕予防として費用がかかることもあります。修繕が必要な場所のチェックや、シロアリ検査の費用などです。

マンション投資の区分

区分所有建物は、「建物の区分所有等に関する法律」によって、共有部分と住戸部分の専有部分に分けるようになっています。

共有部分とは、主に躯体(建物の構造体)や廊下など、居住者全員が使用するところのことを指します。共有部分の修繕については、マンションの長期修繕計画に基づき、建物管理会社が実施します。

マンションの場合は建物規模が大きいため、大規模修繕となるとかかる費用も大きくなります。そのため、あらかじめ管理組合が各所有者から修繕積立金を徴収して蓄えておき、修繕の際に使用するのが一般的です。

一方、専有部分は住戸部分を指します。しかし、床・壁・天井は共用部分となり、専有部分ではありません。インターホンや室内の火災探知機、玄関ポーチなどは、専有部分となります。

この専有部分の修繕は、区分所有者が個人で負担することになります。

修繕費の目安

修繕費の目安は、建物の建材の種類や築年数、状態、規模などによって変わります。

マンション全体が対象の大規模修繕の場合、工事規模も大きくなります。建物規模や住戸数にもよりますが、20年で大規模修繕を行う場合、費用の目安は1戸あたり100万円程度です。なお、建物が古くなるほど、修繕費が多くかかるようになるのが一般的です。

一方、原状回復のための小規模修繕の場合は、そこまで大きな工事を必要とせず、10~20万円程度で済むことが多いでしょう。

修繕予防として検査していた最中に、修繕やシロアリ駆除などの対処が必要となった場合は、その費用も必要になります。

不動産投資の修繕費で注意すべき点や押さえたいポイント

修繕費は、不動産投資の経費の中でもまとまった金額の支出になります。修繕費を計上する場合の注意点や、修繕費について押さえておきたいポイントを紹介します。

不動産投資の修繕費の注意点

修繕費は不動産投資の必要経費とできますが、計上方法に注意点があります。

修繕積立金は、返還義務がないことなどの要件を満たしていれば、特例として支払った年に修繕費としての経費計上が認められています。一般的な修繕積立金は、修繕費に計上可能です。

所有者が自ら行う小規模修繕の費用計上は、工事に要した金額や工事の性質によって取扱いが異なります。原則として、故障やメンテナンスの場合は修繕費となりますが、価値や耐久性を上げるための修繕であれば資本的支出になり、減価償却の対象となります。規定の年数で分割して経費計上しなければなりません。

ただし、支払った費用が20万円未満の場合には特例として、性質にかかわらず全額をその年に修繕費として計上可能です。20万円以上の場合でも3年以内に周期的に必要になる費用は、同様に修繕費にできます。なお、原状回復や維持管理を目的とした修繕であることが明らかな場合には、金額に関わらず修繕費として計上することが可能です。

とはいえ、実際の修繕においては修繕費か資本的支出に該当するか、明確な判断ができない内容のものもあるでしょう。そのときは、60万円未満もしくは前期末取得価額の10%以下であれば、その年の修繕費として扱うことが認められています。

知っておきたい修繕費のポイント

修繕費が大きくなると、それだけ経営状態を圧迫します。適切な修繕を行いつつ少しでも修繕費のコストを抑えたいときには、以下の方法が有効です。

修繕は自身で手配する

不動産管理を管理会社に委託している場合、原状回復やリフォームの手配も管理会社に依頼できます。しかし、管理会社経由の手配は、費用が大きくなりがちです。管理会社を使わず自身で手配すれば、相見積もりも取れ、費用を抑えることができます。

マンション購入時は長期修繕計画を確認する

マンションは長期に保有するほど、修繕費用が大きくなります。中古マンションを購入する場合には、管理組合に長期修繕計画の有無と実績を確認しましょう。

長期修繕計画が策定され、修繕積立金が十分に蓄積されていれば問題ありません。計画がない場合や金額に余裕がない場合は要注意です。いざ長期修繕のタイミングになったときに費用が不足していると、新たに費用負担が増えます。

修繕計画がない場合には、自分で修繕費用を計画的に積み立てていく方法も取れます。しかし、一定規模のある建物の場合、建物管理や管理組合が機能しているかという不安も残ります。購入前にしっかり調査してみる必要があるでしょう。

まとめ

不動産投資では、建物はもちろん共有部や各住戸内などの修繕を適切なタイミングで行わなければなりません。修繕にかかる費用はまとまった金額になるため、不動産投資のシミュレーションを行う場合には、必ず修繕費を含めて投資価値があるかどうかを判断してください。

また、修繕費を計上する際に修繕費と資本的支出の判断が難しい場合には、税務署や専門家への相談をおすすめします。