不動産投資は節税に効果的!税金が減る仕組みと向いている人・物件の特徴

目次1 不動産投資の節税ができる仕組みと制度1.1 損益通算1.2 相続税評価額の適用1.3 法人化2 不動産投資が節税 … 続きを読む 不動産投資は節税に効果的!税金が減る仕組みと向いている人・物件の特徴

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不動産投資には所得税・住民税・相続税・贈与税を節税できる制度があります。赤字と相殺して課税所得を減らす損益通算のほか、相続税評価額の算定では現物資産を持つと課税対象額が少なくなります。

しかし不動産投資を始めれば必ず節税メリットを受けられるとは限りません。収入額や保有目的次第ではほとんど税金が減る効果を実感できないときもあります。今回は不動産投資で節税ができる仕組みや、向いている人・物件の特徴を解説します。

不動産投資の節税ができる仕組みと制度

不動産投資では所得に応じて課税される所得税や住民税、相続時に発生する相続税、物件を他人に譲り渡す際にかかる贈与税を減らす効果があります。具体的な制度の仕組みを確認しましょう。

損益通算

損益通算とは、不動産所得で生じた赤字を他の所得の黒字と相殺して課税所得を減らすことです。日本の所得税は所得金額に応じて税率が変わる累進課税を採用しているため、所得を圧縮すれば大きな節税効果を期待できます。

前提として損益通算で節税するには賃貸経営で赤字が出ている必要があります。

経費を漏れなく計上して、コストが家賃収入を上回る状態を作らねばなりません。金額が大きく利益を左右する減価償却費の正確な計上が不可欠です。損益通算をすれば、所得割がある住民税の金額も抑えられます。

相続税評価額の適用

現物資産の土地やマンションには、相続税や贈与税の算定対象となる相続税評価額(以下「評価額」)を低くする効果があります。

評価額は原則、時価を利用して算出するのですが、土地の場合は例外的に相続税路線価を乗じて時価の80%程度まで低くすることが可能です。贈与税も基本的な仕組みは同様です。

110万円の基礎控除を適用した後の評価額に応じて税率と控除額が変わってきます。現金で保有するより賃貸経営を始めて物件を購入したほうが、相続や贈与の際に親族の負担を抑えられるでしょう。

法人化

所得税や住民税を減らす方法の一つに法人化があります。不動産のオーナーは個人事業の形態で事業を始めるケースも少なくありません。

しかし課税所得が一定の水準を超えると、節税の観点では法人化したほうが有利です。具体的には売上から経費や控除を差し引いた金額が800万円を超えると、個人の住民税と所得税より法人税の負担が小さくなります。

年間800万円以上安定して稼いでいる賃貸の経営者は法人化を検討しても良いでしょう。法人化するもう一つの節税メリットは売却益の損益通算が可能になることです。

個人事業主の頃に保有物件を売却して受け取った利益は、他の所得とは合算できない分離課税として扱われます。

法人化した後は家賃収入と同様に総合課税に算入できるため、他の黒字との相殺が可能です。

不動産投資は法人化した方がお得?法人化するメリットやデメリットを解説

不動産投資が節税にならないといわれる理由

不動産投資では節税の仕組みがあると紹介しましたが、一方で税金を減らす効果はないといわれることも少なくありません。賃貸経営の税金メリットを考えるうえで必要な落とし穴を解説します。

ローンの支払いが減価償却費を上回る場合があるため

ローンの支払額が減価償却費を上回れば、経費以上のコストが発生してキャッシュフローの悪化を招く場合があります。不動産投資ローンの元金返済部分は、現金を支出するものの経費には算入できません。

一方で減価償却は、実際の支払いは伴わないものの経費計上して問題ないコストです。ローンの支払いが減価償却費を上回ると、経費にできない金額のほうが多くなります。帳簿上は利益が出ているにも関わらずキャッシュが流出している状態です。

黒字で税金の負担が必要なうえにローンの返済も迫られる苦しい状況だといえます。放置すると最悪の場合、黒字倒産を引き起こしかねないため、減価償却費の計上で税金を減らそうと考えている人は要注意です。

不動産投資での減価償却の仕組みとは?節税になる理由や注意点を知ろう!

売却時に譲渡所得税を負担するため

物件の売却益には譲渡所得税が課されるため、保有期間中に頑張って節税しても結局は意味がないといわれる場合もあります。

譲渡所得に課される税金の税率は、最大39.63%と決して小さくはない金額です。不動産投資で節税を企んでも「税金の先延ばしでしかない」といわれるのは、高額の譲渡所得税の負担を迫られるためです。

出口戦略で収益物件の売却を考えている人は正確な手取り額を把握するためにも、譲渡時の税金の計算方法を知る必要があります。

不動産投資の節税に向いている人

不動産投資による節税が効果的なのは年収が高い人、または贈与や相続を控えている人です。上記に当てはまらない場合、節税メリットは期待できないと考えて差し支えありません。不動産投資の節税に向いている人について詳しく解説します。

控除前の所得が900万円以上の人

日本の所得税制では課税所得が900万円を超えると、所得税の税率が23%から33%へと大幅に上昇します。節税の観点では経費をできるだけ多く計上して、所得を899万9,999円以下にとどめる調整が必要です。

所得があるため損益通算は認められませんが、課税所得900万円は納税額を大きく左右する重要な基準です。税率が異なるうえ、税率23%と税率33%の収入額を比べると基礎控除額にも90万円の違いが発生します。

減価償却費を多く計上するには、法定耐用年数が少ない物件を選ぶと良いとされています。1年間に経費計上できる金額が大きくなるため、節税対策を考える際に大きなインパクトを得られるためです。

親族に物件の譲渡を考えている人

将来的に子供や孫に投資用物件の所有権を譲り渡そうと考えている人は、不動産投資をおすすめします。評価額の減少により贈与税を減らして贈与を受ける家族の負担を減らすことが可能です。

贈与税の節税方法には年ごとに分割して税金を減らす暦年贈与や、相続が発生するまで課税時期を先に伸ばす相続時精算課税制度も挙げられます。

しかし、税負担を最小限に抑えたいと考えるならば不動産投資が好ましい方法です。暦年贈与は廃止が検討されていて、相続時精算課税制度はあくまで繰り延べに過ぎず、最終的には同額の税金を負担する必要があるためです。

さらに不動産投資では、確定申告に青色申告を採用すれば、従業員として雇用した家族の給料を所得税から控除できます。

相続税の対策がしたい人

相続税の対策を検討中の人は、収益用物件を購入して保有財産の評価額を減らすと効果的です。

現金のままでは相続税評価額は額面と変わりませんが、不動産に変換すれば約20%評価額が減少します。賃貸マンションやアパートを経営する場合、相続税の算定上は貸家建付地と評価されます。

借地権や賃貸の割合に応じてさらに評価額が減少して、結果的に節税効果が高くなるのです。さらに賃貸用不動産の相続税では小規模宅地等の特例を受けることも可能です。

貸付事業用宅地と評価され、200㎡以下の土地の相続税評価額を50%減額できます。賃貸経営の収益物件は相続税の対策が豊富にあるため、自分が死亡した後、子供や兄弟に経営権を移そうと考えている人におすすめです。

節税に向いている・向いていない物件の種類

不動産投資の節税に適した物件は、1年当たりの減価償却費を多く計上できる中古の木造住宅です。反対にRC造の新築物件は減価償却期間が長く、節税効果は限定的だといわざるを得ません。

節税効果が高いのは木造中古

減価償却の残存期間が短い木造中古のアパートやマンションは課税所得の圧縮効果に優れています。物件の構造別に定められている法定耐用年数は木造の場合22年です。

中古物件は購入までの期間を差し引いて残存年数を導き出すため、短い期間で減価償却が完了します。経過したすべての年数の控除は認められませんが、特別な計算処理を用いて残存期間を短くできるのです。

減価償却の計算方法のひとつの簡便法では、法定耐用年数から経過年数を控除した残りに経過年数の20%を乗じた年数を耐用年数とします。

たとえば新築から12年が経過した物件の場合、22₋12=10に、12×20%=2(小数点以下切り捨て)を足し合わせた結果、減価償却の年数を12年と算出します。

節税効果が低いのは新築RC

RC造やSRC造の法定耐用年数は47年です。期間が長い分年間に計上できる減価償却費は少なくなるため、節税効果は限定的です。

さらに新築物件は耐用年数が最も長くなるため、節税に適した物件とは到底いえません。例えば法定耐用年数が47年の新築区分マンションを5,000万円で購入した場合、単純計算で年間の減価償却費は100万円程度です。

築10年の木造アパートと比べると250万円の差が生じるため、物件選びが節税に与えるインパクトは甚大です。

節税目的で不動産投資を始めるのは危険!失敗事例を紹介

基本的に節税を目的に不動産投資を始めるのはおすすめできません。入念に収支計画を立案して、利益が出る自信がある状態にしないと失敗しやすいためです。

実際に税金だけを理由に賃貸経営を始めて頓挫した事例は枚挙に暇ありません。失敗事例を確認して同じ過ちをしないよう、気を引き締めましょう。

木造中古物件の空室を解消できず失敗した事例

減価償却期間の短さに目を惹かれ購入した木造中古で、空室が増加して経営破綻に陥った事例です。短期的には減価償却費を多く計上してメリットが大きくみえますが、老朽化した中古物件は住人から不満が出るケースがあります。

条件が良い物件に移り住む人が続出して空室が増えると、節税してもさほど意味はありません。

利益を出し続ける勝算がなく、目先の節税メリットにつられて物件を決めると苦しい経営を余儀なくされる場合があります。

節税にこだわり売却のタイミングを逸した事例

譲渡課税を減らそうとするあまり、売却のタイミングを先延ばしにした結果、キャピタルゲインが減少した事例です。不動産投資の節税を考える際には譲渡所得に対する課税への理解が欠かせません。

譲渡所得税の税率は保有期間が5年未満の場合は39.63%、5年以上では20.315%です。短期と長期で大きく税率が異なるため、所有期間が5年を超えるまでは売却せず保有を続けようと考える人もいます。

しかし、売りを先延ばしにした結果、予期せぬ資産価値の下落で節税効果以上に売却益が減るという事態に陥る場合もあります。節税効果を重視するあまり、高値での取引ができなくなるのは本末転倒です。

まとめ

損益通算は賃貸経営の収支が赤字になると他の所得で発生した黒字と相殺できる制度です。サラリーマンとの二足のわらじで不動産のオーナーとして活動する場合、給与所得を減らして所得税や住民税の減少につながります。

相続税や贈与税の評価額は現金よりも土地や建物が低くなるため、収益物件の相続や贈与時に節税の恩恵を受けられます。上述のとおり不動産投資には税金を減らす効果がある反面、節税目的で賃貸経営を始めるのはおすすめできません。

入念にシミュレーションをして利益を出せる目途がある状態でないと、経営が立ち行かなくなりやすいためです。

大阪の不動産会社アセットテクノロジーはアプリの導入による業務の効率化に取り組んでいます。月次収益機能ではアプリを通して賃料収入やコストの金額を確認できます。

負担なく細かな収支のチェックがしやすく、結果的に資金繰りの悪化を未然に防ぐことが可能です。これから不動産投資を始めようと検討している人は、ぜひ当社にお問い合わせください。