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賃貸物件を探すとき、「家賃保証会社への加入が必須」と言われ、戸惑った経験はありませんか?かつては親族に連帯保証人を頼むのが一般的でしたが、現在では多くの賃貸物件で家賃保証会社の利用が義務付けられています。保証料の負担は発生するものの、保証人を探す手間が省けるなど、入居者にとってもメリットがある仕組みです。本記事では、家賃保証会社の仕組みや費用相場、審査のポイント、利用時の注意点まで、賃貸契約前に知っておくべき情報を網羅的に解説します。
家賃保証会社とは?その仕組みと役割
家賃保証会社は、入居者が家賃を滞納した際に、大家(貸主)へ家賃を立て替えて支払う会社です。かつての連帯保証人制度に代わる存在として、近年の賃貸市場で急速に普及しています。
家賃保証会社が登場した背景
従来の賃貸契約では、親族や知人に連帯保証人を依頼するのが一般的でした。しかし、核家族化や高齢化社会の進展により、保証人を頼める人が身近にいないケースが増加しました。
また、貸主側にとっても、連帯保証人に家賃を請求する手続きは煩雑で、実際に回収できるかどうかも不確実でした。こうした双方の課題を解決するために、家賃保証会社が発展してきたのです。
国土交通省は平成29年に「家賃債務保証業者登録制度」を施行し、業界の健全化を図っています。現在では、賃貸物件の多くで家賃保証会社の利用が求められるようになっています。
家賃保証会社の基本的な仕組み
家賃保証会社の仕組みは、次のような流れで機能します。まず、入居希望者は物件契約時に家賃保証会社と保証委託契約を結びます。
その際、入居者は「保証料(保証委託料)」を保証会社に支払います。この保証料は保証サービスを受けるための費用であり、保険料のような性質を持っています。
万が一、入居者が家賃を滞納した場合、保証会社が貸主に対して家賃を立て替え払いします。ただし、これは入居者の債務がなくなるわけではなく、支払い先が貸主から保証会社に代わるだけです。
保証会社は立て替えた家賃を後日、入居者に請求します。つまり、家賃保証会社は貸主のリスクを軽減するサービスであり、入居者の支払い義務そのものを免除するものではありません。
連帯保証人との違い
家賃保証会社と連帯保証人には、いくつかの重要な違いがあります。まず責任範囲について、連帯保証人は家賃だけでなく、原状回復費用や損害賠償など、入居者が負う全ての債務を保証する責任があります。
一方、家賃保証会社が保証する範囲は主に家賃の支払いに限定されます。原状回復費用なども保証対象に含む会社もありますが、契約内容により異なります。
また、連帯保証人は個人の善意に基づく無償の関係ですが、家賃保証会社は有償のビジネスサービスです。入居者は保証料を支払うことで、親族や知人に経済的負担をかけずに済むというメリットがあります。
さらに、貸主にとっても、保証会社は組織として確実に立て替え払いを行うため、個人の連帯保証人よりも安心感が高いという特徴があります。
家賃保証会社の利用にかかる費用と相場
家賃保証会社を利用する際には、初回保証料と更新料という2種類の費用が発生します。これらの費用は物件契約時の初期費用に含まれるため、事前に把握しておくことが重要です。
初回保証料の相場
初回保証料は、契約開始時に支払う費用です。一般的な相場は、月額家賃の0.5ヶ月分から1ヶ月分程度となっています。ただし、あくまで目安であり、保証会社によって変動があります。
例えば、家賃が8万円の物件であれば、初回保証料は4万円から8万円程度が目安です。保証会社によっては、家賃の30%や50%といった割合で設定している場合もあります。
初回保証料は、契約期間の長さや保証内容の充実度によっても変動します。保証範囲が広い(原状回復費用なども含む)場合は、保証料も高めに設定されることがあります。
更新料の仕組みと相場
家賃保証会社の保証契約は、通常1年または2年ごとに更新が必要です。更新時には更新料(更新保証料)の支払いが発生します。
更新料の相場は、年間1万円から2万円程度が一般的です。ただし、保証会社によっては月額家賃の10%から30%といった割合設定の場合もあります。
更新のタイミングは保証会社によって異なり、毎年更新が必要な会社もあれば、2年ごとの更新で済む会社もあります。長期入居を予定している場合は、更新料の頻度と金額も考慮して、トータルコストを計算することが大切です。
保証料に消費税はかかる?
保証料への消費税の課税については、物件の用途によって扱いが異なります。居住用の賃貸物件の場合、家賃保証料は非課税となります。
これは、居住用の家賃そのものが消費税非課税であることに関連しています。一方、事務所や店舗などの事業用賃貸物件の場合は、家賃保証料も消費税の課税対象となります。
見積もりや契約書を確認する際は、表示されている金額が税込みか税抜きか、また物件の用途による課税関係を確認しておきましょう。
家賃保証会社を利用するメリット
家賃保証会社の利用には、入居者にとって複数のメリットがあります。特に、保証人を探すことが難しい方や、初期費用を抑えたい方にとっては大きな利点となります。
連帯保証人が不要になる
家賃保証会社を利用する最大のメリットは、連帯保証人を立てる必要がなくなることです。親族や知人に保証人を依頼することは、精神的な負担になることも少なくありません。
特に、親が高齢で収入がない場合や、遠方に住んでいて手続きが煩雑な場合、また家族関係が疎遠な場合など、保証人を頼みにくい状況は多く存在します。
家賃保証会社を利用すれば、こうした人間関係のストレスなく賃貸契約を結べるのは大きな利点です。また、外国人や単身者、フリーランスなど、保証人を見つけにくい方でも物件を借りやすくなります。
入居審査に通りやすくなる可能性
貸主にとって、家賃保証会社の利用は家賃未回収のリスクを大幅に軽減できる仕組みです。そのため、保証会社を利用することで、収入が不安定な職種の方や、勤続年数が短い方でも、入居審査に通りやすくなる傾向があります。
個人の連帯保証人の場合、その保証人の支払い能力も審査対象となりますが、保証会社であれば組織の信用力で判断されるため、より客観的な審査が可能になります。
ただし、保証会社自体の審査はありますので、必ずしも誰でも利用できるわけではありません。それでも、保証人を探す手間と時間を省けることは、スムーズな入居につながる大きなメリットです。
敷金が減額される場合がある
家賃保証会社の中には、家賃だけでなく原状回復費用や修繕費用なども保証範囲に含めているところがあります。こうした包括的な保証がある場合、貸主は敷金を多く預かる必要性が低くなります。
その結果、通常は家賃の2ヶ月分程度必要な敷金が、1ヶ月分や場合によってはゼロになることもあります。初期費用を抑えたい入居者にとっては、大きなメリットとなります。
ただし、これは物件や保証会社の契約内容によって異なるため、契約前に敷金の設定理由と保証範囲を確認することをおすすめします。
家賃保証会社利用のデメリットと注意点
メリットが多い家賃保証会社ですが、同時にいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。これらを理解した上で利用することが、トラブル回避につながります。
保証料という金銭的負担が発生する
家賃保証会社を利用する最大のデメリットは、保証料という追加費用が発生することです。初回保証料だけでなく、毎年または隔年で更新料も必要となります。
例えば、家賃8万円の物件で初回保証料が4万円、毎年の更新料が1万円だとすると、5年間の入居で合計8万円の保証料を支払うことになります。
従来の連帯保証人制度では、こうした費用は発生しませんでした。長期的に見ると、保証料は決して小さくない出費となるため、入居期間を考慮してコストを計算することが重要です。
滞納時は結局自分が支払う必要がある
家賃保証会社の仕組みを誤解している方もいますが、保証会社が立て替え払いをしても、入居者の支払い義務はなくなりません。保証会社は一時的に貸主に家賃を支払いますが、その後必ず入居者に請求します。
つまり、支払い先が貸主から保証会社に変わるだけで、債務そのものは残ります。さらに、保証会社からの請求には遅延損害金が加算される場合もあり、結果的に支払い総額が増える可能性があります。
また、保証会社への支払いを滞納し続けると、最終的には訴訟を起こされたり、信用情報に傷がつく可能性もあります。「保証会社があるから大丈夫」という考えは危険です。
滞納履歴が記録・共有される
家賃保証会社の業界では、入居者の滞納情報を共有するデータベースが存在します。大手保証会社の多くは、業界団体を通じて滞納履歴などの情報を共有しています。
一度家賃を滞納してその記録が残ると、次に別の物件を借りる際、同じ系列や提携している保証会社の審査に通りにくくなる可能性があります。
滞納履歴は数年間保存されることもあり、将来の住まい探しに影響します。家賃の支払いは期日を守ることが、自分の信用を守ることにもつながるのです。
保証会社と連帯保証人の両方が必要な場合もある
一部の賃貸物件では、家賃保証会社の利用に加えて、連帯保証人も求められることがあります。これは、高額物件や貸主が特に慎重な場合に見られます。
この場合、保証料を支払いながらも保証人を探す必要があり、二重の負担となります。物件情報を確認する際や、契約前の重要事項説明の際に、保証会社だけで契約可能か、それとも保証人も必要かを明確に確認しておきましょう。
家賃保証会社の審査内容と流れ
家賃保証会社を利用するには、保証会社独自の審査を通過する必要があります。審査内容や必要書類、審査期間について理解しておくことで、スムーズな契約につながります。
審査で提出が必要な書類
家賃保証会社の審査では、通常以下のような書類の提出が求められます。まず基本となるのが、利用申込書です。これは保証会社指定の書式に、氏名、住所、勤務先、年収などの情報を記入するものです。
次に、本人確認書類として、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの写しが必要です。顔写真付きの公的身分証明書が求められるのが一般的です。
収入を証明する書類も重要です。会社員の場合は源泉徴収票や給与明細書(直近2〜3ヶ月分)、自営業者の場合は確定申告書の写しなどを提出します。
また、在籍証明として、勤務先の在籍証明書や社会保険証の写し、学生の場合は学生証や在学証明書が求められることもあります。書類は事前に準備しておくと、審査がスムーズに進むでしょう。
審査で見られる主なポイント
家賃保証会社の審査では、入居者の支払い能力と信用性が総合的に判断されます。主なチェック項目には以下のようなものがあります。
職種と雇用形態は重要な判断材料です。正社員は安定性が高いと評価され、契約社員やアルバイト、派遣社員の場合は収入の安定性がより厳しく見られます。自営業やフリーランスの場合は、複数年の収入実績が求められることもあります。
勤続年数も審査のポイントです。一般的に、勤続1年未満の場合は審査が厳しくなる傾向があります。転職直後の方は、前職の勤続年数や業界経験なども考慮される場合があります。
年齢や家族構成も参考にされます。若年層の単身者よりも、家族のある中高年層の方が安定していると評価されることがあります。
そして最も重要なのが、過去の滞納履歴です。保証会社のデータベースに滞納記録が残っている場合、審査通過は非常に難しくなります。
収入基準の目安
家賃保証会社の審査では、収入と家賃のバランスが重視されます。一般的な基準として、家賃は月収(手取りではなく額面)の3分の1以内であることが望ましいとされています。
例えば、家賃が8万円の物件であれば、月収24万円以上(年収約288万円以上)が目安となります。家賃が月収の3分の1を超える場合、審査が厳しくなったり、追加の収入証明や連帯保証人を求められる可能性があります。
ただし、これはあくまで目安であり、保証会社によって基準は異なります。また、貯蓄額が十分にある場合や副収入がある場合などは、それらも考慮されることがあるため、事前に審査担当者に相談してみるとよいでしょう。
審査にかかる期間
家賃保証会社の審査期間は、一般的に3日から7日程度です。書類に不備がなく、本人確認がスムーズに進めば、最短で当日から翌日に結果が出ることもあります。
審査が遅れる主な原因は、提出書類の不備や、本人確認の電話に応答できないことです。保証会社は審査の一環として、申込者本人や勤務先に電話確認を行うことがあります。
この電話に出られないと、審査が保留になり、契約手続きが遅れてしまいます。申込後は、知らない番号からの着信にも注意し、迅速に対応することが大切です。
家賃保証会社利用時の具体的な注意点
家賃保証会社を利用する際には、契約内容や滞納時の対応など、いくつか押さえておくべき注意点があります。トラブルを防ぐために、これらをしっかり理解しておきましょう。
滞納時の対応フロー
万が一家賃を滞納してしまった場合、保証会社からはどのような対応がなされるのでしょうか。まず、支払い期日を過ぎると、すぐに保証会社から電話やメールで支払い督促が始まります。
1ヶ月程度の滞納であれば、電話や書面での催促が中心ですが、無視を続けると、自宅への訪問督促が行われることもあります。この段階で、遅延損害金も発生し始めます。
2〜3ヶ月以上滞納が続くと、保証会社から契約解除の予告通知が送られます。さらに滞納が継続すると、明け渡し訴訟を起こされ、強制退去となる可能性もあります。
一度でも滞納すると信用情報に記録され、将来の賃貸契約や各種ローンに影響する可能性があるため、支払いが難しい場合は早めに保証会社や管理会社に相談することが重要です。
保証会社の選択権について
基本的に、どの家賃保証会社を利用するかは、物件の管理会社や貸主が指定することがほとんどです。入居者側が自由に選べるケースは限られています。
これは、貸主が特定の保証会社と提携契約を結んでおり、その保証会社を利用することを入居条件としているためです。したがって、希望する物件があっても、指定された保証会社の審査に通らなければ入居できません。
ただし、複数の保証会社と提携している管理会社の場合、過去に審査に落ちた経験があれば、別の保証会社での審査を相談できる可能性もあります。まずは不動産会社に相談してみましょう。
保証範囲の違いに注意
家賃保証会社によって、保証してくれる範囲が異なることも知っておくべきポイントです。最も基本的な保証内容は、月額家賃の立て替え払いです。
しかし、保証会社によっては、共益費や管理費、更新料、退去時の原状回復費用、損害賠償金なども保証範囲に含めている場合があります。保証範囲が広いほど保証料は高くなる傾向があります。
契約前には、重要事項説明書や保証委託契約書をよく確認し、何が保証されて何が保証されないのかを明確に理解しておきましょう。特に退去時のトラブルを避けるため、原状回復費用の扱いは要確認です。
更新手続きを忘れないように
家賃保証会社の契約には有効期限があり、通常1年または2年ごとに更新が必要です。更新時期が近づくと、保証会社から更新案内が届きますが、これを見落とすと保証が切れてしまう可能性があります。
保証契約が切れた状態で家賃を滞納すると、貸主は直接入居者に請求することになり、最悪の場合、契約違反として退去を求められることもあります。
更新案内が届いたら速やかに手続きを行い、更新料の支払いも期日内に済ませることが、継続的に安心して住み続けるために不可欠です。
家賃保証会社が不要な賃貸物件の選択肢
保証料の負担を避けたい、または保証会社の審査に不安がある方には、保証会社不要で借りられる賃貸物件という選択肢もあります。代表的なのがUR賃貸住宅です。
UR賃貸住宅の特徴
UR賃貸住宅は、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が運営する公的な賃貸住宅です。全国の都市部を中心に約70万戸の住宅を管理しており、家賃保証会社も連帯保証人も不要で入居できることが最大の特徴です。
民間の賃貸物件との大きな違いは、営利を目的としない公的機関が運営している点です。そのため、入居者の負担を軽減する様々な制度が整備されています。
UR賃貸住宅は書類審査のみで契約でき、人的保証を必要としないため、保証人を頼める人がいない方や、保証料を節約したい方にとって有力な選択肢となります。
UR賃貸住宅の4つの主なメリット
UR賃貸住宅には、初期費用と継続費用の両面で大きなメリットがあります。まず第一に、保証人・保証会社が不要です。書類で収入基準を満たしていることを証明できれば、保証人や保証会社なしで契約できます。
第二に、仲介手数料が不要です。UR直営の営業センターやUR取扱店で直接契約するため、通常の賃貸契約で発生する仲介手数料(家賃1ヶ月分程度)がかかりません。
第三に、礼金が不要です。一般的な賃貸物件では家賃の1〜2ヶ月分の礼金が必要ですが、UR賃貸住宅では礼金の設定がありません。初期費用は敷金(月額家賃の2ヶ月分)と日割り家賃、共益費のみです。
第四に、更新料が不要です。契約は自動更新されるため、2年ごとに発生する更新料(通常1ヶ月分程度)の支払いが一切ありません。これらの特徴により、UR賃貸住宅は長期的に見て非常に経済的な選択肢となります。
UR賃貸住宅の収入基準
UR賃貸住宅には保証人や保証会社は不要ですが、一定の収入基準を満たす必要があります。この基準は家賃の金額によって異なります。
具体的な基準月収額は以下の通りです。
| 家賃区分 | 世帯申込時の基準月収 | 単身申込時の基準月収 |
|---|---|---|
| 家賃8.25万円未満 | 家賃×4倍 | 家賃×4倍 |
| 家賃8.25万円以上20万円未満 | 33万円以上 | 25万円以上 |
| 家賃20万円以上 | 40万円以上 | 40万円以上 |
例えば、家賃7万円の物件を単身で申し込む場合、基準月収は28万円(7万円×4倍)以上が必要です。家賃10万円の物件を世帯で申し込む場合は、基準月収33万円以上が求められます。
収入証明は、源泉徴収票や給与明細書、確定申告書などで行います。基準を満たしていれば、職種や雇用形態に関わらず申し込みが可能です。
UR賃貸住宅の家賃優遇制度
UR賃貸住宅では、特定の条件を満たす方向けに、家賃が割引される様々な優遇制度が用意されています。これらの制度を活用することで、さらに家賃負担を軽減できます。
主な優遇制度には以下のようなものがあります。
- そのママ割: 子育て世帯を対象に、最大3年間家賃が割引される制度(定期借家契約)
- 子育て割: 新婚世帯または子育て世帯を対象に、最大で家賃の20%が減額される制度(所得制限あり)
- 近居割・近居割WIDE: 親世帯と子世帯が近くに住む場合、両方またはいずれかの家賃が最大5%から20%減額される制度
- U35割: 契約者が35歳以下の場合、3年間の定期借家契約で家賃が割引される制度
- URライト: 定期借家契約(3年間)で、家賃が固定かつ低額に設定される制度
- ハウスシェアリング制度: 友人同士や学生同士での同居を認める制度(一定条件あり)
これらの制度は併用できない場合もあり、また対象物件や申込条件も異なります。UR賃貸住宅の営業センターや公式ウェブサイトで、自分が利用できる制度があるか確認してみることをおすすめします。
UR賃貸住宅のデメリット
メリットの多いUR賃貸住宅ですが、いくつかのデメリットや制約もあります。まず、物件の立地や築年数です。UR賃貸住宅は高度経済成長期に建設されたものも多く、築年数が古い物件も少なくありません。
また、都市部に集中しており、地方や郊外では物件数が限られています。最新設備やデザイン性を求める方には、物足りないと感じる場合もあるでしょう。
次に、収入基準を満たす必要がある点です。保証人が不要である代わりに、一定の収入がなければ入居できません。学生や収入が低い方にとっては、ハードルとなることがあります。
さらに、敷金は月額家賃の2ヶ月分必要であり、礼金はゼロでも初期費用としてまとまった金額が必要です。人気物件は競争率が高く、抽選になることもあります。
家賃保証会社の仕組みを理解してトラブルを防ぐポイント
ここまで見てきた情報を踏まえて、家賃保証会社との関わりでトラブルを防ぐための具体的なポイントをまとめます。
契約前に確認すべき重要事項
賃貸契約を結ぶ前に、家賃保証会社に関する以下の項目を必ず確認しましょう。まず、初回保証料と更新料の金額、更新頻度です。総額でいくらかかるのか、長期的な視点で計算してください。
次に、保証範囲の詳細です。家賃だけなのか、共益費や原状回復費用も含まれるのか、契約書で確認しましょう。また、保証会社の指定があるか、選択の余地があるかも重要です。
連帯保証人も必要かどうか、併用が求められる場合は早めに保証人を探す必要があります。さらに、滞納時の対応手順や遅延損害金についても、事前に把握しておくべきです。
重要事項説明を受ける際は、理解できない点は遠慮なく質問し、納得してから契約することが大切です。
審査をスムーズに通過するためのコツ
家賃保証会社の審査を円滑に進めるためには、いくつかのポイントがあります。まず、必要書類を事前に漏れなく準備することです。不備があると審査が遅れるだけでなく、印象も良くありません。
次に、申込書の記入は正確かつ丁寧に行いましょう。虚偽の記載は絶対に避け、不明点があれば不動産会社に確認してから記入してください。
保証会社からの本人確認電話には必ず出るようにしましょう。電話に出られなかった場合は、すぐに折り返すことが重要です。勤務先への在籍確認がある場合は、事前に職場に伝えておくとスムーズです。
自分の収入と家賃のバランスを客観的に見て、基準を満たす物件を選ぶことが、審査通過の最大のコツです。
家賃は必ず期日内に支払う
家賃保証会社を利用していても、家賃の支払い義務は入居者にあります。期日内の支払いを徹底することが、トラブル防止の最も基本的なルールです。
口座振替を利用する場合は、引き落とし日前に残高を確認する習慣をつけましょう。残高不足で引き落としができないと、すぐに滞納扱いになります。
もし、やむを得ない事情で支払いが困難になった場合は、滞納する前に管理会社や保証会社に相談してください。事前に相談すれば分割払いなどの対応を検討してもらえる可能性がありますが、黙って滞納してしまうと信用を失い、今後の交渉も難しくなります。
更新手続きと連絡先変更は忘れずに
保証契約の更新時期が来たら、案内に従って速やかに手続きを行いましょう。更新を忘れると、保証が切れて契約違反となる可能性があります。
また、転職や電話番号の変更など、契約時の情報に変更があった場合は、必ず管理会社と保証会社の両方に連絡してください。連絡先が古いままだと、重要な通知が届かなくなります。
保証会社との契約も賃貸契約の一部として大切に管理し、必要な手続きを怠らないことが、安心して住み続けるための基本です。
まとめ
家賃保証会社は、連帯保証人に代わって家賃の支払いを保証する仕組みであり、現代の賃貸市場では標準的な制度となっています。保証料という費用負担は発生しますが、保証人を探す手間が省け、収入が不安定な方でも物件を借りやすくなるメリットがあります。
一方で、滞納時には結局自分が支払う必要があり、滞納履歴が記録されると今後の入居審査に影響する点には注意が必要です。保証会社の審査では、収入と家賃のバランス、職業の安定性、過去の滞納履歴などが総合的に判断されます。
トラブルを防ぐためには、契約前に保証料や保証範囲を確認し、家賃は必ず期日内に支払うことが重要です。また、保証会社不要で借りられるUR賃貸住宅のような選択肢もあり、初期費用や更新料を抑えたい方には有力な代替案となります。
賃貸契約を結ぶ際は、家賃保証会社の仕組みを正しく理解し、自分の状況に合った物件選びをすることが、安心で快適な賃貸生活への第一歩です。不明な点があれば、不動産会社や保証会社に遠慮なく質問し、納得した上で契約を進めましょう。
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