「アパート経営の手間を省くためにサブリース契約を結んだが、収益が悪化したので解約したい」「売却するためにサブリースを外したい」と考えるオーナー様は少なくありません。しかし、いざ解約しようとすると、サブリース会社から拒否されたり、高額な違約金を請求されたりしてトラブルになるケースが後を絶ちません。

本記事では、なぜサブリース契約の解除が難しいのかという法的な背景から、円満に解約するための具体的な手順、そして見落としがちな「解約後の敷金トラブル」までをわかりやすく解説します。

サブリース契約の解除が「難しい」と言われる理由

多くのオーナー様が「自分の物件なのだから、いつでも解約できるはずだ」と考えがちですが、サブリース契約においてはその常識が通用しない場合があります。ここでは、オーナー様からの解約を阻む「借地借家法」の壁と、サブリース契約特有の力関係について解説します。

サブリース契約とは、オーナー様が所有する物件をサブリース会社が一括で借り上げ、それを入居者に転貸する仕組みです。この契約形式において、サブリース会社は「借主」という立場になります。

日本の法律(借地借家法)では、立場の弱い借主を手厚く保護するため、貸主(オーナー様)からの契約解除には「正当事由」が必要であると定められています。つまり、単に「家賃収入を増やしたいから」「管理会社を変えたいから」といったオーナー様都合の理由だけでは、法的に契約を解除することが非常に難しいのです。

たとえ契約書に「オーナーから6ヶ月前の予告で解約できる」と書かれていても、借地借家法は契約書の内容よりも優先されるため、サブリース会社が同意しなければ解約は成立しません。

「サブリース新法」の影響にも注意

2020年に施行された「賃貸住宅管理業法(いわゆるサブリース新法)」により、契約締結時に「解約条件」や「リスク」について説明することが義務化されました。これにより、オーナー様は「解約が難しいことを理解した上で契約した」とみなされやすくなっており、法的に「知らなかった」という主張が通りにくくなっている点にも注意が必要です。

オーナー側から解約できる2つのケース

では、一度契約したら二度と解約できないのかというと、そうではありません。法的なハードルは高いものの、現実的に解約が成立するパターンは主に2つ存在します。どのような状況であれば解除が可能になるのかを見ていきましょう。

1. 合意解除(話し合いによる円満解約)

最も理想的なのが、オーナー様とサブリース会社の双方が納得して契約を終了させる「合意解除」です。サブリース会社にとっても、赤字物件である場合や、オーナー様との関係悪化を避けたいと判断した場合には、解約に応じることがあります。

この場合、違約金や立退料の支払いを条件として提示することで、合意に至るケースが一般的です。「お金で解決する」という現実的なアプローチが必要になることが多いでしょう。

2. 債務不履行による解除

サブリース会社側に明らかな契約違反があった場合は、オーナー様から契約を解除できる可能性があります。具体的には、「長期間にわたって家賃が支払われていない」「契約で定められた維持管理義務を放棄している」といったケースです。

サブリース会社側の重大な過失が認められれば、信頼関係が破壊されたとみなされ、正当事由なしで解除できる場合があります。ただし、数日の支払い遅れ程度では認められないことが多いため、証拠を積み上げることが重要です。

解除手続きの具体的なステップ

実際に解約に向けて動き出す場合、どのような順序で進めればよいのでしょうか。契約書の確認から通知書の送付、そして具体的な交渉まで、トラブルを最小限に抑えるための正しい手順をステップごとに解説します。

STEP1:契約書の内容を再確認する

まずは手元のサブリース原契約書を確認し、「解約に関する条項」がどのように記載されているかチェックしましょう。「解約予告期間(例:6ヶ月前までに通知)」や「違約金の有無」が記載されているはずです。

法的には無効になる可能性がある条項でも、交渉のスタートラインとしては契約書の記載内容がベースとなります。

STEP2:解約通知書を送付する

解約の意思を形に残る方法で伝えます。口頭での連絡は「言った言わない」のトラブルになりやすいため、必ず書面で通知を行いましょう。

より確実性を期すためには、郵便局が内容を証明してくれる「内容証明郵便」を利用することをおすすめします。

STEP3:条件交渉を行う

通知を送った後、サブリース会社との交渉が始まります。 すんなり合意できれば良いのですが、拒否された場合は「いつ解約するか」「違約金をいくら支払うか」「入居者への引き継ぎはどうするか」といった条件をすり合わせていきます。

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解約に伴う「違約金」や「立退料」の相場

サブリース契約の解除において、多くのオーナー様が頭を悩ませるのが「お金」の問題です。解約するために支払わなければならない違約金や立退料は、一体どれくらいが相場なのでしょうか。提示された金額が妥当かどうかを見極めるための基準を解説します。

契約書に違約金の定めがある場合、一般的には「家賃の6ヶ月分〜12ヶ月分」程度が設定されていることが多いです。合意解除を目指す場合、この金額をベースに交渉することになります。

サブリース会社から将来得られるはずだった利益(逸失利益)を補償するという名目で、高額な立退料を請求されるケースもあります。

相場としては家賃の半年分程度で落ち着くこともあれば、数年分を要求されることもあり、ケースバイケースです。あまりに法外な金額(数年分など)を提示された場合は、弁護士などの専門家に相談し、減額交渉を行う必要があります。

要注意!解約後の「敷金」と「入居者」の引き継ぎ

無事に解約できたとしても、まだ安心はできません。サブリース契約特有の落とし穴として、解約後に「敷金が返ってこない」というトラブルが多発しています。解約交渉時に必ず確認しておくべき重要ポイントです。

サブリース会社が預かっている「敷金」はどうなる?

通常、入居者から預かった敷金はサブリース会社が保管しています。契約解除に伴い、本来であればこの敷金はオーナー様に引き継がれるべきですが、契約内容によっては「敷金はサブリース会社が没収する(オーナーへ引き継がない)」となっている場合があります。

もし敷金が引き継がれない場合、将来入居者が退去する際に、オーナー様が自腹で敷金を返還しなければならず、大きな金銭的損失となります。 解約交渉の際は、必ず「預かっている敷金の全額引き継ぎ」を条件に盛り込むようにしましょう。

入居者との契約はどうなる?(地位の承継)

サブリース契約が終了すると、原則としてオーナー様がサブリース会社の地位を引き継ぎ、入居者と直接の賃貸借契約関係(または新たな管理会社を通じた契約)になります。 これを「地位の承継」と呼びます。

入居者に対して「振込口座の変更」や「管理会社の変更」をスムーズに案内できるよう、サブリース会社から入居者情報を正確に引き継ぐことが不可欠です。

トラブルを防ぐために確認すべき契約条項

これからサブリース契約を結ぼうとしている方、あるいは更新を控えている方は、将来のトラブルを未然に防ぐために契約内容を精査する必要があります。特に注意して見るべきポイントを3つに絞って解説します。

  • 中途解約条項:オーナーからの中途解約が可能か、その場合の条件(予告期間・違約金)が明記されているか。
  • 家賃減額請求権:「家賃は〇年間固定」と謳っていても、契約書には「経済情勢により減額できる」と書かれているケースがほとんどです。
  • 契約終了時の敷金承継:契約終了時、入居者から預かっている敷金や敷引金がオーナーに引き継がれるか。

契約書に署名・捺印する前に、自分に不利な条項が含まれていないか、プロの目でチェックしてもらうことが最大の防御策です。

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まとめ

サブリース契約の解除は、借地借家法の壁があり、オーナー様の一存で簡単にできるものではありません。無理に解約を進めようとすると泥沼のトラブルに発展するリスクがあるため、まずは「合意解除」を目指して粘り強く交渉することが重要です。

特に「違約金の金額」と「解約後の敷金引き継ぎ」は、オーナー様の最終的な手残りに直結する重要なポイントです。ご自身の契約状況について不安がある場合は、一人で悩まずに不動産管理のプロや法律の専門家に相談してみましょう。

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執筆者

エンマネ編集部

エンマネ編集部

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