2027年4月から家庭用エアコンの省エネ基準が大幅に引き上げられ、基準を満たさない製品は製造・販売できなくなります。この「エアコン2027年問題」は、エアコンの価格高騰や品薄、買い替え時期の見直しなど、多くの家庭や賃貸オーナーに影響を与えると予想されています。本記事では、省エネ基準改正の背景から購入判断の目安、製品選びのポイント、費用と補助制度の活用法まで、エアコン2027年問題への対策を詳しく解説します。これから買い替えを検討している方や、賃貸物件の設備更新を計画している方は、ぜひ参考にしてください。

エアコン2027年問題の基礎知識解説

エアコン2027年問題を理解するためには、制度改正の背景や具体的な内容を把握することが重要です。ここでは、省エネ基準強化の目的から対象機種まで、基礎的な情報を解説します。

制度改正の背景と目的

2027年4月から施行される省エネ基準の強化は、日本が掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けた重要な施策の一環です。家庭部門のエネルギー消費において、空調(エアコン)が占める割合は大きく、政策的な重点分野として位置づけられています。

経済産業省が推進するトップランナー制度では、その時点で最も省エネ性能が高い製品を基準に将来の目標値を設定し、メーカーに達成を義務づけています。建築物省エネ法改正やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及の流れとも連動しており、住宅全体の省エネ性能向上が国として求められています。

省エネ基準強化の主な内容

新しい省エネ基準では、APF(通年エネルギー消費効率)の目標値が大幅に引き上げられます。APFとは「1年間の冷暖房能力の総量÷1年間の消費電力量」で計算される指標で、数値が高いほど省エネ性能が優れていることを示します。

以下の表は、主な冷房能力クラスにおける現行基準と新基準の比較です。特に14畳用(4.0kW)クラスでは約34.7%もの効率向上が求められ、現行の低価格モデルでは対応が困難とされています。

冷房能力クラス 畳数の目安 現行基準APF 新基準APF 改善率
2.2〜3.2kW 6〜12畳 5.8 6.6 約13.8%向上
4.0kW 約14畳 4.9 6.6 約34.7%向上
7.1kW 約23畳 4.5 5.9 約31.1%向上

また、エアコンの省エネ評価規格であるJIS C 9612も2013年版から2027年版へ更新される予定です。新規格では実際の家庭環境に近い運転条件を想定したシミュレーションが採用され、カタログ値と実際の使用状況の乖離が小さくなることが期待されています。

対象機種と影響の範囲

2027年問題の中心となる対象機種は、家庭用ルームエアコン(壁掛け型)です。天井埋め込み型などは2029年より基準引き上げが予定されており、段階的に規制が広がっていきます。

新基準を満たさないエアコンは原則として製造・販売ができなくなるため、従来の格安モデルが市場からほぼ姿を消すことになります。賃貸住宅では「エアコン付き」が入居者募集の必須条件となっていることが多く、賃貸オーナーにとっては設備投資の問題として直面することになるでしょう。

エアコン2027年問題の購入判断基準

エアコン2027年問題を踏まえて、いつ買い替えるべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ここでは、購入時期を判断するための具体的な目安と注意点を解説します。

買い替え推奨の明確な目安

エアコン買い替えの最も分かりやすい目安は、設計上の標準使用期間である約10年を超えているかどうかです。10年以上使用しているエアコンは故障リスクが高まるだけでなく、省エネ性能も現行モデルと比べて大きく劣っている可能性があります。

以下のチェックリストに該当する項目が多い場合は、早めの買い替えを検討することをおすすめします。特に複数の項目に該当する場合は、2027年を待たずに計画的な更新を進めることが賢明です。

  • エアコンの使用年数が10年を超えている
  • 冷暖房の効きが悪くなったと感じる
  • 電気代が以前より高くなっている
  • 異音や異臭がするようになった
  • リモコンの反応が悪い
  • 水漏れや霜がつくことがある

一方、最新の省エネ性能による電気代抑制や環境性能を重視する場合は、2027年以降に新基準対応モデルを購入する選択肢もあります。長期的なトータルコストを考慮して判断することが大切です。

駆け込み購入のメリットと危険

2027年4月の施行前には、安価な旧基準モデルの販売終了を前に駆け込み需要が発生する可能性が高いとされています。旧基準モデルを安く購入できるメリットがある反面、いくつかの危険性も認識しておく必要があります。

駆け込み需要が集中すると、購入や設置工事の予約が取りにくくなるリスクがあります。特に夏場の繁忙期と重なった場合、エアコンがない期間が発生する可能性もあるため、計画的な購入が重要です。

項目 2027年以前の購入 2027年以降の購入
本体価格 現行価格で購入可能 10〜50%上昇の予測
選べる機種 格安〜高効率まで豊富 高効率モデル中心
電気代 旧機より改善されるが限定的 より低く抑えられる
工事・納期 比較的余裕あり 駆け込み需要で長期待ちのリスク

上記の表を参考に、ご自身の状況に合わせた購入タイミングを検討してください。初期費用を抑えたい場合は早期購入、長期的な電気代削減を重視する場合は新基準対応モデルの購入を待つ選択肢もあります。

設置時期と優先部屋の決め方

複数の部屋にエアコンを設置している場合、どの部屋から優先的に買い替えるかを決めることも重要です。基本的には使用頻度が高く、長時間稼働させる部屋を優先することで、電気代削減効果を最大化できます。

リビングなど14畳前後の部屋は、新基準での改善率が34.7%と突出しているため、買い替えによるコストパフォーマンスへの影響が最も大きくなります。家族が長時間過ごすリビングのエアコンを優先的に更新することで、省エネ効果を実感しやすくなるでしょう。

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エアコン2027年問題の製品選びポイント

新基準対応のエアコンを選ぶ際には、性能指標の見方や機能の比較方法を理解しておくことが大切です。ここでは、具体的な製品選びのポイントを解説します。

APFや効率指標の確認方法

エアコンの省エネ性能を比較する際、最も重要な指標がAPF(通年エネルギー消費効率)です。APFの数値が高いほど省エネ性能が優れており、同じ冷暖房能力でも消費電力が少なくて済みます。

カタログやメーカーのWebサイトでは、APFのほかに期間消費電力量(kWh/年)も確認できます。期間消費電力量はJISが想定する標準的な使用条件で1年間運転した場合の消費電力量を示しており、この数値が小さいほど年間の電気代を抑えられます。

機能別の比較とおすすめ機種

エアコンには省エネ性能以外にも、空気清浄機能やAI自動運転機能、加湿機能などさまざまな付加機能があります。必要な機能を絞り込むことで、コストパフォーマンスの良い機種選びが可能になります。

以下は機能別の特徴をまとめた表です。ご自身の使用環境や優先したい機能を整理したうえで、複数メーカーの製品を比較検討することをおすすめします。

機能 メリット 適した使用環境
空気清浄機能 花粉やホコリを除去 アレルギー体質の方がいる家庭
AI自動運転 室温や人の動きを検知して自動制御 細かな設定が面倒な方
加湿機能 冬場の乾燥対策 乾燥が気になる地域や部屋
自動お掃除機能 フィルター清掃の手間を軽減 メンテナンスを楽にしたい方

高機能モデルほど価格は高くなりますが、省エネ性能も高い傾向にあります。予算と必要な機能のバランスを考慮して選びましょう。

室内機と室外機の設置要件

エアコンの購入前には、室内機と室外機の設置スペースを確認しておくことが重要です。高効率化に伴い、熱交換器の大型化が進んでいるため、旧モデルと同じスペースに収まらない場合があります。

特にマンションやアパートでは、室外機の設置場所に制限がある場合も少なくありません。購入前に販売店や設置業者に現地調査を依頼し、設置可能かどうかを確認することをおすすめします。

エアコン2027年問題の費用と補助制度

エアコンの買い替えには本体価格だけでなく、工事費やランニングコストも考慮する必要があります。ここでは、費用の内訳や電気代削減効果、補助金の活用方法について解説します。

本体価格と工事費の内訳比較

エアコンの総費用は、本体価格と設置工事費の合計で構成されます。新基準対応モデルでは本体価格が現行モデルより10〜50%程度上昇すると予測されており、初期費用の増加が見込まれます。

設置工事費は標準工事で1〜2万円程度ですが、配管の延長や電源工事が必要な場合は追加費用が発生します。見積もりを取る際は、工事内容の詳細を確認し、追加費用の有無を事前に把握しておくことが大切です。

費用項目 現行モデル目安 新基準モデル予測
本体価格(6畳用) 5〜8万円 6〜10万円
本体価格(14畳用) 10〜15万円 13〜20万円
標準工事費 1〜2万円 1〜2万円
追加工事(配管延長等) 1〜3万円 1〜3万円

上記は目安であり、メーカーや販売店、設置環境によって変動します。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

電気代削減効果の具体試算

高効率エアコンに買い替えることで、年間の電気代を削減できる可能性があります。ただし、削減効果は使用頻度や部屋の広さ、断熱性能などによって大きく異なります。

ある試算では、上位省エネ機と普及機の年間消費電力量差は約167kWhとされています。電気料金単価を27円/kWhと仮定すると、年間約4,500円程度の削減効果となりますが、使用頻度が低い単身世帯では投資回収期間が長くなる傾向にあります。

国や自治体の補助金の活用法

省エネ家電への買い替えを促進するため、国や自治体ではさまざまな補助金制度が用意されています。省エネリフォームの一環としてエアコンを対象に含む制度もあるため、活用を検討してみましょう。

補助金の申請には条件や締切があり、制度によっては2027年以降に購入した場合に旧基準機が対象外となる可能性もあります。最新の情報を確認し、申請時期や対象製品の条件を把握したうえで購入計画を立てることが重要です。

補助金を活用する際の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. お住まいの自治体の省エネ家電補助金制度を調べる
  2. 対象製品や申請条件を確認する
  3. 対象製品を購入し、必要書類を準備する
  4. 期限内に申請手続きを行う
  5. 審査後、補助金が交付される

自治体によって制度内容が異なるため、最寄りの市区町村の窓口やWebサイトで詳細を確認してください。

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賃貸オーナー向けのエアコン更新対策

賃貸物件を所有するオーナーにとって、エアコン2027年問題は設備投資計画に大きな影響を与えます。ここでは、賃貸オーナー向けの対策と保証サービスの活用について解説します。

賃貸物件のエアコン更新計画

賃貸物件では「エアコン付き」が入居者募集の必須条件となっていることが多く、設備の老朽化は入居率にも影響を与えます。築年数がある程度経過し、エアコン設置から10年以上経っている物件は、2027年を待たずに計画的な更新を検討すべきでしょう。

物件のターゲット層に応じて、電気代を重視する層には高効率機、初期コストを抑えたい場合は現行基準機の早期交換など、戦略的な選定を行うことが推奨されています。今後「高性能な省エネ設備」が標準となるため、新基準適合モデルの導入は住宅売却時や賃貸時の付加価値としても有効な投資となります。

アセットテクノロジーの保証サービス活用

エアコンの突発的な故障に備えて、保証サービスの活用を検討することも有効です。アセットテクノロジーでは、月額料金を支払うことでエアコンなどの対象設備が故障した際の修理・交換費用をカバーする定額制の保証制度を提供しています。

通常、エアコンの交換には10万円以上の突発的な費用がかかりますが、本サービスを利用することで故障時の持ち出し費用を大幅に抑えることが可能です。2027年以降にエアコン本体の価格高騰が予想される中、コストを固定化できる点は賃貸オーナーにとって大きなメリットといえます。

保証サービスの料金と対象範囲

アセットテクノロジーの保証サービスは、専有面積に応じた月額料金で提供されています。以下の表は料金の目安です。

専有面積 月額料金(税別)
30平米未満 3,000円
30〜40平米未満 4,000円
40〜50平米未満 5,000円
50〜70平米未満 7,000円
70平米以上 別途見積もり

対象となるのは機器の寿命による故障に対する修理、部品交換、または本体交換です。なお、マルチタイプおよび天井カセットタイプのエアコンは対象外となります。物件が空室となった際のエアコンクリーニングや設備メンテナンスは必須事項となっており、クリーニングおよびメンテナンス費用はオーナー様の負担となる点にご注意ください。

まとめ

エアコン2027年問題は、2027年4月からの省エネ基準強化により、家庭用エアコンの価格高騰や品薄、低価格モデルの市場からの消失が予想される重要な課題です。APFの目標値が大幅に引き上げられ、特に14畳用クラスでは約34.7%もの効率向上が求められます。

買い替えを検討する際は、現在のエアコンの使用年数や使用頻度、初期費用と電気代削減のバランスを考慮して判断することが大切です。補助金制度の活用や、賃貸オーナーの場合は保証サービスの検討も有効な対策となります。

2027年を見据えた計画的な行動が、長期的なコスト削減と快適な住環境の実現につながります。まずはご自宅や所有物件のエアコンの状態を確認し、最適な買い替え時期と製品選びを検討してみてください。

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執筆者

アセットテクノロジー編集部

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