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マンション管理会社を変更する理由
マンション管理会社によって管理費用や管理の範囲は異なります。マンション管理の対応範囲は空室の対策や入居トラブルの対応、共用部の掃除など多岐におよびます。決して、管理費が高いからすべてを対応してくれるわけではありません。いまの管理会社の対応に不満を感じているなら変更を検討しましょう。
この項目では、管理会社を変更することで得られるメリット3つ紹介します。
管理費が安くなり質も向上する
管理会社の変更によって、管理費を抑えることが可能です。管理費は継続して発生する費用のため、コストを抑えられれば収支状況の改善にもつながります。管理会社に支払う管理費は賃料の5%が相場とされますが、それよりも抑えて委託できる管理会社も存在します。
先述しましたが、管理の質は管理費に比例するわけではありません。条件に合う管理会社に依頼すれば、現状の管理範囲は変わらずに費用を抑えられます。
空室を改善できる
マンション管理会社の中には、集客に特化している管理会社があります。より集客力に定評のある管理会社にすることで、空室の改善が期待できるでしょう。
集客力は、管理会社が公表している入居率や平均空室期間が参考になります。空室がなかなか埋まらないなら、物件エリアの集客力がある管理会社を選びましょう。
とはいえ、空室改善のために取れる対策は、入居付けだけではありません。管理中の物件に対して、適切な家賃設定や必要な修繕・リフォームなどの提案ができるかどうかも重要なポイントです。
管理業務の内容を改善できる
管理状態に不満がある場合は、その不満を解消してくれる管理会社を選びましょう。
たとえば、入居者対応に時間がかかる管理会社なら、24時間対応などスピーディーな対応を謳う管理会社を選ぶのがおすすめです。管理業務の内容を改善できれば、入居者の満足度が上がり退去を防げる効果も期待できます。特に改善したい点をいくつか洗い出してから管理会社を探しましょう。
マンション管理会社の変更を検討すべきケース
管理会社の変更を検討した方が良いケースとして、以下の2つの状況があげられます。
ケース1.空室が続いている
空室期間が3か月以上続くようであれば、管理会社の変更を検討しましょう。空室が長く続けば続くほど、物件の収支に大きな影響を与えてしまうからです。
空室対策は管理会社によって対応が異なります。空室が続いているにもかかわらず次の入居者を探さない、入居率を高めるための施策を提案してこないケースもあるでしょう。
集客力の強い管理会社に変更すれば、収支が改善される可能性があります。
ケース2.管理状況に不満がある
管理状況や担当者の対応が悪いケースも管理会社の変更を視野に入れましょう。特に物件の状況についての報告や相談がない場合、円滑に運用を進めることは難しくなります。
本業に影響が出てしまうほど管理状況が悪いのであれば、早急に管理会社の変更が必要です。
新しい管理会社を検討する際は、事前に現状の何が不満でどこを改善したいかを明確にしておくことが大切です。
マンション管理会社を変更するリスク
管理会社を変更する際、不満が改善される可能性が高まる一方で、注意しなくてはならないこともあります。以下の3つのリスクに気を付けるようにしましょう。
管理業務の継続性が失われる
新しい管理会社に適切な引き継ぎが行われなかった場合、これまで継続してきた管理業務に不具合が生じるおそれがあります。たとえば、大規模修繕工事や管理規約の改正を検討していた場合、話が停滞してしまうかもしれません。
設備の老朽化の状態や点検業者の作業内容、周辺の地域環境など、マンションの状況は一棟ずつ異なるため、詳細な引き継ぎが必要です。
引き継ぎを行う際には、マンションに詳しい組合員などに立ち会いをしてもらうなどして、内容に間違いや漏れがないか確認しながら進めましょう。
管理業務の質が下がる
管理費の節約を目的として管理会社を変更した場合、管理の質が下がるリスクがあります。その理由として、新しい管理会社だからといって質の高い管理を行うとは限らないからです。
管理業務の内容や質は管理会社によって大きく異なり、契約書の内容だけでは把握できないケースも少なくありません。そのため、管理費用だけで決めるのではなく、サービス内容をしっかり把握することが大切です。
とはいえ、先述したように工夫次第で管理費を節約することは可能です。そのことを踏まえたうえで、満足のいくサービス内容であるかどうか見極めましょう。
保証が切れる
管理会社を変更した際に、今まで加入していた保証が切れてしまうおそれがあります。具体的な保証として、独自の保証(入居者の停滞保証会社の保証)やサブリース保証などです。
保証内容については、新しい管理会社と保証会社についてすり合わせを行う必要があります。中には新しい管理会社で保証内容をカバーできることもあるため、事前に保証内容について確認しておくようにしましょう。
マンション管理会社の変更手続き4つの手順
マンション管理会社の変更手続きの流れは以下の通りです。
1.現状の問題を明確にする
2.マンション管理会社に見積もりをとる
3.解約通知と引き継ぎをする
4.入居者に周知する
それでは順を追って解説します。
1.現状の問題点を明確にする
まずは今の管理会社に対して不満に感じる点と満足している点を洗い出します。不満に感じる点は、次のマンション管理会社に期待する部分になるため明確にしましょう。
これらが管理会社を選ぶときの基準となり、意思決定がスムーズにできます。また、どこに不満点・満足点があるかによって、相性の良い管理会社を具体的にイメージできるようになります。
2.マンション管理会社の見積もりをとる
マンション管理会社を選ぶとき、業者比較は必須です。3~5社程度に見積もりを依頼しましょう。あまりにも多くの管理会社を選択すると絞り込みづらくなり、適切な判断ができなくなるため注意が必要です。
見積もりには、マンション管理会社による現地調査を実施する場合がほとんどです。調査の際に賃貸状況や現状から改善したい点などを具体的に伝えましょう。
相見積もりがとれれば、提案内容と管理費用を比較して、条件に合う会社を選びます。
3.管理会社への解約通知と引き継ぎを行う
新たなマンション管理会社が決定したら、現在の管理会社に解約通知と引き継ぎを行います。解約通知は基本的に書面でやりとりをします。
国土交通省のガイドライン「賃貸住宅標準管理委託契約書」によると、管理契約の解約は解約希望日の3ヶ月前に文書で通知、もしくは3ヶ月分の賃貸管理手数料を支払うことですぐに解約可能です。ただし、取扱いは管理会社によって異なります。必ず契約書の内容を確認してください。
管理会社の変更では、物件状況や契約内容のほか、保証会社・保険の引き継ぎや鍵の引き渡し、管理会社変更通知の段取りなどが必要です。
引き継ぎは新旧の管理会社同士で行い、オーナーの立会いは不要です。しかし、新たな管理会社に「必要な情報を引き継ぎしていなかった」ということのないように、引き継ぎが適切に行われているかの確認は、自身でも行ってください。
特に、過去の入居者クレームについては、新しい管理会社が認識していないと問題が大きくなることがあります。必ず引き継ぐよう依頼しましょう。
4.入居者へ必要事項を通知する
マンション管理会社を変更すると入居者へ通知が必要です。通知をしておかないと、入居者が解約後の管理会社に連絡を取ったり、家賃を振り込んでしまったりなどのトラブルにつながります。特に家賃の振込みについては、振込先が変わるケースもあるためトラブルになりやすいです。
マンション管理会社を変更するときの注意点
マンション管理会社の変更は、賃貸経営において必要な経営判断です。しかし、変更時にはトラブルやデメリットが生じることもあります。スムーズに管理会社変更ができるよう、以下の点に注意しましょう。
トラブル回避!違約金の発生を確認しておく
管理委託契約書に解約時の違約金についての記載がある場合、支払う必要があります。中途解約の場合は、賃貸管理手数料〇ヶ月分などのケースが多いです。なお、契約書に記載がない場合には、一切支払う必要はありません。
また、後々のトラブルを回避するために、新しい管理会社と契約する際にも違約金は必ず確認しておいてください。
デメリット回避!解約まで管理の質が低下しないかチェックしておく
管理会社を変更する場合、解約通知から解約日までは期間が空きます。その間、管理や入居付けの質が低下することも想定されます。
これは、契約が終了する取引先よりも、ほかの取引先の管理に力を入れようと考えるために起こりうることです。不十分な清掃や広告の停止など、契約期間内に業務を怠っていないか、注意する必要があります。
まとめ
投資用マンションの賃貸管理会社は、オーナー側で変更が可能です。管理会社を変更することで、現状の管理の不満を解消できたり、管理費のコストを圧縮できたりします。
とはいえ、変更の際にはリスクが伴う点について注意しなくてはなりません。新しい管理会社へ変更する際には、引き継ぎを適切に行い、管理業務が低下しないようにすることが大切です。
また、現状のどのような課題を解決したいのかはっきりさせておくこともポイントです。そのうえで、新しい管理会社の管理費とサービスに満足できるかどうか見極めましょう。