金利上昇と不動産価格下落の関係性とは?金利上昇の影響を抑える方法

不動産投資のリスクとして、金利上昇による不動産価格の下落が挙げられます。金利が上がると不動産投資ローンを組む際の条件が悪くなったり、変動金利に設定しているローンの返済額が上がったりする可能性があります。 また、不動産価格が下落すると既存物件の出口戦略が描きづらくなるので、今後の売却を考えている不動産投資家にとって大きなダメージとなるのです。 今回は、金利上昇と不動産価格下落の関係性について解説します。金利上昇の影響を抑える方法にも触れるので、参考にしてみてください。

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イールドギャップと不動産投資の関連性

まずは、イールドギャップと不動産投資の関連性について解説します。

社会情勢の影響を受けやすい項目であり、個人の努力だけではなかなか状況を打開できないこともあるので、リスクのひとつとして知っておきましょう。

イールドギャップとは

イールドギャップとは、投資で得る利回りと長期金利の差を表します。例えば利回りが7%で金利が4%の場合だと、その差である3%がイールドギャップです。「投資物件の実質利回り(%)-不動産投資ローンの金利(%)」で計算できます。

イールドギャップのプラスが続けば、それだけ理想的な不動産投資であるのと反対に、イールドギャップがマイナスになってしまうと、ローン返済額の方が高くなってしまいトータルでの収益化が期待できなくなります。

不動産投資に最適なイールドギャップの目安は1.5~2.0%程度といわれています。

金利上昇とイールドギャップの関係性

金利が上昇した場合、当然ながら返済しなければいけないトータルの金額が増えるため、イールドギャップの数値も低くなってしまいます。

高利回りが期待できる条件の良い物件があって、かつ空室率が低く効果的に不動産投資できていても、金利の上昇によって返済額が増えることで収益が減ってしまうのです。反対に、超低金利時代のイールドギャップは高くなりやすく、手元に残るお金を増やせます。

不動産投資に対する影響

金利が低いと、新たに不動産投資ローンを組む際の条件が良くなるので不動産投資を始めるハードルが下がります。既に不動産投資をしている人が新たな物件を取得したり、より金利の低いところに借り換えて条件を良くしたりすることも可能です。

反対に、金利が高いと不動産投資ローンを組みにくくなるだけでなく、その上昇分を家賃に反映しなければならず空室率が高くなる傾向が出てきます。

今後、金融引き締めが起きてイールドギャップが低くなる可能性もあるので、情報収集は徹底しておきましょう。

金利が上昇しても不動産価格が下がらない場面

一般的には、「金利が上昇すると不動産価格は下がる」とされています。金利が上がると景気が冷え込むため、家賃が高い物件を避ける心理が働いてしまい買い控えが起こります。その分不動産の価格が下がってしまうためです。

また、借入の金利が高くなるので不動産購入のニーズが減り、不動産価格自体を下げるケースも考えられます。

ただし、下記の場合は金利が上がっても不動産価格が大幅に下がることはありません。

投資用不動産の場合

投資用不動産の場合、高めの家賃を維持できるのであれば不動産価格も維持できます。高めの家賃を維持できるのは全体的に給与の水準が上がっているときや、物件の需要に対して供給が少ないときなどが挙げられます。

とはいえ、実際に金利が上がるときは消費が冷え込みやすく、その分給料の上昇も期待できません。また、賃貸マンションやアパートが多いエリアでは「住む場所が見つからない」というほど物件供給量が少なくなるケースもほとんどありません。

居住用不動産の場合

居住用不動産の場合も、同じく給与水準が上がっているのであれば不動産の価格下落を防げます。購買力が増加して不動産価格の上昇を相殺できるので、価値自体が変動することはないのです。

もし金利より給料の上昇幅の方が大きいのであれば、むしろ不動産価格も上がることが想定できます。

不動産投資はインフレに強い?

不動産投資は、インフレ対策に強い投資手法といわれています。毎月安定した家賃収入が入るので長期的に資産形成しやすく、インフレが起きても価値が上昇しやすいのが特徴です。

不動産以外にも貴金属など目に見える実物資産はインフレヘッジ効果が高いので、現金だけを保有し続けるよりリスク対策として役立つのです。

インフレ時の不動産投資については下記の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

不動産投資はインフレに強い?物件購入時のポイント」

【不動産投資】金利上昇の影響を受けないための対策

ここでは不動産投資において金利上昇によるマイナスの影響を受けないための対策を紹介します。

万全の準備をして不動産投資を始めたい方は、ぜひ取り入れてみてください。

金利固定ローンを長期で組む

不動産投資ローンを組むときは、金利を固定にして長期で組むのがおすすめです。現在は超低金利時代といわれており、不動産投資ローンの金利も非常に低くなっています。

これからローンを組むのであれば金利を固定し、今後もし金利が上がっても変化を受けなくて済むよう対策しておきましょう。

反対に、変動金利の場合は社会情勢の変化を受けて金利が変わるケースがあるため注意が必要です。

金利が低い銀行ローンに借り換えを行う

既に不動産投資ローンを組んでいる場合や、今後金利が大幅に上昇した場合は、金利が低い銀行ローンに借り換えましょう。少しでも有利な条件の銀行を見つけられれば、月々の返済にかかる負担を軽減できます。

ただし、希望する銀行で確実に借り換えできるとは限りません。保有している物件の特性や自分自身の属性により変動する部分でもあるので、その時の状況次第で判断することが大切です。

ローンの繰り上げ返済を行う

手元の資金が十分なら、ローンの繰り上げ返済を検討しましょう。ローンの繰り上げ返済をすれば元本が目減りするので、その分金利の負担も少なくなります。

完済すれば、不動産の運用にかかる最低限のコスト(空室対策用の広告や設備投資にかかるコスト)を除いてほぼ全てが自分の利益になるのです。

まとめ

金利上昇は不動産投資における大きなリスクです。一方で、固定金利かつ長期でローンを組んだり、借り換えや一括返済を検討したりすることで、負担を軽減できる場合もあります。

インフレヘッジ効果も高く、現金で資産を保有するより資産形成しやすい方法として注目されています。金利上昇に振り回されず、借り換えを行うなど状況に応じて対策を講じることが大切です。