商業施設も多く人気の「神戸」 発展の続く神戸ベイエリア

神戸エリアは「住みたい街」としても人気のエリアです。またベイエリアの夜景も素晴らしく、ベイエリアからだけでなく六甲山などからも見ることができます。古くから港町として開けており、また大阪にも近い立地で経済も盛んです。こうした神戸エリアの魅力について見てみましょう。

この記事は約12分で読み終わります。

①神戸エリアの魅力と特長

(1)日本有数の大都市である神戸市

神戸市の人口は政令指定都市の中では7番目に多い都市です。関西では大阪市について2番目に人口が多く、京都市よりも人口の多い都市です。

また神戸市の所得を比較してみると、こちらも7位となっており、市民の所得水準が高いことが分かります。所得の高いエリアは不動産の資産価値も比較的高いと考えられます。

政令指定都市

人口ランキング

順位

都市

1

横浜市

2

大阪市

3

名古屋市

4

札幌市

5

福岡市

6

川崎市

7

神戸市

8

京都市

9

さいたま市

10

広島市

<神戸市「大都市比較統計年表(時点:令和2年10月1日)」より作成>

政令指定都市

1人当たり市(都)民所得ランキング

順位

都市

1

大阪市

2

名古屋市

3

川崎市

4

横浜市

5

広島市

6

福岡市

7

神戸市

8

仙台市

9

さいたま市

10

浜松市

<神戸市「大都市比較統計年表(時点:平成30年度)」より作成>

(2)神戸市の歴史

神戸といえば「港町」というイメージをお持ちの方も多いと思います。神戸港の歴史は古く、中国大陸や朝鮮半島と交流していました。

室町時代、江戸時代などには「兵庫の津」と呼ばれ鎖国の中で国内の交通の要所となりました。1858年に締結された日米修好通商条約により、神戸港が1868年に開港しました。早くから海外からの交流のある国際都市として発展してきました。

このとき開港した港は「横浜・長崎・新潟・函館」などがあります。いずれも古くから経済の発達したエリアです。2017年には開港150年を迎えています。異国情緒の溢れる都市としての魅力もあります。

(3)地価が回復基調にある神戸エリア

神戸市の地価は湾岸の都市部の商業地などを中心に上昇を続け、特に三宮・ポートアイランドなどのある中央区の商業地は2019年には前年比11.1%と大きく上昇しましたが、新型コロナの影響で2020年頃から一時的に調整局面となりました。

しかし2022年の基準地価では地価は上昇傾向となり、新型コロナの影響から回復してきていることが分かります。今後も神戸ベイエリアなどの発展は続き、さらに「大阪・関西万博」などの経済効果も高いことから、神戸エリアの地価の上昇は続く可能性があります。

さらに新型コロナの収束が近づけば、国内の観光やインバウンドなども復活し神戸エリアの商業地などの発展につながると考えられます。

基準地価

地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2021

2022

2021

2022

神戸市

0.1%

1.2%

△1.1%

1.5%

東部4区

0.9%

1.9%

△2.0%

1.5%

兵庫区

0.0%

0.6%

0.7%

2.2%

中央区

0.4%

2.6%

△4.4%

0.7%

<国土交通省「令和4年都道府県地価調査」より作成>

基準地価

神戸市中央区の地価変動率の推移

 

2019

2020

2021

2022

住宅地

3.3%

1.9%

0.4%

2.6%

商業地

11.1%

2.0%

△4.4%

0.7%

<国土交通省「令和4年都道府県地価調査」より作成>

(4)神戸の交通

神戸には東海道・山陽・九州新幹線が「新神戸」駅に停車します。新幹線では京都や東京、また九州方面へのアクセスしやすい立地です。

また在来線で大阪都心部へもアクセスしやすく、JR神戸線快速で「三ノ宮」駅から「大阪」駅まで3駅約20分で到着、阪急神戸本線特急で「神戸三宮」駅から「大阪梅田」まで約30分で到着できます。

「神戸空港」も三宮の沖合に2006年に開業しており、またベイサイドではフェリーなど船便も利用可能です。このように陸海空の交通アクセスの優れた立地となっています。

②三宮・元町

「三宮」駅周辺や「元町」駅にかけては、「神戸阪急」「神戸阪急新館」「神戸マルイ」「ミント神戸」「神戸国際会館」「さんプラザ・センタープラザ・センタープラザ西館」「三ノ宮センター街」など多くの商業施設のある人気のエリアです。

JR神戸線「三ノ宮」駅周辺は、阪急電鉄・阪神電気鉄道「神戸三宮」駅、神戸市営地下鉄西神・山手線、ポートライナー「三宮」駅、地下鉄海岸線「三宮・花時計前」など多くの路線の駅が利用できます。また「ミント神戸」などのバスターミナルでは多くのバス路線を利用することも可能です。 

食文化やファッションなど女性にも人気の街

神戸といえば神戸牛が有名で、三宮周辺にはこうした高級牛が味わえるステーキ店なども多くあります。またスイーツの店も多くあり、元町では1897年(明治30年)に「神戸凮月堂」が開業し、その後は神戸の外国人が本場の洋菓子を持ち込みモロゾフ、ユーハイムなどの有名洋菓子店が誕生しています。

現在でもスイーツの店は多くあり、女性にも人気のエリアです。またファッション関係の店も多くありショッピングを楽しむ女性も多く訪れています。こうした食文化やショッピングなども三宮周辺に居住の方は日常的に体験することも可能です。

有名な「有馬温泉」へも三宮から電車30分で到着できます。神戸エリアは自然も多く、オフの日にはこうした非日常的な体験も気軽に味わえます。 

「都市再生緊急整備地域」

「三ノ宮」駅及び元町駅の周辺と湾岸エリアは「都市再生緊急整備地域」にも指定されています。さらに三ノ宮駅周辺はより重要度の高い「特定都市再生緊急整備地域」となっています。今後のますますの発展が期待できるエリアです。

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>

https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/kinkyuseibi_list/pdf/kuiki/k_kobe.pdf

「神戸都市ビジョン」

神戸市では「都心・三宮再整備 KOBE VISION」が策定されています。この中では多くのプロジェクトが策定され、三宮の発展と国際性が期待されています。30年後までに約150棟のビルを建て替える計画があるなど、「三宮」周辺エリアが大きく変貌していくでしょう。

「JR三ノ宮新駅ビル」

JR三ノ宮新駅ビルの計画が2022年3月に発表されています。地上32階、高さ160mのビルで2029年度の開業が予定されています。

<資料:西日本旅客鉄道株式会社、独立行政法人都市再生機構西日本支社、神戸市>

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220330_05_sannomiya.pdf

「三宮クロススクエア」

「三宮」駅前の交差点周辺で神戸の象徴となる新しい駅前空間の取り組みです。「えき」と「まち」をつなぎ、日常的な賑わいの創出を目指しています。三ノ宮の新駅ビルと同時に第一段階が完成予定です。

「雲井5・6丁目再開発」と「バスターミナル」

雲井通(くもいどおり)5・6丁目再整備基本計画に基づき新たな中・長距離バスターミナルの整備が進められています。

第Ⅰ期として「神戸三宮雲井通5 丁目地区再開発」では高さ163m、地上32階建てのビルが2027年に竣工予定です。「三宮」駅前の現在サンパルや中央区役所などがあるエリアです。オフィス、ホテル、商業施設、ホールなどが入り、地下にはバスターミナルが開業します。第Ⅱ期として「雲井通6丁目」の再開発も予定され、バスターミナル(Ⅱ期)の開業も予定されています。

雲井5丁目再開発 全体イメージ(南東より)

<資料:雲井通 5 丁目再開発株式会社、神戸市、三菱地所株式会社、三菱倉庫株式会社、TC神鋼不動産株式会社、株式会社大林組>

https://www.obayashi.co.jp/news/upload/img/news20220603_1_01.pdf

「神戸三宮阪急ビル」

1936年3月に誕生した「旧神戸阪急ビル東館」が高さ120メートルのビルとして生まれ変わり2021年4月に開業しました。ホテル、オフィス、商業施設等で構成されています。商業施設「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」や阪急阪神ホテルズの「レムプラス神戸三宮」が開業しています。

「さんちか」リニューアル

三宮の地下街「さんちか」が2022年4月から大規模リニューアルに入っています。2025年の完成を予定しています。多くの駅がつながる地下街となっており、多くの人が利用します。リニューアル後は開業以降最大規模となる予定です。

「市役所本庁舎2号館」

市役所本庁舎2号館は建築から60年以上が経過し、建替えを行い「三宮」駅とウォーターフロントの中間地点として賑わいを創出し国内外からの集客・交流を一層促進する計画です。2029年の開業を予定しています。

「中央区役所・中央区文化センター」

中央区役所と勤労会館・葺合文化センター・生田文化会館が移転し市役所3号館跡地で2022年7月から共用を開始しています。地域活動や芸術文化活動にも利用可能です。

「神戸旧居留地」

神戸が開港した際には外国人の居留するエリアが定められており、その居留地であったエリアです。駅前には1934年完成の「大丸神戸店」があるほか、「旧居留地38番館」「ニッケビル」などを始め多くの歴史的な建物も残っています。「(仮称)神戸旧居留地 91 番地プロジェクト」などオフィスビルの建設計画もあります。

「神戸ルミナリエ」

阪神・淡路大震災のあった1995年から毎年12月に「神戸ルミナリエ」が開始されました。2020年からは新型コロナの影響で中止となっていますが、神戸の年末の風物詩であるため、開催が期待されています。

「元町・南京町」

神戸の中華街で日本の三大中華街といわれています。多くの飲食店などのある観光地としても有名です。春節祭・中秋節などのイベント開催時には獅子舞や龍舞なども見ることができます。横浜の中華街も人気で、三宮ではこうした異国情緒を気軽に体験可能です。

③ポートアイランド

三宮の南の湾岸にある「ポートアイランド」は1981年に街びらきし、「ポートピア'81(神戸ポートアイランド博覧会)」が開催されました。多くの企業や観光施設・商業施設、港湾施設などの集積するエリアです。

ポートアイランドは「神戸医療産業都市 (KBIC)」に指定され病院や研究機関、医療関係企業などの集積するエリアとなっています。進出企業・団体は362社/団体(2022年8月末現在)になります。

また「スーパー中枢港湾/ハイパー中枢港湾」の「次世代高規格コンテナターミナル」に指定され多くの貨物の取り扱いもある港湾機能もあります。スーパーコンピューター「富 岳」を中心とした研究センターも設置されています。

さらにショッピング施設や観光施設が多くあり、三宮からも近い観光名所としても有名です。神戸空港も近いことから多くのホテルが建設されています。「神戸学院大学」「兵庫医科大学」「神戸女子大学」「甲南大学」などの大学も開校しています。

都市再生緊急整備地域

ポートアイランドの西側は都市再生緊急整備地域に指定されています。大まかに「ポートアイランド西地域コンテナバース跡地再開発事業」と「神戸医療産業都市」に分かれています。

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>

https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/kinkyuseibi_list/pdf/kuiki/k_kobeport.pdf

「ポートアイランド西地域コンテナバース跡地再開発事業」のプロジェクト

・関西DCセンター

・上組ロジスティックセンター

・USS神戸会場

・兵庫医科大学

・神戸学院大学

・ポートアイランドドライビングスクール

・アルティス神戸ポートアイランド

・イトーピア神戸ポートアイランド

・ポルトアーレミオKOBE

・金子真珠㈱

・渋沢倉庫㈱

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」神戸ポートアイランド西地域 プロジェクト一覧>https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/kinkyuseibi_list/pdf/profile/40_kobe-port.pdf

ポートアイランド内の観光施設の例

・神戸どうぶつ王国

・バンドー神戸青少年科学館

・ポーアイしおさい公園「BE KOBE」

・アシックススポーツミュージアム

・神戸市立ポートアイランドスポーツセンター

ポートアイランド内のホテル

・神戸ポートピアホテル

・アリストンホテル神戸

・ホテルパールシティ神戸

「神戸空港」

ポートアイランドの沖合にある神戸空港島に建設され2006年に開港しています。関西国際空港・大阪国際空港(伊丹空港)などとともに、関西三空港といわれています。2030年には国際線定期路線の就航も予定されています。三宮からは「ポートライナー」で18分とアクセスも良好で、大阪・関西万博に向けて利用者が増加することが期待されます。

人口島である「ポートアイランド」は企業、学校、商業施設、ホテルなど多くの施設の揃った大きな街ともいえます。また海沿いの立地を活かしてランチタイムクルーズなども楽しめるでしょう。

④神戸・ハーバーランド・メリケンパーク・新港突堤

JR神戸線「神戸」駅は1874年(明治7年)に開業した歴史のある駅です。JR神戸駅、高速神戸駅、地下鉄海岸線ハーバーランド駅が利用できます。

駅の海側には「ハーバーランド」が広がっています。駅地下には「デュオこうべ」が広がり多くの店が揃い「デュオドーム」ではイベントなども行われています。こうした湾岸エリアでは再整備計画として様々なプロジェクトも進んでいます。

「JR神戸駅前広場再整備基本計画」

神戸駅前はリニューアルが計画されています。周辺地区の回遊拠点となる広場の構築などが検討されています。2030年以降の姿を想定した素案などが立案されています。

「ハーバーランド」

「神戸ハーバーランド」は1992年に開業しました。「神戸ハーバーランドumie」「神戸ハーバーランドumieモザイク」などを始め、「プロメナ神戸」「神戸煉瓦倉庫」「アンパンマンこどもミュージアム」など商業施設が多くあり観光客も多いエリアです。

川﨑重工業などの入る「神戸クリスタルタワー」や「神戸ガスビル」などのオフィスビルも多くあるエリアです。「神戸クリスタルタワー」内には「兵庫県神戸ハーバーランド庁舎」などの官庁・公共施設などもあります。

「メリケンパーク」

「神戸ポートタワー」や「神戸海洋博物館」などのある湾岸のエリアです。「KOBE」のモニュメントでも有名です。フェリーなどの発着もあり「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」「ホテルオークラ神戸」「ホテル・ラ・スイート 神戸ハーバーランド」などの高級ホテルも多くあります。

「神戸ポートタワー」

1963年(昭和38)年に完成し神戸のランドマークでもある「神戸ポートタワー」のリニューアルが進んでいます。屋上の展望施設や低層階のテラスなどを新設し2023年度の完成を目指しています。現在工事中の外壁には2022年1月14日からプロジェクションマッピングが実施されています。

「新港突堤西地区(第1突堤基部)再開発事業」

新港突堤エリアでは再開発が進んでいます。第一突堤には2008年に「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」、2015年には温泉宿泊施設が開業しました。さらに「神戸開港150年記念プロジェクト」として高層住宅を始め多くの施設が建設されています。複合商業施設「神戸ポートミュージアム」は2021年10月に開業しました。オフィスビルなども2021年に開業しています。

「新港突堤西地区(第1突堤基部)再開発事業」

●複合商業施設「神戸ポートミュージアム」

・劇場型水族館「アトア」

・フードホール「トゥーストゥースマート フードホール&ナイトフェス」他

●「フェリシモ チョコレートミュージアム」

●「ジーライオン クラシックカーミュージアム」

「新港第2突堤再開発」

新港第2突堤でも再開発の計画が進んでおり、大規模多目的アリーナ「KOBE Smartest Arena」が2024年に開業予定です。新港には「神戸三宮フェリーターミナル」もあり、船による来場も見込まれるエリアです。このように新港突堤部の再開発が進んでおり、ポートアイランド、ハーバーランドなどを含めたベイエリアの一層の発展が期待できます。

「ロープウェイ構想」

「神戸ハーバーランド」から「新港突堤」までを結ぶロープウェイを検討しているとの報道があります。横浜の「みなとみらい21」地区でも2021年に開業しており人気となっています。実現すれば神戸のベイエリアを結び観光にも寄与するのではないでしょうか。

大阪へのアクセスも良好な神戸エリアは三宮周辺やベイエリアを中心に発展が続いています。新型コロナとインバウンド減少の影響で停滞していた地価も今後も大きく上昇する可能性もあります。今後神戸エリアは大きな発展が続くのではないでしょうか。