2025年、京都の公示地価は大きな転換点を迎えています。新型コロナウイルスの影響から回復した観光需要と、海外からの旅行者増加により、京都市内の地価は顕著な上昇を見せています。特に東山区や下京区など観光地に近い地域では、宅地・商業地ともに高い上昇率を記録。

一方で郊外エリアとの二極化も進行しています。本記事では最新の公示地価データをもとに、京都府内のホットスポットや投資価値の高いエリア、そして今後の不動産市場の見通しについて詳しく解説します。投資や住居購入を検討している方必見の情報です。

京都の公示地価2025年最新動向

京都府全体でみると、住宅地の平均変動率は2.0%の上昇となりましたが、商業地では平均7.9%の上昇と、住宅地を大きく上回る結果となりました。この数字は、観光業を中心とした京都経済の力強い回復を示す重要な指標といえるでしょう。

商業地と住宅地の公示地価比較

2025年の京都における公示地価は、商業地と住宅地で明確な差が生じています。商業地の地価上昇率が住宅地を大きく上回る状況となり、観光関連ビジネスの回復が地価に直接反映されていることがわかります。

商業地では、四条河原町を中心とした繁華街や祇園などの観光地で10%前後の高い上昇率を記録。一方、住宅地では東山区を中心に上昇が見られるものの、商業地ほどの勢いはなく、地域によってばらつきが生じています。

京都市内の商業地と住宅地の地価上昇率の差は、今後の不動産投資において重要な判断材料となるでしょう。

エリア別の地価変動状況

京都府内のエリア別に見ると、地価の変動は大きく異なります。観光客が多く訪れる市内中心部や観光地周辺では軒並み上昇している一方、郊外や北部地域では横ばいや下落傾向を示すエリアも存在します。

特に顕著な上昇を見せているのは東山区で、住宅地の変動率上位2地点がどちらも東山区となっています。清水寺周辺や祇園といった人気観光スポットを抱える東山区は、宿泊施設やレストランなどの商業用途の需要が高まっていることにより、住宅地としても魅力的なエリアとして注目されています。

また、南区では東九条上殿田町の商業地が21.9%という府内最高の上昇率を記録しており、京都駅周辺の開発の影響が顕著に表れています。

京都の高価格エリアトップ5

京都府内で特に高い地価を示しているエリアを見ていきましょう。これらの地域は長年にわたり京都の中心として機能してきた場所であり、商業的価値と歴史的価値の両面から高い評価を受けています。

住宅地における最高価格地点

京都府内の住宅地における最高価格地点は、主に京都市の中心部に集中しています。これらの地域は利便性の高さや歴史的な街並みが保存されていること、そして京都らしい景観が維持されていることが高評価につながっています。

住宅地価格のトップは京都市上京区室町通下立売上る勘解由小路町156番で、1㎡あたり75万円という高額な地価となっています。前年比7.1%の上昇を記録し、繁華街に近い立地ながら住環境の良さも兼ね備えた地域として評価されています。

住宅地価格上位5地点はすべて京都市中心部(上京区、左京区、東山区)に位置しており、歴史ある京都の中心エリアの価値の高さを示しています。

順位 所在地 価格(円/㎡) 変動率
1 京都市上京区室町通下立売上る勘解由小路町156番 750,000 7.1%
2 京都市上京区小川通一条下る小川町206番1 731,000 8.6%
3 京都市上京区新烏丸通下切通シ上る新烏丸頭町191番3 620,000 6.0%
4 京都市左京区岡崎円勝寺町91番48 532,000 4.5%
5 京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町353番5 520,000 11.7%

商業地における最高価格地点

商業地においては、京都の中心商業地である四条河原町周辺と烏丸四条周辺が特に高い地価を示しています。これらのエリアは国内外からの観光客や地元住民で賑わう京都随一の繁華街です。

商業地の最高価格は京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町51番外で、1㎡あたり1,050万円という非常に高額な地価となっています。前年比10.5%という大幅な上昇率も記録しており、インバウンド需要の回復によって商業的価値が急速に高まっていることがわかります。

商業地上位5地点の変動率はいずれも9%以上の高い数値を示しており、京都の商業地が力強い回復を見せていることを表しています。

順位 所在地 価格(円/㎡) 変動率
1 京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町51番外 10,500,000 10.5%
2 京都市下京区烏丸通七条下る東塩小路町734番外 7,700,000 18.5%
3 京都市下京区塩小路通烏丸西入東塩小路町614番外 6,760,000 18.0%
4 京都市中京区河原町通三条下る2丁目山崎町238番外 5,400,000 12.5%
5 京都市中京区烏丸通六角下る七観音町638番 5,020,000 9.6%

京都で地価上昇率が最も高いエリア

京都府内で特に地価上昇率が高いエリアは、観光需要の回復や再開発の影響を強く受けている地域です。2025年の公示地価では、宅地と商業地それぞれで特徴的な上昇パターンが見られます。

住宅地の上昇率トップエリアとその特徴

住宅地において最も高い上昇率を示しているのは京都市東山区です。住宅地上昇率トップ2はどちらも東山区となっています。

この現象の背景には、観光客向けの宿泊施設需要と富裕層向け住宅需要の高まりがあります。清水寺や八坂神社といった人気観光地に近接するエリアでは、宿泊施設への転用や高級住宅としての価値が再評価されています。

東山区における住宅地価格の上昇率の高さは、観光と居住の両面から見た京都の魅力が改めて市場に評価されていることを示しています。

順位 所在地 変動率
1 京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町353番5 11.7%
2 京都市東山区大仏南門通大和大路東入新瓦町西組623番 9.2%
3 京都市南区久世上久世町360番 8.8%
4 京都市上京区小川通一条下る小川町206番1 8.6%
5 京都市南区西九条東比永城町35番 8.3%

商業地の上昇率トップエリアとその特徴

商業地では、京都市南区東九条上殿田町が21.9%という京都府内最高の上昇率を記録しています。京都駅に近いこのエリアは、駅周辺の再開発や観光客向け施設の増加によって商業的価値が急速に高まっています。

次いで伏見区深草稲荷御前町(21.2%)や南区東九条北烏丸町(20.9%)といった、観光客に人気の高いエリアが高い上昇率を示しています。これらの地域では、飲食店や小売店舗の出店意欲が高まり、賃料上昇が地価に反映されている状況です。

商業地の上昇率上位地点は、いずれも20%前後の高い数値を示しており、京都の商業地として持続的な成長が期待できるエリアといえます。

順位 所在地 変動率
1 京都市南区東九条上殿田町52番 21.9%
2 京都市伏見区深草稲荷御前町89番 21.2%
3 京都市南区東九条北烏丸町36番1外 20.9%
4 京都市南区東九条上殿田町41番1 20.9%
5 京都市東山区新門前通大和大路東入西之町216番2 20.0%

京都の公示地価が上昇する要因分析

京都における地価上昇は、単なる景気回復だけでなく、複数の要因が重なって生じています。これらの要因を理解することで、今後の不動産市場の動向をより正確に予測することができるでしょう。

観光需要の回復とインバウンドの増加

2025年の京都の地価上昇に最も大きな影響を与えているのは、コロナ禍からの観光需要の回復です。特に海外からの観光客(インバウンド)の増加が著しく、観光地周辺の宿泊施設や商業施設の需要増加につながっています。

京都市東山区や下京区など、観光客に人気のエリアでは、宿泊施設やレストラン、土産物店などの出店意欲が高まり、賃料の上昇を通じて地価にも影響を与えています。また、海外富裕層向けの高級宿泊施設の需要も高まっており、高級ホテルや高級旅館向けの不動産取引も活発化しています。

今後も続くと予想される観光需要の拡大は、京都の観光地周辺の不動産価値をさらに高める要因となるでしょう。

京都市内の再開発プロジェクトの影響

京都市内では複数の再開発プロジェクトが進行しており、これらも地価上昇に影響を与えています。特に京都駅周辺や四条烏丸エリアでは大規模な再開発が進められ、オフィスビルや商業施設、ホテルなどの新たな建設が地価を押し上げています。

南区の東九条西山王町が商業地変動率で最も高い上昇を記録したのも、京都駅周辺の再開発の影響が大きいと考えられます。また、中京区や下京区でも歴史的建造物を活かした複合施設への転換など、街の魅力向上と経済価値の両立を図る再開発が地価上昇を後押ししています。

再開発によるエリアの価値向上は一時的なものではなく、長期的な地価の底上げにつながる可能性が高いため、投資の観点からも注目されています。

住宅需要と不動産投資の動向

宅地の地価上昇には、京都市内での住宅需要と不動産投資の活発化も影響しています。特に歴史的な街並みが残る東山区や上京区では、町家の再生や伝統的な建物を活かした住宅への関心が高まっています。

また、低金利環境が続く中、資産運用としての不動産投資も活発化しています。特に外国人観光客向けの民泊や宿泊施設としての利用を見込んだ投資が増えており、古い町家や伝統的な建物の価値が再評価されている状況です。

京都特有の歴史的・文化的価値を持つ不動産への投資は、収益性だけでなく、京都の街並み保存にも寄与する側面があります。

京都の公示地価が不動産投資に与える影響

2025年の京都における公示地価の動向は、不動産投資の戦略にも大きな影響を与えています。地価の上昇は投資リターンに直接影響するため、エリアの特性や地価動向を理解することが投資成功の鍵となります。

投資価値の高いエリアとその理由

京都における不動産投資では、特に以下のエリアが注目されています。まず東山区は地価上昇率が高く、観光客向けの宿泊施設や飲食店としての活用価値が高いエリアです。伝統的な町家や古民家を改修した宿泊施設は特に人気が高く、高い収益性が期待できます。

また、京都駅周辺の南区も再開発の進行により地価上昇率が高く、将来性のある投資先として注目されています。交通の利便性が高く、ビジネス客と観光客の両方を取り込める立地条件が評価されています。

投資エリアを選定する際は、単純な地価上昇率だけでなく、その地域の特性や将来的な開発計画、観光客の動向なども考慮することが重要です。

収益物件の利回り傾向と将来性

京都市内の収益物件の利回りは、地価上昇に伴い全体的に低下傾向にあります。特に観光地周辺のホテルや旅館、民泊物件では、購入価格の上昇により表面利回りが4〜6%程度に低下しているケースが多く見られます。

一方で、京都市内でも比較的地価の低い西京区や伏見区などでは、まだ7〜8%程度の利回りが見込める物件も存在します。また、中京区や下京区では表面利回りは低くても、賃料の上昇余地がある物件や、リノベーションによる価値向上が期待できる物件も多く、実質的な投資効率は高い場合があります。

京都の不動産投資では、単純な利回り計算だけでなく、エリアの成長性や物件の独自性、文化的価値なども含めた総合的な判断が求められます。

京都の公示地価から見る今後の不動産市場予測

2025年の公示地価データから、京都の不動産市場の今後について分析します。地価動向には様々な経済・社会要因が影響するため、これらの要素を踏まえた中長期的な予測が重要です。

今後の地価動向予測と市場見通し

京都市内の観光地周辺や商業地では、当面は地価上昇が続くと予測されます。特に東山区や下京区、中京区といった観光客に人気のエリアでは、インバウンド需要の増加に伴い、宿泊施設や商業施設の需要が高まり続けるでしょう。

一方で上昇率については、2025年をピークに徐々に緩やかになる可能性も考えられます。すでに一部エリアでは地価が高止まりし、投資収益性の観点から見ると割高感も出始めています。地価上昇が続くエリアでも、今後は物件の個別性や特徴がより重視される傾向が強まるでしょう。

今後は単純な地価上昇への期待だけでなく、物件の利用価値や収益性を重視した投資判断がより重要になってくると予測されます。

不動産購入時の注意点と考慮すべき要素

京都で不動産を購入する際には、地価動向に加えて以下の点も考慮する必要があります。まず京都市内では景観規制や高さ制限など、建築に関する厳しい規制があるため、購入前にこれらの制限を確認することが重要です。特に歴史的景観保全地区では、外観の変更に制限がかかる場合があります。

また、町家など古い建物を購入する場合は、耐震性や防火性能の問題、リノベーションコストも考慮すべきです。さらに観光客向けの宿泊施設として活用する場合は、民泊新法や旅館業法などの法規制も理解しておく必要があります。

地価上昇エリアでも、建物の状態や法的制限によって実際の資産価値や収益性は大きく変わるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に判断することをおすすめします。

投資や住居購入においては、地価動向だけでなく、物件固有の特性や地域の将来性、法規制なども含めた総合的な判断が不可欠です。

まとめ

2025年の京都府内の公示地価データからは、観光需要の回復とインバウンドの増加が地価に大きな影響を与えていることが明らかになりました。特に東山区や下京区といった観光地周辺では、宅地も商業地も高い上昇率を示しています。一方で郊外や北部地域では地価の横ばいや下落が続いており、エリア間の二極化が進んでいる状況です。

不動産投資の観点からは、単純な地価上昇率だけでなく、エリアの特性や将来性、法規制なども考慮した総合的な判断が重要となります。京都ならではの歴史的・文化的価値を持つ不動産は、適切に活用することで長期的な資産価値の維持・向上が期待できるでしょう。

京都の不動産市場に関心をお持ちの方は、この記事で紹介したデータを参考にしつつ、実際の物件調査や専門家へのコンサルティングを通じて、ご自身の目的に合った不動産選びを進めてみてください。地価の変動は今後も続くことが予想されますので、定期的な市場動向のチェックも欠かせません。

執筆者

エンマネ編集部

エンマネ編集部

将来のためにお金を準備したい方に向けて、資産形成の始め方や選び方、そしてリスクに備える方法などを発信しています。資産形成のコツを知って、大切なお金を上手に活かしましょう。