立地条件が与える影響とは?良い立地と悪い立地の特徴・見極め方を解説

「立地条件」は不動産投資の物件選びで重視される項目のひとつです。立地条件が良い物件は将来の資産性も期待できるため、多少築年数が経っていても賃貸や売買の相手が見つかりやすくなります。 立地条件と聞くと、多くの不動産投資初心者の方は「駅から徒歩5分」など物件の場所を想像するのではないでしょうか。実は立地条件の中には交通の利便性以外にも、 さまざまな要素が含まれています。 今回は不動産投資で重視すべき立地条件について、特徴や見極め方を解説します。

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立地条件って何?言葉の意味

立地条件とは、物件がどのような場所に建っているのかを表す言葉です。物件の買主や借主が、物件の場所や環境に求める要素全般を指します。

例えば「駅まで徒歩〇分」といった交通の利便性以外に、周辺施設の充実や街全体の雰囲気なども立地条件に含まれています。

混同されやすいものに「立地因子」という言葉が挙げられます。立地因子は工場の場所選びで使用され、物件の立地で左右される、生産に関わる費用を指す言葉です。主に、物件が建設されている場所や輸送費、人件費などにどの程度の影響を与えるのかを表します。

工場開業を考えている場合は立地因子も重要です。しかし、居住用物件の売買や賃貸で収益を得る不動産投資を行うのであれば、重視すべきは立地条件です。

立地条件が物件選びで重要な理由

物件を購入・賃貸契約するユーザーの多くは、立地条件を比較ポイントとする傾向があります。物件選びにおいて立地条件が重視される理由は、入居者の快適性や安全性に影響するためです。

築年数が古くて畳が黄ばんでいる、など住戸の問題はオーナーとの相談で解決できる余地がありますが、立地条件は個人の努力で改善されるとは限りません。少しでも快適かつ安全に暮らすために、改善が難しい問題を避ける指標として立地条件が重視されています。

立地条件が良い物件の特徴3つ

立地条件が良い物件の特徴は、下記の3つが挙げられます。

治安が良い

地域全体の治安が良いところは、安全に暮らせる環境が整っています。住民のマナーが良かったり怪しい施設がなかったりと、安全性が高い地域は、幅広い層からのニーズが期待できます。

一方、治安の悪い地域はファミリー層や女性の一人暮らしには敬遠されやすい傾向があります。ターゲット層が狭くなり、空室がなかなか埋まらない結果につながる可能性も考えられます。

生活環境が充実している

物件の周辺に、日常生活に欠かせない施設があることも良い立地条件である要素です。例えば、病院、公共施設、学校、商業施設などが揃っており、生活しやすい地域はユーザーからのニーズも高くなります。

また、将来的に街の開発予定があることや、眺めが良いことなどの魅力も、物件に付加価値を与えてくれます。

交通の利便性がよい

通勤通学の利便性を考慮すると、最寄り駅やバス停までの距離も重要です。徒歩圏内に公共交通機関が揃っている地域は良い立地条件といえます。

買い物や習い事など、通勤通学以外にも公共交通機関を利用する理由はさまざまです。ファミリー層だけでなく、単身世帯のニーズも見込めます。

立地条件が悪い物件の特徴3つ

良い立地条件がある一方で、悪い立地条件も存在します。不動産投資においては、立地条件の良い物件が見つけられなくとも、悪い立地条件の物件を避けることが大切です。物件を選ぶ際に避けるべき、悪い立地条件は下記の3つが挙げられます。

幹線道路や線路に面している

幹線道路沿いや線路沿いは、一見すると車通勤のユーザーにとって利便性が高く思える立地です。しかし、騒音や振動など別のリスクを抱えています。

近年は、複層ガラスなどで物件自体に騒音対策を施しやすくなっています。騒音を軽減できても、振動などの問題は残ります。

また、ファミリー層にとっては安全面も重要なポイントです。幹線道路沿いや線路沿いは、子どもの通学時の安全面が懸念されます。

自然災害のリスクがある

過去に自然災害が起こった地域や、将来の災害リスクがささやかれている地域などは、敬遠されやすい傾向があります。地震以外にも洪水、土砂災害、高潮などの自然災害リスクがある地域は、交通の利便性が良くても立地条件が良いとは断言できません。

川沿いもランニングコースや休日のおでかけスポットとして人気がある一方で、湿気の多さ、豪雨時の氾濫リスクなどが考えられます。

日当たりが悪い

日当たりの良さも重要なポイントです。周辺をビルや高木に囲まれているなど、日当たりの悪い物件は候補から外されやすくなります。日当たりの悪い物件は暗い、寒い、洗濯物が乾きにくいなど、ネガティブなイメージをもたれやすいためです。

立地が良い物件を見極めるための項目5つ

情報サイトで気になる物件を見つけたら立地条件も確認しましょう。立地条件の良し悪しを見極めるポイントは下記の5つです。

街のイメージや将来性をチェックする

街の雰囲気や活気など全体のイメージも立地条件に含まれます。見当をつけている物件が遠方の場合は、Googleマップである程度下調べしてから候補を絞る方法もおすすめです。

知名度はもちろん、住民の年齢層や、自治体が公表している開発計画なども将来性を判断する重要な要素です。

最寄り駅や沿線などアクセス面を調べる

通勤通学の手段も物件のイメージを左右します。都市部までのアクセス時間や最寄り駅までの安全性など、さまざまな視点から評価しましょう。

最寄り駅までの安全性はインターネット上で確認するよりも、実際に現地へ足を運ぶ方が情報の精度が増します。自らの足で歩いて、歩行者視点で確認することが大切です。

周辺施設の有無を確認する

周辺施設は規模や数のみならず、実際に生活に欠かせないものかを重視します。利便性に優れている複合施設の他、スーパーや飲食店、公園、学校などが近隣にある地域は、幅広い層からの入居申し込みが期待できます。

周辺施設が充実しているところは、交通の便が多少悪くても入居が期待できる地域です。例えば大学や総合病院など大型の施設は、通勤通学者の入居につながります。

ハザードマップで自然災害リスクを把握する

災害リスクは、ハザードマップである程度確認できます。ハザードマップには、洪水、土砂災害、高潮や津波などのリスク情報が掲載されています。市区町村が公表する冊子などの他、国土交通省が運営するウェブサイトでも閲覧可能です。

物件の購入や賃貸契約を結ぶ際、不動産会社からも水害リスクの説明が行われます。ハザードマップと照らし合わせて、可能な限り新しい情報を取得しましょう。

実際に現地の雰囲気や環境をリサーチする

物件選びのコツは、可能な限り現地で実際の雰囲気を味わうことです。インターネット上でもGoogleマップやオンライン内見など、ある程度のリサーチはできます。しかし、細かな部分は、実際に足を運ばなければ判断できません。

物件に足を運び、騒音や日当たり、街灯の数や位置などを確認しましょう。近所の人の雰囲気や公共施設、道路の使われ方も重要です。地域住民のマナーが良ければ、街全体の雰囲気も良くなります。

最寄り駅からのアップダウンや踏切、信号の待ち時間、道路の交通量など、インターネット上では分からない部分を自分自身の目で見ることが大切です。

立地条件で注意すべきポイント3つ

空室リスクを軽減するためには、立地条件を重視した物件選びが大切です。しかし、「交通の便が良いから」「商業施設が近いから」と表面的なメリットのみで立地条件を判断しても、投資に成功するとは限りません。

立地条件を重視して物件を選ぶ際は、下記3つのポイントに注意しましょう。

立地条件がターゲット層に合っているか

立地条件が良くても、ターゲット層とマッチしていなくては空室リスクが高くなります。まずはどのような借主に入居してほしいのか、ターゲット層を絞り込むことから始めましょう。

ターゲット層を決める際のポイントは、自分の考えやメリットのみを重視しないことです。駅近でコンビニが近い場所は学生が、学校や公園が近い閑静な場所はファミリー層がターゲットに当てはまりやすいといえます。

ターゲット層がどのようなニーズをもっているか調べたうえで、マッチ度が高い立地条件を見つけることが不動産投資のコツです。

数年後の立地条件もイメージできているか

現在 は立地条件が良くても、その立地条件が将来的に継続されるかどうかはわかりません。

例えば、近隣に大きな商業施設がありファミリー層の需要が見込まれるとしても、移転や閉店のリスクが考えられます。交通の便も、競合が多い地域に新駅が設置されれば利便性が低くなるおそれがあります。

物件購入時は現状の立地条件のみならず、数年後どのように変化しているかイメージすることも重要です。現在は魅力的ではないと思える物件が、都市開発で立地条件が良くなる場合もあります。

近隣地域の都市開発計画も含めて情報収集しましょう。主要施設の建設が計画されていたり新駅設置や線路の延線が検討されていたりする地域は、需要が高まると期待できます。

物件価格と資金計画のバランスが取れているか

立地条件が優れている物件の価格設定は高めです。仮に物件の築年数が経っていても、立地の価値を理解している投資家から注目され、売れやすいためです。

購入後も立地条件が良い物件ほどニーズは高く、早期の入居が期待できます。しかし、資金計画が不十分な状態で購入することは避けましょう。立地条件が良くても、空室が続くなどのトラブルに見舞われれば、利益が出にくくなります。

立地条件の良い物件を探す前に、自身にとって無理のない資金計画を立てることが重要です。生活を圧迫しない程度の予算で資金計画を立て、多少トラブルが生じてもバランスが取れる価格帯で立地条件の良い物件を探しましょう。

まとめ

不動産投資を行う際は、立地条件を考慮した物件選びが欠かせません。築年数による付加価値は経年とともに下落しますが、立地条件の良さは将来も価値が残りやすいメリットがあります。

ただし、すべての立地条件が将来も担保されるとは限らないため、未来の環境変化も視野に入れることが大切です。